oisore.pdf ファイルに目とおしを

[桂木健次]

桂木です。ファイルアップしたのは、金沢美大の大谷先生からいただいたファイルです。実に斬新な切り口です。一読の意義はあると思います。なお、大谷先
生はコメントを求められています。

[eiichi.morino]

On 12月3日, 午前11:43, 桂木健次 <k_kat...@eco.u-toyama.ac.jp> wrote:
> 桂木です。ファイルアップしたのは、金沢美大の大谷先生からいただいたファイルです。実に斬新な切り口です。一読の意義はあると思います。なお、大谷先
> 生はコメントを求められています。

EPRについては今年９月米国であったさる学会（どこだか忘れました、トホホ）
での議論をニューヨークタイムズで読んだ記憶があります。おっしゃ
る通りだと思います。

しかし、昨年の１４７ドルまで高騰したときすら、言われるように油田開
発の期待を膨らませる向きはいましたが、それは単なる幻想で、開発にも
既存生産設備への資金投資はなく、さらに一部の強気の投機筋の囃す材料
になったと記憶しています。

１４７ドルに上昇したから経済システムが破壊されたというよりは、経済
システムの事情が原油を高騰させ、また下落させたという方向でものを考
える必要もありなのかなと思っています。

つまり、EPRで明らかになる事情がどれだけ経済に規定的な力や役割を演じ
ているのか、そこらへんに興味があります。

[KAWAMIYA Nobuo]

みなさま
★デイリーは、ソディの著書のタイトルが「わかりにくい」と評している。そして、
それは「彼の研究がもつ貨幣論的な性質だけを表す」ものだからだと、苦言を呈して
いる（『持続可能な発展の経済学』259）。
　さて「デカルト派」を解題すると、「物心２元論」に立つことを意味する。すなわ
ち、物：real wealthと心：debt（これは単なる借金というよりむしろ、現今の「金
融資産」を意味する）とが別次元の存在であるという認識である。逆にいうと、この
立場を「デカルト派」と自称してすますのであるから、読者は大変である。
　これに対して、新古典派は効用・付加価値（効用の増分）の一元論ということにな
ろう。ただ「心」次元の問題でも、彼らが原始的な主観価値説を墨守している幼稚さ
は理解に苦しむ。共同主観性や共同幻想論が人文科学の基礎的な共通了解になったの
に、ひとり経済学者のみが主観価値説を「合理的期待形成」説にまで「高めた」あほ
らしさ、それが行き過ぎだというので「行動経済学」なるニューフェースがもてはや
されるとは・・・。
★主観価値が共同幻想であるとすると、限界効用を介しての交換（市場）が最適な配
分を実現して均衡を形成する、などという空論が現実世界と無縁であることは自明で
ある用に思われるが、どうであろうか（これが私の年来の疑問であるが、どなたか
もっと立ち入った議論を提起できないだろうか）。
河宮信郎

[ergosopher]

> 　さて「デカルト派」を解題すると、「物心２元論」に立つことを意味する。

ソディの講演、Cartesian Economics　の冒頭 http://habitat.aq.upm.es/boletin/n37/afsod.en.html

My own point of departure could not be better illustrated than by a
quotation from DESCARTES, and the aspects I propose to examine might
well be called Cartesian Economics.
Starting from the forms of knowledge most useful to life, instead of
from that speculative philosophy taught in our schools, and knowing
the force and processes of fire, the air, the stars and all the other
bodies which surround us as distinctly as we know the different
occupations of our own workmen, we shall be able to employ them in the
same fashion and so render ourselves as the masters and possessors of
nature and contribute to the perfection of the human life.
DESCARTES,


引用文の出典元は記されていませんが、これは『方法序説』からの引用です。岩波文庫版のp.82にあたります。

この引用文の直前には、「自然学にかんしていくつかの一般的知見を獲得し、それらをさまざまな特殊問題に試しはじめながら、これらの知見がわれわれをど
こまで導きうるか、また今まで一般にもちいられてきた所原理とどんなに異なっているかに気がついてすぐ、わたしは、これらを隠しておくことは、力の及ぶ
かぎり万人の一般降伏をはかるべし、という掟に照らして大きな罪を犯すことになる、と思った。なぜなら、これらの知見は次のことをわたしに理解させたか
ら。」とあります。

「デカルト」と冠されたのは、決してデカルト的二元論解釈に主眼を置いてではなく、デカルトの科学史的貢献への賛美であり、ソディは、エネルギーに関す
る知見を経済という特殊問題に当てはめた、ということを言いたかったわけでありましょう。

[ergosopher]

↑

『方法序説』からの引用について訂正

「万人の一般降伏」→「万人の一般幸福」

[Kenji Katsuragi]

桂木です。いま、TwitterでExperimental physicist, U. Tokyoと称するかたと議論をしていまして、
それは科学者が事業仕分けで圧縮を指摘されたことへの科学者側の反論（抗議）について、
小生は唯マニフェストと仕分けの矛盾を学会名であっても「正確なデータを使う、原典を正しく引
用する、矛盾の指摘」だけで済ませるか？科学者の社会的責任はファクターにならないのかと
言っている最中。いやあ、かつての武谷三男先生の「パロマ待ち」とか星野芳郎さんの技術論は
もう東大キャンパスからは逸散していますね。

さて、川宮さんが指摘された点で、広松渉さんの言葉かどうか知りませんが、「共同主観性や共
同幻想論が人文科学の基礎的な共通了解」というのが出たので、むかし（１９７０年前後）の九州
での彼との論議を思い起こしました。彼は、九大を中心としたノンポリ学生集団を第２次ブントに
集合したいというので、彼らの面倒をみていた小生（当時博士課程中退し研究助手）のところにオ
ルグにひとを遣したのですが、そのときの小生の反論が、九州大学新聞に記載されていたのを見
つかりました（いま九大では文書館で九大創立１００年史編纂中で、学生運動も事項にある）。

