C.C. SAKURA OriginalStory#10  C.C.SAKURA VS K.K.Jeanne Episode0( 1/4) (Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18))

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Keita Ishizaki

未読、
2001/08/15 17:47:322001/08/15
To:
石崎@です。

 暑い中、夏休みの方も多いかと思いますが、如何お過ごしでしょうか。
 f.r.aではシスプリ記事が大爆発しておりますが…本業が忙しい所為もあり、
ちゃんと見ていないのでついていけません(汗)

 …と戯言はさておいて、
 現在とある事情にてNetNewsより離れている藤森英二郎さんより、カードキャ
プターさくら及び神風怪盗ジャンヌの合体妄想をメールで頂きました。
 NetNewsへの投稿の許可も頂いておりますので、代理投稿します。

 この記事は、標題からも明らかなように、藤森さんが投稿されていた
C.C.SAKURA Original Storyの10作目に当たります。
 それと同時に、「神風・愛の劇場」スレッドに昨年5月頃(笑)に投稿された、
C.C.SAKURA VS K.K.Jeanne(Re:Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18))に関連した
エピソードでもあります。
 …と言う訳でこの記事は、「神風・愛の劇場」スレッドのフォロー記事として、
japan.animeをフォロー先に加えて投稿しております。

 全文で約2000行程ありますので、4分割して投稿します。
 皆様に妄想を膨らませて貰うべく、今日と明日の二日間に分けて、2通ずつ投
稿することにします。

 …お待たせしました。では、以下より藤森さんの妄想記事です。


(ここより藤森さんの妄想)

はろ~ん、藤森@堕天使フィンだよ~ん。(<に、似合わないし気持ち悪い~!)

フィンの地位を進呈されちゃいましたが・・・
私の妄想中では、フィンはクイーン(魔王のパートナー)とは名ばかりで、
実質的には「まろんのおもちゃ」なんですよねえ。(^^;

#自分自身の羽でくすぐられたり、生○用品の実験台になったり、
#○○膜がどうなってるか確かめられちゃったり。(謎爆)


さて、以前知世ちゃんが悪魔に取り憑かれる「CCさくらVS神風怪盗ジャンヌ」
という妄想をしましたが、今度は「さくらちゃんとまろんちゃんが、
それよりかなり前に会っていたら」というのを妄想してみました。

実はクロウカード「ウェイブ」を題材にして、「さくらと知世と冬の海」という
題でプロットを考えていたのですが、あまりにシリアスになり過ぎたため
封印していたものを、まろんちゃんを登場させることにより
少しコメディ寄りにしてみたものです。

それでは・・・「レリーズ!(封印解除)」
「Fの創りしプロットよ、古き姿を捨て、生まれ変われ!
 新たな登場人物、まろんの名の元に!」

#なお、さくらちゃんとまろんの面識が無かった前の妄想と、
#若干整合性が取れていないのはご容赦下さい。(^^;
#また、とんでもなく長くなってしまいましたので気合いを入れてお読み下さい。
#(1時間スペシャルくらい・・・かな?おまけも付いております。)


アニメ版妄想小説No.10『さくらとまろんと冬の海』


冬の厳しい寒さから、少し暖かくなってきた頃・・・友枝小学校は春休みです。
さくらちゃんは年末年始からこの春休みまでの間に、アロー(矢),
ファイアリィ(火),バブル(泡),ライブラ(秤),スルー(抜)と、
次々にクロウカードを封印して、大忙しでした。

#なお、これらのエピソードが一部放送されなかったのは、
#某財閥からNHKに圧力がかかったせいかもしれません。(汗)

また、ちまたでは予告状を出して盗みを働く正統派の怪盗、
ジャンヌが出現して世間を騒がせ始めています。

まろんも都も桃栗中学を卒業したばかり。
まろんの家に準天使フィンが押しかけ、しぶしぶまろんが怪盗家業を始めた、
そんな時のできごと。


★友枝町 木之本家 お昼時

「ケロちゃ~ん!ごはんだよ~っ!
 今日はお父さんもお兄ちゃんもいないから、一緒にごはん食べよっ!?」

大学も春休みなので1週間ほど発掘調査に行って留守の藤隆お父さんと、
バイトに精を出している桃矢兄ちゃん。
ケロちゃんと二人でお留守番のさくらちゃんは、お昼御飯を作って、
階段の上り口から2階のケロちゃんに声をかけます。

しかし、いつもなら「ごはん」と聞いただけで飛んでくるはずのケロちゃんが、
今日に限って何の反応もありません。

「ほえ?・・・またゲームに夢中になってて気がつかないのかな・・・?」

耳を澄ますさくらちゃんですが、2階からゲームの音楽もケロちゃんの
「おらおらおらおら~っ!」とか「うりゃりゃりゃりゃ~っ!!」とかの
掛け声も聞こえてきません。

「ケロちゃん、ひょっとして寝てるのかなあ?」

一旦寝ると、地震が起きても目を覚まさないケロちゃん。
さすが、何十年も眠こけていた守護獣です。
さくらちゃんは一計を案じて、
ケロちゃんが必ず飛び起きるだろう呪文を唱えてみるのでした。

「(小声で)今日のごはんは、『お好み焼き』だよ~っ。」

バターンッ!

とたんに、2階のさくらちゃんの部屋のドアが勢いよく開く音がして、
ケロちゃんが階段伝いに飛んできます。

「お、お好み焼き~っ!お、お好み焼きぃ~っ!(感涙)」
「んもう、ケロちゃん、寝てたでしょ?」
「ね、寝てなんかおるかい!ちょ~っと考え事しとっただけや!」
「考え事?ケロちゃんが~?」

純真で人を疑うことを知らないさくらちゃんですが、さすがにケロちゃんには
散々な目にあっていますので、明らかに疑いのまなざしです。
(↑夏休みの算数のドリルとか。)

「嘘やないで!さくらのおかげでクロウカードも順調に集まっとるんやけど、
 どうもな~んか引っかかっとることがあるんや。」
「引っかかることって?」
「だから、それを考えとったんや。」

話しながら、ケロちゃんと一緒にリビングに入るさくらちゃん。
つけっぱなしだったテレビから、アナウンサーの声が響きます。

【・・・怪盗ジャンヌに対し、警視庁では『ジャンヌ特捜班』の設立を決め、
 メンバーの人選を開始して・・・】

「何か、おかしなことでもあるの?」
「・・・怪盗・・・神出鬼没・・・そうや!イレイズのカードや!」
「イレイズのカード、去年の夏にもう封印したけど・・・」
「そうやない。イレイズのカードが遠くの海まで行っとったっちゅうんが
 引っかかっとったんや。」
「ほえ?」

席について、お好み焼きを食べ始めるさくらちゃん。
ケロちゃんは大きなお好み焼きを切りもしないで端からかぶりつきます。

「もごもご・・・これまで、ほとんどのカードがこの友枝町に出現したやろ?」
「うん。(ぱくぱく)」
「はふはふ・・・クロウカード自身に移動能力が無い限り、ウィンディに
 飛ばされたくらいやったらそうそう遠くまで行けへんはずなんや。」
「そういえば、友枝町以外に出現したのって、隣町まで跳んで行ってた
 ジャンプと、海まで行ってたイレイズだけだね。(もぐもぐ)」

「そやろ?イレイズ自身には移動能力はほとんどあらへん。
 そやから、イレイズを海まで運んだカードがおるはずや。」
「自分で遠くまで行けるクロウカードって・・・フライとか?」
「移動能力いうたらフライが代表格やな。フライはカードを散らばしてから
 すぐ封印でけたから良かったんやで?もし、フライが他のカードと一緒に
 海の彼方まで飛んでっとったらと思うと・・・」
「ほえ~っ!」
「・・・ぞっとするやろ?」

【・・・次のニュースです。】

「でも、他にイレイズを海まで運べるカードって・・・」
「そのカードが何かは問題やない。
 そこに、まだそのカードがおるかもしれんっちゅうことが問題なんや。」

【・・・の海岸で、高さ十メートル以上の大波が発生しております。
 海上保安庁では、漁船、観光客などに注意を促すと共に・・・】

「・・・け、ケロちゃん、この海岸は・・・」
「カードキャプターの使命として・・・ん?」
「去年、私たちが臨海学校に行った場所!?」
「な、なんやてぇ?!」

思わずテレビ画面のニュースに注目するさくらちゃんとケロちゃん。
そこには、風もないのに真冬の日本海もかくやというような大波が荒れ狂う、
去年の夏にさくらちゃん達が臨海学校に行った海水浴場が映っていたのでした。


★桃栗町 マンションオルレアン まろんの家 同時刻

フィンと一緒にお昼を食べながら、「お昼のニュース」でジャンヌ捜査の
動向をチェックしていたまろん。
怪盗家業を始めたばかりなのでヒヤヒヤしながら見ていましたが、
特別捜査班を作らないと対処できないくらいなんだから、
警察に怪盗ジャンヌの正体は掴めていないとわかり、少し安心した所です。

「言ったでしょ?ジャンヌに変身すれば、絶対に気付かれないって。」
「そうみたいね。ふう、一安心。」

「・・・まろ~ん、まだジャンヌのお仕事嫌いなの?」
「だってぇ~。私の前世がジャンヌなんとかだって言われても、
 全然実感が湧かないしぃ~。」
「ちゃんと変身できたじゃない!
 まろんの前世がジャンヌ=ダルクだっていう証拠よ!」
「変身はできてもねぇ・・・魔法が使えるわけでも、
 自由に空を飛べるわけでもないし・・・」

こけっ!

なんだか見当違いなまろんの言葉に、
テーブルの上でデザートのイチゴを持ったままこけてしまうフィン。
食べかけのイチゴに顔を突っ込んでしまいます。

「ちょ、ちょっとまろ~ん。な、なんなの~?」
「そりゃあ私も女の子なんだもん。一番あこがれていたのは魔法少女なの!」
「ま、魔法少女ぉ?」
「次が戦隊物少女で、ず~っと離れて最後が怪盗少女。
 やっぱり、『変身』『魔法』『決めポーズ』がないとね~。」
「そ、そんな理由で・・・」
「私、高校に入ったら新体操部に入ろうと思っているんだけど・・・
 レオタード姿に美しく『変身』して、
 思う存分『決めポーズ』を取りたいからなのかも。」(てれてれ)

夢見顔のまろんにフィンはもはや言葉もなく、タオルのかかっている
所まで飛んで行って、自分の顔にくっ付いたイチゴの汁とタネを拭き取ります。

「それと、いくら正義のためでも、怪盗少女ってのはイメージが悪いわ。
 世間的にはやっぱり悪人・・・犯罪者なんだし。」
「怪盗ジャンヌは悪魔に取り憑かれた人を救い、悪魔から人類を守る、
 とっても大事なお仕事なの!」
「それはそうなんだろうけど・・・いくら悪魔を封印するためって言っても、
 貴重な美術品や文化遺産を跡形もなく消しちゃうのは心が痛むわ。
 それって、普通の泥棒よりたちが悪いもん。
 フィン、本当にチェックメイトするしか悪魔を封印する方法はないの?」
「・・・ないの・・・ごめんね、まろ~ん。」

テーブルの上に戻ってきたものの、少し暗くなってしまったフィンと、
食べ終わってうつむいたまろん。
気まずくなってしまった二人は気分を変えようと、そろってテレビの方を向きます。
ちょうどそこに、不思議な大波が発生しているというニュースが流されるのでした。

「風もないのに大波なんて・・・変ね。
 フィン、あれも、もしかして悪魔の仕業なの?」
「確かに変だけど・・・波に取り憑く悪魔なんていないんじゃなぁい?
 悪魔は人間の『美しいと思う心』を集めているんだから。」
「大波を美しいと思う人もいるわよ。もしかしたら、悪魔のターゲットは
 ダイナミックな写真専門の写真家で、北斎の絵みたいに富士山と大波を
 並べて写真に撮りたいのかもしれないじゃない。」
「・・・そ、そうかもしれないけど・・・」
「それとも、大波に呑み込まれそうな江ノ島をスケッチしたい画家とか・・・」
「う~ん・・・」
「それに、相手が波ならチェックメイトして消えても心が痛まないもんね。」

ずるっ!

