【研究紹介】影響力の高い研究者ほど関心が広い

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Chiaki Miura

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Jan 19, 2026, 7:00:10 PMJan 19
to Science of science研究会
 
 An Zeng et al. 2022 Impactful scientists have higher tendency to involve collaborators in new topics
 
研究の背景と結論
本研究は、研究者が新しい研究トピックに取り組む際、既存の協力者をどのように関与させるかを大規模データで検証した。APS(物理学)を中心に約24万人の研究者データを分析した結果、協力者の約63%は単一トピックにしか関与しておらず、これは年ごとに共著関係をシャッフルし、仮に無作為に共著をしているとした場合の単一トピックのみでの共著確率(約45%)より有意に高い。
 
注目すべきは成功の「型」の違いで、生産性の高い研究者は単一トピック専門の協力者を多く抱える一方、被引用数の高い研究者は複数トピックにまたがる協力者を好む。さらに、新トピック開始時には、影響力の高い研究者ほど「過去に高被引用な共同研究を行った相手」を再び招く傾向が強い。量を生む組織型研究と、越境を促す影響力型研究の違いが、明確に可視化された。
 
この研究の面白さ・すごさ
個人のキャリア内で「トピック×協力者」の時系列を分解し、単なる共著数ではなく「誰がどのトピックをまたいだか」を測定した点が新しい。例えば、共著10本以上の関係でも単一トピック比率は実データで約20%と、組み替えモデル(約6%)の3倍以上に達する。
 
注意点・前提条件
トピックは共引用ネットワークのコミュニティ検出に基づくため、トピックの定義相対的で分野依存性がある。また、誰が新トピックを主導したか(PIか協力者か)は識別できない。
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三浦です。Shlomo HavlinとAn Zengらのグループはずっとチームの生産性を上げるための工学的な手法について考えているので、もし共著について研究したい人がいたら掘り下げて読んでみるのをお勧めします。Milojevicもチームについて何本か出していますが、どちらかというとどのようにチームができるのか、という理学的な視点です。
 
気になる点は、トピックの狭さが論文の出るサイクルの違いと激しく相関していそうという点です。別に研究者側には何も意図の違いがないのに、勢いがあって密なトピックでは、たくさん論文が出る、という分野の栄枯盛衰の一時点を切り取ったものにすぎない可能性があります。そうではなくちゃんと研究者の関心の広さとの相関だと主張するためには、トピックの狭さと論文の出る数の相関を見た方がいいですが、SIも含めてザクっと見た範囲では検証されて無いようです。
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