{moi} は、集合の中の、ある要素を選び出す役割があります。
{moi}の前に数Nを表す mekso 付けると、集合の中のN番めの要素を選び出します。例えば
do [pa ki'o ki'o moi] lo'i vitke be zi'o bei lo muzga
この文は、 {do} (聞き手)が {lo'i vitke be zi'o bei lo muzga} (博物館の来館者の集合)の中の {pa ki'o ki'o moi} (1000000番めの要素)であることを表しています。 {moi} がここで果たしている役割を詳しく書くと、以下のようになります。
博物館の来館者たちひとりひとりに対して、1から1000000までの数を1つずつ対応付けて、その中から「1000000」という数が対応付けられた人を選び出す。
この際に、来館者と数を対応付ける規則として、「来館した時点の早い順」という規則があり、これを [N moi] という selbrisni の x3 として {lo ni clira fa lo nu vitke} などと表現することもできますが、 x3 が明示された例は少ないです。
同様に、 {moi} に先行する表現が数以外を表す場合でも、 {moi} は「対応付けと選出」という役割を持つと考えることができます。例えば
lo se cuxna cu [me do moi] lo'i pixra
{me} は sumti である {do} を moi 構文の中に入れるという、文法上の必要性によってここにあるだけで、意味はありません。
この文で、 {moi} は以下のような役割を果たしています。
{lo'i pixra} (絵の集合)の要素である1枚1枚の絵に対して、人をひとりずつ対応付けて、その中から {do} (あなた)という人が対応付けられた絵を選び出す。
このとき、1枚1枚の絵に人を対応付けるための規則は、文脈によりいろいろあり得ます。「絵を描いた人」であったり、「絵に描かれた人」であったり、「絵を所有している人」であったりすると思います。必要であれば [me do moi] の x3として {lo ka te pixra} などと明示します。
結果として、この文は「それらの絵の中から選ばれたのはあなたの絵です」といった意味になります。