包絡線の問題:三角形の面積を二等分する直線族

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飯島康之

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Sep 26, 2010, 5:58:27 AM9/26/10
to interacti...@googlegroups.com
飯島です。
タイトル変えてみました。

>>> C. 現在は, 点の軌跡を扱っているものが多いが, 包絡線など, 別のこ
>>> とを扱える可能性はあるのか, それらを扱う価値があるのか。
>>
>> これも可能なはずです。扱う価値があるかどうかはわかりません。
>
> これは今回同様に, いくつか具体的な問題例を出してご検討いただくのが適切かもしれません。

平行四辺形の場合, 対角線の交点が点対称の中心になりますから, 面積を二等分する直線はすべてこの点対称の中心を通ります。

この点が四角形としての重心でもあることから, つい, 次のような場合も重心を通るようにすればよいように誤解してしまうことがあります。

・三角形の面積を二等分する直線は, いつも重心を通るのではないか。
・四角形の面積を二等分する直線を簡単に求める方法は, 二つの三角形に分割して, それぞれの重心をとり, 結べばよいのではないか。

これらは, 「反例」を見つける事例として, 教育的な意味のある問題になります。
実際, 三角形の場合, 底辺に平行にひくと, 1:2の内分ではうまくいきませんから。

反例の発見をさらに進めるならば, 次のようなものが問題になるかと思います。
・そのような直線族はどうなっている? (観察)
・そのような直線族はどう表現できる?(それぞれの式表現)
・曲線として見えるものはなに? (包絡線の式表現)

多分, よく知られている例ではないかとは思うのですが, いかがでしょう。

飯島康之

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Sep 27, 2010, 8:15:41 AM9/27/10
to 動的幾何学ソフトウエア
飯島です。

下記の例を, 次にまとめてみました。

http://iijima.auemath.aichi-edu.ac.jp/dgswiki/pukiwiki.php?%CA%F1%CD%ED%C0%FE_%BB%B0%B3%D1%B7%C1%A4%CE%CC%CC%C0%D1%A4%F2%C6%F3%C5%F9%CA%AC%A4%B9%A4%EB%C4%BE%C0%FE%B7%B2

http://iijima.auemath.aichi-edu.ac.jp/dgswiki/
にある

包絡線_三角形の面積を二等分する直線群

という話題です。

この問題自身, 作図問題の一つとして扱ってみるのも面白いかもしれないと思いました。

Takuya Kitamoto

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Sep 27, 2010, 11:15:11 PM9/27/10
to interacti...@googlegroups.com
山口大学の北本です。

今、話題は円に内接する四角形に移っているようですが、下記の
面積を2等分する直線について考えてみましたので、ご報告します。

飯島さんの Webページの問題設定を元に、 三角形ABCの座標を A(p,q),
B(0,0), C(1,0) と取り、辺 AC 上の点を E, 辺 BC 上の点を D と
します。D の点を動かすことを考え、その座標を (z,0) と置くと

三角形EDC の面積が三角形ABCの面積の 1/2
E は辺 AC 上にある

の2つの条件から、点 E の座標は

( (p-2z+1)/(2(1-z)), q/(2(1-z)) )

と定まります。
D の座標は (z,0) ですから、直線 DE の方程式は

y = (q/(2z^2-4z+p+1))(x-z)

となります(ここまでは手計算で可能)。
ここから、z が 0 から 1 まで動いたときの直線 DE の
包絡線を求めるわけですが、まず上の方程式を z の
多項式だと考え、z について整理すると

2y z^2 + (q-4y)z + p y + y - q x = 0

の2次方程式を得ます。

上の方程式が 0 < z < 1 の実数解を持つための x, y
の条件 = 直線DE が通る x, y の範囲

ですから、この条件を求めることにします。この式は z につ
いての2次式ですから、丁寧にやれば高校生でも条件式を導ける
はずですが面倒なので、QE (Quantifier Elimination)を用いて
解きます。
この条件を論理式で

∃z (z ∈ R, 0 < z < 1),
2y z^2 + (q-4y)z + p y + y - q x = 0

となりますが、これを Mathematica で解いたものが、添付した
PDF ファイルのものです。
結果は結構複雑な式になります(おそらく余計なものもたくさん
付いていると思います)。
とりあえず、p = 1/2, q = 1/3 において、x y 平面に条件式
を満たす領域をプロットしてみました。領域の境界が求める包絡線
になっています。
上にも書いたとおり、この問題はがんばれば高校生の知識でも解け
ると思うので、高校生用の課題としても使えると思います(ただし
計算は結構大変ですが)。
ちなみに、上の z の2次方程式の判別式だけからでは正しい包絡
線は出てきません。0 < z < 1 の条件まで考えないとだめで、その
意味でもいい問題だと思います。

