【リマインド:要旨追加】2025年度ひと・ことばフォーラム連続研究会「対話で拓くひと・ことば研究」

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ARAI Yasuhiro

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Aug 11, 2025, 10:02:31 PMAug 11
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linguistics-jpの皆様

 当フォーラムは、様々な言語現象を研究対象に「ことばと人はどうかかわるか」を考える研究グループとして2012年に発足しました。対面、オンラインを組み合わせて13年間で40回を超える研究会を開催し、多様なテーマを掲げて「ひと・ことば研究」を推進してきました。
本年度は、対話を通じてひと・ことば研究の地平を切り拓く、というテーマを掲げました。
専門の領域でのご活躍はもとより、専門の壁を超える革新的な研究で他領域の者にも刺激を与え続けている研究者にご登壇いただきます。そしてご研究の核心部分を語るとともに、研究に至る経緯、意識や研究方法の変化などについても触れていただきます。その後の参加者を交えての質問とディスカッションを通じて、当フォーラムが新たなヒントやインスピレーションを醸成するような場となることを期待しています。

 2025年度第1回(通算第44回)の研究会では、東北大学の小林隆先生をお招きします。小林先生は、長年にわたり日本の方言学を牽引し、その研究の成果を膨大な数の書籍や論文に纏められてきました。一方で、「方言のアクセサリー化」(社会言語科学7(1), 2004)、『ものの言いかた西東』(岩波新書,2014)に代表されるように、従来の方言学の射程を超えたスタンスと独創的アプローチで、方言研究者のみならず幅広い読者層の関心を惹きつけてこられました。ご発表では、近年のご研究の核心部分を語るとともに、こういった発想や研究の視点がどのように生まれ育まれてきたのか、その思考過程やご経験についても触れていただきます。


☆開催日時:2025年9月13日(土)10:00~12:00
☆会場:ZOOM上で実施
※参加申込をされた方に9月11日(木)にURL及びパスワードをお送りします。
☆参加費:無料
☆プログラム:
10:00-10:10 趣旨説明・発表者紹介:三宅和子(東洋大学)
10:10-11:00 発表者:小林隆(東北大学)
「発話態度の方言学」
11:00-11:10 休憩
11:10-11:25 司会者による質問
11:25-11:55 全体ディスカッション
11:55-12:00 閉会・連絡

ご多忙とは存じますが、多くの方にご参加いただければ幸いです。オンライン開催の都合上、ご参加を希望される方は2025年9月10日(水)までに下記フォームよりお申し込みください。多くの方々のご参加をお待ち申し上げております。小林先生の研究に関連して、聞いてみたい質問があればお書きください。発表内容、ディスカッションと強いつながりのある質問は、時間の許す限り積極的に取り上げる予定です。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScFzGYtpSAUi888NXcQFzB4ol3X4Op5GJvBpw2BYLpfVZ8fOQ/viewform?usp=dialog

☆要旨
【要旨】発話態度の方言学
 「発話態度」というのは、ものの言い方のかまえのことである。“話す”ということへの向き合い方と言ってもよい。ここでは、この発話態度の地域差について話題にしてみたい。
 私が扱うのは言語行動や談話、そして、オノマトぺ・感動詞の使い方である。それらの地域差について見ていくと、言語現象の違いの背後に発話態度の違いが存在するのではないかと思われてきた。そうした発話態度が明らかになれば、それはより多くの言語現象を統一的・根本的に説明することにもつながるであろう。この発話態度のひとつとして提案したのが、発言性、定型性、分析性、加工性、客観性、配慮性、演出性の7つからなる「言語的発想法」である。
 発話態度について考えるにあたっては、契機となったできごとが2つある。そのひとつは、東日本大震災の折のことである。支援者が東北の被災者の話しぶりに覚えた違和感は、発話態度の地域差を考える貴重なヒントになった。もうひとつは、調査における想定外の回答である。一見、調査の失敗に思われた回答は、これまで当たり前に感じていた言語観を覆す重要なきっかけとなった。
 あれこれ考えるうちに、「7つの発想法」の背後にさらに本質的な発話態度の問題が潜んでいるのではないかと思えてきた。「自己」と「他者」の同一視の問題と、「自己」と「話し手」の分化の問題である。自分と相手を同じ存在とみなす地域では、話し方の精密化は必要でなく、それよりも感覚・感情面での共感が重視される。一方、自分と相手を異質な存在として認識し、本来の自分から話し手としての自分を分化させる地域では、偽装的表現などさまざまな話術が発達する。これは発話態度と社会環境の関係を考えることでもあり、私の興味は狭義の方言学の領域を越えていくことになった。

☆今後の予定
第45回(2025年度第2回): 12月13日(土)オンライン
発表者:森山由紀子(同志社女子大学)

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