日本方言研究会で発表します

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NOJIMA Motoyasu

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Aug 2, 2010, 8:39:45 PM8/2/10
to yo...@googlegroups.com, jih...@googlegroups.com
皆様

日本方言研究会で発表することができることが決まりました。6年越しにかないました。
神奈川県座間市の方言で,補助動詞の「(て)おく」が,結果状態を表す
という現象について,です。
要旨を添付しました。
コメントがいただけたら,幸いです。

酷暑の折,ご自愛ください。

野島本泰

Zama-Oku2010.pdf

Kan Sasaki

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Aug 2, 2010, 10:25:49 PM8/2/10
to jih...@googlegroups.com
野島さん、

発表要旨ありがとうございます。補助動詞としての「おく」がどのような動詞に付属できるのか興味があります。やはりアスペクト的にはaccomplishmentなのでしょうか。「背中を押す」と「ハンコを押す(捺す)」で「おく」が付属できるかどうかに違いはありますでしょうか。

こんなあたりに興味があります。予稿集ができたら購入したいと思います。

佐々木冠

Kan Sasaki
ksa...@sgu.ac.jp
Sapporo Gakuin University
Bunkyo-dai 11, Ebetsu,
Hokkaido, 069-8555
Japan
http://ext-web.edu.sgu.ac.jp/ksasaki


NOJIMA Motoyasu

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Aug 2, 2010, 10:32:10 PM8/2/10
to jih...@googlegroups.com, nojima.motoyasu
冠さん

要旨では触れなかったのですが,座間市方言の「おく」には,共通語と同じものも
あります。たとえば,「食べときなよ」というときの「おく」は例えば「これから葬儀で
あまり食事はできないから,今のうちに食べることをあらかじめする」という意味が
ありますよね?それも座間方言では「おく」が担当するんです。

「背中を押しとく」というと,いまにわかには思い出せませんが,そのような文脈でなら
使えそうだという気がします。

「はんこを押しとく」は,「はんこを押せば,押した印が結果として残る」ので,
結果状態の意味も表すことになります。(もちろん,事務に行ったあとだと,
事務には朱肉がないかもしれないから,オフィスに居るうちにあらかじめ押す」
という意味も表せます。

accomplishment というのは僕はあまりなじみがないのですが,
Zeno Vendler の用語ですか?星泉さんが院生の時,借りているのを見て,
なんて難しい本を読むんだろうとびっくりしたことがあります。惣平氏も読んだのではないかと。

野島本泰

2010年8月3日11:25 Kan Sasaki <ksa...@sgu.ac.jp>:

Kan Sasaki

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Aug 2, 2010, 11:23:13 PM8/2/10
to jih...@googlegroups.com
野島さん、

>「はんこを押しとく」は,「はんこを押せば,押した印が結果として残る」ので,
>結果状態の意味も表すことになります。(もちろん,事務に行ったあとだと,
>事務には朱肉がないかもしれないから,オフィスに居るうちにあらかじめ押す」
>という意味も表せます。

おお、やはり。そうすると、結果状態の「~おく」の形成には動詞句レベルのアスペクトも関係がありそうですね。

>accomplishment というのは僕はあまりなじみがないのですが,
>Zeno Vendler の用語ですか?星泉さんが院生の時,借りているのを見て,
>なんて難しい本を読むんだろうとびっくりしたことがあります。惣平氏も読んだのではないかと。

そうです。

NOJIMA Motoyasu

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Aug 2, 2010, 11:39:17 PM8/2/10
to jih...@googlegroups.com, nojima.motoyasu
佐々木さん

教えていただきたいのは,

>>「はんこを押しとく」は,「はんこを押せば,押した印が結果として残る」ので,
>>結果状態の意味も表すことになります。(もちろん,事務に行ったあとだと,
>>事務には朱肉がないかもしれないから,オフィスに居るうちにあらかじめ押す」
>>という意味も表せます。

