水野 咲衣花 木工芸展
水野咲衣花さんの個展に寄せて
工芸はいずれの分野においても、作品として結実させるためには確かな技術的裏付けが不可欠である。
なかでも木工芸においては、その基礎となる技術の修得は決して容易ではない。そこには臨界点とでも言うべき段階があり、単なる努力の積み重ねによって連続的に到達するというよりも、ある一点での飛躍を必要とする。
材料を平滑で厚みの揃った部材へと美しく的確に削り上げることができなければ、制作はその先へ進み得ないからである。
形は不格好であっても水の漏らぬ器を作ることができるという世界とは本質的に異なる。さらに優れた道具を備え、それを自ら整え使いこなすこともまた技術のうちに含まれる。
技術の修得と、美を形にする造形力・美意識の錬磨——この両者が相俟って、はじめて工芸作品は成立するのである。
水野さんは、木工技術の中でも日本が世界に誇るべき正統な指物技術の修得に日々研鑽を重ねている。同時に、伝統的な美意識に自らの若い感覚を重ね合わせながら、自身の表現を形にしようと真摯な模索を続けている。
私自身、正統を継ぐ次世代の木工芸家を育てるため木工藝学林清雅舎を主宰しているが、その最若手の一人として、また女性作家の少ない日本の木工芸界にあって、水野さんが二十代の締めくくりとして開催するこの個展は、その歩みの一つの節目として、静かに注目すべき機会であろう。
木工藝家 木工藝学林清雅舎主宰 重要無形文化財「木工芸」保持者(人間国宝)須田賢司
本人コメント
この度、初めての個展を開催いたします。
お近くにお越しの際は、お立ち寄りいただけますと幸いです。
皆さまのご来場を心よりお待ちしております。
水野 咲衣花
日時 : 2026年4月22日(水)∼4月27日
時間 : 横浜髙島屋7階 美術画廊
詳細ページ↓
https://www.takashimaya.co.jp/yokohama/topics/5_1_20260226143643/?category=kimono-art#contents