韓国でのユニバシア-ドで、北朝鮮批判グル-プが実施した集会に殴り込みを掛
けた北朝鮮新聞記者と称する集団の暴行事件は、大会主催者が謝罪することによって
収まったが、一時は、北側が選手団や応援団の引き上げを示唆するなどの混乱があっ
た。
北朝鮮批判グル-プが「金正日を打倒して北朝鮮人民を解放せよ」などの横断幕
を張って気勢を上げたことなどが北側を刺激したのであろう。
この騒ぎは、ビデオでその一部始終が放映されたが、金正日の圧政度合いがよく
現れていた。殴り込みを掛けた北朝鮮の新聞記者と称する集団は、本物の新聞記者は
一部で、そのほとんどは新聞記者を装った秘密警察だという。彼らは選手団や応援団
から亡命者が出ることを防ぐ目的で参加しているのだというが、乱闘慣れしたその動
作を見るとそうだろうと思わせるものがある。
この乱闘シ-ンで「敬愛する将軍様を愚弄するのは絶対許されない」「北なら即座
に逮捕されるのにどうして警察は放置しておくのか」と怒号する場面があった。ここ
は韓国なのに、それを忘れて思わず口走ったものであろうが、この一言が北朝鮮の実
態をよく表している。
北朝鮮の憲法では「言論の自由」は保証されているが、それは憲法上だけのこと
で、実態は正反対なのだ。金正日の批判などしたら、それで強制収容所行き、処刑さ
れるのだと言う報道は前からあったが、北朝鮮人の口からその事実が証明されたので
ある。
この事件は、集会に殴り込みを掛けた北朝鮮側に、言論の自由妨害を理由に抗議
し、暴行を加えて負傷させた北朝鮮人を傷害罪で逮捕すべきだが、韓国側は逆に「謝
罪」するという弱腰を見せたのである。
こんな調子では、明日から北京で開かれる6者協議でも韓国は北朝鮮に押しまく
られるのではないかと心配である。
村上新八