どの研究領域に人・資金・ポストが集まりやすいかを、個々のスター研究者ではなく「トピック単位」で把握する手がかりになります。
この研究の面白さ・すごさ
世界中の405件の科学賞と19分野・1万1539トピックを、MAGデータ+差分の差分析(DID)と動的マッチングで比較。賞が紐づいたトピックは、類似トレンドの非受賞トピックに比べて10年後に論文数+約40%、引用数+約33%、新規参入研究者+約37%、他分野のスター研究者+約47%という「異常成長」を示します(図2)。
注意点・前提条件
DIDは「賞の有無」での違いを捉えていますが、賞が与えられた時の効果は「賞イベントの総効果」であり、権威付け・注目喚起・スター研究者の移動など、賞授与のどの要素が主要因かは分解できない。トピック定義はMAGとWikipediaに依存するため、非英語圏の新興領域には偏りの可能性。対象は主に自然科学系の1970–2007年の賞で、全分野へ一般化するには慎重さが必要です。
-----
三浦です。
分野を伸ばしたいなら(単発でもいいので)賞を作ろう!ということですね。特に、メールタイトルにあるように、分野の範囲が狭く、直近の研究に賞を与える方がその影響が大という分析もしています。あまり日の当たらない分野で、被引用数的にはまだ芽が出てないけど同僚に評価されるような研究に賞を与えられたら、分野として活性化するのは直感的でもあります。