オープンCAEをみんなでつかう

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ryos

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Aug 7, 2009, 6:35:14 PM8/7/09
to OpenFOAM
柴田@岐阜高専です。お世話になります。(長文で恐縮です)

まずは前置きから:  OpenFOAM(DEXCS)の紹介を色々なところでしていると、教育研修の基本的な機能よりも、それぞれが取り組んでいる問
題解決に対応できるか、具体的な質問が出ることが多いです。

しかし自分を含めOpenFOAM初心者は、何を見たらよいのか?どこに書いてあるのか?内容をどう理解するのか?これらが分からないのです。商用CA
Eでは、これらはサポート契約で対応してもらえますが、オープンCAEではそうはゆきません。

自己努力でと突き放すことは可能ですが、これではオープンCAEの裾野が広がりません。昔、PC-UNIXと言っていたころ、Linuxと
FreeBSDがあって、FreeBSDは自己努力を前提として、Linuxはタコを大切にする方針でした。結果、Linuxは基幹システムに利用され
るまでに普及してきたわけです。

もちろん、オープンソースは自己努力を前提としているのですが、このグループの皆様は、OpenFOAMの大先輩方ですので、是非、暖かい目で後輩の成
長を導いていただきたいと思います。これがオープンCAEの展開にとって、大きな意義を持つと思っています。

さて本題です:  OpenFOAMについて受ける質問で、以下のようなものが多いです。柴田は、これらを疑問に思うOpenFOAMユーザー予備軍
と、皆様などOpenFOAMエキスパートの間をつなぐ役目をしたいと思います。何か、ヒントでも良いので、ご助言いただければ、幸いです。

質問1: 樹脂整形などの流動解析は可能でしょうか?
質問2: 構造物と流体との練成解析は可能でしょうか?
質問3: 磁場解析は可能でしょうか?

E.Mogura

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Aug 9, 2009, 9:23:46 AM8/9/09
to OpenFOAM
なかなか難しい質問で、このグループで扱える範疇を越えているような気もしますが、どなたからもコメントがないようなので、口火を切らせていただきま
す。

特に質問1と3に関しては、もともとの質問された人は高価な市販ソフトの存在を知っていて、その代用品になり得るか?という意図だと思うのですが、その
種のソフトを使い込んだ経験のない人には、まず困難というの良心的な回答になろうかと思います。

ただ、OpenFOAMは本来、偏微分方程式ソルバーのツールキットなので、どの問題に対しても、頑張れば出来るはず、ということは言えるでしょう。汎
用ソフトを使い込んだ経験のある人にとって、ある特定の用途だけを考えたならば、汎用ソフトには余分な機能が多すぎる。多少(かなり?)時間はかかるが
OpenFOAMをベースにやりたい仕組みを構築できると思います。

たとえば、樹脂成形解析ソフトは通常、流動、伝熱、固化、熱応力、変形、といった複数の現象の連成解析を実施しており、OpenFOAMでも、それぞれ
の現象は個別に解析可能で、連成させることも、プログラミングやスクリプト等で可能だと思います。ただ、樹脂流動の汎用ソフトでは薄い樹脂物などの流れ
を計算するのに、独自の簡素化をやっている場合もあって、こういうのはまた別の問題になるかも。

磁場解析については、関連で標準ソルバーになっているのは、mhdFoamというのがあって、詳しくは知りませんで推察するに磁性流体の流れを解析する
ソルバーだと思います。この中で、磁場解析もやっているので、通常の磁場解析だけでよければ、この部分だけを使って拡張するなどやっていくことになるか
と思います。

質問2に関しては、1.5-devを使ったチュートリアル(flappingConsoleSmall_HJ_21Mar2008.tgz)が公開され
ていたと思います。(これも1年ほど前にちょっと調べただけの情報で、間違っていたらごめんなさいです)