そこで小生は、広松さんの物象化論を批判して、市場的資本制（real)と制度という物象の重層とし
て市民社会を把握した面で卓越したマルクス解釈を樹立したが、それの構造が平行に平面を重ね
たものになり、「社会化した人間（ゲマインデ）の救済」の思索が欠いている。なぜか。それは、彼が
初期マルクスの思考過程におけるヘーゲルの変転をフォイエルバッハを媒体させただけで、シュテ
ルナーに向きあったマルクス（とその一過性）が考察されなかったのである、と。

九大には当時、滝沢克己先生（カール・バルト神学）がおられ、紛争学生ノンポリ層に絶大な影響力
をもっていた。僕も御託を逃れない面があり、あるものはそこから親鸞に向かった。

そういうエートスのことを後年にSoddyの文面に接したとき思った。一昨年だったか、熊谷博夫さんと
えんとろぴー学会広島シンポジウムに出した報告は、Soddy財団で学んだひとによる伝記と照らし合
わせることになったが、そこまで詰めることはできなかった。西欧人の精神と文章構想の歴史性とい
うか社会性のことは、１９６８年から７０年代をかけて勉強したフランス経済学（Simon de Sismondi）
で感得し考えたところであるが、海峡をはさんだイングランド・スコットランドは寄っただけで解らない。

以上、とりあえず雑感のまま。

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From: "KAWAMIYA Nobuo" <kawam...@sb.starcat.ne.jp>
Sent: Thursday, December 03, 2009 11:23 PM
To: <studyo...@googlegroups.com>

Kenji Katsuragi
Prof.Emeritus of Toyama Univ.
URL http://sites.google.com/a/apa311.net/csanet/Home
Open DB http://www.hotdocs.jp/mypublic/13353
StudyGroupWare http://groups.google.co.jp/group/studyonsoddy/
Blog http://onsustainablesoceity.blogspot.com/
Mailto k_ka...@eco.u-toyama.ac.jp
Skype toyama_torimon
facebook(http://www.facebook.com/home.php) ke...@apa311.net
Twitter(http://twitter.com/home) kenjikatsu
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☆Topics http://www.seek-feel.com/naoe/

[Eiichi Morino]

たしかこの二回連続の講演録の第一回目を読むと話の初めの
部分で、諸学の境界画定論議や科学革命の時代の議論を
想起させるような話になっていて(vitalismeなど)、彼は物心の二元
性よりは生物と無生物の二元性に言及し、それを太陽エネルギーの
フローから捉えるという話だったように記憶しています。

太陽エネルギーのスイッチを切れば世界は死ぬという印象的な
言葉がアタマに残った経験があります。

2009年12月4日11:24 ergosopher <mo...@kanazawa-bidai.ac.jp>:

--
Eiichi Morino
mailto: eiichi...@gmail.com
http://a1morino.blogspot.com/
Skype ID: eiichi-morino
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[KAWAMIYA Nobuo]

みなさま
★さて「デカルト派」を解題すると、「物心２元論」に立つことを意味する。
　森野氏のコメントのほうが彼の本来の主張に即したものかもしれません。
★私がいささか勝手にこう解釈した理由：
　ソディによれば、debtが複利で増殖し続ける（ただし各期の利払いが行われない場合）ことはそれが現実の物理システムではありえないことの証左であ
る（WVW&D p.70）。それは、debtが相互契約・意志だけで創出できるものだからである。後者は心理学の次元の存在であり、物理システムの次元で生じ
る問題や制約を補償することは絶対にできない。ここに経済システムにおける物理的entityの独自性が貫徹するのであり、それ故に経済学に物理学法則に起因す
る諸条件をもちこまざるをえない必然性がある。
　彼のこの確信が、「デカルト主義」の標榜とぴったり対応していると感じたのですが、これは「うがちすぎ」かもしれません。

河宮信郎

-----Original Message-----
From: studyo...@googlegroups.com [mailto:studyo...@googlegroups.com]
On Behalf Of Eiichi Morino
Sent: Friday, December 04, 2009 2:31 PM
To: studyo...@googlegroups.com
Subject: [StudyOn F.Soddy] Re: oisore.pdf ファイルに目とおしを

[ergosopher]

> ★さて「デカルト派」を解題すると、「物心２元論」に立つことを意味する。
> 　森野氏のコメントのほうが彼の本来の主張に即したものかもしれません。

ソディは、世気論を否定し、生物も無生物も共に熱力学の法則に従うことを主張、つまり一元化したわけです。

デカルトだから二元論という連想は不適切であり、ここではデカルトの方法的懐疑をこそ連想すべきではないのですか。

ソディが引用した『方法序説』は、平たく言えば、いろいろ勉強したけれど納得できない、では、自身で真理に到達するにはどうしたらいいか、ということを
あれこれ考えた内容です。新大陸の発見、地動説などの学説が広まって、スコラ学を支えたアリストテレスの学問体系が批判の矢面に立たされ、ヨーロッパ社
会が宗教的思想的危機にあった時代に、デカルトは新たな思想的羅針盤を供したわけです。

ソディは20世気はじめの経済の混乱の最中、経済への疑問を抱き、その問題の根っ子を見出した、それをデカルトに重ね合わせたということではないのです
か。

[ergosopher]

すみません。「生気論」「20世紀」の誤記です。