雨大様
田村です。
そもそも、物質内でどのように吸収を計算するかに関してですが、
DTRM法はLambert-Beerの法則などに関連して、光強度の変化を評価するようです。
が参考になり、
のソースコードを見ると、そのことを理解できます。
eやEを0とする場合は話が非常に単純で、要するに、aの吸収係数を持つ物体内で光強度は、
I(x) = I0*exp(-a*x)
で減衰し、減衰した分の出力が発熱となります。(I0は物体入射前の光強度です)
aは吸収係数ですが、上述の式より物質内での光の侵入長(Iが1/eになる長さ)の逆数に対応します。
雨大様が設定された250という値ですと、少なくとも1/250 = 4[mm]は光が物質内を伝搬します。
具体的な吸収係数の値は、物質の複素屈折率の虚部、消衰係数と関連しますが、そのあたりの詳細は調べてみてください。
「吸収係数 消衰係数」や「refractive index Al」などで検索すると良いかと思います。
ただし、複素屈折率も温度で変化するはずですが、その具体的な情報は中々見つからないかと思います。
割り切って常温の値を用いるか、妥当だと思う値を適当に採用するなど、対応は様々だと思います。
また、別の注意点として、今のモデルでは反射を考えていないはずです。
物質の厚みが光の侵入長よりも十分に長ければ、投入したレーザーの出力全てが発熱に変換されます。
つまり吸収率100%となり、これは非現実的です。
反射を設定するモデルreflectionModelなども用意されているようですが、
簡単な対応方法としては、物質の吸収率をあらかじめ計算し、投入する出力に吸収率をかけて減らしておけば、ひとまずは良いかと思います。
フレネルの式から反射率を計算し、吸収率も計算できるかと思いますが、
上述の屈折率の温度依存性の話から、そこまで厳密な値を用いる意味もあまりない気がしています。
なお、深い穴を掘るような計算をする場合は、穴の側面での反射も重要になるかと思いますので、その点も注意が必要でしょう。
Leeモデルの係数に関してですが、論文によっては0.1~10^7と幅広く様々な値が用いられているようです。
単位は[1/s]で、まさに相変化の速度を与えるような係数です。
経験的に定める値のような気がしますが、その逆数ぐらいのオーダーで相変化が進行すると考えて良いのではないでしょうか?
例えば、dm/dt = C*ρ*α*(T-T_a)/T_aで与えられますが、
仮に、T_a=1400 K, T = 2*T_a = 2800 K, α=1, C=10の状況を考えると、dm/dt = 10*ρであり、
0.1秒でそのセル内の物質全ての相変化が進行することに相当するかと思います。実際の検証はしておらず、想像でしかないですが。
C=420であれば、1/C = 2.4[ms] 程度ですが、それを妥当と思われるかどうかではないでしょうか?
また、こちらの値を調整する前に、まずは温度場を正しく計算できるようにパラメータを定める方が重要な気がします。
Voller Prakashに関して、仕組みとしては、
運動量保存の式に対し、-Cu * α_s^2 / ( (1-α_s)^3 + 1e-3 ) * U
のようなソース項を加えているものと認識しています。
α_sは固相の体積分率ですが、要するに固相が存在する領域でUを減衰させる効果を持ちます。
正直なところ、私も適切な値に関して詳しくコメントできません。
(mushy regionの振る舞いについて詳しくないです、すみません)
これもまた妥当だと思われる値を設定していただくしかないかと思います。
ひとまずはデフォルトの値を採用し、温度場と相変化を正しく計算できるようになった後にご検討されるのが良いかと思います。
どうぞよろしくお願いします。
2021年2月6日土曜日 1:39:55 UTC+9 amadai: