焼豆腐は江戸時代のベストセラー「豆腐百珍」にも「一般に知られていて料理に格別難しいことのない一品」として
紹介されています。当時は当然ガスなど無く、現代の数倍野趣あふれんばかりの豆腐を炭火で焼いたのだから、
そのまま食すことも多かったのではと推測します。
残念ですが、現代の焼豆腐は表面にバーナー等で焦げ目をつけただけのものがその大半で、焦げ目を付ける前の
豆腐と比べると、食材としての用途が制限されてしまいます。結果、売れ残ることも多く、当店では「完全予約制」で
対応させて頂いているのが現状ですが、毎年暮は不意に来られて注文される方も多くなります。そこで今回は、現
代の「焦げ目をつけるだけの」焼豆腐をご家庭でも簡単に作れる方法を記します。
[手順1] 木綿豆腐を購入します。
焼豆腐は通常、水切りをしてから焦げ目を付けます。豆腐は水切りのし易い木綿豆腐をお使いになることをお勧め
します。ほとんどの豆腐のパッケージには「木綿豆腐」、あるいは「絹ごし豆腐」と書いてありますが、豆腐の表面を
見比べてみて、ざらざらの、木綿の生地のような肌をしているのが「木綿豆腐」で、つるつるの絹の生地のような肌を
しているのが「絹ごし豆腐」です。また、できれば、木綿豆腐は、肌がざらざらなだけでなく、ジャガイモの芽の部分の
ような窪みが多くあるものを選ぶと、「にがり」で凝固させた昔ながらの豆腐であるし、水が切り易くて良いでしょう。
[手順2] 豆腐に「重し」をして水を切り、元の 2/3
程度の厚さにします。
ご家庭で必要な量(1~数丁)であれば、まな板を乗せてから水を張った鍋などを使って、全体に均一に重さがかかる
ようにして豆腐の水を切ります。間にすだれを敷くなど工夫すれば、さらに水はけが良くなります。
重りの重さはその都度調節して下さい。あまり水を切り過ぎると固くボソボソした焼豆腐になってしまいますので、
「2/3 の厚さ」を目安にすると良いでしょう。
[手順3] 豆腐の表面に焦げ目を付けます。
注意しなければならないのは、焼き網などに乗せて焼くと、焼いている最中に豆腐が網に付いてしまい、ぼろぼろに
なってしまう点です。串を刺して宙に浮かせたまま炭で焼く------のは難しいでしょうから、平らなフライパンで(少量の
油を用いて)焼いて焦げ目を付けることをお勧めします。
ここに記した方法で、町で売られている焼豆腐とほぼ同じものが出来上がります。「ある程度水気を切ってから等間隔に
4本串を打ち、遠火の強火で両面こんがり焼く」は「豆腐百珍」に記された調理法ですが、こうすると、表面に焦げ目を付
けただけの焼豆腐とは味も見かけも違う、料理人のこしらえた一品料理になります。どちらも一度、お試しあれ。