研究費配分を議論する政策担当者、大学の研究戦略・URA、若手PI支援やジェンダー公平性に関心のある部局。申請書の「書きぶり」がどの程度アウトカムに効いていそうかの実証的な目安が得られます。
この研究の面白さ・すごさ
NIHとノボノルディスク財団の計1万1535件の採否付き申請書を解析し、約1%を占める「revolutionary」「game-changer」等139語のプロモーション語の比率を計測。最も少ない群から多い群へと増えると、採択確率は14%から22%へと約5割上昇しました(オッズ比約1.5)。さらに、若手PI(1.2% vs 0.8%の最年長層)、男性、より高額の応募者ほどプロモーション語を多用していました。
注意点・前提条件
あくまで「関連」であり因果関係は示していません。対象はバイオ・医療系の2つの資金配分機関であり、日本の公募や他分野にそのまま当てはまるとは限りません。また、プロモーション語は中身のない誇張ではなく、既存研究ではむしろ「新規性の高さ」とも相関している可能性が示されています。
審査側は言語スタイルバイアスを意識し、申請側は過度に控えめ/過度に煽情的にならないバランスを考える必要があります。
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三浦です。
ChatGPTなどを含むLLMを研究評価や助成対象の決定にそのまま使うと、申請文に織り込まれた「非常に重要な…」とか「革新的な…」みたいな美辞麗句にコロッと騙されることが知られていますが、人間も結構影響を受けるよね、という論文です。日本も適切に資金配分がされているかの分析のために、採否や資金配分査読のデータを一括収集し、研究者と安全に共有できる仕組みが整うと良いですね。なお、科研費だけであれば比較的整っており、JSPSとの共同研究、政策研究・制度評価の一環であれば申請が可能です。採択された課題のみでよければ、KAKENのAPIを使えます。