お気楽なまろんの言葉に再びこけて、あらためてかじりつこうとしていた
イチゴにまたも顔を突っ込んでしまうフィン。

「むぐぐ・・・ぷはっ!んもう、まろんったら!」

顔をイチゴの汁で真っ赤にして怒っているフィンを無視して、
食べ終わった食器の片付けを始めるまろん。
大波が悪魔の仕業でなくても、好奇心から、
せっかくの春休みなので小旅行としゃれ込むつもりだったのでした。

#チェックメイトして「海」そのものが消えたらどうするんだろう。(^^;

#なお、大波が発生している場所は西伊豆あたりを想定しております。
#だから、まろんの「富士山」「江ノ島」発言はちょっと見当違い。


★友枝町 木之本家周辺 1年近く前

さくらちゃんが杖もなしで発動させたウィンディにより、
クロウカードの本から吹き飛ばされるカード達。

木之本家から飛び出すあまたの光の矢。その数、50本近く。
その内の何本かは近くのペンギン公園へと落ち、さらにその内の2本は
重なるようにペンギン公園内を流れる小川に突き刺さります。

舞い散る桜の花びらを水に浮かべて流れる小川に、
折り重なって浮かぶ2枚のカード。
上のカードには「消」「ERASE」の文字があり、
マジシャンのような姿の人物が描かれていました。

しばらく桜の花びらと共にたゆたっていた2枚のカードですが、
突然下のカードが光を放ち、水に溶けるように消えていきます。
そして、カードの下の水が盛り上がって小さな波となり、
その波は上にカードと桜の花びらを何枚か載せたまま
小川を流れ下って行くのでした・・・

#サーフィンのように「波乗り」でもしない限り、波そのものには
#物を運ぶ力はないんですが・・・まあ、普通の波ではありませんので。


★海水浴場 駐車場 夕方

「はう~、やっと着いたあ。」
「まあ、すごい波ですわね。」
「ビンビン感じるで。クロウカードの気配や!」

車のサンルーフから身を乗り出して、荒れ狂う海を眺めるさくらちゃん達。
海水浴場の堤防の上には野次馬や警備の人たちが並び、
時にはそこまで波しぶきがかかる程の大波。
だが、さしもの大波も徐々に静まりつつあった。

・・・海水浴場までさくらちゃんたちがどうやって来たかというと、
もちろん知世ちゃんが車を出してくれたのである。

さくらちゃんは海水浴場までフライで飛んで行ってもよかったのだが、
知世ちゃんに黙って行くのは悪いような気がして電話をすると、
即座に大道寺家のキャンピングカーで行くということになってしまう。

この大型キャンピングカーは知世ちゃんのコスチューム運搬車とは違い、
中にベッドやキッチンまで備わっている本格的なものだ。
ただ、車内の1/4はさくらちゃんのコスチュームを入れるクローゼットと
撮影・編集器材で占められており、そのまま映画撮影ができそうな設備であった。

「さくらちゃんの映画を撮影するためのロケ用キャンピングカーですわ。
 こんなに早く役に立つ時が来るなんて・・・ああっ!幸せですわ~っ!」
「と、知世ちゃん・・・(汗)」

というお約束のやりとりも、ここに来るまでにあったのでした。

・・・こうしてやっと辿り着いた海水浴場だが、
まだ野次馬や警備の人がいる以上、カードキャプターさくらは出動できない。

「もうちょい暗くなるまで待たんとあかんな。」
「ほえ~っ!ま、また夜~?!」
「でしたら、それまで少しこのあたりを観光いたしましょう。
 それに、急でしたので保存食くらいしかありませんから、
 お夕飯も食べに行きましょうね。」
「わ、わいはたこ焼きがええ!」
「そ、そうだね。出かけようか。」
「それでは、さっそくお着替えをば。」

すかさず右手にビデオカメラを持ち、左手にさくらちゃんのお出かけ用の
ふりひら服を出した知世ちゃん。
「映画撮影用」と言うだけあって、このキャンピングカーには
バトルコスチュームだけではなく様々な種類の服が置いてあります。

「べ、別にこの服のままでも・・・」
「でも、その服は普段着ではありませんか。よほどお急ぎだったのでしょう?
 せっかくのご旅行なのですから、やはりそれなりの服で行くべきですわ。」
「はうぅ~。」(泣)

こうして、よそ行きのふりひら服を着せられてしまったさくらちゃんは、
時期外れの海水浴場周辺を知世ちゃんに撮影されながら
回ることになってしまうのでした。


キャンピングカーを運転してきた知世ちゃんのボディガードのお姉さんは、
例によって別の車でこの場を離れ、ホテルに向かっています。
彼女達は園美お母さんに雇われているのですが、
知世お嬢様にうるうる目で「お願い」されると、
さくらちゃん同様どうしても断れないのでした。


★海水浴場近くのバス停 同時刻

「だ~っ!やっと着いたあ!」
「まだよ、まろ~ん。ここからじゃ全然海が見えないじゃない。」
「え~っ!まだあるの~っっ?
 長時間電車に揺られて、バスに揺られて、その上歩き・・・
 ったく、魔法少女なら空を飛んで行けるのにぃ~・・・ぶつぶつ・・・」

#魔法少女でも、空を飛んで行けるとは限らないんですけどね。
#今回のさくらちゃんのように。

「何言ってんのよ!ここに来るって言ったのはまろんじゃない!」
「時期外れの海水浴場なんか、来るんじゃなかったなあ。
 お店なんかも半分以上閉まっちゃってるじゃない・・・ぶつぶつ・・・」
「ここに、悪魔がいるかもしれないからって・・・」
「あ~っ!その上、怪盗としての収入ゼロなのに、
 自分のお金でこんな遠くまで・・・ぶつぶつ・・・」
「ま~ろ~ん~っ!!」(怒)

#まろんが使ってるお金は親からの仕送りのはず・・・
#ってことは、悪魔が稼いだお金になるのかな?
#まあ、この時のジャンヌは魔王のために仕事してるようなもんだから、
#ジャンヌのお仕事に悪魔が出資するのも当然か。(^^;

「わかったわかった・・・でも、少し休ませてよ。
 せっかく来たんだから、ちょっと観光もしたいし。」
「んもう、しょうがないわねえ。」

バスから降りてあたりを見回すまろん。
時期外れなので多くのお店が閉まっている中、
大波を見に来る野次馬を当て込んで急きょ開けたらしいお店もあります。

「あっ!かわいい小物を売ってるお店がある!」

まろんはジャンヌのお仕事は後回しにして、まだ明るいうちに観光を
済ませてしまおうと、大荒れの海も見に行かずに開いているお店を回るのでした。


★海水浴場 砂浜 夕暮れ時

「やっと野次馬もおらんようなったな。」
「大波が収まってしまったからですわ。」
「でも、まだクロウカードの気配はするよ。」

昼間の大荒れが嘘のように静まり返り、夕焼けの赤い光に照らし出された海。
同じく赤く色付いた砂浜を、封印の杖を手に歩くさくらちゃんと、
夕焼けの海をバックにさくらちゃん撮影にいそしむ知世ちゃん。
まだ明るいので、念の為ケロちゃんは知世ちゃんのフードの中で
ぬいぐるみのふりをしています。

「それにしても・・・夕焼けの海をバックにしたさくらちゃん・・・
 なんて美しいのでしょう・・・ああっ、めまいが・・・」
「と、知世ちゃん・・・(汗)」
「臨海学校の時はビデオを持って来れなかったですから、
 その分撮りまくらなくては!」
「はうぅぅ~。(泣)」

大波が相手とあって、今回さくらちゃんが着せられたのは
体にぴったりフィットしたウェットスーツタイプのバトルコスチューム。
胴体を覆う部分はピンク色だが手足を覆う部分が肌色なので、
少し遠くから見ると水着に見えてしまう。

「なんや、えらい寒そうなコスチュームやな。」
「ううん、全然寒くないよ。・・・ちょっと恥ずかしいけど・・・」(真っ赤)
「さくらちゃんのためですもの。防水・防寒は完璧、真冬の海でも泳げますわ。」
「そ、そりゃまたすごい服やなあ。知世もなかなかやるやないか。(汗)」

「はうぅ・・・だ、だんだん暗くなってきたよう。」
「ほら!さくらちゃんあの洞窟!わたくし達がきもだめしをした洞窟ですわ。」
「ほえ~っ!」

さくらちゃん達がいる砂浜から少し離れた岩場を指差す知世ちゃん。
岩場の絶壁に、洞窟が黒々とした口をぽっかりと開けていました。

「あそこにイレイズさんがいらっしゃったんですわね。」
「う、うん・・・」
「そん時、わいはおらへんかったからようわからんのやけど、
 どうやってイレイズを封印したんや?」
「わたくしも、その時のことは憶えておりませんわ。」
「知世ちゃんも、みんな消えちゃって・・・李君にはげましてもらって・・・」

イレイズを封印した時のことを思い出すさくらちゃん。
泣いてしまった時、小狼にはげましてもらって、アドバイスもされて・・・

「・・・そういえば、ここに来ることを李君に伝えなかったな・・・」
「小僧はさくらのライバルやで!わざわざ教えてやらんでもええ!」
「う、うん・・・」

それでも、一抹の寂しさを感じるさくらちゃん。
そして、だんだん暗くなっていく周囲におびえながらも、
クロウカードの気配を追うのでした。


★海水浴場 堤防の上 同時刻

「んもう、まろんがあっちこっち観光なんてしてるから
 こんなに遅くなっちゃったじゃな~い。」
「フィンだって、来るのをしぶってた割には楽しんでたみたいじゃん。
 それに、怪盗の出番は夜よね、夜。」

一通りお店を回って、お土産を買ったり夕飯を食べたりしていたまろん。
ようやく海が見える堤防の上にやって来た時には、
すっかり日が暮れかけていました。

「急に旅行に行ったなんて都が知ったら、
 『なんで誘ってくれなかったのよ!』なんて怒るだろうなあ。
 都にもおみやげ買って来たから、これで許してもらおっと。」

まろんは大きな紙袋に、買い込んだグッズやらおみやげやらを
入れてうんせうんせと持ち歩いています。

「お、重い・・・車が欲しいなあ・・・
 ねえフィン、せめて荷物持ちくらいやってくんない?」
「な、何言ってんのよ!そんな重い物、私に持てるわけないじゃない!」
「はあ・・・魔法少女のお付きの小動物なら、
 もうちょっと役に立ってくれるものなんだけどなあ・・・」
「私は天使!動物なんかじゃないのっ!」

#同じ魔法少女のお付きの小動物でも、
#ケロちゃんだとほとんど役に立たないんですけどね。
#さくらちゃんを持ち上げられるから、力はそれなりにあるんだが。

「あ~っ、もう、やめやめ!荷物はこの辺に置いといて・・・と。
 いよいよジャンヌのお仕事開始!」
「やっとやる気になったのね、まろん。」
「う~ん、でも、『大波の美しさ、頂戴に参上します』なんて、
 さすがに予告状を出すもんじゃないわよねえ。
 第一、誰に出せばいいのかわかんないし。」
「なによ、せっかくやる気になったと思ったら・・・
 でも、やる気になった所で悪いんだけどね、まろ~ん?」

堤防の内側に荷物を置き、身軽になった所でようやく
真面目に悪魔探索を始めようと気合いを入れるまろん。

「フィンは観光なんかしてちゃ駄目で、誰が取り憑かれてるのか
 調べてないといけなかったんじゃないの?」
「だって・・・悪魔の気配が全然しないんだもん。
 ・・・それより、まろ~ん・・・」
「とにかく、本当に悪魔の仕業なのか、
 悪魔の仕業なら誰が取り憑かれているのか調べないと。」
「・・・だから、まろんってば!・・・大波はどこなの?」
「え?あら?あららら?」

堤防の上まで登って見渡せば、お昼のニュースでやっていた大波は
いったいどこに消えたのかと思うような静寂の海が広がっています。

「んもう、これじゃ何しにこんな遠くまで来たのかわかんないじゃない!」
「ま、まあいいじゃないのフィン。悪魔のせいじゃなければその方が。」
「あ~っ!まろん、最初から観光旅行のつもりだったわね~っ!」
「ちょっと待って、フィン。あんな所に子供が・・・?」
「ごまかさないで!」
「あ、あの子、ひょっとしてすっぱだかなんじゃ?」
「ええっ?!」

思わず堤防の影に隠れてしまうまろん。
堤防の下、砂浜を歩いている二つの小さな影。
まろんのいる堤防の上からでは、さくらちゃんの着ているウエットスーツの
手足の肌色の部分はもちろん、体のピンク色の部分も夕焼けの赤い光に
溶けてしまい、すっぽんぽんの女の子を同じくらいの年の女の子が
ビデオ撮影しているように見えてしまうのでした。


★海水浴場 砂浜

「う~ん、クロウカードの気配はするんだけど・・・」
「どうやら、沖の方におるようやな。」
「それでは、船をお借りした方がよろしいでしょうか?」
「ちょっと待って、知世ちゃん。だんだん気配が大きくなってきたみたい。
 こっちに近づいているのかな?」

海の方に向いてクロウカードの気配に集中するさくらちゃん。
その夕日に照らし出されたりりしい横顔を撮影している知世ちゃんは、
フレームの中の風景がさっきまでと少し違うことに気付きます。

「あら?波打ち際が・・・さっきよりずいぶん後退したような・・・」
「ほえ?」

さくらちゃんが足元を見ると、黒々と水に濡れた砂の部分がどんどん広がり、
見る見る潮が引いて行く様が見て取れます。

・・・ゴオオォォォォ・・・

「なんの音や?海鳴りかぁ?」
「!さ、さくらちゃん!あ、あれは・・・!!」

ビデオカメラから目を離し海の方を見た知世ちゃんは、
水平線に沈みかけている太陽の沈む速度が、目に見えて速くなるのを目撃します。
いや、太陽の沈む速度が速くなったのではなく、
海が盛り上がり太陽を覆い隠していくのを。

「つ、津波や~っ!」
「ほえ~っ!!」

◆アイキャッチ入りま~す◆

(1/4の内容はここまでです)

 では、その2へと続きます。

--
Keita Ishizaki mailto:kei...@fa2.so-net.ne.jp

Keita Ishizaki

未読、
2001/08/15 18:03:422001/08/15
To:
石崎@夏休み中です

この記事は、藤森英二郎さんのさくら&ジャンヌ妄想小説です。
この記事は、4分割投稿のその2です。

その1及び藤森さんからの挨拶は、
<9leqm1$gt3$1...@news01cd.so-net.ne.jp>よりお楽しみ下さい。

改ページ後より、藤森さんの妄想です。

(ここから藤森さんの妄想)

C.C. SAKURA OriginalStory#10 C.C.SAKURA VS K.K.Jeanne Episode0

アニメ版妄想小説No.10『さくらとまろんと冬の海』(その2)

★海水浴場 堤防の上

堤防の影に隠れて、ドキドキしながらさくらちゃん達の撮影現場を
覗き見しているまろんとフイン。

「いくら春休みでも、この寒空にすっぽんぽんでビデオ撮影なんて・・・
 もしかして、悪魔はあの子たちに取り憑いているの?フィン。」
「悪魔の気配じゃないと思うけど・・・さっきから変な気配は感じるの。
 それも、どんどん大きくなってくるみたい。」
「あら?どうしたのかな?急に。」

砂浜の二人の動きが急に慌ただしくなったのを見て不審に思うまろん。
二人の子供を覆って大きな影が海から砂浜に伸びて行くのに気が付き、
沖に目を転じてやっと理解します。

「あ、あれって、ま、まさか・・・つ、津波ぃ!?」

堤防の上からではまだ太陽が見えるのですが、
盛り上がった海が太陽を覆い隠し、その影が砂浜まで達していたのでした。

「お昼のニュースでやってた『十メートル以上』なんてもんじゃないわ!
 倍はあるじゃない!」
「ま、まろ~ん、は、早く逃げないと・・・」
「いけない、あの子達が!!」

津波の高さはまだまろんのいる堤防よりは低いようだが、
どんどん高くなってきている。しかも、そのままの高さだったとしても、
その勢いなら一部は堤防を越えて町へなだれ込みそうだ。
それより、砂浜にいる二人の子供は間違いなく巻き込まれる!

