【自己紹介】田淵俊彦

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Feb 20, 2021, 1:43:13 AM2/20/21
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映像人類学フォーラムの皆様

はじめまして。テレビ東京の田淵と申します。

今回、専修大学の杉田このみ先生のご紹介、そして川瀬慈先生に快く受け入れて頂き、「映像人類学フォーラム」に参加させて頂くことになりました。

以下に少し長くなりますが、自己紹介文とフォーラムに参加させて頂いた目的を送らせて頂きます。何卒宜しくお願い致します。

田淵俊彦 たぶちとしひこ 1964年兵庫県生まれ

()テレビ東京制作局統括プロデューサー(現在はドラマ担当)

相模女子大学・文教大学・宝塚大学非常勤講師

日本文藝家協会正会員、日本映像学会正会員、日本映画テレビプロデューサー協会会員 

著書:『秘境に学ぶ幸せのかたち』(講談社)、『チベット聖なる七つの智慧』(大和出版)ほか 

映像作品:『世界秘境全集』(第一集6巻、第二集6巻 計12巻)ほか 

論文:「一妻多夫婚(ポリアンドリー)の選択理由 その環境的、経済的及び宗教的視点からの考察-ネパール北西部フムラでの参与観察を通して-」(『文教大学国際学部紀要』)

「映像人類学からのアプローチによる「ジェンダーと開発」論の再考」(宝塚大学『ARTES) ほか

大学卒業後、テレビ東京に入社し現在まで37年間、制作現場一筋です。1991年からチベットをはじめとするチベット文化圏に魅せられ、民族誌、紀行ジャンルのドキュメンタリーを通じて作品を発表し始めました。特に中尾佐助先生が提唱された「照葉樹林文化論」に大きな影響を受け、『日本人の源流シリーズ』を発想し、当時は取材や許可が困難だったラダック、ナガランド、アルナーチャル・プラデーシュ、中国四川省の木里高地などを訪れ、日本との比較考察を目的とした参与観察による長期取材を行いました。「日常の中の非日常」に着目し、現地に住む普通の人々の気持ちや心を汲み取ることを心がけてきました。過酷な秘境で生きるということはそれだけで大変なことです。だからこそ彼らの生き方や考え方は研ぎ澄まされてゆく。そんな実像に少しでも迫りたいと考え、「生きるとは何か」「幸せとは何か」「人間らしさとは何か」から始まり、「食べるとは」「家族とは」「男と女とは」「信じるとは」「豊かさとは」などの普遍的なテーマを突き詰めるために、がむしゃらに作品を作り続けてきました。当時は「ドキュメンタリー冬の時代」と言われていました。『知られざる世界』は既に放送終了を迎え、「ポスト牛山純一」時代は始まっていました。民放テレビ局における紀行ドキュメンタリーを取り巻く環境は極めて厳しく、1990年には30年続いた『兼高かおる世界の旅』が終わり、1992年には『新世界紀行』も終了してしまいました。そんな中、私は企画書を書いては番組を通し、予算を獲得して現地に向かうということをひたすら繰り返していました。視聴率や予算という枷の中でどういった映像を撮ることができるのかなど、営利目的というコマーシャリズムを意識しながら一人でも多くの人に作品を観てもらわなければならないという放送事業に携わる一員として、純粋に映像作品を創り上げるとこととのジレンマにいつも悩まされてきた気がします。そういったテレビ局員としての実務経験ばかりで研究としての実績はほとんどない私ですが、思うのはまさに梅棹忠夫先生の言葉「遠近遥かに隔たった二様の視点を持つことが虚実を見極める」の通り、急速なグローバル化が見直されコロナによって価値観が変わった今、グローバルサウスをはじめとした世界の途上国の交流文化、人々の生き方や考え方にこそ様々な地球規模の社会問題解決の糸口があるのではないかということです。そして映像人類学はその一翼を担うとても大切な手法であり学問ではないかと確信しているということです。時代の流れや環境の変化によって様々な事象が激変する中で、これまで撮られたり創られた民族誌・民俗誌的な映像、作品、映画、番組などはその存在がとても貴重になってくると考えています。今こそこれらの映像を紐解き、未来の地球の指針を見出すべきであるのと同時に、それらのフッテージをアーカイブズ化して伝え、共有してゆくことも大切であり、可及的速やかに進めるべきプロジェクトでもあるのではないでしょうか。次世代や後世のために、それらの模索をしてゆきたいというのが私の今の目標です。何卒宜しくお願い致します。

田淵俊彦 拝

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