S.kita

unread,
Aug 9, 2009, 1:09:25 PM8/9/09
to OpenFOAM
質問1の樹脂成形解析用の粘弾性流体ソルバはブラジルの修士の学生さんが研究テーマとして
取り組んでいたようです。この6~7月で修士を卒業された(?)ようです。

Jasak氏の4th OpenFOAM Workshopの講演資料より
”MSc Thesis: Jovani Favero, Universidade Federal de Rio Grande del
Sul, Brazil”

開発されたご本人の講演資料のリンクも以下に貼っておきます。
powerlab.fsb.hr/ped/kturbo/OpenFOAM/slides/viscoelasticFluidFoam.pdf

1.5の開発版にはコミットされていたようですが、先ごろリリースされた1.6には入らなかったようです。
ただ詳細よくわかりませんが実用的な樹脂流動計算をFVMでホントにできるのかということに
ついて正直半信半疑です。

汎用CFDソフトはほとんどFVMですが、著名な樹脂流動ソフトに関してはFEMが主流です。
著名なCFDソルバに樹脂流動解析機能は入っていませんし。
複雑な形状・解析条件から必然的に4面体が選択され、精度良く評価するのに
高次要素である必要があったり、ものによってはシェルを使う必要性があることなどから
構造解析的な要素が多分にあるというのも影響しているのではないかと。

個人的な意見なので、詳細ご存じの方いらっしゃいましたら補足お願いします。

樹脂流動は材料の構成方程式の精度が一番重要だというのを以前客先で
聞いたことがあり、構成式を自分でカスタマイズできる自由度や大きい並列計算が
フリーでできることを考えると特定の樹脂流動分野には活用できるのかもしれません。

質問2についてはSwedenのChalmersのグループが行ったワークショップでの
流体構造連成モジュールやTutorial資料が公開されています。
"icoStructFoam, a Fluid-Structure Interaction Solver"

http://www.tfd.chalmers.se/~hani/kurser/OS_CFD_2007/

私もまだちゃんと使ったことはありませんが、参考までに。
> > 質問3: 磁場解析は可能でしょうか?- 引用テキストを表示しない -
>
> - 引用テキストを表示 -

Ryoichi Shibata

unread,
Aug 9, 2009, 4:27:20 PM8/9/09
to open...@googlegroups.com
柴田@岐阜高専です。お世話になります。
難しい質問にも関わらず、懇切にご回答いただき、ありがとうございます。

> 特に質問1と3に関しては、もともとの質問された人は高価な市販ソフトの存在を知っていて、
> その代用品になり得るか?という意図だと思うのですが、
> その種のソフトを使い込んだ経験のない人には、まず困難というの良心的な回答になろうかと思います。

ご指摘の通り、1:流動解析と3:磁場解析に対して、特に企業の方の要望では、すでにある高価な商用CAEが念頭にあると思います。ですので、「不可能ではないが、とても困難」と回答することにします。

> ただ、OpenFOAMは本来、偏微分方程式ソルバーのツールキットなので、
> どの問題に対しても、頑張れば出来るはず、ということは言えるでしょう。

ただ、2:連成解析と3:磁場解析では、研究教育の方の質問も結構あって、先日の事例紹介の機会でも、ANSYSの磁場解析と同じことができるのか?オープンCAEで可能性があるならば、研究室で取り組んでみたいとの声も聞きます。この場合には、「可能性はあるので、ぜひ挑戦を」と回答することにします。

> 質問2に関しては、1.5-devを使ったチュートリアル(flappingConsoleSmall_HJ_21Mar2008.tgz)が公開され
> ていたと思います。(これも1年ほど前にちょっと調べただけの情報で、間違っていたらごめんなさいです)

ありがとうございます。こちらは自分も興味ある内容なので、上記のヒントから調べてみます。

--
■/\■ 岐阜工業高等専門学校
/■■\ 建築学科 柴田良一
\■■/ ry...@gifu-nct.ac.jp
■\/■ http://dalab.gifu-nct.ac.jp