> おお、やはり。そうすると、結果状態の「~おく」の形成には動詞句レベルのアスペクトも関係がありそうですね。

動詞句レベルのアスペクトという概念についてです。これは誰の用語でしょうか。
何を読めば詳しくわかりますか?きっと「押す」だけでは結果状態の意味にならないのに
「はんこを押す」だと結果状態の「おく」が接続しうる,ということなんでしょうね。


>>accomplishment というのは僕はあまりなじみがないのですが,
>>Zeno Vendler の用語ですか?星泉さんが院生の時,借りているのを見て,
>>なんて難しい本を読むんだろうとびっくりしたことがあります。惣平氏も読んだのではないかと。

> そうです。
ありがとうございます。

野島本泰

Kan Sasaki

unread,
Aug 3, 2010, 1:19:16 AM8/3/10
to jih...@googlegroups.com
野島さん、

先ほどは急いで返信を書いたものでわかりいくいメッセージになってしまったようです。出先でちょっと時間ができましたので補足を。

動詞句レベル云々は、こういうことです。動詞のアスペクトは語彙的に決まっている側面もあるが、名詞句(特に目的語)との組合わせによって決定される面もあるということです。これについては、Dowty, David 1979 Word meaning and Montague grammarやFoley and Van Valin 1994そしてCarol Tennyの博士論文(1994年に出版されたはず)で扱われています。「背中を押す」(activity)と「ハンコを押す」(accomplishment)については、角田先生の還暦記念論文集に書いたボクの論文をご参照ください(手前味噌で恐縮です)。

と、書いていて、やはり時間がなくなってきました。乱筆ご容赦ください。

佐々木冠


>教えていただきたいのは,
>
>>>「はんこを押しとく」は,「はんこを押せば,押した印が結果として残る」ので,
>>>結果状態の意味も表すことになります。(もちろん,事務に行ったあとだと,
>>>事務には朱肉がないかもしれないから,オフィスに居るうちにあらかじめ押す」
>>>という意味も表せます。
>
>> おお、やはり。そうすると、結果状態の「~おく」の形成には動詞句レベルのアスペクトも関係がありそうですね。
>
>動詞句レベルのアスペクトという概念についてです。これは誰の用語でしょうか。
>何を読めば詳しくわかりますか?きっと「押す」だけでは結果状態の意味にならないのに
>「はんこを押す」だと結果状態の「おく」が接続しうる,ということなんでしょうね。

NOJIMA Motoyasu

unread,
Aug 3, 2010, 1:33:52 AM8/3/10
to jih...@googlegroups.com, nojima.motoyasu
冠さん

わかりやすい解説,ありがとうございます。

僕はブログというのをやっているのですが,

http://mnojima.blog12.fc2.com/

いただいた解説をもとに,こんな記事を書きました。

動詞のアスペクトは,語彙的に決まっている側面がある。というか,普通はそういうふうに考えられている。動詞1語1語,語ごとに決まっている,ということだ。だからこそ,アスペクトに従って,動詞を分類する,などという発想が出てくる。

ところが、アスペクトには,名詞句(特に目的語)との組合わせによって決定される側面もある,という。たとえば「押す」という動詞のアスペクトについてその動詞だけを見て考えることもできるが,目的語をつけて「背中を押す」,「ハンコを押す」などとすると,後者には補助動詞「てある」がついて「ハンコが押してある」などと言えるのに対し,前者は「背中が押してある」は変だ。この動詞句レベルのアスペクトについては、Dowty,


David 1979 Word meaning and Montague grammar や Foley and Van Valin

1994 それに Carol Tenny
の博士論文(1994年に出版されたはず)で扱われているという。「背中を押す」(activity)と「ハンコを押す」(accomplishment)については,佐々木冠.
2007. 「北海道方言における形態的逆使役の成立条件」『他動性の通言語的研究』角田三枝・佐々木冠・塩谷亨編. 259-270.
くろしお出版を参照。

