環境学と地理学の重複領域をやっている人にも周知したいところです。
環境科学会理事 一ノ瀬俊明
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環境科学会では、高校生・高専生や一般の方が大学受験の際の学部・研究科や研究室選びの参考にできるように、令和5年3月に創立35周年を迎えることを記念して『日本の環境研究室2022』と題した研究室紹介の冊子を作成し、令和4年10月31日に出版しました。 この冊子は学会ホームページにてPDF版の閲覧が可能です。以下のURLよりアクセスしてください。
・日本の環境研究室紹介を目的とする冊子出版(PDF版公開)のお知らせ
「日本の環境研究室」編集委員会 日本の環境研究室2022 (PDF版)
https://www.ses.or.jp/enkaku/kankyo2022/
※本冊子は「環境科学会35周年記念冊子「日本の環境研究室2022」発刊のお知らせ」と称して全国1000か所の高等学校、高等専門学校、塾・予備校、進学情報サイトなどに情報の提供を行っています。
8月のICUC(IAUC国際都市気候学会)ポスターセッション(オンライン)で気がついたのですが、オーストラリアや南米で、アウトリーチ的な都市気候研究が流行り始めたようです。
小生のブラタモリ風主演映画
(「対話の記録:科学者の研究について 一ノ瀬俊明×澤崎賢一」 75分, 2022年制作)
もこの系統に位置づけてよいと思われます。
https://www.eventbrite.com/e/an-urban-climate-walking-tour-avenue-paulista-sao-paulo-brasil-tickets-510257021487
一ノ瀬俊明
「対話の記録:科学者の研究について 一ノ瀬俊明×澤崎賢一」 75分, 2022年制作
場所:東京駅近郊、撮影日:2021年12月20日
出演:一ノ瀬 俊明(都市環境学, 国立環境研究所)
撮影/編集:澤崎 賢一(アーティスト/映像作家)
企画/制作:一般社団法人リビング・モンタージュ
企画協力:科学技術広報研究会(JACST) 隣接領域と連携した広報業務部会
https://www.youtube.com/watch?v=whPpBKpMbD0
一ノ瀬俊明
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送信済み: 2023年01月12日 17:22
件名: Re: [地理アウトリーチ] アウトリーチ的な都市気候研究が流行り始めたようです。
> 一ノ瀬さま渡部@国交省(国土政策局)です。ご紹介のツアー、とても興味深いですね。ビルや道路など都市インフラが作る微気象は、今のVR(とりわけMR)のツールと許可を得たドローンがあれば、かなり直感的にアピールする体験がつくれそうですね。ゴーグルをつけて、ビル風を可視化する(風速と温度)だけでも、時刻ごと/季節ごと/街区ごとにどのような気象/気候を人間が作り出しているかを体感でき、例えば、都市計画や新しいビルのアセスメントに、「風の道」の意義などをPRするのに使えそうです。 森ビルさんとかやってそうですね。気持ちいい 快適なウォーカブルシティづくりの標準手順にもなりそうです。きな臭いですが、市街地戦のシミュレーションなどにも展開されて、都市計画に新しい視座が導入されていくのかもしれません。(地理学でいえば、防空都市論などですね。膨大な研究成果があります)では。2023年1月12日(木) 15:31 <jm...@mail.goo.ne.jp>:>> アウトリーチな皆さま>> 8月のICUC(IAUC国際都市気候学会)ポスターセッション(オンライン)で気がついたのですが、オーストラリアや南米で、アウトリーチ的な都市気候研究が流行り始めたようです。> 小生のブラタモリ風主演映画> (「対話の記録:科学者の研究について 一ノ瀬俊明×澤崎賢一」 75分, 2022年制作)> もこの系統に位置づけてよいと思われます。> https://www.eventbrite.com/e/an-urban-climate-walking-tour-avenue-paulista-sao-paulo-brasil-tickets-510257021487>>
