今度の方言研究会での発表の「隠し玉」です。皆様には今まで黙っていました。
4.1.2. アクセント
アクセントの違いで,2種類の「テオク」が区別される。
(11) 「まだ外に置いとくよ。」[ま]だ[そ]とにお[いとく]よ] (=共通語のテオク)
(12) 「まだ外に置いとくよ。」[ま]だ]そ]とに]お]いとく[よ] (=座間のテオク)
(「話し手でも聞き手でもない第三者が,まだ外に置いてあるよ」という意味。)
「座間のテオク」と,共通語と同形のテオク(事態を見通して行為を行う意味を表す)が,
同音異義だということの理由になりそうです。
野島本泰
> (11) 「まだ外に置いとくよ。」[ま]だ[そ]とにお[いとく]よ] (=共通語のテオク)
>
> (12) 「まだ外に置いとくよ。」[ま]だ]そ]とに]お]いとく[よ] (=座間のテオク)
> (「話し手でも聞き手でもない第三者が,まだ外に置いてあるよ」という意味。)
(11)のアクセントは分かったのですが、(12)のほうが分かりません。「まだ外に」のアクセント表記が(11)と(12)で違うのはどうしてですか?
加藤昌彦
〒562-8558
箕面市粟生間谷東8-1-1
大阪大学大学院言語文化研究科言語社会専攻
(旧大阪外国語大学)
TEL & FAX: 072-730-5284
E-MAIL: atsu...@lang.osaka-u.ac.jp
昌彦さんのご質問の意味が分からないのですが,「まだ外に」のアクセントも
同じであるべきだということですよね,きっと。
これ,さっき日野資純先生に話したら,アクセントではなくて文音調ではないか?
とおっしゃいました。そういうことですか?
ま
だ よ
そ お
と お
に お
お お
い お
と
く
こんなピッチです。
野島本泰
2010年9月1日12:20 Atsuhiko KATO <atsu...@lang.osaka-u.ac.jp>:
そうすると,「なんだよ,あのひとったら,まだ外に置いてあるのかよ」という
意味になります。
野島本泰
2010年9月1日12:35 NOJIMA Motoyasu <nojima....@gmail.com>:
理解できました。
> (11) 「まだ外に置いとくよ。」[ま]だ[そ]とにお[いとく]よ] (=共通語のテオク)
>
> (12) 「まだ外に置いとくよ。」[ま]だ]そ]とに]お]いとく[よ] (=座間のテオク)
> (「話し手でも聞き手でもない第三者が,まだ外に置いてあるよ」という意味。)
(12)のほうは文音調や句音調とアクセントが混在した表記だったというわけですね。
純粋なアクセントに限るなら、「共通語のテオク」と「座間のテオク」の違いは次の(1)と(2)のように示せるのではないでしょうか。
(1) おいとく]よ。
(2) おいとくよ。(アクセント格なし)
文音調が混ざってしまっていたというのは,日野先生のご指摘のとおりなのですが,
> (1) おいとく]よ。
> (2) おいとくよ。(アクセント格なし)
これだけだと,意味に違いが出ません。(2)は「座間のテオク」になりません。
どうしてですかね?
野島本泰
2010年9月1日13:22 Atsuhiko KATO <atsu...@lang.osaka-u.ac.jp>:
> > (1) おいとく]よ。
> > (2) おいとくよ。(アクセント格なし)
>
> これだけだと,意味に違いが出ません。(2)は「座間のテオク」になりません。
> どうしてですかね?
では、
(1) おいとくの? (置いておくのか?)
(2) おいとくの? (置いてあるのか?)
でアクセントの違いは出ないでしょうか?
>> > (1) おいとく]よ。
>> > (2) おいとくよ。(アクセント格なし)
>>
>> これだけだと,意味に違いが出ません。(2)は「座間のテオク」になりません。
>> どうしてですかね?
> (1) おいとくの? (置いておくのか?)
> (2) おいとくの? (置いてあるのか?)
>
> でアクセントの違いは出ないでしょうか?