「だめよ、まろん!あの子たちのいる所に辿り着く前に津波が襲ってくるわ!」

堤防から飛び降りて、波打ち際にいる子供達の所まで走ろうとしている
まろんの耳をつかんで引き止めるフィン。

「や~ん!耳を引っ張らないでぇ!・・・そうだ!ジャンヌに変身すれば!」
「ま、まだロザリオに天使のパワーを入れてないの!変身できないわ!」
「んもう!肝心な時に役に立たないんだから!フィン、お願いっ!」
「お、オッケイ・・・」

(津波に飲み込まれても、絶対あの子達を助けなきゃ!)

ジャンヌに変身するため、ロザリオにフィンの力を入れてもらうまろん。
まろんは津波が来る前に子供達を安全な場所に移すことができなければ、
海に飛び込んででも二人の子供を救出するつもりです。
しかし、そうこうしている内に津波はどんどん岸まで迫って来るのでした。


★海水浴場 砂浜

「間違いあらへん、ウェイブのクロウカードや!」
「大変ですわ!あの高さですと、堤防を越えてしまいそうです!」
「ここで封印しないと、町が・・・!」

フライを使って知世ちゃんと二人乗りすれば簡単に空に逃れられる
さくらちゃんですが、津波が町を襲いそうだと聞いては
逃げ出すことなどできません。
また、シールドを使って自分達だけ身を守ることも。

「・・・ケロちゃん、知世ちゃんをお願い!」
「どないするつもりなんや、さくら!?」
「さくらちゃん!」

「シールドを使って、津波より高い壁を作ってみる!」
「無茶や、さくら!高さはともかく・・・」
「幅は1キロ以上ありそうですわ!」
「それでも、やってみる!」

「・・・こんな時、フリーズのカードがあったらよかったんやけどなあ・・・」
「フリーズさんなら、あの津波を止められるのですか?」
「ウオーティの時と一緒や。水なら、凍らせてしまえばええ。」
「ここに来ることを、李君にお伝えしておけば良かったですわね。」
(李君・・・)

フリーズのクロウカードを持っているのは小狼である。
また、一時的にせよ津波を止められそうなタイムを持っているのも。
しかし、ここには小狼はいない・・・

「おらへんもんはしゃあない!さくら!がんばるんやで!」
「うん!」


★海水浴場 堤防の上

「待って、まろ~ん。様子が変よ。」
「きゃんっ!ま、また・・・耳はやめてって言ってるでしょっ!」

ロザリオにフィンの力を入れてもらい、いよいよ堤防から飛び降りてジャンヌに
変身しようとしていたまろんは、再びフィンに耳を引っ張られて引き止められます。
見ると、確かに波打ち際にいる二人の子供の動きがおかしい。
すぐそこまで津波が迫っているのに、逃げ出そうとするわけでも
腰を抜かして座り込んでしまうわけでもない。

それどころか、すっぱだかに見える女の子の方は津波に正対する形で
何やら棒のような物を構えている。
そして、ビデオカメラを持っている女の子の方は後ろに下がったものの、
まだ裸の女の子を撮影しているようだ。

「まさか、本当に悪魔はあの子達に取り憑いているんじゃ・・・?」

大波をバックにした、すっぽんぽんの少女を「美しい」と思い撮影する少女。
ずいぶん特殊な美意識を持った女の子に取り憑いたものだとは思うが、
ありえないことではないかもしれない。
だとすれば、撮影が終われば津波は消えてしまうのだろうか?

「ちょっと、様子を見た方がいいんじゃなぁい?」
「そ、そうね・・・」

今からでは、ジャンヌに変身しても到底間に合わない。
本当に悪魔の仕業なのか、それとも・・・
まろんとフィンは、津波に立ち向かうように立っている少女と、
それを撮影している少女を固唾を飲んで見守るのでした。


★海水浴場 砂浜

「ここに、町を守る壁を作れ!シールド!」

津波が到達する寸前に封印の杖を振るい、
シールドのクロウカードを使うさくらちゃん。
対シャドウ戦の時には複数の球状バリアを作り出したシールドですが、
今度はさくらちゃんの目の前に輝く壁を作り出します。
その幅は1キロ以上、高さは津波の1.5倍以上!しかし・・・

「いけませんわ!さくらちゃん!その高さでは・・・!!」

ゴゴゴゴゴゴ・・・どっぱあんっ!!

一瞬の後、輝く壁に激突する津波。
津波より高いシールドの壁に阻まれ、防がれたかと思った次の瞬間、
シールドで跳ね返った津波と、後続の津波とが合成され、
その高さは2倍に跳ね上がる!

「ほえぇ~~っ!!」

ドドドドドド・・・ザザザザザザ~ッ!!

シールドの壁で勢いは殺されたものの、高さを増して壁を越えた津波の
頭の部分は、さくらちゃんの上に滝のようになだれ落ちるのでした。

「さくらちゃん!」
「あ、あかん!」

津波に飲まれたさくらちゃんの方へ駆け出そうとする知世ちゃんの服の
えり首をくわえて空へと脱出するケロちゃん。
津波の大部分を防いでいた輝くシールドの壁が崩れ、
泡立ち荒れ狂う波が宙に浮かぶ知世ちゃんの足元をかすめて通り過ぎます。

「離してください!さくらちゃんが、さくらちゃんが・・・!」
「むぐぐ・・・冷静になるんや、知世!
 もう少し海が落ち着かんと、さくらの位置もわからへん!」
「・・・さくらちゃん・・・!」

知世ちゃんの足の下には、津波の余波で砕け、逆巻く海が広がっている。
さくらちゃんのシールドのために勢いを大部分殺され、
堤防を越えられなかった津波がその怒りをぶちまけているかのようだ。

「ケロちゃん、もう少し下に降りてください!
 わたくしがさくらちゃんをさがしますわ!」
「く~っ・・・あ、あかん!わいかてそうそう知世を支えられへんのや!」
「ケロちゃんに浮き袋代わりになっていただければ、わたくしでも泳げます。
 私なら、さくらちゃんを誰よりも早く見つけられるはずです!」
「んなこと言うたかて・・・知世をこんな冷たい海に落としたなんて
 知れたら、わいがさくらに怒られる・・・」
「お願いいたします!ケロちゃん!」(うるうる)
「・・・しゃあない・・・知世、頼むでぇ!
 さくらを一刻も早よう見つけるんや!」
「はい!」

知世ちゃんの「お願い」には、ケロちゃんですら逆らうことはできません。
ケロちゃんはフードの中で知世ちゃんをくわえてぶら下げたまま、
水面近くまで降りてさくらちゃんをさがします。

「う~っ、く~っ、あ、あかん、もうもたへん!」
「あそこですわ!さくらちゃん!・・・きゃ~っっ!?」

ドッポーン!

1分ももたずにねを上げるケロちゃん。
それでも、あきらめずにさくらちゃんをさがす知世ちゃんは、
とうとう波間に白いものを見つけます。
しかし、ケロちゃんの力が尽き、波間にただようさくらちゃんのいる所に
一緒に墜落してしまうのでした。


★海水浴場 堤防の上

「本物の、『魔法少女』・・・!!」

堤防の上から、裸の女の子が棒のようなものを振ると同時に輝く壁が現れ、
津波を食い止めるのを目撃したまろん。
その一瞬後、壁を這い登ったように見えた津波が壁を越え、少女の上に
なだれ落ちるのも、後ろにいた少女が空を飛んで逃れるのも見てしまい、
しばしあっけにとられていました。

(そうよね、天使がいるんだから、魔法少女がいたっておかしくないわよね。)

目の前で起きたことがしばらく理解できずに、変な連想をしているまろん。
しかし、空を飛んでいた少女まで海に墜落するに及んで、ようやく我に返ります。

同じくあっけに取られて見守っているフィンを放っておいて、
堤防の上から飛び降りるまろん。

「ジャンヌダルクよ、力を貸して。」

ロザリオを胸に抱き、ジャンヌに呼びかけるまろん。
堤防の下まで達して渦を巻いている海に着地すると共に騎士
ジャンヌ=ダルクのシルエットがまろんの姿を覆い、
次の瞬間まろんは怪盗ジャンヌへと変身しているのでした。

「強気に本気、無敵に素敵、元気に、勇気!」

そのまま海へと飛び込み、空を飛んでいた少女が落ちたあたりへと泳ぐジャンヌ。
おそらく、空を飛んでいた少女は津波に飲まれた少女をさがしていて、
魔力が尽きて海に落ちたのだろう。
だから、その落ちた近くに二人の魔法少女はいるはず。

悪魔も、天使も、怪盗も、魔法少女も関係ない。
今、目の前におぼれている二人の少女がいる。
まろんが冷たい冬の海に飛び込むのに、他に理由はいらなかったのです。


★海水浴場 海の上

「さくらちゃん!さくらちゃん!しっかりして下さい!」

ぐったりとなり、目をつぶっているさくらちゃんの体を抱え、
岸へ向かって泳ぐ知世ちゃん。
息継ぎのできない知世ちゃんは元々10mしか泳げませんが、
ケロちゃんが残った力で浮き袋代わりに二人の体を浮かせています。

「く~っ!わ、わいが真の姿に戻れさえすれば・・・
 二人くらいか~るく持ち上げられるんやけどなあ・・・」

砕けた津波の余波で荒れていた海もようやく静まってきて、
堤防の下に砂浜が見えています。そこまではわずか数十メートルの距離。
しかし冷たい海に体温を奪われ、体を動かすのもつらい知世ちゃんが
さくらちゃんを抱えたまま岸まで泳ぐのは容易なことではありません。
少し岸に近付いたかと思えば、波で引き戻されてしまうのでした。

「はあ、はあ、はあ・・・」
「?・・・だ、誰か来よる!?」

バシャバシャと泳ぐ水音がして、岸の方から知世ちゃんの所に近付いてくる人影。
まさか全部見られていたとは思いませんから、ケロちゃんは
浮き袋モードのまま知世ちゃんのフードの中で体を硬くします。

「助けて・・・さくらちゃんを、助けて!」

人影を認めて、知世ちゃんは自分のことより
気絶しているさくらちゃんを助けてほしいと声を張り上げるのでした。

(・・・いた!良かった、二人ともいるわ!)

波間に浮かぶ少女の姿を認め、助けを求める声を聞き、
さらに泳ぎに力が入るジャンヌ。
しかし、和服風で長い振り袖が付いたジャンヌの衣装は、
足はともかく手の方は非常に泳ぎにくいものでした。

(変身していれば、水もあんまり冷たくないけど・・・
 このままじゃ、二人も抱えて泳げないわね。)

手に絡まる服に辟易したジャンヌは意を決し、
少女達の所に到達する寸前で頭のリボンをつかみ、引っ張ってほどきます。
変身シーンを見られてしまってもかまわないという思いで。

蝶結びになっているリボンがほどけると、
ジャンヌの変身が解け、まろんの姿へと戻ります。
水の冷たさに震え上がりながらも、まろんは二人の少女の元へと辿り着き、
二人を抱えて岸へ向かって泳ぎ出すのでした。

(・・・今、この方の姿が変わったような・・・?)

見知らぬお姉さんに抱えられ、岸へと運ばれる、
さくらちゃんを抱えたままの知世ちゃん。
薄暗くなってきた周囲に、自分の見間違いだろうと、
今はそれどころではないとも思い、それ以上考えるのはやめにします。
そんなことより、自分の腕の中でピクリともしない
さくらちゃんの方が気がかりでした。

(・・・二人分抱えているはずなんだけど・・・ずいぶん、軽いわねえ。
 うらやましいわ・・・)

こちらは、抱えている少女達の体重が妙に軽いことを
うらやましがっているまろん。
実は、ケロちゃんが知世ちゃんのフードの中に隠れたまま残された魔力で
浮力を作っているせいだったのですが、まろんは
まさか「魔法少女お付きの小動物」までいるとは気が付きません。

妙に軽い少女達を抱え、ようやく足が付く所まで辿り着いたまろんは、
そのまま二人を抱えてザブザブと砂浜へと上がって行くのでした。


★海水浴場 砂浜

とりあえず、まろんが砂浜まで上がって二人の少女を降ろすと、
一人は気絶しているのかぐったりと横たわります。
しかし、もう一人は冷え切っているだろう自分の体も気にしないようで、
かいがいしく気絶している少女の介抱を始めるのでした。

まず、横たわる少女の胸に耳を当てて心臓の鼓動音を確認し、
唇と鼻に手を当てて呼吸を確認・・・どうやら呼吸していないらしい。
すると、すかさず少女の上に乗り、胸を圧迫して水を吐かせると共に、
少しもためらわずに少女に口付けして、人工呼吸を始めます。

その勢いは、まろんが手を出す暇もないほど正確・的確なもので、
しばしまろんは赤い夕日と海をバックに、
口付けを交わす二人の少女の姿に見とれてしまうのでした・・・

(・・・あら、すっぱだかじゃなかったのね。
 ちゃんとウエットスーツを着てるじゃない。)

しばらく見とれていたまろんが、砂浜に横たわる少女が裸ではなく、
ちゃんと服を着ていることに気が付いたのはかなり後になってから。
それまでは、夕日の中で口付けをする二人の姿が、
美しくも猟奇的な光景だと思い込んでいたのでした。

何せ、春休みとは言え海水温は真冬の海と大差ないですから、
すっぽんぽんのびしょ濡れの少女の上に、服を着ているものの同じく
びしょ濡れの少女が覆い被さって口付けをしている姿は、
まろんに寒気を催させるほど美しくもあり、寒そうでもあったのです。

(・・・ほんとに寒気がするわね・・・)
「はあ、はあ、はあ・・・」

体が震えたため、自分自身もびしょ濡れだったことに気が付いたまろん。
見ると、人工呼吸をしている少女は寒さで震えてはいないようだが、
肺活量がないためか息を切らしていた。

「私が、代わるわ。」

少しためらった後、砂浜に横たわる少女の上からどいた髪の長い少女。
心配そうに横たわる少女を見た後、まろんの方を見て、
両手を祈るように組みあわせてうるうるお目々で「お願い」します。

「お願い、いたします・・・」
(・・・く~っ!か、かわいい・・・)

こうして、知世ちゃんの「お願い」攻撃は
まろんをもノックアウトしてしまうのでした。(^^;

「はあはあ・・・背中が、暖かいですわ・・・
 ケロちゃん、ありがとうございます。」
「すまんなあ、知世。今のわいにはこんなことくらいしかできんのや・・・」

小声で話を交わしながら、夕焼けの海をバックにさくらちゃんに
口付けをする、きれいなお姉さんを見守る知世ちゃんとケロちゃん。

ケロちゃんは、知世ちゃんのフードの中に隠れたまま、ファイアリィ(火)の
カードの力を使って、湯たんぽ代わりに知世ちゃんの体を暖め、
間接的にさくらちゃんの体をも暖めていたのでした。

「浮き袋でも、湯たんぽでも、ケロちゃんがさくらちゃんを助けるために
 一生懸命なのは変わりありませんわ。」
「ま、まあ、こんな所で主(あるじ)を失のうたら、
 わいの守護獣としてのプライドがやな・・・」

照れ隠しに言い訳をするケロちゃん。
とにかく、ケロちゃんのおかげで、知世ちゃんだけではなく
冷え切ったさくらちゃんの体にもぬくもりが戻ってきていた。
しかし、さくらちゃんはまだ息を吹き返さない。

知世ちゃんは、きれいなお姉さんがさくらちゃんに口付けして
人工呼吸をするのを、かすかな嫉妬と共に心配そうに見守るのでした。

(あら?この子・・・体が暖かい?)

