「知的財産戦略本部の海賊版対策検討会議が開始」「秘仏写真の利用差し止め判決」など出版業界関連の気になるニュースまとめ(2018年6月18日~24日)

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鷹野凌

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Jun 24, 2018, 11:20:30 PM6/24/18
to Weekly 見て歩く者 by 鷹野凌
 先週は「知的財産戦略本部の海賊版対策検討会議が開始」「秘仏写真の利用差し止め判決」などが話題に。毎週月曜恒例の、出版業界関連気になるニュースまとめ、2018年6月18日~24日分です。

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■ 教授が「判例百選」コピーし生協で販売…「有斐閣」がひどすぎる著作権違反事例を公表〈弁護士ドットコム(2018年6月19日)〉
 有斐閣が公式サイトで、違法コピーへの対応について事例を公開しています。侵害者に行政書士や大学教授……。著作権法35条「学校その他の教育機関における複製」を曲解しているケースもあるようなので、ガイドラインをもっと認知させる必要があるように思います。教育目的でも、無制限に利用できるわけではないのです。

■ アマゾンのレビューが不正に売買されている その仕組みを暴いた〈BuzzFeed(2018年6月20日)〉
 出版物の話は出てこないですが、不正レビューは出版にも関連するのでピックアップ。アメリカでの話が中心ですが、日本での情報提供も呼びかけています。高評価レビューがユーザーに参考にされるというより、高評価レビューが多く付いた商品をもっと売るため、Amazonがプッシュする仕組みになっているあたりに根本的な問題があるように思います。

■ 秘仏写真の使用差し止め 写真家に徳島地裁判決〈共同通信(2018年6月20日)〉
 まだ地裁ではありますが「寺院の意図に反して写真を公開し、流布することは宗教上の人格権を侵害する」という判決が出てしまいました。デジタルアーカイブ学会のシンポジウムで福井健策先生が「寺社仏閣が所有権に基づき映像資料利用を差し止める件については、2度にわたる最高裁判決で完全に決着が付いているという。法的に、所有権者に映像利用を差し止める権利はない」とおっしゃっていたのですが(ただし、写真家・瀬尾太一氏によると「もし勝手に利用したら、あっというまに京都・奈良の全寺社仏閣に立ち入り禁止になってしまう」とのこと)。これは地裁で終わらず、ぜひ高裁もしくは最高裁まで争って欲しい。

■ 九大図書館バラバラ事件を追う 「自炊」とは不届き千万〈朝日新聞デジタル(2018年6月21日)〉
 4月のまとめでピックアップした事件の続報。図書館のものとは別の本の窃盗容疑で学生が逮捕され、処分保留で釈放されているそうです。しかし、紀藤弁護士の言う「本そのものに価値を見出しておらず」という談は、紙に印刷されたものが本の価値なのか、内容が本の価値なのかという議論になりそうな。

■ 「でんでんコンバーター」でEPUB出力→AmazonでPOD紙書籍として出版できるようにするテストサービス〈INTERNET Watch(2018年6月21日)〉
 「でんでんコンバーター」で作成したEPUBを、Amazon POD用のPDFファイルに変換できるサービスのベータ版がスタート。インプレスR&Dの「著者向けPOD出版サービス」オプションとして、来年から正式サービス化の予定とのことです。これ、他のサービスで作成したEPUBだとどうなるんだろう? というか、他のEPUB出力サービスもいずれ連携可能になるのでは? という気がします。出版社向けでも需要ありそう。

■ 出版社における電子化の課題、1位は「権利処理の手間」 日本電子出版協会がアンケート結果を発表〈ねとらぼ(2018年6月21日)〉
 JEPAのアンケート結果。元データはこちら。わかっていたことではありますが、年間100冊以上の大手出版社と100冊未満の中小出版社とで、電子化対応がはっきり違うのがわかります。海賊版対策についてもっとも多かった回答が「特に何もしていない」だというのも、とくに人数が少なく余裕がないところは難しいだろうなとは思います。
 フリーテキストでの回答「著者がセリフパブリッシングで儲けたいと目論む者がかなりいる(原文ママ)」には、思わず笑ってしまいました。また、電子化できない理由の「著作権者に比し、何故か当方は立場が非常に弱い」は、情けなくなってしまいました。「何故か」ではなく、著作権者が強い法律なんですよね。「御社では、従業員に対してどういった著作権教育を行っているか教えてください」という問いに対し、「特に行っていない」が半数近く(中小だと7割以上)というのが現状ですから、いろいろお察しくださいという感じが。