円に内接する四角形の問題についてもちょっと考えましたが、すぐ
にはわかりません。しばらく考えてみてわかったら、またご報告し
ます。

math.pdf

Takuya Kitamoto

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Sep 27, 2010, 11:52:06 PM9/27/10
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北本です。

下記の私の報告ですが、z を動かす範囲が違っていたことに気が付き
ました。下の説明では 0 < z < 1 としましたが、良く考えると
0 < z < 1/2 としなければなりませんでした。
0 < z < 1/2 としたときの計算結果を新たに添付します。
なお、p, q はわかりやすいように p=1/3, q=1/2 にしました。

math2.pdf

吉田信也

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Sep 28, 2010, 2:14:03 AM9/28/10
to interacti...@googlegroups.com
吉田です。

包絡線を,微分を用いて求めたものを添付します。
パラメータをtとした以外は,北本さんと同じ条件です。


2010年9月28日12:52 Takuya Kitamoto <kita...@yamaguchi-u.ac.jp>:

> --
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> このグループから退会するには、interactivegeom...@googlegroups.com にメールを送信してください。
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>
>

--
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

YOSHIDA Shinya
Nara Women's University Secondary School
Tel.0742-26-2571
FAX 0742-20-3660

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

包絡線.pdf

Takuya Kitamoto

unread,
Sep 28, 2010, 10:43:37 PM9/28/10
to interacti...@googlegroups.com
北本です。

三角形の面積の件ですが、以前、報告した事に間違い(というか
勘違い)が含まれていたことがわかりました。その件と吉田さん
の微分を用いて包絡線を求めたPDFファイルへのコメントです。

まず、私の報告の間違いですが、私はてっきり 0 < z < 1/2 で
考えれば良いとばかり思っていましたが、よく考えると
1/2 < z < 1 でも三角形の面積の等分割が可能になります(こ
の場合は E は A より左手側にあります)。
ただしこの場合は分割の右手側の図形は三角形でなく、四角形
EDCA になります。これだと考えにくいので、分割の左手側の
図形、三角形 EBD が三角形 ABC の面積 q/2 の半分であると
考えた方がやりやすいです。よって、

三角形EBD の面積が三角形ABCの面積の 1/2
E は辺 AB 上にある

の2つの条件から、点 E の座標は

( p/(2z), q/(2z) )

と定まります。
D の座標は (z,0) ですから、直線 DE の方程式は

y = (q/(p-2z^2))(x-z)

となります。以前と同様に、上の方程式を z の方程式と捉えると

2y z^2 - q z - p Y + q X = 0

となり、この方程式が 1/2 < z < 1 の実根を持つ条件を求めれば
良いことになります。以前と同じく、QE を用いて Mathematica
で計算した結果を添付します。
c1 は 0 < z < 1/2 (つまり、E が A の右側にある場合)の直線
DE の通る範囲、c2 は 1/2 <= z < 1 (つまり、E が A の左側に
ある場合)の直線 DE の通る範囲を示しています(p, q はそれぞ
れ 1/3, 1/2 に固定して計算をしています)
Mathematica の Reduce で2つの領域を合わせたもの計算したもの
が c3 です。ちょっと見づらいですが、直線が通る領域は

y <= 1/8 の時 8y/3 < x < (3-10y)/3
1/8 < y <= 1/(4√2) の時 (-3+48y-64y^2)/(48y) <= x < (3+32y^2)/(48y)
1/(4√2) < y の時 (3-10y)/3 < x < 8y/3

となり、求める包絡線は領域の左側の境界ですから、

y <= 1/8 の時 8y/3 = x
1/8 < y <= 1/(4√2) の時 (-3+48y-64y^2)/(48y) = x
1/(4√2) < y の時 (3-10y)/3 = x

となります。直線が通る領域を x y 平面にプロットしたものが
添付ファイルにあります。

次に吉田さんのPDFファイルの件ですが、これは私のPDFファイルの
z を t として計算したものだと思います。
微分を用いて包絡線を求めており、具体的には PDFファイルの
y1 と y2 が求める包絡線(の一部)になると思います。これは
t (=z) が -∞ から +∞ まで動いた場合の包絡線になっていま
すので、t の値に範囲があることや、1/2 < t < 1 で条件式が変
わることが考慮されていません(これは私の間違いと同じ)。

初め問題を見たときは、そんなに難しいものには見えませんでし
たが、場合分けが必要で結構面倒な問題だったんですね。

math2.pdf
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