さぞかし冷え切っているだろうと思った髪の短い少女の体は、
まろんが覆い被さってみると意外にもわずかに暖かかった。

(体温が回復しているのにまだ息を吹き返さないのは・・・
 やっぱり酸素が足りないからかしら?
 小学生くらいの子供の肺活量じゃ、
 充分な酸素を送り込めないのかもしれないわね。)

新体操部に入るべく体を鍛えている自分なら、少女に酸素を補給するに
充分な肺活量があるだろう。そう考えたまろんは、
大きく息を吸い込んで横たわる少女の唇に自分の唇を重ねます。

(あ・・・やわらかい・・・)

間近で見る夕日に照らし出された髪の短い少女は、
先ほど自分に「お願い」をした髪の長い少女に匹敵する美少女だった。
まるで「眠りの森の姫」に口付けする王子様のような気分になった
まろんですが、ゆっくり唇の感触を楽しんでいるわけにはいかない。

「ふ~っ・・・す~っ・・・ふ~っ・・・」

少女の胸が膨らむほど息を吹き込んでは唇を離し、
大きく息を吸い込んでは再び口付けて息を吹き込む。
何度も、何度も繰り返し・・・目覚めることを願いながら。

(・・・これって、私のファーストキスなのかな・・・
 ううん、人工呼吸はキスとは違うわよねっ!
 そんなこと言ったら、この子のファーストキスの相手は
 あの髪の長い子ってことになっちゃうもん。)

人工呼吸を続けながらも、なんだか不謹慎なことを考えているまろんなのでした。


◆アイキャッチ入りま~す(長いからアイキャッチも複数)◆

(2/4はここまでです)

 後半部分は、8/17早朝に投稿する予定です。
 私のフォロー記事はその後にでも。
 では、また。

Keita Ishizaki

未読、
2001/08/15 18:06:432001/08/15
To:
石崎@夏休み中です

その1及び藤森さんからの挨拶は、
<9leqm1$gt3$1...@news01cd.so-net.ne.jp>よりお楽しみ下さい。

改ページ後より、藤森さんの妄想です。

(ここから藤森さんの妄想)

アニメ版妄想小説No.10『さくらとまろんと冬の海』(その2)

★海水浴場 堤防の上

堤防の影に隠れて、ドキドキしながらさくらちゃん達の撮影現場を
覗き見しているまろんとフイン。

砂浜の二人の動きが急に慌ただしくなったのを見て不審に思うまろん。
二人の子供を覆って大きな影が海から砂浜に伸びて行くのに気が付き、
沖に目を転じてやっと理解します。

堤防の上からではまだ太陽が見えるのですが、
盛り上がった海が太陽を覆い隠し、その影が砂浜まで達していたのでした。

「だめよ、まろん!あの子たちのいる所に辿り着く前に津波が襲ってくるわ!」

堤防から飛び降りて、波打ち際にいる子供達の所まで走ろうとしている
まろんの耳をつかんで引き止めるフィン。

(津波に飲み込まれても、絶対あの子達を助けなきゃ!)


★海水浴場 砂浜

「おらへんもんはしゃあない!さくら!がんばるんやで!」
「うん!」


★海水浴場 堤防の上

「まさか、本当に悪魔はあの子達に取り憑いているんじゃ・・・?」

「ちょっと、様子を見た方がいいんじゃなぁい?」
「そ、そうね・・・」


★海水浴場 砂浜

「ここに、町を守る壁を作れ!シールド!」

「いけませんわ!さくらちゃん!その高さでは・・・!!」

ゴゴゴゴゴゴ・・・どっぱあんっ!!

「ほえぇ~~っ!!」

ドドドドドド・・・ザザザザザザ~ッ!!

シールドの壁で勢いは殺されたものの、高さを増して壁を越えた津波の
頭の部分は、さくらちゃんの上に滝のようになだれ落ちるのでした。

「さくらちゃん!」
「あ、あかん!」

津波に飲まれたさくらちゃんの方へ駆け出そうとする知世ちゃんの服の
えり首をくわえて空へと脱出するケロちゃん。
津波の大部分を防いでいた輝くシールドの壁が崩れ、
泡立ち荒れ狂う波が宙に浮かぶ知世ちゃんの足元をかすめて通り過ぎます。

ドッポーン!


★海水浴場 堤防の上

「本物の、『魔法少女』・・・!!」

(そうよね、天使がいるんだから、魔法少女がいたっておかしくないわよね。)

同じくあっけに取られて見守っているフィンを放っておいて、
堤防の上から飛び降りるまろん。

「ジャンヌダルクよ、力を貸して。」

「強気に本気、無敵に素敵、元気に、勇気!」


★海水浴場 海の上

「さくらちゃん!さくらちゃん!しっかりして下さい!」

「助けて・・・さくらちゃんを、助けて!」

人影を認めて、知世ちゃんは自分のことより
気絶しているさくらちゃんを助けてほしいと声を張り上げるのでした。

(・・・いた!良かった、二人ともいるわ!)

(変身していれば、水もあんまり冷たくないけど・・・
 このままじゃ、二人も抱えて泳げないわね。)

手に絡まる服に辟易したジャンヌは意を決し、
少女達の所に到達する寸前で頭のリボンをつかみ、引っ張ってほどきます。
変身シーンを見られてしまってもかまわないという思いで。

(・・・今、この方の姿が変わったような・・・?)

(・・・二人分抱えているはずなんだけど・・・ずいぶん、軽いわねえ。
 うらやましいわ・・・)

妙に軽い少女達を抱え、ようやく足が付く所まで辿り着いたまろんは、
そのまま二人を抱えてザブザブと砂浜へと上がって行くのでした。


★海水浴場 砂浜

(・・・あら、すっぱだかじゃなかったのね。
 ちゃんとウエットスーツを着てるじゃない。)

(・・・ほんとに寒気がするわね・・・)
「はあ、はあ、はあ・・・」

「私が、代わるわ。」

小声で話を交わしながら、夕焼けの海をバックにさくらちゃんに
口付けをする、きれいなお姉さんを見守る知世ちゃんとケロちゃん。

知世ちゃんは、きれいなお姉さんがさくらちゃんに口付けして
人工呼吸をするのを、かすかな嫉妬と共に心配そうに見守るのでした。

(あら?この子・・・体が暖かい?)

さぞかし冷え切っているだろうと思った髪の短い少女の体は、
まろんが覆い被さってみると意外にもわずかに暖かかった。

(体温が回復しているのにまだ息を吹き返さないのは・・・
 やっぱり酸素が足りないからかしら?
 小学生くらいの子供の肺活量じゃ、
 充分な酸素を送り込めないのかもしれないわね。)

(あ・・・やわらかい・・・)

人工呼吸を続けながらも、なんだか不謹慎なことを考えているまろんなのでした。


◆アイキャッチ入りま~す(長いからアイキャッチも複数)◆

(2/4はここまでです)

--
Keita Ishizaki mailto:kei...@fa2.so-net.ne.jp

Keita Ishizaki

未読、
2001/08/16 17:31:262001/08/16
To:
石崎@夏休み中です

 この記事は、とある事情でNetNewsに投稿できない藤森英二郎さんより頂いた、
さくら&ジャンヌ妄想小説です。
 そう言うのが好きな人だけどうぞ。

#ちなみに、News自体は現時点ではまだ読めるそうです。
#ただ、それもそろそろ危ないとか何とか(汗)

 長さの関係で4分割しました。この記事は、4分割投稿のその3です。
 以前の記事は、

その1及び挨拶<9lerpv$ijg$1...@news01ce.so-net.ne.jp>
その2    <9leqm1$gt3$1...@news01cd.so-net.ne.jp>

 …よりお楽しみ下さい。


改ページ後より、藤森さんの妄想です。

(ここから藤森さんの妄想)

C.C. SAKURA OriginalStory#10 C.C.SAKURA VS K.K.Jeanne Episode0

アニメ版妄想小説No.10『さくらとまろんと冬の海』(その3)


★海水浴場 砂浜

「う・・・うん・・・」

とうとう息を吹き返し、ゆっくりと目を開けるさくらちゃん。
その目に入るのは、目にいっぱい涙をためながら心配そうに覗き込む
知世ちゃんと、自分に覆い被さっている見知らぬきれいなお姉さん。

「ほえ・・・?わ、私、どうしちゃったの・・・?」
「良かった・・・さくらちゃん・・・さくらちゃんがおぼれている所を、
 このお姉さんに助けていただいたのですわ。」
「えっ!あ、ありがとうございます!」
「え、えと、私はちょっと通りがかっただけよ。お礼ならこの子に言って。
 あなたが息を吹き返したのは、この子の介抱のおかげだから。」
「知世ちゃんも、ありがとう・・・」
「じゃ、私はもう行くわね。また大波が来るかもしれないから、
 あなた達もすぐ堤防の上まで逃げるのよ!いいわね!?」
「あ、あの、本当に、ありがとうございました。」

目を開けて夕日に照らし出された少女の顔が、さらに美しく
見えてしまったまろんは、自分自身も決して夕日のせいではなく
顔を赤くして、そそくさと堤防の方へと走り去ってしまいます。

「あ・・・お名前をお聞きしませんでしたわ・・・
 さくらちゃんの命の恩人ですのに・・・」
「それより、ウェイブ対策を練らんとあかん。
 ウェイブは沖に退いただけなんや。また来るで!」

「・・・ほえ~っ!!」
「!?どうしました?さくらちゃん!」
「封印の杖が・・・ない!」
「な、なんやてえ!」

さくらちゃんが持っていた封印の杖も、知世ちゃんが持っていたビデオカメラも、
津波に飲まれた混乱の中でどこかに放り出してしまっていたのでした。
(クロウカードは、ウェットスーツの
 カード専用ポケットの中に入っていたので無事。)


★海水浴場 堤防の上

「フィン!フィン!!いる?」

堤防の上まで駆け上がり、フィンを探すまろん。
どうも相手が悪魔ではないようなので、
フィンは手を出せずにそのまま堤防の上で見守っていたのでした。

「まろ~ん。途中で変身を解くなんて、無茶をして・・・大丈夫なの?」
「私のことはいいの!それより、あの子達が・・・あ~っ!やっぱり!」

まろんが砂浜の方を振り向くと、案の定二人の魔法少女は
逃げ出そうとはしておらず、それどころか砂浜や波打ち際のあたりを
走り回って何かを探しているようだ。

「やっぱりって・・・どういうことなの?」
「フィン、お願い!多分魔法の杖だと思うけど・・・それを探してあげて!」
「ま、魔法の杖ぇ!?」

人間界のテレビアニメを熱心に見ていたわけではないフィンには、
魔法少女だとか魔法の杖だとか言われても状況がよく理解できません。
しかしまろんには、あの二人の魔法少女が自分と同じように何か使命を持って
津波を食い止めようとしているのだということが直感的にわかるのでした。

「あの子達は、人に知られたくないだろうから、
 私が探してあげるわけにはいかないのよ!でも、フィンなら・・・」
「ちょっとまろ~ん、私にわかるように説明して!」

「んもう、じれったいわねえ・・・あの子達が光の壁を作って
 津波を食い止めようとしたのはフィンも見てたわよね?」
「う、うん・・・」
「あの津波が悪魔の仕業かどうかはともかく、
 何か不思議な力が原因で起きているのもわかるわね?」
「確かに、悪魔とは違う変な気配は感じたけど・・・」
「その気配、今も感じる?」
「えっと・・・うん、感じるわ!あっちよ!」

堤防の上から、沖の方を指差すフィン。
太陽は半分ほど水平線に沈み、さっきまでの荒れようが嘘のような
静かな海が広がっているが、津波を起こした「何者か」はまだ沖にいるのだ。

「津波は、また来るのよ。あの子達は、その津波を食い止めようとしているの。」
「人間に、そんな無茶なことできるわけないじゃない!」
「あの子達も、怪盗ジャンヌと同じように普通の人じゃないってことね。
 さっきの津波だって、見事防いだじゃない。
 ちょっと壁の高さが足りなかったけど。」
「それが、魔法少女なの・・・?」
「そう。そして、あの子達はこのロザリオやプティクレアと同じくらい
 大事な杖を、津波に巻き込まれた時になくしちゃったんだわ。」
「あの子達はその杖を探しているのね?」
「私が他の人にジャンヌであることを知られたくないのと同様に、
 あの子達も自分達が魔法少女であることを知られたくないはずなのよ!
 だからお願い!フィン!!」
「わ、わかったわ・・・」

フィンなら普通の人には姿が見えないはずである。
仕方なくしぶしぶ砂浜へと飛んで行こうとする
フインの羽をつまんで引き止めるまろん。

「や~ん、何よう、まろ~ん。」
「フィンは海の中を探してあげて?」
「え~っ!こ、この寒いのにぃ~っ?!」
「天使なら風邪をひかないんじゃなあい?
 やってくんなきゃ、二度とジャンヌのお仕事はしてあげないんだから。」
「・・・んもう!わかったわよ!やればいいんでしょっ!」

まろんにつかまれている羽を振りほどき、海へと飛んで行くフィン。
「魔法の杖」がどんな形状の物かも知らぬまま・・・


★海水浴場 海の中

(暗ろうてよう見えんなあ・・・)

封印の鍵を探して、暗く冷たい海の中を進むケロちゃん。
外はまだ明るいのですが、沈みかけた太陽の光は海の中まであまり届きません。
さくらちゃんたちは、砂浜を知世ちゃん、波打ち際をさくらちゃん、
海の中をケロちゃんが探すように分担していたのでした。
そして、フィンと話をしていたまろんは、知世ちゃんのフードの中から
黄色い物体が飛び出して海の中に飛び込むのを見ていなかったのです。

(そうや!グロウの力や!)

