ラエルサイエンスニュース 79aH 9・10月号
おおやまてつや
1 生命科学
1.1- 海のナッツとも呼ばれるクラゲの Mnemiopsis leidyi は、逆成長、つまり、以前のライフステージに向かって逆に老化する性質を持っています。これは、不利な状況に直面すると自然に起こります。ストレスが解消され、餌が手に入ると、クラゲは再び成体へと成長を続けます。
This Benjamin Button-like Jellyfish Can Age in Reverse, From Adult to Juvenile (zmescience.com)
1.2-前帯状皮質、脳幹、小脳を繋ぐ神経回路がプラセボ効果の中心的な役割を果たしています。痛みが和らぐという期待は、オピオイド受容体が豊富であることで特徴付けられるこの神経経路を強く活性化します。この経路を阻害することで、研究者はプラセボ鎮痛を妨害し、痛みの閾値を下げました。逆に、プラセボ条件付けなしでこの経路を活性化すると、痛みが和らぎました。
Neural circuit basis of placebo pain relief | Nature
1.3 -重度の脳損傷を負った患者の中には、完全に反応がないように見えても、高度な脳画像技術で評価すると、実際には意識の兆候が見られる場合があります。この研究は、これらの患者では認知能力と運動能力の分離が珍しいことではないことを示しています。
2 物理学
2.1 –地球から約 200 光年離れた太陽系外惑星 Wasp-107b は、東西非対称です。太陽系外惑星の片側は常に太陽光で照らされていますが、もう片側は常に暗闇です。
2.2 –静電気を発生させるメカニズムが摩擦と初めて関連づけられ、単純な転がりなどの他の種類の接触よりも多くの電荷が発生します。移動する物体の前面と背面の明確な変形により電荷が移動し、電流が発生します。
Thousands Of Years After Discovering Static Electricity We Finally Know How It Works | IFLScience
2.3 –ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡（JWST）を使った観測で、地球から遠ざかる銀河の赤方偏移に関する仮説に反する新たなデータが明らかになりました。このデータは、長年信じられてきた「疲れた光」仮説を復活させるもので、地球から観測される宇宙物体の赤方偏移は銀河の移動速度とは関係なく、宇宙を移動する光子のエネルギー損失に関係しているというものです。この仮説では、より遠くの銀河ほど速く移動しているように見えます。 An Empirical Consistent Redshift Bias
2.4 - 新たな研究によると、重力は質量がなくても存在でき、暗黒物質の必要性を完全に排除できる可能性があるといいます。一部の銀河や銀河団をまとめるのに必要な重力は、宇宙空間にある高密度の物質を持つ密集した構造である殻状の位相欠陥から生じている可能性があります。 gravity can exist without mass
3 新技術
3.1 –研究者らが開発した顕微鏡は、1アト秒（10億分の1秒）の現象を画像化できます。研究者らは、他の光学機器では捉えられなかった電子の動きを観察することができました。
3.2 –Nano-MIND (Magnetogenetic Interface for NeuroDynamics) と呼ばれる新しい技術は、磁界と磁化されたナノ粒子を組み合わせて、特定のニューロンを選択的に活性化または抑制します。埋め込み型のデバイスを必要とせず、マウスの食欲や社交性などの複雑な行動を調整できます。
3.3 –冷却されたナトリウム原子の雲を使い、その雲にレーザーパルスを照射すると、光は原子と相互作用し、速度を毎秒17メートル、つまり時速約60キロメートルまで減速します。科学者たちは、光を放出する前に、ほんの一瞬だけ光を完全に止めることさえできました。彼らは、量子物理学の法則と物質と光の相互作用をより深く理解したいと考えています。 scientists-have-slowed-light-down-to-an-embarrassing-38-miles-per-hour
4 Social sciences社会科学
4.1 - 恋愛感情の種類はそれぞれ、脳の 1 つ以上の特定領域の活性化と関連しています。親の愛は最も深い感情として特定されています。恋愛感情は 2 番目で、同様に強い脳活動を引き起こしますが、脳の社会的領域に限定されます。思いやりのある愛 (見知らぬ人に対する愛) は、友情の愛よりも脳の活性化が低かったです。自然への愛については、報酬系と脳の視覚領域が活性化されましたが、社会的脳領域は活性化されませんでした。
Six types of loves differentially recruit reward and social cognition brain areas
5 メッセージに沿った記事
5.1 –ビッグバンから残った放射線の調査データによると、私たちの宇宙は、ビッグバンでその前の宇宙から生まれた無限の宇宙の連続のうち、最新のものに過ぎないことがわかります。1970 年代には、宇宙の創造に関するインフレーション モデルが画期的な理論として歓迎されました。しかし、宇宙についてより多くを学び、研究を重ねるにつれて、この考えはますます意味を失ってきています。
https://www.physics-astronomy.com/scientist-finds-evidence-of-another-universe-before-this-one
5.2 - 寄生的な考えや沸騰する脳と戦うのは必ずしも簡単ではありませんが、ストレスや不安が増し、幸福度が低下する傾向があります。オランダで行われた調査によると、肯定的または否定的な考えを持つこと、そして考える努力をすることは、私たちの精神衛生に悪影響を及ぼすそうです。
https://studyfinds.org/it-really-does-hurt-to-think/
5.3 –無料の Medito モバイル アプリで毎日 10 分間マインドフルネス瞑想を実践するだけで、うつ病や不安が大幅に軽減され、より健康的なライフスタイルを選択する動機付けになります。精神衛生を改善できるだけでなく、運動、睡眠、食事などの健康行動にも良い影響を与えます。
Mindfulness improves psychological health and supports health behaviour cognitions