■ 「RTによる画像トリミングで著作人格権侵害」 知財高裁判決の意味と影響 弁護士が解説〈ITmedia NEWS(2018年6月22日)〉
 知財高裁判決の解説。「リツイートによって」というところがなかなか衝撃的なのですが、インラインリンク(画像直リンク)で元画像がトリミングされサイズや形が変わって著作者氏名も消えていたことが、著作権侵害にはならないものの、著作者人格権(同一性保持権と氏名表示権)の侵害にはなる、という判断。原告の写真家の方のブログによると、いわゆる「まとめサイト」が利用しているプロバイダ8社も別途訴えており、インラインリンクが「著作権の侵害幇助」であるという地裁判決がすでに複数出ているそうです。
 ところで、現行法でもインラインリンクが著作権の侵害幇助にあたるという判決が出せるのであれば、「海賊版リーチサイトを規制するため著作権法を改正しなければ」という動きは、なぜ必要なんだろう? という疑問が。あれ?

■ インフォコム子会社のアムタス、18年3月期は2ケタ増収増益…「めちゃコミック」など電子コミック配信サービスが好調〈Social Game Info(2018年6月22日)〉
 「めちゃコミック」がめちゃ儲かってる! アムタスは2014年3月期に年度売上100億円突破していますが、今回の決算で売上204億9600万円ということは、4年で倍増ということに。

■ 電子書籍のブックウォーカー、18年3月期の最終利益は30%減の7億6500万円…「官報」で判明〈Social Game Info2018年6月22日〉
 ブックウォーカーは2月に「業績は2桁成長」というニュースがあったのですが、減益決算だったそうです。なにが要因だろう?

■ ブロッキングの法制化めぐり火花、海賊版サイト対策の検討始まる〈日経 xTECH(2018年6月22日)〉
 知的財産戦略本部の「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議(タスクフォース)」第1回会合の詳細なレポート。「緊急避難」によるブロッキングは無理筋なので、ちゃんと法律を作って適法化した上でやって欲しいと思います。

■ 「コミック海賊版で月5億円損失」 講談社が試算公表〈朝日新聞デジタル(2018年6月23日)〉
 その検討会議で講談社が公表した試算では、逸失売上が月5億円、緊急対策がなければ年間60億円。これ、もちろん額としてはとても大きく、決して看過できないレベルだというのはわかります。ただ、政府の緊急対策が行われるきっかけとなった、コンテンツ海外流通促進機構(CODA)が出した「半年で約3000億円」という数字と比べると、100分の1くらいなのですが。もちろん試算の算出根拠はまったく違うのでしょうけど、最初に出てきた額が大きかっただけに、正直ちょっと「え?」という感覚になってしまいます。

■ 漫画村消滅で電子書籍売上「増えた」 カドカワ川上氏が見解示す〈ねとらぼ(2018年6月23日)〉
 川上氏も登壇したニコニコ生放送「激論 どうなる、海賊版サイト対策のこれから」の簡単なレポート。ただし、具体的な数字はまだ出せないとのことです。まあ、そりゃそうでしょう。6月11日のまとめにも書きましたが、わたしが最近行った某トークイベントで某大手出版社の中の人(KADOKAWAではない)が「100万部とか200万部クラスのビッグタイトルは海賊版の影響が大きく、廃村後は以前くらいに戻った」とおっしゃっていたので、実際に「増えた」ことはあまり疑わなくてもよさそうです。村瀬弁護士が言うように、季節要因かもしれませんが。

■ 「同人誌ならグレーだから訴えられない」「駿河屋で買って自社で裁断」 被害続く“違法同人誌サイト”、法人運営の悪質手口を関係者に聞いた〈ねとらぼ(2018年6月23日)〉
 ねとらぼKikka氏の次のターゲットは違法同人誌サイト。「同人誌ならグレーだから訴えられない」という情報提供者の談は、恐らく正確には「(二次創作)同人誌ならグレーだから(作者のうしろめたさから)訴えられない(可能性が高い)」という意味だと思われます。なお後半では、無断転載は原著作者の権利も侵害している、という弁護士の方による解説があります。駿河屋は悪くない。

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