グロウの力を使って、みずから光を発するケロちゃん。
ケロちゃんの体からこぼれ出た光の粒は、沈むでもなく浮かび上がるでもなく
漂って、海の中を少し明るくします。
元々真冬でも自前の毛皮(?)一枚で平気なケロちゃんは、
ファイアリィの力を使えば冷たい海の中でもへっちゃら。
海中の探索もみずから志願したのです。

(早よう見つけんと・・・)

明るくなっても、津波のせいで舞い上がった砂がまだ漂っている海の中。
あまり視界がきかずにあせるケロちゃんですが、自分の目と封印の鍵の
わずかな魔力の気配を頼りに探し続けるのでした。

(つ、冷た~いっ!さ、寒いなんてもんじゃないわ!こ、凍っちゃうよ~っ!)

こちらも海の中を魔法の杖を探して進むフィン。
天使は人間としての感覚を残しているので、風邪をひかなくても寒さは感じます。

(魔法の杖って・・・どんな形の物なのよ~?さっきから見つかるのは、
 木の枝やゴミばっかり・・・え~ん、まろんのバカぁ~っ!)

とにかく、「杖」らしき形状の物を探すフィン。
津波に立ち向かった少女が棒状の物を持っていたのはフィンも遠くから
見ていましたが、さくらちゃんの手を離れた封印の杖が、
「鍵」の形状に戻ってしまっているなんて思いもしません。

(あれ?なんか、あっちの方に光が・・・何かしら・・・?)

フィンは暗い海中で、何やら光る物体が漂ってくるのを見つけ、
そちらの方向へと進路を変えるのでした。

(な、何や?魚にしては変な生き物やな・・・?)
(ホタルイカか何かの集団だと思ったら・・・な、何なの~?)

ケロちゃんの目の前にいるのは、人間のような姿をしているものの妙に小さく、
しかも羽が生えている生き物。
フィンの目の前にいるのは、どう見ても羽が生えたぬいぐるみだが、
発光しているし動いていた。
しばしにらみ合ったまま動かないケロちゃんとフィン。
水中ではお互いしゃべることもできず、相手の動きを見守るだけです。

(・・・あ、あかん、息が苦しゅうなってきよった・・・)
(・・・これ、私が見えてるみたい・・・ん~っ・・・ブクブク・・・)

お互い息が切れてきた二人(二匹?)は慌てて水面へと浮かび上がり、
頭を出して荒い息をつくのでした。

「ぷはあっ!し、死ぬかと思たあ!」
「はあはあ・・・だ、誰よ、あなた!」
「なんや、しゃべれるんかい。わいはクロウカードの守護獣、ケルベロスや!」
「ケロベロス?」
「ケ・ル・ベ・ロ・スや!決してケロちゃんなんかやないで!」
(な、なんなのよ~!こんな生き物がいるなんて聞いてないわよ~っ!)

「そういうお前は・・・」
「な、何よ!」
「その顔、その体、その羽・・・」
(ギクギクッ!)
「妖怪やな!」
(ブクブク・・・)

「天使」だと見破られたかとあせったフィンですが、「妖怪」だなどと
とんでもないことを言われて、力が抜けて沈んでしまいます。

「なんや、どないしたんや?」
ザバッ!
「誰が妖怪よ!私は・・・」

すぐに海から飛び出して全身を見せつけ、
天使だと名乗ろうとしてかろうじて思いとどまるフィン。
天使の存在を知らせていいのは、ジャンヌの生まれ変わりであるまろんだけです。
例え相手が自分の姿が見える得体の知れない生き物でも、
天使だと名乗るわけにはいきません。

「・・・妖怪なんかじゃないわよっ!」
(せめて『妖精』くらいに言って欲しいなあ・・・)

「妖怪やないとすると・・・その人間のような顔、その人間のような体、
 その白い羽・・・わいのよう知っとるやつによう似とる・・・」
(ドキドキッ!)
「お前、ひょっとしてユエの仮の姿か?」

ドボンッ!・・・ブクブク・・・

「ユエ」が何かはわからなかったフィンですが、人間に近い自分の姿と
白い羽を見て、「天使」以外に見られるとは思いもしなかったので、
またも力が抜けて海に落ちてしまったのでした。

ザバッ!

「や~、ユエ。久し振りやな~っ!」
「私は妖怪でもユエ?でもないわよ~っ!私の名前はフィン!!」

再び水面に浮かび上がったフィンの手を取り、
上下に動かして再会を喜ぶケロちゃん。
フィンはその妙に暖かい手を振り払い、
こんな得体の知れないモノとは付き合いきれないとそっぽを向きます。

「なんや、ユエやないんか・・・」(がっかり)
「そうだ!こうしちゃいられない!私は探し物してる途中だったわ!」
「あかん!わいも鍵を探しちょるとこやった!」
「えっ、『鍵』?」
「なあ、お前、鍵を見かけへんかったか?
 ペンダントになっちょる金色の鍵なんや!」
「ちょっと待って。『杖』じゃなくて『鍵』なの?」
「杖になる鍵なんや!ああっ、早よう見つけんと、また津波が・・・」
「ペンダントの『鍵』だったら、確かあっちの方で見たような・・・」
「ほんまか?!」

自分が来た方の、海の底を指差すフィン。
杖を探していたフィンは、海の底で金色に輝く『鍵』を見つけ、
それにわずかに妙な気配を感じたものの、杖ではないのでほっといたのでした。

「ありがとな~っ!『フン』~っ!!」

ゴボオッ!!・・・ブクブクブクブク・・・ザバッ!

「ゴホッ!ゴホッ!だ、誰が『フン』よ~っ!!
 わ、私は『フィン』なの~っ!!」

汚物のような発音で名前を略されてしまい、
三たび海中へと沈んでしこたま海水を飲んでしまったフィン。
しかし、得体の知れない生き物はとうに海中へと潜り、
フィンの絶叫にも似た訂正の言葉は届かなかったのでした。


★海水浴場 砂浜

「あったで~っ!」

波打ち際で封印の鍵を探していたさくらちゃんの元へ、
鍵を持って飛んでくるケロちゃん。
もう光っていないので、薄闇の中その黄色い体も遠くからは良く見えません。

「ケロちゃん?!」
「『フン』っちゅう妖怪に見つけてもろたんや!」
「よ、妖怪さん・・・ですか?」
「ほえ?」
「違うっちゅうとったけど、体が小そうて、羽が生えとって、
 海の中も空も自由に動けて、言葉もしゃべるんやから、妖怪しかあらへん!」

(そ、それだと、ケロちゃんも妖怪になっちゃうんじゃ・・・)
(ケロちゃんは、妖怪さんというよりは妖精さんですわね。)

さくらちゃんも知世ちゃんもケロちゃんに突っ込みたい所だったが、
今はその暇はない。
さっきからクロウカードの気配は再びどんどん大きくなり、
潮も引き始め、海鳴りも聞こえてきていたのである。

「今度こそ、封印しないと・・・レリーズ!」

ケロちゃんから封印の鍵を受け取り、封印解除して杖にするさくらちゃん。
ケロちゃんは再び知世ちゃんのフードの中に戻り、
いまだびしょ濡れの知世ちゃんを暖める仕事を続けます。

「おっ?知世もビデオ見っけたんか。」
「はい。防水仕様でしたので、なんとか無事でした。
 さくらちゃんの勇姿を収めたテープがだめになってしまわなくて、
 本当に良かったですわ~っ!」
「はうぅ~。」

無事ではあったが、砂だらけになってしまっているビデオカメラに
頬擦りしながらさくらちゃんの撮影を続ける知世ちゃん。
砂浜を探していた知世ちゃんは、鍵は見つけられなかったものの
自分が放り出したビデオカメラを見つけていたのでした。
重いビデオカメラは波にさらわれずに、そのまま砂浜に残っていたのです。

・・・ゴオオオォォォォォォ・・・

「き、来よったで!」
「こ、今度のは先程の津波よりはるかに大きいですわ!」
「シールドが効かへんとなると・・・ど、どないしたらええんやぁ!」

遠くからでもさっきの津波より大きいことがわかる、
高さ百メートルはあるかと思われる大津波。
沈みかけていた太陽をたちまち覆い隠して迫る巨大な黒い壁に対し、
さくらちゃんは少しもひるまず2枚のカードを取り出します。

「ファイアリィの時みたいに、2枚のカードを同時に使ってみる。」
「ウオーティさんと・・・ウィンディさん?」
「無茶や!あの大津波・・・もうクロウカードだけの力やない!」
「ほえ?」
「この一年の間に、この海岸で起こった波の力を全部集めたもんや!
 言わば、海そのものを相手にしちょるようなもんやで!」

「臨海学校の時、妙に波が静かだったのですが・・・
 まさかクロウカードさんがそんなことをしていたなんて。」
「・・・それでも、やらなきゃ・・・封印しなくちゃ!」
「さくら!」
「・・・だいじょうぶ。絶対、だいじょうぶだよ!」
「さくらちゃん・・・」

無敵の呪文を唱え、2枚のクロウカードを手に杖を構えるさくらちゃん。
その目の前には、海からそそり立つ巨大な水の壁が迫ってきているのでした。


★海水浴場 堤防の上

「まろ~ん!見つけたみたいよ。」

自分で「魔法の杖」らしきものを見つけることはできなかったものの、
「杖になる鍵」を探している得体の知れない生き物に、
鍵の場所を教えることができたフィン。
どうもその「鍵」が「魔法の杖」だったらしく、フィンは自分の役目を果たして
堤防の上で待つまろんの元へ戻ります。

「・・・って、なんでまたジャンヌに変身してるのよ~!」
「だって、寒いんだもん。」

びしょ濡れで震えていたまろんは、堤防の影で再びジャンヌに変身して、
寒さを凌ぎながら砂浜の少女達を見守っていたのでした。
ジャンヌは海から小さな物体が飛び上がって、少女達の元へと飛んで行き、
その後「さくらちゃん」と呼ばれていた少女が再び杖を手にするのも
堤防の影から目撃しています。

(フィンのおバカ~!誰が直接手渡せって言ったのよ~っ!)

と、思っていたのですが、どうも少女達の所に行った小さな影は
フィンではなかったようで、フィンはもっと離れた海中から空に飛び立ち、
自分の所まで飛んできたのでした。

「あの変なのが、『魔法少女お付きの小動物』なのかしら・・・?」
「えっ!あの子達、お付きの小動物もいたの!?」
「・・・動物・・・ねえ?自分ではケロなんとかだって言ってたけど。」
「じ~ん・・・本当に、魔法少女っているんだ・・・なんだか感動しちゃう。」
「あれがそうなら、あの子達も大変よね。」
「フィン、大変って?」
「とにかく、『変』な生き物だったの!」

変な生き物に『妖怪』呼ばわりされたばかりか、
汚物のようにまで呼ばれてしまって、まだフィンはプンプン怒っています。
ジャンヌの方はフィンの「ケロなんとか」という言葉から、
カエルのような小動物なんだろうと妙な想像をするのでした。

(カエル型なら、海の中もお手の物よね。やっぱりフィンより役に立ちそう。)

「さ、寒~う!ちょっとあっためてよ!まろ~ん。」
「キャ~ッ!な、何~っ!?」

びしょ濡れで震えているフィンは、ジャンヌの懐へもぐりこんでしまいます。
ジャンヌ自身も海に飛び込んでびしょ濡れになったのですが、変身を解き、
もう一度変身すると服は乾燥してきれいになっているのでした。

「あ~、ぬくぬく。」
「んもう!ほんとに役立たずなんだから!」

自分の胸の中で丸まったフィンに腹を立てながらも、
なんだか愛しいと思ってしまうジャンヌ。
フィンが来てから一人きりになることがほとんどなくなり、
寂しさを感じる暇もない。
ジャンヌの仕事は気が進まないが、その事だけはフィンに感謝していたのです。

・・・ゴオオオォォォォォォ・・・

「はっ!ちょっとフィン!のんきに丸まってる場合じゃないわよっ!」

ポンポンと自分の胸を叩き、フィンに再び津波が来たことを知らせるジャンヌ。
ジャンヌの懐から顔を出したフィンは、堤防よりもはるかに高い大津波が
沈みかけた太陽だけではなく、空全体を覆いそうな勢いで迫ってくるのを
見るのでした。

「な、何なのお~!?あれえ!」
「さっきの津波の倍どころじゃないわね・・・」
「冗談じゃないわ!あんなのに巻き込まれたら、
 ジャンヌと言えどもどうなることかわかったもんじゃないわよ?」
「そんなの関係ない!
 ・・・それに、あの魔法少女達だけじゃ止められないんじゃ・・・」

すでに自分自身が逃げ腰になっているフィンと、なんとしても
魔法少女達を助けて津波を止めたいと考えているジャンヌ。
先程の魔法の壁があの魔法少女達の力の限界だとしたら、
今度の大津波は間違いなく堤防を越えて町を壊滅させそうだ。
ジャンヌの専門は悪魔退治だが、
それでも何か自分にできることはないのだろうか?

「フィン、あれには悪魔は全然関わっていないのね?」
「・・・やっぱり悪魔じゃないわ。津波の中に、何か別の力を感じるの。」
「悪魔じゃないとしても・・・どうにかならないの?」
「ジャンヌの悪魔封印用のピンなら、一時的に動きを止めるくらいは
 できるかもしれないけど・・・」
「それでいいわ!」

左手でプティクレアをかざし、中からピンを取り出すジャンヌ。

「神の名の元に!」

1本・・・2本・・・プティクレアからジャンヌの力の及ぶ限りピンを出し、
右手の指ではさんでいきます。

「じゃ、ジャンヌ・・・」

3本・・・4本!