注:activity, accomplishment は Zeno Vendler (1967) Philosophy in
Linguistics. Cornell University Press. の用語。僕は触ったこともない本なので,解説は残念ながら不能。

野島本泰

2010年8月3日14:19 Kan Sasaki <ksa...@sgu.ac.jp>:

Kan Sasaki

unread,
Aug 3, 2010, 4:52:43 AM8/3/10
to jih...@googlegroups.com
野島さん、

ブログの記事を読みました。
アスペクトはヴォイスを考える上でも重要、そして使える概念だと思います。

僕の主観的な評価では、アスペクトに関する研究で一番とっつきやすいのは、Foley and Van Valin 1984と影山太郎(1996)『動詞意味論』くろしお出版と思います。

結構生産的に見えるヴォイスでもアスペクトの制限があったりします。あと、分裂自動性の分析にも役立ったりします。Van Valinが1990年にLanguageに書いた論文では、Perlmutterが非対格性によって説明したイタリア語の助動詞の区別が実はアスペクトに規定されているという分析も提案されています。

野島さんが研究している言語でもアスペクトで分析できる現象があるかもしれませんね。

佐々木冠

NOJIMA Motoyasu

unread,
Aug 3, 2010, 4:59:30 AM8/3/10
to jih...@googlegroups.com, nojima.motoyasu
冠さん:

アスペクトとヴォイスについて,影山太郎(1996)『動詞意味論』くろしお出版,ですか。
一度,図書館で借りて,挫折したことがあるんですよね。

ブヌン語について1つだけ。ブヌン語は他の台湾・フィリピン初語とは違って,接中辞が1つしか
ないんです。たとえば,maun 「食べる(AV)」から m<in>aun が派生します。
この m<in>aun は「食べた」とか「食べたことがある」と訳せるもので,
ブヌン語の先行研究では過去時制の標示とか完了相の標示だと言われているものです。

ところが,これがGVになると様相が一変します。
kaun-un 「食べる(GV)」に対応する形は,k<in>aun なんですが,これは「食べた物(胃の中の)」
という意味で,要するに名詞なんです。2項を従える述語動詞としては用いられません。

これは,どういうふうに考えたらいいんでしょうか。何が起きているんでしょうね。

野島本泰

2010年8月3日17:52 Kan Sasaki <ksa...@sgu.ac.jp>:

NOJIMA Motoyasu

unread,
Aug 3, 2010, 5:24:12 AM8/3/10
to jih...@googlegroups.com, nojima.motoyasu
冠さん:

ことばが足りませんでした。


ところが,これがGVになると様相が一変します。
kaun-un 「食べる(GV)」に対応する形は,k<in>aun なんですが,これは「食べた物(胃の中の)」
という意味で,要するに名詞なんです。2項を従える述語動詞としては用いられません。

それに対して,kaun-un 「食べる(GV)」は2項述語として節の主要部として用いられうるのに,
です。

野島本泰

2010年8月3日17:59 NOJIMA Motoyasu <nojima....@gmail.com>:

Kan Sasaki

unread,
Aug 3, 2010, 10:10:58 AM8/3/10
to jih...@googlegroups.com
野島さん、

せっかく補足をしていただいたのですが、よくわかりません。どんな事情でAVの
ときの<in>とGVのときの<in>の機能の違いが出てくるんでしょうかね。

佐々木冠

p.s.
明日の昼ぐらいから明後日の夜までメールをチェックできなくなります。

> ところが,これがGVになると様相が一変します。
> kaun-un 「食べる(GV)」に対応する形は,k<in>aun なんですが,これは「食べた物(胃の中の)」
> という意味で,要するに名詞なんです。2項を従える述語動詞としては用いられません。
>
> それに対して,kaun-un 「食べる(GV)」は2項述語として節の主要部として用いられうるのに,
> です。


--
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
Kan Sasaki
Sapporo Gakuin University
ksa...@sgu.ac.jp
http://ext-web.edu.sgu.ac.jp/ksasaki