後段部分のレベルでは東工大の大西領さんのプロジェクトが、理学的な都市気候研究のみならず、都市内ドローン(物流など)運用システムへの常時観測データフィードバックとかまでを扱っており、近いセンスの内容と思われます。
小生昨年からドイツのフラウンホーファー研究所における類似プロジェクト(PALMの開発)の国際評価委員を仰せつかっておりますが、彼らは理学的な精緻さを求める段階にとどまっており、社会実装には踏み出していないようです。
アラ還に差し掛かり、先端研究からはプチ引退しようかと思っていましたが、お話しいただいた内容は小生の研究哲学とも重なっているので、以降のライフワークとして取り組みたいと思った次第です。
ジェントリフィケーションについても、小生の故郷(長野県の中山間地域)が過疎化に直面しつつ、(微妙に訳ありの方も含めて)不釣り合いなほど高学歴な若者とかが、自己実現の機会をもとめて田園回帰してくるなど、
気になる局面を迎えている感じです。これについては春の地理学会でも発表します(一ノ瀬(2022):田園回帰は持続可能社会のキーになりえるか(6年間のフィールドワークをもとに),日本環境共生学会学術大会発表論文集,25,64-70)。
一ノ瀬俊明
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送信済み: 2023年01月13日 00:30
件名: Re: [地理アウトリーチ] アウトリーチ的な都市気候研究が流行り始めたようです。
> 一ノ瀬さま渡部です。ロンドンの同様の取り組みも見てみましたが、なかなかに興味深い、運動と行動を思考する取り組みのようですね。提唱者の一人でもあるジュリー・フッチャー博士(Dr Julie Futcher)は、それらの評価の枠組みを提唱しており、また、独立したコンサルタントとしても活躍(活動)しているようで、学術の域を超えた影響も出ているようです。金融の世界では、保有株式を裏づけとして、投資先企業の経営陣に積極的に提言をおこない、企業価値の向上を目指す投資家のことを「アクティビスト」といいますが、今回のように、「ビル等が作り出す微気象」をキーワードに、ビルの持ち主やデベロッパー、それにもちろん力ある地域企業・住民団体・地元政府を巻き込んで、都市の構造の改変を能動的にリードする活動は、「GX」が、「ブーム」ではなく、行政にとっての「前提や制約」になってきている昨今には、無視できない運動のようにも感じました。(実際、2023年予算要求活動は、GXとDXの大喜利大会でしたね)地理(教育)の分野で言えば、なんか いい感じのキーフレーズか用語ができれば、やたら入試に出る「ジェントリフィケーション」のような、ちょっと批判的でオシャレな概念に育っていくかもしれませんね。(そういえばgentrificationブームの震源地もまたロンドンでした)クルマのEV化が「迫られた現実」になりつつあるなかで出現した「ウエル・トゥ・ホイール」や「ライフタイムコスト」という語(評価手法、評価軸)で、本当に環境に優しいのか?という疑問や検証、見直しが活発に行われている一方で、ゼロエミッションハウスとか、ゼロエミッションビルなどが、「都市(環境)」という単位で同様の見直しや検証がされているのか、という疑問は当然にでてきそうです。時限爆弾化しているメガソーラー同様、微気象(微気候)の発生源や、解体引当原資(及び手法)の不在もいわれるビル群の不穏さを考える良い機会/手法として、この 都市気候を考える対話型巡検(?)の取組は、トウキョウで実施されても良いかもしれませんね。(早大の尾島俊雄研究室あたりで、やってませんかねえ)(参考)https://edgedebate.com/以上、雑感でした。
1997年夏ですが、旧東ドイツ科学アカデミーを改組したドイツ連邦環境研究センター(ドイツ版うちの組織)UFZに行ってきました。ヘルムホルツ協会という上部組織があり、近日発行の日本地理学会編「地理学事典」に小生が紹介文を書いています。持続可能性など、8つの重点領域に中心的に取り組んでいます。
ドイツ留学前に森川先生の教科書は熟読しておきました。また、「都市気候学の都市計画への応用」については、帰国後に現地での見聞を論文や教科書の章の形で書いております(日本気象学会「天気」など)。