「はあはあ・・・こ、これなら・・・どう?」
「ジャンヌ・・・無茶をして・・・」

右手の指の間に1本づつ4本のピンをはさみ、
堤防の上に立って大津波を見つめるジャンヌ。
その前には、夕焼けで赤く染まった空を1/3ほども覆い隠した、
巨大な水の壁がそそり立っていたのでした。


★海水浴場 砂浜

「あの津波を止めよ!ウオーティ!ウィンディ!」

撮影している知世ちゃんの所からは水着に、堤防のジャンヌの所からは
やっぱりすっぽんぽんに見えるウエットスーツを着たまま、
封印の杖を振るって2枚のカードを同時に使うさくらちゃん。

開放されたウィンディは風の力で津波を押し戻そうとし、
ウオーティはウェイブに操られて津波を構成している水そのものを
逆に操って津波を押し戻そうとする。
遊園地を火の海にしたファイアリィをも一瞬で倒す、
4大元素のうち2つものカードの力。

「お~っ!津波の勢いが弱まったで!」
「すばらしいですわ!さくらちゃん!」

さしもの大津波もその勢いを弱め、ついには停止するかと思われたその時、
再びじりじりと津波はさくらちゃんの方へと動き出す。

「んんっ・・・!」
「さくらちゃん!」
「さくら~っ!」

目をつぶり、渾身の力で2枚のカードを操るさくらちゃん。
それでも、大津波は止まりません。

イレイズと自分自身を友枝町からこんなに遠くまで運んだことにより
力を使い果たしていたウェイブは、1年近くに渡ってこの近辺で発生した
波のエネルギーを全部吸収し、力を貯えていたのである。
その大質量とエネルギーは、ウオーティとウィンディの
同時攻撃ですら退けるほどだったのでした。


★海水浴場 堤防の上

「さっきとは違う魔法ね・・・すごい・・・」
「でも、まだ津波は止まってないわ!」

堤防の上から砂浜で津波を止めるべく魔法を使っている少女を見守るジャンヌと、
相変わらずジャンヌの懐に入ったまま顔だけ出しているフィン。
フィンは一刻も早く逃げ出したい所でしたが、
ジャンヌが踏みとどまっているので見捨てては行けません。

少女の魔法で極端に速度が遅くなったものの、まだ津波が少女に襲いかかろうと
少しづつ動いているのを確認したジャンヌは、
いよいよ自分もピンを投げるべく振りかぶります。

「こ、こんな遠くからピンを投げるの?」
「あの大きさなら、目をつぶってたって当たるわよ!」

自分の胸の間から心配そうに見上げるフィンをチラッと見て、
右手の指の間にはさんだ4本のピンに祈りを込めるジャンヌ。

「闇より生まれし悪しき者を、ここに封印せん!チェックメイト!」

ジャンヌは、堤防の上から迫り来る大津波に向け、
渾身の力を込めて4本のピンを同時に放つのでした。


#クロウ・リードの属性は「闇」だったから、
#クロウカードも「闇より生まれし者」になりますね。


★海水浴場 砂浜

(はう~っ!もう、だめぇ・・・ほえ?)

もうだめかと思われた時、さくらちゃんの頭上を4本の小さな光の矢が
通り過ぎ、目前にまで迫っていた水の壁に突き刺さります。
とたんに、電撃が走ったかのような光が津波の中を走り、
じりじりとさくらちゃんの方に迫りつつあった水の壁が停止するのでした。

「な、なんや?何が起こったんや?!」
「今ですわ!さくらちゃん!」
「う、うん!汝のあるべき姿に戻れ!クロウカード!」

津波が止まったのを見て、津波に向けて封印の杖を振るうさくらちゃん。
さしもの大津波もたちまち分解し、水のような魔力の流れとなって
封印の杖の先端に集まり、1枚のカードを構成します。

「・・・ふう。」
「やりましたわ!さくらちゃん!」
「ようやった!さくら!」

ついにウェイブを封印したさくらちゃんは、
気が抜けて砂の上にへたり込んでしまいました。
しかし、封印されたウェイブのカードはしばしさくらちゃんの頭上で
漂っていましたが、ふわふわと後ろの方へと飛んで行きます。

「ほえ~っ!」
「こ、こら~っ!どこ行くんや~っ!」

さくらちゃんは慌てて立ち上がり、
堤防の方へ飛んで行くウェイブのカードを追うのでした。


★海水浴場 堤防の上

「やった!やったわ!」
「あ、あの大津波が・・・消えちゃった・・・」
「消えてなくなっちゃったってことは、あの少女が創った魔法の壁と同じで、
 あの大津波も魔法の産物だったのかもね。フィン。」
「ま、魔法って・・・すごいのね・・・」

巨大な水の壁が跡形もなく消えてしまったことに驚きながらも、
大津波の脅威から開放されて喜ぶジャンヌとフィン。
自分の放った悪魔封印用のピンがどれだけ役に立ったのかはわかりませんが、
それでも魔法少女達の手助けができたらしいのは誇らしくもありました。

「あら?ジャンヌ、何か変よ?」
「えっ?」

改めて砂浜の方を見ると、ぼんやりと光る極小の物体がジャンヌめがけて
飛んで来る。そして、それを追うかのように二人の魔法少女が
堤防の方へと走って近づいていた。

(ま、まさかあの変な生き物なんじゃ・・・)
(まずいわ!ジャンヌの姿を見られちゃう!)

一度会っただけなのに、フィンは二度と「自称ケロなんとか」の
「魔法少女お付きの小動物」には会いたくなかった。
まして、その変な生き物には自分の姿が見えている。
人がいる所で会ったら、自分の存在が人に知られてしまうかもしれない。

ジャンヌの方は、さっきまろんの姿で魔法少女達に会っているし、
少女達を助けた時に変身シーンを見られた恐れもある。
ここでジャンヌの姿を見られたら、まろんとジャンヌの関係を疑われそうだ。

「いや~ん!」
「へ、変身を解かなきゃ!」

フィンは慌ててジャンヌの懐から飛び出し、町の方へと逃げてしまう。
ジャンヌは、頭のリボンをほどいてまろんの姿へと戻るのでした。

変身を解いたまろんの目の前にぼんやりと光る小さな物体が止まり、
光を失ってまろんの手へとスーっと降り立つ。
つかんで見ると、それは一枚のカードだった。

(・・・「波」・・・「WAVE」・・・?)

まろんの手の中にあるのは、漢字と英語の文字、
それに波の絵が書いてあるタロットのようなカード。

(・・・どうもあの大津波は、こいつのせいだったようね・・・)

悪魔を封印するとチェスの駒になるのと同様に、
フィンが感じた力の源を封印するとこのようなカードになるのだろう。
今、堤防に付いている階段を駆け登ってくる魔法少女達は、
このカードを集めているらしい。

(・・・魔法少女も、大変なんだ・・・)

怪盗家業(悪魔封印業)を始めたばかりのまろんにも、
その大変さは容易に想像できる。
今回の津波のように、その「力の源」が悪魔以上に直接的に
人に災いをもたらすものならなおさらだ。
実際、魔法少女達がいなければ、まろん自身のみならず町まで
大津波に呑み込まれていただろう。

(・・・これは、私には無用の物ね。)

魔法少女達の大体の事情を理解したまろんは、
息せき切って堤防の上まで駆け上がってきた魔法少女に、
このカードを渡すことを決意するのでした。

「はあ、はあ、はあ・・・」
「はい、これ。落とし物よ。」

高い堤防を駆け上がって息を切らしているさくらちゃんの前にいるのは、
さっき助けてくれたきれいなお姉さん。
そのお姉さんが、「全てわかっているわ」というようなほほ笑みを浮かべながら
自分にクロウカードを差し出している。

「ほ、ほえ・・・?あ、あの・・・」(なんだか、観月先生みたい・・・)

にっこりとほほ笑んでカードを差し出している目の前のお姉さんを、
メイズの時の観月先生に重ねてしまったさくらちゃんは、
思わず顔がゆるんで「はにゃ~ん」となってしまいます。

「あ、ありがとうございます・・・」

にこやかな顔の中にも観月先生同様有無を言わせぬ迫力を感じ取った
さくらちゃんは、観月先生の時と同じに何も聞かず素直に
クロウカードを受け取るのでした。

(く~っ!か、かわいい・・・思わず抱き締めたくなっちゃう。)
(ああっ!なんだかとっても絵になりますわぁ。)

その時、太陽は水平線の彼方にほとんど沈んでしまっていましたが、
堤防の上だけはかろうじて赤く照らし出していた。
さくらちゃんの後を追って堤防の上に駆け上がってきた知世ちゃんは、
「はにゃ~ん」となりながらお姉さんからクロウカードを受け取っている
さくらちゃんを、絶好のアングルで撮影しているのでした。

「ハ・・・ハ・・・ハックション!」

せっかくの美しいシーンをぶち壊すかのようにくしゃみをしてしまうまろん。
ジャンヌの服は、破れようが濡れようが変身するたびに
新品同様に再生しますが、まろんの服はそうはいきません。
変身前の状態をそのまま再現したまろんの服は、ケロちゃんのおかげで
なかば乾いている知世ちゃんの服とは対照的にびしょ濡れのままだったのです。

「いけませんわ!すぐ、濡れた服を脱いで体を暖めないと、
 カゼをひいてしまいます!」
「知世ちゃんのキャンピングカー、シャワー室あったよね?」
「もちろんですわ。さくらちゃんの命の恩人にカゼをひかせるわけには
 まいりません。ぜひ、熱いシャワーを浴びて行ってくださいな。」

「べ、別にいいわよ。私より、あなた達の方が
 熱いシャワーが必要なんじゃない?」
「私はウェットスーツだから大丈夫だよ。
 私より、普通の服のお姉さんと知世ちゃんの方がびしょ濡れなんだから、
 早く熱いシャワーを浴びないと。」
「わたくしはカイロ(ケロちゃん)がありましたから大丈夫ですわ。
 わたくしより、おぼれたさくらちゃんと、
 びしょ濡れのままこんな寒い所にいたお姉様の方が・・・」

「ハックション!」
「くしゅっ!」
「クシャン!」

「・・・ふふっ。」
「あははっ。」
「おほほっ。」

互いに譲り合っていた三人ですが、
三人共くしゃみをするに及んで笑い出してしまいます。
とにかく、早くしないと三人共カゼをひいてしまうと。

まろんはジャンヌに変身することによってその間寒さから身を守って
いたのですが、今は濡れた服と夕方の冷たい風に震えています。
知世ちゃんは背中のケロちゃんに暖めてもらっていましたが、
暖かいのが背中だけではさすがに長時間はもちません。
防水・防寒が完璧な知世ちゃん特製ウェットスーツを着ているさくらちゃんも、
長時間濡れたままでいたので体が震えてきていたのでした。

「・・・これは、三人とも熱いシャワーを浴びるべきですわ。」
「そうだね。知世ちゃん。」
「お、お願いしようかな・・・(ブルブル)」
「キャンピングカーのシャワー室ですから、三人で入るには
 さすがに小さいですけど、お湯はタンク式なのであまりもちません。
 狭くて申し訳ないですが、三人一緒に入るしかありませんわね。」
「うん!」
(さ、三人一緒って・・・え~っ?!)

あこがれの魔法少女の前ですっぱだかにならなければならないということに
戸惑うまろんの手を引き、さくらちゃんは駐車場に置いてある
知世ちゃんのキャンピングカーの方へと走って行きます。
そのほほえましい光景をも、
知世ちゃんのビデオカメラは余さず撮影しているのでした。

◆アイキャッチ入りま~す(最後のアイキャッチです)◆

(3/4はここまでです)

 では、最後の記事へと続きます。

Keita Ishizaki

未読、
2001/08/16 17:50:442001/08/16
To:
石崎@夏休み中です。

 この記事は、とある事情でNetNewsに投稿できない藤森英二郎さんより頂いた、
さくら&ジャンヌ妄想小説です。
 そう言うのが好きな人だけどうぞ。

#某アーカイブF及び偽アーカイブには早速登録されていますね(笑)

 長さの関係で4分割しました。この記事は、4分割投稿のその4です。


 以前の記事は、
 その1及び挨拶<9lerpv$ijg$1...@news01ce.so-net.ne.jp>
 その2    <9leqm1$gt3$1...@news01cd.so-net.ne.jp>

 その3    <9lhe3f$ak7$1...@news01de.so-net.ne.jp>

 …よりお楽しみ下さい。

 ここでお知らせ。
 4分割記事の予定でしたが、最後の記事が800行を越えてしまう事が判明し
(笑)、もう1つ後書きとおまけのショートストーリーの記事を追加します。

 改ページ後より、藤森さんの妄想です。


(ここから藤森さんの妄想)
>
C.C. SAKURA OriginalStory#10 C.C.SAKURA VS K.K.Jeanne Episode0

アニメ版妄想小説No.10『さくらとまろんと冬の海』(その4)


★海水浴場 駐車場 キャンピングカー内 更衣室兼脱衣所 夜

キャンピングカー内の脱衣所と思われる所で、赤くなりながらも
びしょ濡れで砂と塩だらけの服を脱いでいくまろん。
大型バス以上に大きなキャンピングカーに、「魔法少女の乗り物なら
小さくてピンクで派手」だろうと考えていたまろんは予想が外れてしまいます。
また、この場所も脱衣所にしては広く、通路に面していた妙に巨大な
クローゼットに繋がったドアもありました。

あこがれの魔法少女達の前で服を脱ぐことに顔を赤くしているまろんと異なり、
髪の長い魔法少女の方は小さい子だけあって
全然物怖じせずぱっぱと服を脱いでいます。
髪の短い魔法少女の方は、体に密着したウエットスーツを
少し脱ぎあぐねているようでした。

「知世ちゃん、背中のファスナー降ろすの手伝って。」
「はい。もちろんですわ、さくらちゃん。」
(・・・?変身してたわけじゃないの・・・?)

明るい所で近くから見るとピンク色で派手派手なウエットスーツ姿の
魔法少女の方は、てっきり変身した姿だと思っていたまろん。
シャワーのお誘いを最初断ったのは、魔法少女は変身する所を
見られたくないだろうと考えたせいもあるのですが、
彼女達はどうも普通の魔法少女とは違うようです。

見ると、ウエットスーツの背中にファスナーが付いていて、
髪の長い方の魔法少女が下着姿で手伝い、そのファスナーを下げていました。

(ウエットスーツって、普通は自分で脱ぎやすいように
 前にファスナーが付いているんじゃなかったっけ?)

