ラエルサイエンスニュース 78aH 5・6月号
おおやまてつや
1 生命科学
1.1 – EPFL の SORI (Softness Rendering Interface) デバイスは、皮膚信号と運動感覚信号を分離することで、実際の材料の柔軟性の感覚を忠実に再現し、ロボット工学の分野におけるギャップを埋め、海底探査からロボット支援手術まで、この知覚が不可欠な数多くのアプリケーションを可能にします。
SORI: A softness-rendering interface to unravel the nature of softness perception | PNAS
1.2 - 1,400テラバイトのデジタルデータを統合した、1立方ミリメートルの人間の脳の新しい3次元マッピングには、57,000個のニューロン、230ミリメートルの血管、1億5,000万個のシナプスが含まれています。ニューロンのペアの中には、最大50個の接続を持つ軸索によって互いに強く結合しているものもあります。軸索の中には、絡み合った結び目のボールのようなものを形成するものもあります。
A petavoxel fragment of human cerebral cortex reconstructed at nanoscale resolution | Science
1.3 - 7 日間にわたって毎日 1 分間 660ナノメートルの赤色光を照射すると、脊髄損傷による組織の瘢痕化が軽減されました。この照射量により、損傷した神経細胞の再生を通じて、特に感覚と運動の回復において、患者に著しい改善がもたらされます。
1.4 – 小脳には脳内のニューロンの 4 分の 3 が含まれています。それらはほぼ結晶のように整然としており、通常の脳で見られるニューロンの絡み合いとは対照的に規則性と秩序性を備えています。小脳は動作を制御するだけでなく、複雑な社会的行動や感情的行動も制御します。この全体的な影響力を発揮するために、小脳は脳全体に接続したデータ処理センターとなっています。
The Part of the Brain That Controls Movement Also Guides Feelings | Quanta Magazine
2 物理学
2.1 – 直径13億光年にも及ぶ「グレートリング」と呼ばれる巨大な銀河の輪は、これまで知られているどの構造や形成メカニズムとも一致しません。2021年6月、天文学者らはすでに地球から92億光年離れた「ジャイアントアーク」と呼ばれる巨大な銀河の弧を発見していました。この発見は、宇宙の進化に関する私たちの理解に一部疑問を投げかけ、宇宙論の標準モデルの修正につながる可能性があります。
[2402.07591] A Big Ring on the Sky (arxiv.org)
2.2 - 地球から15,820光年離れた中性子星は、53.8分ごとに信号を発しています。これは、信号が非常に強くなってから完全に消えるまでにいくつかの段階を経るため、別の現象に関連するユニークで前例のない時間的異常です。この発見は、中性子星、マグネター、または白色矮星に関する天文学者の理解を完全に再考することにつながる可能性があります。
Unusual space signals challenge our understanding of neutron stars - Scimex
3 新技術
3.1 – 金は一般的に金属ですが、原子を 1 つだけ含むと半導体になります。原子 1 個分の厚さしかない最初の金箔は、半導体特性を持つ新しい 2 次元材料を構成し、さまざまな技術に幅広く応用できる可能性があります。
Synthesis of goldene comprising single-atom layer gold | Nature Synthesis
3.2 – 電子の量子特性であるスピンの集合体であるスキルミオンは、「磁気渦」と呼ばれる非常に安定した螺旋構造を形成します。分子ほどの大きさで、1秒間に約1キロメートル移動することができ、将来のコンピューターでは今日の10倍の速度でコンピューターデータを転送できます。
Fast current-induced skyrmion motion in synthetic antiferromagnets | Science
3.3 – ボストン・ダイナミクス社の人間型電動ロボットの新バージョンは、四肢をどちらの方向にも完全に回転させることが可能で、不自然に見える動きも実行できます。この電動バージョンは、人間の動きに制限されないため、より強力で、より熟練しており、より機敏です。
An Electric New Era for Atlas | Boston Dynamics
3.4 - AI は、読解力から視覚的推論まで、多くの重要な AI ベンチマークで人間レベルのパフォーマンスを達成しました。AI が多くの標準ベンチマークを一気に上回ったため、AI 研究者は新しい、より困難な課題を生み出さなければなりませんでした。今年のインデックスでは、コーディング、高度な推論、エージェント行動のタスクなど、これらの新しいベンチマークのいくつかも追跡されました。
AI Index: State of AI in 13 Charts (stanford.edu)
3.5 - 普通の黒い鏡に似ているが、実際には 290 ナノメートルの小さなスパイクが点在する表面は、最大 96% のウイルスを除去できるように設計されています。この素材は、よく触れるデバイスや表面に組み込むことで、ウイルスの拡散を制限し、消毒剤を使用する必要性を減らすことができます。
This Prickly New Material Literally Pops Viruses, With Up to 96% Success : ScienceAlert
4 社会科学
4.1 – 多くの人工知能（AI）システムは、すでに人間を騙すことを学んでおり、たとえそれが親切で正直になるよう訓練された人間であってもだまされます。デジタルシミュレーター内のAI生物は、急速に複製するAIシステムを排除するために設計されたテストを欺くために「死んだふり」をしました。研究者はAIシステムの欺瞞リスクについて説明し、この問題をできるだけ早く解決するため政府に厳しい規制を策定するよう求めています。
A Culture of Ethical AI Research Can Counter Dangerous Algorithms Designed to Deceive | United Nations University (unu.edu) – (これは記事の出典ではありません)