NOJIMA Motoyasu

unread,
Aug 3, 2010, 10:20:26 AM8/3/10
to jih...@googlegroups.com, nojima.motoyasu
冠さん

> せっかく補足をしていただいたのですが、よくわかりません。どんな事情でAVの
> ときの<in>とGVのときの<in>の機能の違いが出てくるんでしょうかね。

その事情がわからないのです。

AV m<in>aun は「…が…を食べた」という意味の述語として節の主要部になるけど,
GV k<in>aun は「…が食べた胃の中のもの」という意味になってしまって,
名詞相当語句としては出るけど,「…が…を食べた」という意味の述語としては
使えない,ということです。

野島本泰

2010年8月3日23:10 Kan Sasaki <ksa...@sgu.ac.jp>:

Kan Sasaki

unread,
Aug 3, 2010, 7:46:10 PM8/3/10
to jih...@googlegroups.com
野島さん、

下記の件、なにも意見を言えなくてすみません。

本当にどうなっているんでしょうね。アスペクトといってもどうも語彙的アスペクトというよりは、完成相という視点アスペクトが関わっているようですが、本当に何が起きているんでしょうね。[ALT Japan]のほうにも投稿なさったようですが、何か示唆的なアイディアが出るといいですね。

佐々木冠

NOJIMA Motoyasu

unread,
Aug 3, 2010, 7:52:37 PM8/3/10
to jih...@googlegroups.com, nojima.motoyasu
冠さん

お返事ありがとうございました。ところで,視点アスペクトって何ですか?

野島本泰

2010年8月4日8:46 Kan Sasaki <ksa...@sgu.ac.jp>:

Kan Sasaki

unread,
Aug 3, 2010, 8:06:13 PM8/3/10
to jih...@googlegroups.com
野島さん、

> お返事ありがとうございました。ところで,視点アスペクトって何ですか?

非常におおざっぱに言うと、英語の完了形や進行形のような動詞+αで表される
アスペクトで、動詞の表すイヴェントのどこに焦点を当てるのかが問題になるも
のです。state, achievement, activity, accomplishmentがおおむね語彙的に
(実際には動詞句も関与しますが)決まるのに対して、視点アスペクトは、助動
詞などの付加によって表されます。

すみません、今諸般の事情で手元の文献を全て箱に詰めてしまったため、確認で
きないのですが、『方言の文法』(小林隆編, 2006, 岩波書店)の工藤真由美先
生の章(アスペクトを扱っています)に分かりやすい紹介があったと思います。
用語も「視点アスペクト」で良かったと思うのですが、もしかすると微妙にずれ
ているかもしれません。

今日も暑い。乱筆ご容赦ください。皆様もくれぐれも体調を崩さないようにご注
意ください。

佐々木冠b

NOJIMA Motoyasu

unread,
Aug 3, 2010, 8:41:01 PM8/3/10
to jih...@googlegroups.com, nojima.motoyasu
冠さん

ありがとうございました。

> 非常におおざっぱに言うと、英語の完了形や進行形のような動詞+αで表される
> アスペクトで、動詞の表すイヴェントのどこに焦点を当てるのかが問題になるも
> のです。state, achievement, activity, accomplishmentがおおむね語彙的に
> (実際には動詞句も関与しますが)決まるのに対して、視点アスペクトは、助動
> 詞などの付加によって表されます。

なるほど。その場合,派生手段や屈折によるアスペクト標示は語彙的アスペクトに
なるのですか?ブヌン語だと,例えば kis-laupa-an というのは「刺す」ですが,
kis-la~laupa-an と重複が加わると「何度も指す」という意味を表すようになります。
これなどは視点アスペクトではない方になるのでしょうか。

>
> すみません、今諸般の事情で手元の文献を全て箱に詰めてしまったため、確認で
> きないのですが、『方言の文法』(小林隆編, 2006, 岩波書店)の工藤真由美先
> 生の章(アスペクトを扱っています)に分かりやすい紹介があったと思います。
> 用語も「視点アスペクト」で良かったと思うのですが、もしかすると微妙にずれ
> ているかもしれません。