さくらちゃん専用ウエットスーツのデザインを優先した知世ちゃんが、
着付けも自分でするつもりで背中にファスナーを付けたのですが、
この辺はまろんには理解できないことでした。

「あっ、そうそう。ボイラーのスイッチを入れてまいりますわ。」
「ほえ?・・・あ、うん。知世ちゃん、お願いね。」

ウエットスーツのファスナーを下げた後、下着姿のまま
自分が脱いだ服を抱えて、何やらさくらちゃんに目配せする知世ちゃん。
膨らんだ服のフードの中からケロちゃんの尻尾がはみ出しているのを見て、
さくらちゃんはケロちゃんのことを知世ちゃんにまかせます。
いつもならケロちゃんも一緒にシャワーを浴びる所ですが、
お客さんがいるのでさすがにそういうわけにはいきません。

(洗濯機ならここにあるのに・・・どこに持って行くのかしら?)

知世ちゃん同様下着姿になったまろんは、濡れた服を抱えて脱衣所から
出て行く知世ちゃんの方を不思議そうに見るのでした。


★海水浴場 駐車場 キャンピングカー内 脱衣所~シャワー室

知世ちゃんが手ぶらで戻ってきた時、さくらちゃんもまろんも
全部脱いでしまって、すっぽんぽんでバスタオルを巻いて震えていました。

「お待たせいたしました。もう熱いお湯が出るはずですわ。
 先に入っていて下さいな。」
「お湯はそんなにもたないんだよね?
 だったら、知世ちゃんも一緒に入らなきゃ。」
「それでは、大急ぎで。」

キャミソールとパンツを大急ぎで脱ぎ捨て、
すっぱだかになって先に立ってシャワー室に入る知世ちゃん。
さくらちゃんとまろんは体に巻いていたバスタオルを取り、
タオルを持ってシャワー室に入ります。

「ドア、締めたよ~。」
「シャワーを出しますわ。最初はぬるめで・・・」

1m四方もない狭いシャワー室に、文字通りおしくらまんじゅうのように
すし詰めになって入ったさくらちゃん、知世ちゃん、まろんの三人。
自分の裸のお腹から足にかけて魔法少女達の裸体が密着してしまい、
まろんはますます赤くなるのでした。

ザーッ!

「熱っ、あちっ!」
「冷え切った体には、もっとぬるめでも良かったですわね。」
「でも、気持ちいいよ、知世ちゃん。」

1本のシャワーを三人で浴びるため、ますます体を寄せてくるさくらちゃんと
知世ちゃんにサンドイッチになってしまったまろんは、
熱いシャワーのせいだけでなく体がほてるのを感じます。

(あまりのかわいさから思わず「抱き締めたい」とは思ったけど・・・
 こ、これは拷問だわ。あこがれの魔法少女が、二人も、
 すっぱだかで私に密着して・・・あ、あら?)

黒い瞳がじっと自分を見上げているのに気付いたまろんは、
自分の考えを読まれたのかと思わずどぎまぎしてしまいます。

「あの、お名前・・・まだお聞きしていませんでしたわ。」
「そうだ!あの、私は木之本さくら。そして、友達の大道寺知世ちゃん。
 お姉さんの名前は?」
「え、あ、名前・・・さくらちゃんに、知世ちゃんね?
 ・・・私は、日下部まろん。まろんでいいわよ。」

一瞬、泥棒である自分が正義の味方の魔法少女に名前を明かしていいものかと
ためらったまろんですが、「名乗るほどの者じゃないわ」なんてのはあまりに
キザだったので、素直に本名を教えるのでした。

「まろんさん・・・今日は、本当にどうもありがとうございました。」

密着されたまま二人に同時に頭を下げられ、お腹と脇腹にキスされた
格好になってしまったまろんは、さらに体を赤くしてしまいます。

「わ、私はほとんど何もしていないんだからいいわよ。」
(大津波から助けてもらったのは私の方だし・・・)

「まろんさん!少しかがんで下さい!私が洗ってあげます!」
「わたくしもお洗いいたしますわ!」
(ひ、ひえ~っ!!)

やっぱり、断って帰るんだったと後悔しているまろんに、
「命の恩人」だと思っているさくらちゃんと知世ちゃんは
精一杯サービスするのでした。

#ごほーし、御奉仕~!って、それは違うアニメ。
#サービス、サービスぅ!ってのも違うアニメだ。(^^;


★海水浴場 駐車場 キャンピングカー内 キッチン 同時刻

「は~、極楽、極楽~。」

お客さんがいるのでさくらちゃんと一緒にシャワーに入れなかったものの、
知世ちゃんにキッチンのシンクにお湯を溜めてもらい、
お風呂にして入っているケロちゃん。
ファイアリィの力を使っていたので自分の体は乾いていたのですが、
砂と塩だらけになってしまったので体も洗っています。

「ええ気分やな~。」

ぬるくなったら自分でファイアリィの力を使って追い炊きし、
頭の上に知世ちゃんのハンカチを畳んで載せ、御満悦なケロちゃん。

「なんや?」

お湯に浸かったままケロちゃんがキッチンの窓の外を見ると、
すっかり暗くなった外を何やら白いものが横切るのでした。

キャンピングカーの回りをうろうろ飛び回って中の様子をうかがっているフィン。
遠くから隠れて眺めていたため事情がわからないフィンには、魔法少女達が
まろんをキャンピングカーの中に拉致監禁したように見えてしまったのです。

(まろ~ん、大丈夫なの~?)

まろんを心配しているフィンでしたが、また得体の知れない生き物に
会うかもしれないと思うと、なかなかキャンピングカーの中まで踏み込めない。
しかし、中から話し声や笑い声だけではなく、まろんの悲鳴らしき声まで
聞こえてきて、もういてもたってもいられません。

声が聞こえる所には窓がないので、
その近くの窓に顔を付けて中を覗き込んでみるのでした。

「おおっ!お前は・・・」
(げっ!やばっ!)

窓から覗き込んだとたんに、海中で会った黄色いぬいぐるみのような
得体の知れない生き物と目が合ってしまうフィン。

「フンやないか!」

ずるっ・・・ドスン!

またも汚物のように呼ばれてしまい、フィンは窓からずり落ちて
アスファルトの地面に激突してしまいます。
ケロちゃんの方は再会を喜び、シンクのお風呂から出て窓を開け、
フィンに向かって手を振るのでした。

「わ、私は『フン』なんかじゃないわよっ!
 『フィン』!『フ・ィ・ン』なの~っ!!」
「まあ、そんなことはどうでもええ。」
「どうでもよくな~いっ!」

顔面からアスファルトに突っ込んでしまっていたフィンは一瞬で立ち直り、
キッチンの窓枠の所まで飛び上がってケロちゃんに食ってかかりますが、
ケロちゃんは汚れた顔でまくしたてるフィンにも平気な顔です。

「さっきはお前のおかげで助かったわ。そっちの探し物は見つかったんか?」
「・・・え、ええ、まあ。」
「そりゃよかったな。そや!一緒に風呂入らへん?」
「えっ?」
「ずいぶん汚れとるようやし。」
「誰のせいだと思ってんのよっ!」

「お前も海から上がったばかりで体洗ってないやろ?」
(・・・そうねぇ、服は天使の力で乾かしたけど・・・
 塩だらけでベトベトして気持ち悪いし・・・でも・・・)
「遠慮せんでええ!わいが洗ろうたるさかい!」

ためらうフィンでしたが、ケロちゃんはその手を掴んで
無理矢理シンクの湯船まで引っ張り込んでしまいます。

ドボンッ!

「キャーッ!な、何すんのよっ!」
「なんや?こん服どうやって脱がすんや?」
「そ、そんな所に触らないで~っ!この変態っ!」
「ああもう、めんどいから服ごと洗ろうたる!」

ザバッ!ジャブッ!ごしごし、ざぶざぶ・・・

「がぼっ!ごぼっ!ブクブク・・・」(た、助けて~っ!まろ~んっ!!)

こちらも、「封印の鍵を見つけてくれた恩人」に対して
大サービスで服ごと無理矢理洗ってあげるケロちゃん。
こうして、まろんはさくらちゃんと知世ちゃんに、
フィンはケロちゃんに全身くまなく洗われてしまうこととなったのでした。


★海水浴場 駐車場 キャンピングカー内 更衣室兼脱衣所

「ふう、ふう、ふう・・・」
「まろんさん、大丈夫ですか?」
「え、ええ・・・」

魔法少女二人に耳の後ろから足の指の間まで洗ってもらい、
お返しにキャアキャアと大騒ぎをしながら洗ってあげ・・・
そうこうしている内にタンクのお湯が尽きてシャワーが止まり、
まろんにとって楽しくも拷問のようなシャワータイムは終わりを告げました。

バスタオルを体に巻き、椅子に座ってぐったりしているまろんを、
同じくバスタオルを体に巻いたさくらちゃんが心配そうに覗き込み、
たたんだタオルで扇いで風を送っています。
長時間湯船に浸かっていたわけでもないのに、
まろんは体を真っ赤にしてすっかりのぼせてしまっていたのでした。

「まろんさん、今日はもう遅いですし、ここに泊まって行きませんか?」

三人分の着替えを用意しながらまろんに声をかける、
これまたバスタオルを体に巻いている知世ちゃん。
しかし、まろんは弱々しく首を横に振ります。

「わ、私は、今日中に帰らないといけないから・・・」
「そうなの?残念だね。」

本当に残念そうに言うさくらちゃんの顔を見て、まろんは少し胸が痛みます。
別に今日中に帰らなければならない用事があるわけではないのですが、
これ以上ここにいたら何をされるか、何をするかわかったものではありません。

(キャンピングカーの狭いベッドで、三人一緒に寝ましょうなんて言われたら
 ・・・体が持たないわ。私の理性も持ちそうにないし・・・)

これ以上一緒にいたら、自分は魔法少女に付いて
根掘り葉掘り聞いてしまうかもしれない。
正体を知られたくない魔法少女にとって、いくら恩人と言っても
まろんはいつまでもいてもらっては困る人だろう。

そして、今日の事はお互いに、お互いのためにもできれば忘れた方が、
忘れてもらった方がいいくらいのことなのだ。
そう考えたまろんは、断固帰ることを決意するのでした。

「残念ですわ・・・
 あ、これがお着替えです。サイズが合えばよろしいのですが。」
「・・・こ、この服を着るの・・・?!」

知世ちゃんがまろんに向けて差し出した両手に載っているのは、
たたんであってもわかる派手派手ふりひら付ピンクのスカートと上着、
それにレース付パンツにブラジャー。

「まろんさんが着ていた服をお洗いして乾かしている時間はありませんから、
 この服はさし上げますわ。さくらちゃんの命の恩人ですもの、
 これくらいは当然です。」
「で、でもこれ・・・」

まろんが手に取って広げてみると、ますます少女趣味な服の実体が明らかになる。
知世ちゃんが用意したのは、実は「成長したさくらちゃん」を想定して試作した
バトルコスチュームで、もちろんふりひらレース付ミニスカートであった。

「お気に召しませんか?
 でも、他は子供服ばかりでまろんさんが着れそうな服はないのですが・・・」

(濡れた服のままでも、ジャンヌに変身すれば大丈夫なんだけど・・・
 さすがにジャンヌの姿のまま電車で帰るわけにもいかないわねえ。
 でも、これ・・・え~ん、ジャンヌの服より恥ずかしいよう。)

「今日中に帰る」と言った以上、いまさらここに泊まって
着ていた服を乾かすわけにはいかない。
ジャンヌの姿では電車に乗れないし、ましてバスタオル一枚で帰れるはずもない。
ジャンヌの姿の時は変身しているからそれほど恥ずかしくはないが、
まろんの姿のままこんな服を着て人前に出ることを考えると、
その恥ずかしさは想像を絶する。

まろんは、夜中で電車に乗っている人が少ないだろうことを願いつつ、
やむを得ずひらひらの下着と服を着てみます。

「きつくはありませんか?それともゆるい所は?
 簡単な直しならこの場ですぐできますが。」
「え、ええ。大丈夫みたい。」

実際は少しブラがきつかったのですが、
こうなったら一刻も早く家に帰りたいまろんは、服の寸法直しを断ります。
こうして、まろんは自分自身がまさしく魔法少女そのもののような姿になり、
限界まで真っ赤になってしまうのでした。

(魔法少女って、ジャンヌより大変だし、恥ずかしかったのね・・・)


★海水浴場 駐車場 キャンピングカー近く

「今日は、本当にありがとうございました!」
「さようなら~っ!」

着替えた後、キャンピングカーの外までまろんを
お見送りに出ているさくらちゃんと知世ちゃん。
今度は普通の服を着ているさくらちゃんの方をうらやましそうに見てから、
自分の濡れたままの服を持ってまろんは意を決して歩き出します。

お互いに手を振り、別れを惜しむ三人。
両者の距離がかなり離れた時、キャンピングカーのキッチンの窓から
小さな白い物が飛び出し、後を追うように黄色い物も飛び出してきます。

白い物体の方はそのまままろんの方へ飛んで行き、黄色い物体の方は
途中で慌てて方向転換し、知世ちゃんの後ろに隠れてしまいました。

「ほえ?」
「あら、ケロちゃん。お風呂はいかがでしたか?」
「おう!いい湯やったで!」
「知世ちゃん、見えないの?」
「えっ?」
「あの人の方へ、羽のある、なんだかケロちゃんみたいなのが
 飛んで行ったんだけど・・・ケロちゃんは見えた?」

「・・・な、何だとぉ・・・」(顔つきが厳しくなったフィン)
「フィン、どうしたの?」
「え?私、どうかしてた?」(準天使の顔に戻ったフィン)
「?」

「もちろんわいにも見えとるで。
 知世に見えんとなると、ありゃやっぱ妖怪や、妖怪。
 あんなもんがわいに似とるなんて失礼やで、さくら。」
「よ、妖怪って・・・お、おばけ・・・ほえぇ~っ!!」

ドスンッ!

