こんにちは
Shapefile 等のデータファイル/データベースの CRS は、データがどのような座標系で保存されているかという情報です。
例えば、東京タワーの近くにある日本経緯度原点は北緯35度39分29.1572秒、東経139度44分28.8869秒ですので、
日本測地系2011 (EPSG:6668) として保存されたファイルだと (139.741357472, 35.658099222) という値で保存されています。
一方、日本測地系2011の平面直角座標系9系 (EPSG:6677) (原点:北緯36度東経139度50分)で保存されたファイルだと
(-8327.6987, -37928.1965) という値で書き込まれることになります。
(測量法上は X 軸は北向き、 Y 軸は東向きですが、 GIS では平面直角座標系でも他の座標系同様 X 軸が東向き、 Y 軸が北向きです)
逆にいうと、既に存在しているデータファイルに対し正しくない CRS を指定してしまうと、数値を誤った解釈で読み取ってしまうため
おかしな位置に表示されてしまうこととなります。
なお *.prj ファイルをもつ Shapefile ですと、データの CRS を *.prj で判断し、自動的に設定されますので、
基本的には、個別に CRS を設定する必要はありません。( *.prj の記載内容によっては正しく認識されないケースはありますが)
一方、プロジェクトの CRS は、 QGIS 画面あるいは印刷(レイアウト)上で、どのように投影(表示)するか指定するものです。
たとえば WGS84 (EPSG:4326) で作成されたデータを使い、プロジェクト CRS をモルワイデ図法 (EPSG:54009) に設定すると
このようになります。(地図データは Natural Earth を使用)

このように、 Shapefile 等のデータファイル/データベースがどのような形式で保存されていても、プロジェクト CRS へ
座標変換が行われ、適切な場所に投影(表示)されます。
ですので、プロジェクト CRS によって重なっていなかったものが重なるようになった。ということは
基本的には考えにくいです。
次に「日本測地系」ですが、主に以下の3つがあります。
(1) 旧日本測地系 (Tokyo Datum)
(2) 日本測地系2000 (JGD2000)
(3) 日本測地系2011 (JGD2011)
平成14年(2002年)の改正により GPS 等と互換な測地系となったことから (2) (3) は世界測地系とも呼ばれます。
対比して (1) を単に日本測地系と呼ぶこともあります。(というか残念ながらそれが一般的です。)
上でご説明したとおり、旧日本測地系のデータであっても CRS が正しく設定されていれば、
プロジェクト CRS にちゃんと座標は変換されます。
ただし GIS 上で行われる Tokyo から JGD2000 への座標変換は日本全国の平均的なズレをざくっと
変換するだけで、局所的な差異の変換までは行われません。
Tokyo から JGD2000 へのちゃんとした変換を行うには国土地理院の TKY2JGD を使います。
また JGD2000 から JGD2011 へのちゃんとした変換を行うには国土地理院の PatchJGD を使います。
(なお GIS 上で JGD2000 と JGD2011 の平均的な差異はゼロなので、 JGD2011 の測量成果で
作成したデータを JGD2000 として表示しても、表示上は影響はありません。)
ただし、 EPSG に登録されている JGD2011 の定義に towgs84 がないため、 Tokyo と JGD2011 の相互変換が
うまくいかない問題は存在します。(福岡さんが提示していただいている過去ログ参照)
ところで Shapefile 2 ですが、平成27年作成の公的データが旧日本測地系でしか提供していないということは
考えにくいです。 Shapefile 2 は prj ファイルがあるとのことなので、読み込み時に自動的に適切な CRS が
設定されていると思いますが、本当に Tokyo が使われているようなら他に JGD2000/JGD2011 のデータが
ダウンロードできないか再度確認してみてください。
逆に JGD2000/JGD2011 で作成されており、自動的に設定もされているにもかかわらず、 CRS を Tokyo に
設定しているようであれば改めてみてください。