僕は区別があります。↑このとおりです。でも,92歳のおばあさんや,
77歳の母や,68歳の男性は,違いがあるのかどうか,説明できません。
でも,「まだ外へ置いとくよ」だと文音調がかかるせいか,
意味の違いが明瞭になるんですよね。
野島本泰
> >> > (1) おいとく]よ。
> >> > (2) おいとくよ。(アクセント格なし)
> >>
> >> これだけだと,意味に違いが出ません。(2)は「座間のテオク」になりません。
> >> どうしてですかね?
>
>
>
>
> > (1) おいとくの? (置いておくのか?)
> > (2) おいとくの? (置いてあるのか?)
> >
> > でアクセントの違いは出ないでしょうか?
>
> 僕は区別があります。↑このとおりです。
つまり、
(1) おいとく]の? (置いておくのか?)
(2) おいとくの? (置いてあるのか?)
ということですね。
だとすると、「座間のテオク」の場合には「終止形の最終モーラに決してアクセント核が現れない」、共通語と同じ「テオク」の場合には「終止形の最終モーラにアクセント核が現れ得る」として、違いを一般化できるんじゃないでしょうか。
「そこに置いておくのは何?」(そこに置いてあるのは何?)のときに「おくのは」はどう発音されますか?
>> >> > (1) おいとく]よ。
>> >> > (2) おいとくよ。(アクセント格なし)
>> >>
>> >> これだけだと,意味に違いが出ません。(2)は「座間のテオク」になりません。
>> >> どうしてですかね?
>> > (1) おいとくの? (置いておくのか?)
>> > (2) おいとくの? (置いてあるのか?)
>> >
>> > でアクセントの違いは出ないでしょうか?
>>
>> 僕は区別があります。↑このとおりです。
> つまり、
>
> (1) おいとく]の? (置いておくのか?)
> (2) おいとくの? (置いてあるのか?)
>
> ということですね。
> だとすると、「座間のテオク」の場合には「終止形の最終モーラに決してアクセント核が現れない」、共通語と同じ「テオク」の場合には「終止形の最終モーラにアクセント核が現れ得る」として、違いを一般化できるんじゃないでしょうか。
> 「そこに置いておくのは何?」(そこに置いてあるのは何?)のときに「おくのは」はどう発音されますか?
そ[こにおいとく]の[な]に
です。共通語と同じかな?
*そ[こにおいとくのな]に
↑これはアウトです。自分でも駄目だと思うし,母にも駄目だということを確認しました。
野島本泰
> *そ[こにおいとくのな]に
>
> ↑これはアウトです。自分でも駄目だと思うし,母にも駄目だということを確認しました。
なるほど、そうすると、
> だとすると、「座間のテオク」の場合には「終止形の最終モーラに決してアクセント核が現れない」、共通語と同じ「テオク」の場合には「終止形の最終モーラにアクセント核が現れ得る」
とすべてを一般化することはできませんね。
しかし、「よ」のような一部の付属語の場合に、アクセント核が最終モーラに現れないということは言えると思うので、それを、「座間のテオク」を普通の「テオク」から区別する基準として用いることは可能だと思います。
加藤昌彦
〒562-8558
箕面市粟生間谷東8-1-1
大阪大学大学院言語文化研究科言語社会専攻
(旧大阪外国語大学)
TEL & FAX: 072-730-5284
E-MAIL: atsu...@lang.osaka-u.ac.jp
大事なことを忘れていましたが,本動詞の「置く」もピッチで2種類あるみたいなんです。
お[く]の?(よそもの的)「置くの?」(「の」で上昇)
お[くの?(座間方言的)「置くの?」(「の」で上昇)
お[く]のかよ。(よそもの的)
お[くの]かよ。(座間方言的)
こ[こへおく]の。(よそもの的)
こ[こへおくの。(座間方言的)
この話は上野先生に飲み会の時に断片的にしたことがあって,「神奈川の方言でも
調べると面白いんだね」といっていただけたことがあります。
でも,どういう仕組みになっているのかは未だに解明出来ていません。
野島本泰
2010年9月1日17:13 Atsuhiko KATO <atsu...@lang.osaka-u.ac.jp>: