今朝は脱貧困の経済学を具体的に考えてみます。
有力なのが、というかアベノミクスも基本的にこの考え方です。
トリクルダウン理論といわれるものです。大企業や富裕層がさらに豊になれば、その富がしたたり落ちて、みんな豊になれるとされます。
理論と言うより、宣伝文句というかキャッチコピー、キャッチフレーズというほうがよろしいかと。
この理論、共産主義で全盛です。いわゆる先富論です。
「先富論」とは「先に豊かになれる地域と人から豊かになろう」ということです。
http://www.peoplechina.com.cn/zhuanti/2009-08/24/content_213248.htm
確かに先に豊になれた人びとはいましたが、現在の中国は日本を超えてはるかに格差の大きい不平等な社会となってます。経済格差はジニ係数で良く表されます。一つの指標で高齢化などさまざまな要因が作用しますので、単純に経済格差だけを表したとは言い難いものですが、有力な指標です。
国民の所得格差の程度を示すジニ係数が2012年は0・474
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130119/chn13011900240000-n1.htm
とあります。公式発表でこれです。0・4を上回ると社会不安が広がるとされる。などと
説明されますが、当てにはなりません。さらに実際には0・61を超えているという指標もあります。現代中国では先に豊になれた人びとは続出しましたが、その富が13億人にトリクルダウンしたか疑問です。そんなことはない、
中国国家統計局によると、2010年全国民の1人当たりの可処分所得額(2000年価格)は約10,046元である。
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1979~2010年の中国の都市部住民の1人当たり可処分所得(実質)と農村住民の1人当たり純収入(実質)の年平均伸び率はともに7.3%に達したが、同時期の年平均GDP成長率の9.9%を下回った。
http://jp.fujitsu.com/group/fri/column/opinion/201211/2012-11-4.html
という分析があります。確かに所得は増大した、しかし、格差も増大したといえます。
とにかく全体の所得が増大したのだから先富論は正しかったとも言えますし、格差が増大して恩恵にあずかっていないと考えれば、トリクルダウンは幻と評価されます。
ここが経済学のインチキなところで、わたしに合っています。
事実は一つですが、解釈は多様です。お好きなところとうぞ、バイキング料理ですね。
どうも、トリクルダウン理論仮説は流石に評判悪いです。多用している Wiki でお世話になってますが、流石に
トリクルダウン理論の発想の原点は、バーナード・デ・マンデヴィルの主著『蜂の寓話:私悪すなわち公益』 (1714)に求めることができる。この本の副題「私悪は公益」(Private Vices, Public Benefits)は、資本主義社会の本質を端的に示す言葉として有名である。私悪とは利己心のことである。「利己心にもとづく各個人の行動が、結果的に(個人が意図したわけではないのに)全体の利益(公益)をもたらす」という考え方である。この考え方は、レッセフェール(自由放任主義)につながるものである。
はいけません。
人間の行為における自愛心の作用を強調することで、伝統的な道徳観念の虚偽性を暴露している。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%AB
が評価として正しいわけで、むしろ後者にアクセントがあることで衝撃的だったのです。大学院は暇なところで、古典を読むには最適なところです。私は理論専攻でしたので翻訳で読んでましたが、学史の連中は原書で読んでました。当たり前か。原書でしっかり読んでいればと、今になって後悔。若い人にきちんと古典を、できれば原書でと勧めておきます。これもWIKIにお世話に。マンデヴィルをトリクルダウン理論に結びつけるのは強引すぎるでしょう。
おう、此処までがイントロですが、こう書けば言いたいことは理解できるでしょう。富は上からしたたり落ちてきません。ではどうすれば、というと直接乾いた大地に散布するしかありません。ボトムアップというとなにか手垢にまみれて気に入りません。干天の慈雨作戦、これも当たらない天気予報みたいで嫌だな。
イメージは雨上がりの後の霧です。下から潤い、富が霧となって上がっていく。今の金持ちの処につく頃には晴れ上がって届かない、はい、ざまあみろ、下品ですか。
美しく言えば、陽炎ですが、経済効果そのものがそこはかとなくなりそうな。
穀雨という言葉があります。
春のやわらかく、温かい雨が降って、穀類の芽が伸びて来る頃。毎年4月20~21日頃。穀物が生長するため、私たちが生きるために必要な恵みの雨とされる
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B9%F2%B1%AB
私たちが生きるために必要な恵みの雨
これですな、必要なことは。困窮している生活者に是非、穀雨を。
それと日本経済も格差が進んでいます。格差社会の悪いお手本が
社会主義中国とは皮肉ですが、学べることはあります。
「小康社会」(いくらかゆとりのある社会)の実現という国家目標かあるそうです。
私たちも、中小・零細企業を中心に「小康社会」を目指しましょう。
柴田武男
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トリクルダウン理論
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3%E7%90%86%E8%AB%96
「トリクルダウン(trickle down)」という表現は「徐々に流れ落ちる」という意味で、大企業や富裕層の支援政策を行うことが経済活動を活性化させることになり、富が低所得層に向かって徐々に流れ落ち、国民全体の利益となる」とする仮説である。主に小さな政府政策の推進、新自由主義政策などの中で主張される。また「金持ちを儲けさせれば貧乏人もおこぼれに与れる」と主張することから、「おこぼれ経済」とも揶揄される。
所得税や法人税の最高税率引き下げなど、主に大企業や富裕層が己の既得権益の擁護・増大を求める理論武装として持ち出されている。
トリクルダウン理論の発想の原点は、バーナード・デ・マンデヴィルの主著『蜂の寓話:私悪すなわち公益』 (1714)に求めることができる。この本の副題「私悪は公益」(Private Vices, Public Benefits)は、資本主義社会の本質を端的に示す言葉として有名である。私悪とは利己心のことである。「利己心にもとづく各個人の行動が、結果的に(個人が意図したわけではないのに)全体の利益(公益)をもたらす」という考え方である。この考え方は、レッセフェール(自由放任主義)につながるものである。