共通テストですが、この10年ほど、地理と世界史について、中国関連の出題だけ抜き出し、中国SNS上で紹介してきました。正答が中国人的には不正解という事例や、出題者が思想的に偏向しているとの指摘もあり、この辺も論文にまとめられそうです。ウイグルやチベットの出題が意外にも多かったです。
一ノ瀬俊明
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送信済み: 2023年01月18日 17:44
件名: Re: [地理アウトリーチ] アウトリーチ的な都市気候研究が流行り始めたようです。
> 一ノ瀬さま渡部です。弊社の案件でもある 都市内ドローンの安全確実な運用の面からすると、都市の微気象は重大でマストなテーマだと気付かされました。いずれ、マクロなレベルの航空路やウェイポイント(waypoint)の概念が、ドローンの縮尺にも適用されていきそうです。(ここいらは、太田先生@慶応の得意分野でしょうか。⇒航空図)マックスプランク系と違い、フラウンホーファー・ゲゼルシャフトは、ゲルマン的な実用と実装がお得意と思いきや、「理学的な精緻さを求める段階にとどまっており、社会実装には踏み踏み出していない」のは意外ですね。日本代表部も設置しており、日本企業との開発連携や提案を激しくやってそうな感じでしたが、まだ、初期段階なんでしょうか。2桁後半のラボを有している巨大な「産総研」みたいな印象でした。http://sensait.jp/19870/地理分野(空間情報の活用)は、ドイツ国内の各都市での実装事例がありそうで、これもちょっと時間があれば調べてみます。四全総フォローアップや五全総では、広島大の森川洋先生のドイツ都市(中心地)研究が大きなヒントとなっています。中心地のスポンジ化や、人口減少局面における中心地理論やグラビティモデルの変化、あるいは、全くパラダイム自体を変えて考えなければいけないのか、とりあえず廃棄物や二次医療圏とかどうする?などそのあたりの経験は、東独領域で先行的に起きていたはずなので、フラウンホーファー・ゲゼルシャフトの構成ラボのどっかで研究されていましたら、宜しくご紹介くださいませ。金属物性学のように、人口吸引力の、組成領域と弾性領域、みたいなメタファーがあるのか、あたり、都市の衰退を歴史上何度も経験した欧州領域の、地理/都市計画分野での、既存研究の有無が興味あるところです。官界・政界では雑に扱われている「田園都市(ガーデン都市)」「田園回帰(低密度居住地域への大都市部からの移住者増)」あたりも、官・政では、おっかなくて手を出せないだけに、アカデミア側での 再整理を期待しております。■雑件を重ねて恐縮ですが、、、昨夜は定時退社したので、一昨日実施の「入学共通テスト2023」地理B、地学、世界史Bを問いてみました。大ヒットは、出題の地図に、伊能忠敬旧邸がポイントされてたあたりでしょうか。笑いました。(佐原の小野川沿いを出題)防災/環境分野の出題は定着化したものの、形骸化というか、表層的な部分しか聞かない傾向が強まって(クイズ的)2025年からの新課程の共通テストの、「防災/環境」部門の行く末が心配になってきました。(2025向けの試行試験はなかなかおもしろかったんですが)キーワード=エルニーニョや、マングローブ、海流、火山、ハリケーン、プレートの沈み込み、 灌漑、遺伝子組み換え作物、古紙再生、祖父世代の人口移動、過疎化/買い物難民etc.今後、小問レベルで、自然地理と人文地理を「分けずに」一体的に訊く、そんな出題を期待するばかりです。世界史も、ロシア史で、ピョートル1世・北方戦争が1行でたただけでオシマイでした。紋章の読み取りと、貨幣、去年5月のナポレオン没後200年 マクロン仏大統領演説の出題はヒット商品でした。全体的に楽しく問題文を読めて、出題者の問題意識とかベクトルは感じられた一方で、得点力だけ重視すれば、問題文は読まずに、選択肢だけマルバツつければ終わり、みたいな出題方式で残念です。(おそらく問題文部分を読んで関心してると、時間切れになります)いずれも、各大問ごとに強いメッセージ性は感じました。アラカンのせいか、いつも雑談が長くて、失礼いたしました。渡部 拝。
再び映画に出演しました。ドローン飛ばしながら講釈垂れています。
高垣博也監督「Wende2〜未来へのアプローチ〜」(2023)
3/16まで京都みなみ会館にて上映中。
中部地方のあちこちが舞台です。
詳しくはこちら。https://eigawende2022.wixsite.com/wende2
一ノ瀬俊明