佐々木惣平さんと加藤昌彦さんのメッセージで取り上げられた「する」の自発形について質問です。お二人とも「やらさる」になる傾向があるとのことですが、これは、単独で使う場合も軽動詞として使う場合も同じでしょうか。
インターネット上の自発語形を収集するプログラムを走らせているのですが、「展示する」に対応する「展示ささる」(実際に集めた語形は「展示ささって」)という語形があるようです。このように「漢語名詞+する」というかたちで「する」が本動詞ではなく軽動詞として用いられる場合、「する」の自発形が、「しささる」となるか「ささる」となるか「しらさる」となるかは別として、使えるようになるということはありませんでしょうか。
佐々木冠
Kan Sasaki
ksa...@sgu.ac.jp
Sapporo Gakuin University
Bunkyo-dai 11, Ebetsu,
Hokkaido, 069-8555
Japan
「する」を軽動詞として使う場合のサル形も、私の方言には存在しないと思います。
「○○ささる」、「○○しらさる」、どちらも耳慣れない表現ですし、他の言い方も
思い当たりません。
軽動詞「する」に対しては、「やらさる」で代用するわけにもいかず、サル形が表すような
意味を表したいときは、標準語的な表現によるしかないように思います。
ササキソウヘイ
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私も佐々木惣平君と同じです。「する」単独でも、「漢語名詞+する」でも、サル形を使うことはできません。
加藤昌彦
〒562-8558
箕面市粟生間谷東8-1-1
大阪大学大学院言語文化研究科言語社会専攻
(旧大阪外国語大学)
TEL & FAX: 072-730-5284
E-MAIL: atsu...@lang.osaka-u.ac.jp
早速ご返信ありがとうございます。単独の場合でも軽動詞の場合でも「する」の自発形はないわけですね。ところで、先ほどの「展示ささる」は青森の方の例でした。北海道の方の例と言うのは僕の勘違いでした。僕のデータベースにあったのは下記の例文です。
前に買った絵と同じ番号がこの前展示ささってたけど・・・
ちなみに、北海道の方のデータでも次のようなものがありました。
北海道の方の例
「記録ささる」
バックアップの為にUSBメモリに保存していたデータが. 記録ささってなかったんです(ほんまアホや.・・・
「指定ささる」
人物指定ささってるー
「努力ささる」
綺麗になろうっていっつも思うから努力ささって頑張ってる自分に気づくよね
「反映ささる」
パスワード思い出しました^^ 携帯から送った奴が反映ささってないΣ(・Д・ノ)ノ
「募集ささる」
あれ、今どれが募集ささってるのかな? ススキノ飲み派と滑らない話派かな? と自分が言い出した金欠のやつと. とりあえずアド晒しときます.
佐々木惣平さんのお話では、標準語的な表現になるということでしたが、一番目の例は受動で「データが記録されてなかった」のようになるのでしょうか。
> 佐々木惣平さんのお話では、標準語的な表現になるということでしたが、
> 一番目の例は受動で「データが記録されてなかった」のようになるのでしょうか。
私の方言に訳してみますね。
> 「記録ささる」
> バックアップの為にUSBメモリに保存していたデータが.
> 記録ささってなかったんです(ほんまアホや.・・・
「記録できてなかった」が普通の言い方だと思います。
「記録されてなかった」は、やや固い言い回しという感じがします。
> 「指定ささる」
> 人物指定ささってるー
「指定されてるー」以外に思い当たりません。
> 「努力ささる」
> 綺麗になろうっていっつも思うから努力ささって頑張ってる自分に気づくよね
これはちょっと難しいのですが、あえて表現しようとすると、
「自然と努力できて」のように語句を補わなければならないと思います。
> 「反映ささる」
> パスワード思い出しました^^ 携帯から送った奴が反映ささってないΣ(・Д・ノ)ノ
「反映されてない」
> 「募集ささる」
> あれ、今どれが募集ささってるのかな? ススキノ飲み派と滑らない話派かな?
> と自分が言い出した金欠のやつと. とりあえずアド晒しときます.
「今どれが募集中なのかな?」または「今どれが募集されてるのかな?」で、
前者のほうが自然だと思いますが、「今どれ募集してんのかな?」と言うのが
シンプルでかつ最も自然な表現だと思います。
早速ご返信ありがとうございます。受動のほかに「できていない」といった可能表現を使う場合もあるわけですね。
> 受動のほかに「できていない」といった可能表現を使う場合もあるわけ
> ですね。
「できていない」を可能表現と呼ばれてしまうと、私は違和感を覚えます。
「記録できてなかった」というのは、記録の可能性を云々しているのではなく、
あくまでも現実として「記録」という結果が「生じていなかった」という
意味だと思うからです。
>「できていない」を可能表現と呼ばれてしまうと、私は違和感を覚えます。
>「記録できてなかった」というのは、記録の可能性を云々しているのではなく、
>あくまでも現実として「記録」という結果が「生じていなかった」という
>意味だと思うからです。
「記録できてなかった」が結果状態(の否定)を表すことはわかりました。
ちなみに「記録できてなかった」について「可能表現を使う場合もあるわけですね」と書いたのは、「可能の意味を持っていますね」という意味ではなく「可能を表すのにも使う表現(もっと正確にいうと形式)を含んでいますね」という意味です。
これは、ある用法をある形式の典型と見立てて、その典型の用法をもってその形式の名称とし(例えば、「できる」を可能表現と呼び)、その形式に別の用法(典型とは異なる意味)を認めるという立場です。
日本語(標準語)の「~ている」は動作動詞に付くと進行を表します。これを典型と見立てて「~ている」を進行形と呼び、「死んでいる」のように「ている」を使っているにも関わらず、進行ではなく結果状態を表す用法については進行形の典型から外れた用法(結果状態用法)と見なす立場です。
もちろん、別な立場もあると思います。例えば「できる」形のように直接形式に言及して、その下位分類として可能の用法などを立てるという方法もあるでしょう。このように直接形式に言及する方法のほうが誤解が少ないようでしたら、そちらの呼称を使うことにします。
丁寧なご回答ありがとうございます。
> これは、ある用法をある形式の典型と見立てて、その典型の用法をもってその形式の名称とし
> (例えば、「できる」を可能表現と呼び)、その形式に別の用法(典型とは異なる意味)を認
> めるという立場です。
このようなお立場と、別の立場との対立関係は、私も以前、言語学徒のはしくれとして
事あるごとに見てきましたので、よくわかります。
一度ご説明いただければ、用語法の違いとして割り切ることができます。
「可能表現」で結構ですので、どうぞそのままお使いください。
失礼いたしました。