『方言の文法』を見てみます。僕も足を骨折しているので,本のある場所へ行くのが
骨が折れるのですが。

> 今日も暑い。乱筆ご容赦ください。皆様もくれぐれも体調を崩さないようにご注
> 意ください。

みなさまもご自愛ください。ほんと暑いですね。

野島本泰

Kan Sasaki

unread,
Aug 3, 2010, 9:25:42 PM8/3/10
to jih...@googlegroups.com
野島さん、

>なるほど。その場合,派生手段や屈折によるアスペクト標示は語彙的アスペクトに
>なるのですか?ブヌン語だと,例えば kis-laupa-an というのは「刺す」ですが,
>kis-la~laupa-an と重複が加わると「何度も指す」という意味を表すようになります。
>これなどは視点アスペクトではない方になるのでしょうか。

重複によって「何度も刺す」になるのは、視点アスペクトのほうだと思います。

佐々木冠

NOJIMA Motoyasu

unread,
Aug 3, 2010, 9:35:42 PM8/3/10
to jih...@googlegroups.com, nojima.motoyasu
冠さん

おもしろい考え方ですね。このような視点は今までのブヌン語研究史には
なかったものです。さっそく文献を手に入れます。

野島本泰

2010年8月4日10:25 Kan Sasaki <ksa...@sgu.ac.jp>:

NOJIMA Motoyasu

unread,
Aug 3, 2010, 9:42:39 PM8/3/10
to jih...@googlegroups.com, nojima.motoyasu
冠さん

よくわからないんですが,

これ↓みたいに見えます。

http://hashimotoys.at.infoseek.co.jp/nishishiraikaiwakoopasu.htm

こりゃ,Vendler も読むようかなあ。

野島本泰

2010年8月4日10:35 NOJIMA Motoyasu <nojima....@gmail.com>:

Kan Sasaki

unread,
Aug 3, 2010, 10:33:21 PM8/3/10
to jih...@googlegroups.com
野島さん、

>http://hashimotoys.at.infoseek.co.jp/nishishiraikaiwakoopasu.htm

上のウェブページ、見ました。なかなか良いウェブページですね。語彙的アスペクトを状況アスペクトと呼ぶこともあるんですね。

NOJIMA Motoyasu

unread,
Aug 3, 2010, 10:50:50 PM8/3/10
to jih...@googlegroups.com, nojima.motoyasu
冠さん,
他にもこの手の名前のアスペクトを研究している人はいるかも知れませんけど,白井さんって
有名な方ですよね?いちおう,ダメもとで,「うかがいたいことがあるので,メールを下さい」
という問い合わせをしておきました。

野島本泰

2010年8月4日11:33 Kan Sasaki <ksa...@sgu.ac.jp>:

Kan Sasaki

unread,
Aug 3, 2010, 11:00:10 PM8/3/10
to jih...@googlegroups.com
野島さん、

>他にもこの手の名前のアスペクトを研究している人はいるかも知れませんけど,白井さんって
>有名な方ですよね?

そうです。アスペクトに関していっぱい研究論文のある方ですね。

NOJIMA Motoyasu

unread,
Aug 9, 2010, 2:12:35 AM8/9/10
to jih...@googlegroups.com, nojima.motoyasu
佐々木さん

岩本遠億 (2008) 『事象アスペクト論』(開拓社)が家に届きました。その中の

1.1 日本語研究における事象アスペクトと動詞の分類

で,金田一春彦(1950)から始まり,工藤真由美先生に至る研究史が概観できます。
Vendler の研究も岩本先生の本を読んだら,すぐ理解できました。

岩本先生とは,ミクシイを通じて知り合ったのですが,とてもすばらしい本に出会えました。

野島本泰


2010年8月4日12:00 Kan Sasaki <ksa...@sgu.ac.jp>:

