--- 借 入 金 700万円 年 利 9.5%(日歩2銭6厘) 償還方法 昭和52年8月5日を第1回とし以後毎月末日に10万円 宛割賦償還しと記載されています。 最終期限 昭和57年7月5日 開業年の事業資金の借入です。今思えば恐ろしいくらいの高金利です。 でも、そんなに返済に苦労したという記憶はありません。 (もっとも、年で忘れただけのことかもしれませんが) いづれにしろ、完済したことは間違いない事です。 将に高金利でしたが、社会全体がそうであったということでした。 この高金利ではありましたが社会が回っていたことは間違いない事だった思います。と指摘されると、一つ解説を加えねばと考えます。これは高金利とは何か、という議論にもなります。 年利 9.5%(日歩2銭6厘)は高金利でしょうか。これは、名目金利です。インフレ率を確認すると、 1971 1972 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 日本 5.1 5.6 12.7 20.8 7.2 8 6.7 4.6 2.8 です。もっとも単純な計算式で考えると、ご指摘の昭和52年は1977年ですから、インフレ率6.7%、ご契約の金利はおそらく前年度の8%が基準となりますので、年利 9.5% マイナス 8% となりますから、実質金利 1.5%です。逆に、現在の1%前後の低金利の住宅ローンも、たとえば一番デフレの2009年はマイナス1.34%ですから、1% としても 実質、こんどはプラスで 2.34% となります。実質金利で考えると、高金利とされた9.5%は低金利で逆に低利とされた住宅ローンは高金利となります。人は名目で判断します。それを経済学では、貨幣錯覚と説明します。貨幣錯覚(かへいさっかく、money illusion)とは、人々が実質値ではなく名目値に基いて物事を判断してしまうこと。本来、貨幣価値の変化を考慮した購買力によって判断しなければならない時に、金額を通じて判断を行なってしまうこと。貨幣の中立性が成立しなくなる一要因である。はい、人は錯覚しやすいのですが、名目で実際の経済は動いていますから錯覚でも何でも無く現実です。それを錯覚というのが経済学の自惚れなんで、私なんか理屈は分かりますが、錯覚しているのは経済学だろ、と言いたくなります。さてさて、錯覚はともかくこの名目と実質の区分は厄介です。これは金利水準の話になります。変動で規制すべきというのはこの実質と名目をもっとも意識した規制論です。私の怪しげな解説にご不満な方は、添 付の資料を参照してください。柴田武男追伸 貨幣錯覚ではありませんが、人は錯覚しやすいもんです。特に名目と実質というのは厄介です。人間関係でいえば、名目は肩書きとかその人の組織から与えられた地位などです。実質というのは、その人本来の人柄、人格、能力です。能力錯覚はよく起こります。与えられた地位を能力と勘違いする、実力と思い込む、そして組織を離れたらただの人、能力錯覚、肩書き錯覚、自戒しています。「錯覚いけない、よくみるよろしい」知ってますか。第7期名人挑戦者決定三番勝負の第三局(高野山の決戦)において、勝勢であったが手拍子の大悪手を指して、頓死を食らい「錯覚いけない、よく見るよろし」という有名な言葉を残す。将棋史上初の 三冠(名人・王将・九段)制覇を成し遂げた時「たどり来て、未だ山麓」との言葉を残す。升田幸三実力名人の痛恨の言葉です。錯覚よくありません。