Ryoichi Shibata

unread,
Aug 9, 2009, 4:33:22 PM8/9/09
to open...@googlegroups.com
柴田@岐阜高専です。お世話になります。
具体的なご回答、ありがとうございます。

> 質問1の樹脂成形解析用の粘弾性流体ソルバはブラジルの修士の学生さんが研究テーマとして
> 取り組んでいたようです。この6~7月で修士を卒業された(?)ようです。
> 開発されたご本人の講演資料のリンクも以下に貼っておきます。
> powerlab.fsb.hr/ped/kturbo/OpenFOAM/slides/viscoelasticFluidFoam.pdf

まずは、どのような内容か確認して、質問された方と相談したいと思います。

> 汎用CFDソフトはほとんどFVMですが、著名な樹脂流動ソフトに関してはFEMが主流です。
> 著名なCFDソルバに樹脂流動解析機能は入っていませんし。

> 樹脂流動は材料の構成方程式の精度が一番重要だというのを以前客先で
> 聞いたことがあり、構成式を自分でカスタマイズできる自由度や大きい並列計算が
> フリーでできることを考えると特定の樹脂流動分野には活用できるのかもしれません。

DEXCSの講演会や講習会を企業の方向けに行うと、必ず、金型関連の方がこられて、金型設計や樹脂流動に利用できるかと質問を受けるのです。上記の助言ですと、本気で大きな努力をする覚悟があれば、可能性はあるとのことなので、取り組んでみたいと思います。

> 質問2についてはSwedenのChalmersのグループが行ったワークショップでの
> 流体構造連成モジュールやTutorial資料が公開されています。
> "icoStructFoam, a Fluid-Structure Interaction Solver"
> http://www.tfd.chalmers.se/~hani/kurser/OS_CFD_2007/
> 私もまだちゃんと使ったことはありませんが、参考までに。

こちらは自分の興味でもあるので、取り組んでみます。

Ryoichi Shibata

unread,
Aug 9, 2009, 4:49:34 PM8/9/09
to OpenFOAM
柴田@岐阜高専です。お世話になります。

> さて本題です:  OpenFOAMについて受ける質問で、以下のようなものが多いです。
> 柴田は、これらを疑問に思うOpenFOAMユーザー予備軍
> と、皆様などOpenFOAMエキスパートの間をつなぐ役目をしたいと思います。
> 何か、ヒントでも良いので、ご助言いただければ、幸いです。
>
> 質問1: 樹脂整形などの流動解析は可能でしょうか?
> 質問2: 構造物と流体との練成解析は可能でしょうか?
> 質問3: 磁場解析は可能でしょうか?

お二方から、非常に具体的なご助言をいただくことができました。これをもとに、質問された方と相談して、オープンCAEへの取り組みを検討することにします。どうも、ありがとうございます。

さて次にお願いなのですが、ここでの貴重な助言は、柴田への回答としていただいたのですが、今後OpenFOAMやオープンCAEを利用しようとされる方にとっては、非常に貴重な情報になります。この情報があれば、本気でやろうとする方には、一歩も二歩も前進することが可能です。

そこで、これらの質問と助言を、FAQと言うか多くの方が参考にできるように、サイトにまとめたいと思います。これで、何度も同じ質問が上がってくることを、幾分かは防ぎ、回答される方も、まとめられた情報を指示すれば良いことになります。
自分は、DEXCSのサイトを運営しているので、ここに集約したいのですが、今回いただいた情報の取扱いについて、ご質問があります。

1:そもそも、転記してまとめることは可能でしょうか?(このML限定の情報ですか?)
2:転記するときの条件がありますか?(情報提供者の名前を記すなど)
3:他の方の情報交換は転記できますか?(貴重な情報が沢山あります)
4:転記の場合には個別の承認が必要ですか?(質問者と回答者のそれぞれに?)

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