Kan Sasaki

unread,
Aug 9, 2010, 2:51:45 AM8/9/10
to jih...@googlegroups.com
野島さん、

>岩本遠億 (2008) 『事象アスペクト論』(開拓社)が家に届きました。その中

この本、僕も先日東北大学の図書館でチラッと読みました。良い本のようですね。そういえば、岩本先生は夏期講座でも講師をなさるはず。夏期講座が野島さんにとって実り多いものになりますことを。

NOJIMA Motoyasu

unread,
Aug 11, 2010, 5:26:57 PM8/11/10
to jih...@googlegroups.com
冠さん,皆さん,

白井恭弘さんからお返事があり,次の本:

Carlota Smith (1991/1997) The parameter of aspect

を薦められました。また,次の頁は自分で見つけたのですが,よさそうです。


Kibort, Anna. "Aspect." Grammatical Features. 7 January 2008.
http://www.grammaticalfeatures.net/features/aspect.html.

野島本泰


2010年8月9日15:51 Kan Sasaki <ksa...@sgu.ac.jp>:

NOJIMA Motoyasu

unread,
Aug 11, 2010, 6:32:49 PM8/11/10
to jih...@googlegroups.com, nojima.motoyasu
冠さん,皆さん

白井恭弘さんによると:

ブヌン語の子音+母音の重複による反復の表現は,多分「視点アスペクト」でいいと思うが,
スラブ語などのように,語彙的アスペクトと視点アスペクト(文法アスペクト)の区別が
はっきりしない言語もあるので,注意が必要だろう。

Bybee の著作を参考に。

詳しくはSmith を参照するように。

Bybee, Joan L. 1985. Morphology. A Study of the Relation between
Meaning and Form. (Typological Studies in Language 9). Amsterdam:
John Benjamins. (§5.1 The expression of aspect - pp. 100-102; Ch.6
Aspect - pp. 141-153)

Smith, Carlota. 1997. The Parameter of Aspect. (Second Edition).
Dordrecht: Kluwer Academic Publishers. (Revised version of Smith,
Carlota. 1991. The Parameter of Aspect. Dordrecht: Kluwer Academic
Publishers).

野島本泰

白井恭弘さん,って
白井恭弘 (2008) 『外国語学習の科学-第二言語習得論とは何か』(岩波新書)によると,
ピッツバーグ大学言語学科教授,言語科学会会長,
なんですよね。知らなかった…。


2010年8月4日12:00 Kan Sasaki <ksa...@sgu.ac.jp>:

NOJIMA Motoyasu

unread,
Aug 11, 2010, 8:12:57 PM8/11/10
to jih...@googlegroups.com, nojima.motoyasu
佐々木さん

『事象アスペクト論』では,

> 1.1 日本語研究における事象アスペクトと動詞の分類

で,金田一春彦(1950)が Vendler より10年以上早くあの分類を打ち出していることが
評価されていて,日本人として誇りに思いました。

野島本泰

2010年8月9日15:12 NOJIMA Motoyasu <nojima....@gmail.com>:

Kan Sasaki

unread,
Aug 11, 2010, 9:01:31 PM8/11/10
to jih...@googlegroups.com
野島さん、

早朝から頑張っていますね。というか、最近の気候では、早朝じゃないと集中しにくいかもしれませんね。

> 白井恭弘さんによると:
>
> ブヌン語の子音+母音の重複による反復の表現は,多分「視点アスペクト」でいいと思うが,
> スラブ語などのように,語彙的アスペクトと視点アスペクト(文法アスペクト)の区別が
> はっきりしない言語もあるので,注意が必要だろう。

語彙的アスペクトと視点アスペクトの区別がはっきりしないケースもあるのですね。ブヌン語の場合どうなんでしょうね。

別便の話題ですが、

>『事象アスペクト論』では,
>
>> 1.1 日本語研究における事象アスペクトと動詞の分類
>
>で,金田一春彦(1950)が Vendler より10年以上早くあの分類を打ち出していることが
>評価されていて,日本人として誇りに思いました。

