今回、問題とされている行為は、建物が写されている写真(以下「本件写真」といいます。)を国会において第三者に示した行為ですが、かかる行為は写真という著作物を「使用」する行為に該当し、著作物の複製や上演、公衆送信等、著作権者の許諾を得るべき「利用」行為には該当致しません。そのため、そもそも著作者の許諾を得る必要のない行為です。
ちなみに、本件においては、第三者に当該写真を示す前の時点で本件写真をプリントしており、著作物の「複製」行為が介在しています。この行為については、本来的には著作者の許諾が必要となる行為ですので、念のため、この点について付言致します。
本件写真については、Googleのサービス「Panoramio」にて広く閲覧に供されており、同サービスの利用規約にもコンテンツの所有者からの許諾に基づいてコンテンツを「利用」できると規定されています。
この点、通常のインターネット利用者が使うブラウザに印刷機能が付されていることに鑑みても、Web上に公開した画像や文字情報が、各ユーザーの手元で印刷されうること自体は広く理解されております。もちろん事業所で大量に印刷して第三者に有償で頒布を行うような行為については許諾の範囲を超えることは明らかです。しかし、Web上に公開された画像を家庭や各事業所に常備されている機器を用いて簡易に印刷する程度であれば、別途「印刷禁止」等の注意文言が付されていない限り、当該画像をWeb上に公開した人の黙示の許諾を超えるとは考えにくいところです 。ましてや、本件写真の使用行為は、例えば「iPad」等のディスプレイで表示して第三者に提示した場合(この場合には全く「複製」行為は含まれていません。)と事実上意味合いは変わらないわけですから、その意味でも、本件の行為が黙示の許諾の範囲内に含まれていると考える方がむしろ自然です。
2.著作物の該当性について
また、本件写真については、そもそも「著作物」に該当するかについても疑義があります。一般的に裁判において写真の著作権の侵害の有無が争われる場合、最大の争点になるのが、当該写真が「著作物」に該当するか否かという点です。
著作権法第2条第1項第1号において、「著作物」とは「思想又は感情を創作的に表現したもの」、と定義され、「創作性」が必要とされているところ、写真については一定の風景を切り取るものであることから、写真が著作物としての保護を受けることは一般的には容易でないことに留意が必要です。
この点、本件写真は被写体となっている建物をとある角度から撮影したものであって、被写体となっている建物自体は良く見えており、その意味で良く撮れた写真です。しかしながら、構図の点のみを持って創作性が認められると、当該撮影者の許諾を得ない限り、他の誰も同じ角度から写真を撮ることができないということにもなってしまいます。本件写真の構図を見るかぎり、第三者にそれを制約するほどの「創作性」が含まれているとは考えられません。「創作性」についての説明がなされた上であれば別の判断もありえるところですが、本件写真を拝見する限りにおいては、本件写真が著作権法上の保護を受けるべき「創作性」があると判断できず、本件写真が「著作物」に該当すると判断することは困難と言わざるをえません。
本件写真については、Googleのサービス「Panoramio」にて広く閲覧に供されており、同サービスの利用規約にもコンテンツの所有者からの許諾に基づいてコンテンツを「利用」できると規定されています。
ましてや、本件写真の使用行為は、例えば「iPad」等のディスプレイで表示して第三者に提示した場合(この場合には全く「複製」行為は含まれていません。)と事実上意味合いは変わらないわけですから、その意味でも、本件の行為が黙示の許諾の範囲内に含まれていると考える方がむしろ自然です。
1.著作物の使用について
2.著作物の該当性について
次回の議員側に対する要請では、引き続き釈明と事後承諾要請を求めますが、具体的な文面の例をこちらから提示したいと思います。
推敲に時間をかけ過ぎましたが、ようやく佐藤議員宛返事しました。
皆様のアドバイスをもとに説明を求める内容にし、謝罪と事後使用許諾は明記しませんでした。
回答がありましたら、報告させていただきたいと思います。
普段、政府、与党や官僚に対し説明を求める人物だけに、これぞ「説明」と言える素晴らしい回答を示してくれるか、乞うご期待です。