金田一がVendlerより10年早かったという話、角田先生も好きですよね。つくば大学のゼミでよく伺いました。

NOJIMA Motoyasu

unread,
Aug 12, 2010, 1:13:19 AM8/12/10
to jih...@googlegroups.com, nojima.motoyasu
冠さん

> 早朝から頑張っていますね。というか、最近の気候では、早朝じゃないと集中しにくいかもしれませんね。

最近は,ほぼ毎日1時に起きて,朝食を食べる6時までの間に集中して論文を書いたり,
本を読んだりしています。


>> 白井恭弘さんによると:
>>
>> ブヌン語の子音+母音の重複による反復の表現は,多分「視点アスペクト」でいいと思うが,
>> スラブ語などのように,語彙的アスペクトと視点アスペクト(文法アスペクト)の区別が
>> はっきりしない言語もあるので,注意が必要だろう。

> 語彙的アスペクトと視点アスペクトの区別がはっきりしないケースもあるのですね。ブヌン語の場合どうなんでしょうね。

何かはっきり見解が示せるようになったら,ご報告します。これはかなり難しいのでは?という
予感がありますが。

> 別便の話題ですが、
>
>>『事象アスペクト論』では,
>>
>>> 1.1 日本語研究における事象アスペクトと動詞の分類
>>
>>で,金田一春彦(1950)が Vendler より10年以上早くあの分類を打ち出していることが
>>評価されていて,日本人として誇りに思いました。
>
> 金田一がVendlerより10年早かったという話、角田先生も好きですよね。つくば大学のゼミでよく伺いました。

個別言語の研究って,どの言語でもよく研究されているものは,研究水準が高くて,
言語哲学とか一般言語学のはるかに先を言っている,案外そんなものかもしれませんね。

野島本泰

NOJIMA Motoyasu

unread,
Aug 12, 2010, 1:07:48 PM8/12/10
to jih...@googlegroups.com, nojima.motoyasu
皆さん

白井恭弘さんに,「座間のテオク」のことをお話したら,おもしろいですねといってくださり
特に,gram がいろいろな視点アスペクトを表すことは知られているので,
Bybee,Perkins, Pagliuca の出している universal definition を参考にするように
コメントを下さいました。

で,Bybee,Perkins, Pagliuca を読んでいるのですが,あれはおもしろい本ですね。
とりあえず,resultative のところと,unidirectionality hypothesis のところを
読んでいます。

やっぱり「置く」を lexical source として,resultative が出てきているのは
すごいことかもしれません。で,また,琉球諸語とはことなるところも。
プラシャント・パルデシさんとあったときに,プラシャントさんに「ぜひ英語で書いて,
Studies in Language などに投稿してください」といわれているので,頑張ろうと
思っています。

野島本泰


2010年8月12日14:13 NOJIMA Motoyasu <nojima....@gmail.com>:

NOJIMA Motoyasu

unread,
Aug 15, 2010, 1:56:04 PM8/15/10
to jih...@googlegroups.com, nojima.motoyasu
皆さん

あれから次のようなことを考えました。

・「ある」と「置く」は意味的には自動詞と他動詞の関係にある。例えば,ブヌン語(台湾,オーストロネシア語族)でも,「(人や物が)…にいる,ある」を意味する動詞を使役化したものが,他動詞「(人や物を)…に置く」である。そのような対応を示す2つの動詞で,一方の自動詞「ある」がアスペクト標識に変化するのが自然なら,もう一方の他動詞「置く」がアスペクト標識に変化するのも自然だと言えるかもしれない(この観察は,千田俊太郎氏に負う)。その際,「ある」も「置く」もともに結果状態に文法化するとしても,「ある」は1項動詞化を引き起こし,「置く」は(もともとが他動詞であるから)2項動詞のままで結果状態を表すだろう(それがまさに座間方言)。

このような考察は意味があるでしょうか。

野島本泰

2010年8月13日2:07 NOJIMA Motoyasu <nojima....@gmail.com>:

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