耳がいいのでこの会話も聞こえ、思わず地面に落っこち、
めり込んでしまったフィン。

「・・・お、おのれ・・・!!」(堕天使の顔になったフィン)
「フィン、何してんの?置いてくわよ!」(フィンの顔の変化に気付かないまろん)
「あ、待ってよ~!まろ~ん!!」(また元の顔に戻ったフィン)

せっかくケロちゃんに洗ってもらってきれいになった体を
またもほこりだらけにして、フィンは慌てて
堤防の下に置いて来たおみやげを取りに行くまろんを追うのでした。

「・・・?どなたか、いらっしゃったのですか?」
「わいはあの『フン』っちゅうやつと一緒に風呂入っとったんや。」

ドシャッ!

「もう、さっきから何やってんのよ、フィン。」
「・・・」(もはや言葉もないほど怒っているフィン)

「あいつが封印の鍵を見つけてくれたんや。
 お礼代わりにこのわいが体まで洗ってやったっちゅうに、
 ほんま無愛想なやっちゃで。」
「『フン』って・・・なんか変な名前だね。」

ズシャッ!

「風呂から上がって、知世にもろたハンカチで拭いてやった後、
 わいがドライヤー代わりになって乾かしたろ思て抱き付いたら、
 振りほどいて逃げよったんや。」
「わたくしにはその『妖怪さん』は見えないのですわね・・・残念ですわ。」

グシャッ!

「にしても・・・あの姉ちゃん、
 あん『フン』っちゅう妖怪に取り憑かれとったんか。大変やなあ。」

ドズンッ!

「フィンってば!」
「・・・・・・」

ふらふらになりながら、自分の耳が良すぎることを恨みつつ、
天使であることがばれなくて良かったとほんの少し思いながら、
妙に派手な格好をしているまろんの後を追うフィンなのでした。

#フィンが自分の意志で堕天使になれてたら、
#この後血を見たかもしれない・・・
#でもさくら対ジャンヌじゃなくて、ケロ対フィンになってしまうな。


★エピローグ その1 「その頃、木之本家では・・・」

「そういや、そろそろ兄ちゃん帰って来る時間やないか?」
「それならだいじょうぶ。ミラーさんにお留守番お願いしてきたから。」

「ただいま~。」
「あっ、お、おかえりなさいませ。」

玄関に入ってきた桃矢兄ちゃんに、キッチンから走り出てきて
あいさつするミラーさくらちゃん。
しかし、またも桃矢兄ちゃんは一目で見破ってしまうのでした。

「?・・・はぁ・・・また、さくらはどっか行ってんのか・・・」
「えっ、あの、その・・・」
「で、さくらは今日は泊りか?」
「え、そ、それは・・・」
「ま、いいか。晩御飯、できてんだろ?一緒に食べようぜ。」
「・・・は、はい!」

「あ、あの、お味はどうですか・・・?」
「うまい。」
「あ、ありがとうございます・・・」

(今夜はお兄様と、二人っきり・・・ぽっ。)

キャンピングカーの小さなベッドでさくらちゃんと一緒に寝られる
知世ちゃん同様、大きな幸せを感じているミラーさくらちゃん。
ウェイブのクロウカードはさくらちゃんをおぼれさせるという試練を
与えましたが、結果的に多くの人に幸福感をも与えたのでした。

#まろんは幸福過ぎてのぼせちゃいましたが。(^^;


★エピローグ その2 「その後、オルレアンでは・・・」

ピンポ~ン!

「こんな夜中に誰よ、まったく・・・」

こんな夜中でも構わず来るやつは一人しかいないだろうと思いつつも、
玄関まで走り出てドアを開ける都。

「・・・ブッ!・・・キャハハハハハハハ!!」
「・・・」

玄関の外に立っている人物は予想通りでしたが、
その姿・・・着ている服に都はお腹を抱えて笑い出してしまいました。

「ヒー、ヒー!な、何よその格好!!」
「・・・」

玄関の外に立っていたのは、白いレース付の
どピンク服とふりひらミニスカート姿のまろん。
都はまろんとは長い付き合いですが、幼少の頃からこんな少女趣味の
派手な格好をした姿など一度も見たことがありません。
中学も卒業したというのに、いったいまろんに何があったというのでしょう?

「・・・忘れない内に、おみやげだけ渡しておくわ。」

着ている服より赤くなっているまろんは、あいさつ抜きで本題だけ話し、
持っていた袋の中から都へのおみやげを取り出して押し付けます。

「クククク・・・お、おみやげ?アンナミラーズにでも行ってきたっての?」
「ちょ、ちょっと旅行にね。」
「何これ?『西伊豆みやげ』って・・・あ~っ!
 まろん、お昼のニュースでやってた大波を見に行ってたのね!
 言ってくれれば私も一緒に行ったのに~っ!」
「ごめん、都。だからこうしておみやげ買って来たんじゃない。」

おみやげの箱に貼ってあったシールを読んで、
まろんがどこに行っていたのかすぐにわかってしまった都。
では、大波が発生している海岸に野次馬しに行ったまろんが、
こんな服を着て帰って来たのはどういうわけか・・・

「はは~ん。」
「な、何よ!」
「さては、まろん・・・」
(ドキッ!)

「海に近づき過ぎて波をかぶったわね!」
「・・・う、うん、まあ・・・」
「それで、着替えを買おうとお店に行ったら、同じような人が殺到して
 全部売り切れてて、そんな服しか残ってなかったんでしょ。」
「ま、まあ、そんな所よ。」(ホッ)
「それにしても、よくそんな派手な服あったわねえ・・・まさか、下着も?」
「ちょ、ちょっと都、何を・・・キャーッ!」

まろんのスカートの裾をつかみ、思いっきり捲り上げて覗き込む都。
まろんはあわててスカートを押さえますが、時すでに遅し。
しかも、前を隠そうと後ろを向いたので、
結果的にパンツのお尻まで見せてしまいます。

「ププ~ッ!アハハハハハ・・・」
「・・・んもう!都のバカ~ッ!!」

笑い転げている都を後にして、怒りと恥ずかしさでますます赤くなってしまった
まろんは、都の家の向かい側にある自分の家に逃げ帰ってしまうのでした。

玄関から家の中に走り込んで、買い込んだグッズや湿ったままの
自分の服を入れてある大きな袋を怒りにまかせて叩き付けてしまうまろん。
続いて、着ている服も放り投げるように脱ぎ散らかしてしまう。

まろんの後を付いてきていたフィンは、「触らぬ神にたたりなし」とばかりに、
そ~っとまろんの側を離れようとするのですが、
またもまろんに羽を引っ張られて引き止められます。

「待って、フィン。」
「いや~ん、羽を引っ張らないで~っ!まろ~ん、いったい何~?」
「天使って、人間に正体を知られたら記憶を消したりしてるでしょ?」
「・・・き、聞いたことはあるけど・・・
 私はそんなドジ、したことないわよ~っ!」
「記憶を消せるのは本当なのね?」
「そ、そうだけど・・・」
「私の今日の記憶を消して。」
「え~っ!!?」

下着姿でフィンの羽をつまみながら自分の記憶消去を頼み込むまろん。

「魔法少女って、人に正体を知られると、魔法が使えなくなったり、
 魔女ガエルになったり・・・まあ、何らかのペナルティがあるものなのよ。」
「まろんが、あの子達のことを魔法少女だって知っちゃったから・・・?」
「うん。あの子達のことは忘れたくないけど、忘れてあげた方がいいと思って。」
「でも・・・」

ためらうフィンに、まろんは顔を近づけて強弁します。

「こ~んな服を着て、恥ずかしい思いをしながら
 電車に乗って帰ってきたなんて・・・絶対、忘れるの!」

ズルッ!(羽をつままれたままこけてしまったフィン)

(・・・そ、そっちが主な理由なのね・・・)
「服を都に笑われるだろうことは覚悟してたけど・・・
 ま、まさか、このパンツまで見られちゃうなんて!」

まろんの下着は見ていなかったフィンは、羽をつまんでいるまろんの手を
振りほどいて、まろんの回りを回ってその下着姿をまじまじと見てみます。
すると、レース付純白ブラはともかく、パンツの方はレースが付いている
だけではなく、なんとお尻にでっかいくまさんプリントが付いており、
さらに前の微妙な所にまで小さなくまさんプリントが付いていたのでした。

「ププッ!」
「ジロリ。わ、笑ったわね~っ!もう、ちゃんと記憶を消してくれないと、
 二度とジャンヌのお仕事なんてしてあげないんだから!」
「え~っ!そ、そんなあ、まろ~ん!」
「明日の朝、私が起きた時にまだ今日の事を憶えていたら・・・
 いいわね?フィン!」
「わ、わかったわ・・・」

ジャンヌのお仕事をやめられては困るフィンは、
やむを得ず今日のまろんの記憶を消すことに同意します。

(んもう・・・今日の事を忘れたいのはこっちよ!あの変態ぬいぐるみ~っ!)

まろんの方は、今日の事を忘れるとなったら今日の事を思い出させる物は
全部隠してしまわなければならず、ちょっと思案中。
せっかくもらった服は捨てるわけにもいかず、まろんは知世ちゃん特製
コスチュームを母の衣装ダンスの奥にしまい込み、他に買ってきたグッズ類も
両親の部屋の物入れ等に隠してしまいます。
見慣れない物を見つけてもあんまりおかしくないような、普段開けて見ない所へ。

「ふう。これでよし、と・・・」

後で、母の衣装ダンスからこの服を見つけた自分が、
母の少女時代を誤解するかもしれないと思いつつも、
一安心したまろんは普通の下着とパジャマを着てベッドに入ります。

(・・・忘れちゃうのは惜しい記憶もいっぱいあるんだけどな・・・)

今日の出来事を思い返してみるまろん。
裸の少女をビデオ撮影していると思い込んで赤くなり、
その少女に口付けして赤くなり、一緒にシャワーを浴びて赤くなり、
恥ずかしい服を着せられたシーンでさらに赤くなり、そして・・・

(や、やっぱり忘れる~っ!ごめんね、さようなら、魔法少女達・・・)


そして、翌日の朝。

「フィン!フィンいる?!」
「な~に?まろ~ん。私、ちょっと力を使い過ぎちゃって眠いんだけど・・・」
「どうも日付が一日飛んでると思ったら・・・
 フィン、昨日の私の記憶を消したでしょ!」

パジャマ姿のまま、届いた新聞の日付欄を指差して
プンプン怒りながらフィンに詰め寄るまろん。
まろんに言われて仕方なくやったことなのに、
怒られるとは思ってもみなかったフィンはうろたえます。

「だ、だって、まろんが言ったんだよ?昨日の記憶を消してって。」
「嘘よ!フィン~、あなた、ひょっとして・・・
 昨日何か大失敗したんで私の記憶を消したんじゃない?」
「し、失敗なんてしてないわよ~っ!」
「誰かに天使の存在がばれちゃって、それを私にも知られたから
 その人と一緒に私の記憶も消したとか?」
「だから、してないってばっ!」
「もう!金輪際ジャンヌのお仕事なんかしてあげないんだから!」
「え~っ!そ、そんなあ~っ!」

フィンが勝手に自分の記憶を消したと思い込み、
ますますジャンヌのお仕事が嫌いになってしまったまろん。
こうして、フィンはやむを得ず勝手に予告状を出し、無理矢理
まろんにジャンヌのお仕事をやってもらうようになってしまうのでした。


・・・これより一年近く後に、まろんはこの時の魔法少女達に再会します。
しかし、フィンに記憶を消されたため思い出すことはできません。
また、再会する時のまろんはジャンヌの姿をしているため、
さくらちゃんもこの時助けてくれたお姉さんだとは思いもしないのです。

そして、まろんはこの時せっかく助けてあげたあこがれの魔法少女達に、
「おばけ」だの「センスが悪い」だのと言われることになってしまうので、
忘れていた方が幸せなのでしょう・・・


★エピローグ その3 「その後、キャンピングカーでは・・・」

「今日は、本当にお疲れ様でした、さくらちゃん。」
「う、うん。知世ちゃんも、ありがとう。助けてくれて・・・」
「わたくしより、まろんさんと、ケロちゃんのおかげですわ。」
「ケロちゃんが?」
「わいの大活躍、さくらにも見せたかったで!」
「10mしか泳げないわたくしのために浮き袋になっていただいたり、
 おぼれたさくらちゃんを暖めるために湯たんぽになっていただいたり
 したのですわ。」
「(汗)・・・そ、そう。ケロちゃんも、ありがとう。」
「おう!ま、たいしたこっちゃないんやけどな!」

確かにケロちゃんはたいしたことはしていないのですが、
素直なさくらちゃんは心からケロちゃんにもお礼を言います。

「それよか、あの姉ちゃんが着とった服、知世が作ったコスチュームやないか?」
「ええ。そうですわ。」
「あの姉ちゃんにやってもうて、良かったんか?」
「あれは、さくらちゃんが成長したお姿を想定してお作りした
 バトルコスチュームなのですが・・・もちろん、またお作りしますわ!」
「ほえっ?」

「さくらちゃん、あの服を着たまろんさんを見て、
 デザイン等、何かご希望はございませんでしょうか?」
「え、えっと、服の方はとってもかわいかったけど・・・
 パンツのくまさんプリントは無い方が良かったかも。」
「そうですか?せっかく布地が大きくなったので、くまさんがお好きな
 さくらちゃん用におっきなくまさんをプリントしてみたのですが。」
「高校生くらいのお姉さんだったよね。それなら、やっぱり
 くまさんのプリントパンツは恥ずかしいんじゃないかなあ?」
「そうですわね・・・わたくしも、大人向けのデザインは
 まだまだ勉強の余地がありそうですわ。もっともっとデザインの勉強をして、
 何着でもお作りしますから、また着てみてくださいね。さくらちゃん。」
「はうぅ~。」(泣)

いくらくまさんが好きでも、大人になった時に前までくまさんが
プリントされているパンツをはくのはさすがに恥ずかしいだろうと、
今日のまろんお姉さんの姿を見て思ったさくらちゃんでした。

(・・・助けてくれて、ありがとうございました。
 そして・・・恥ずかしい服を着せちゃってごめんなさい・・・
 お、『おばけ』憑きのお姉さん・・・)


『ハックション!!』(まろん&フィン)


おしまい。

(4/4はここまでです)

 では、後書き&おまけの記事へと続きます。

Keita Ishizaki

未読、
2001/08/16 18:03:512001/08/16
To:
石崎@夏休み中です。

 この記事は、とある事情でNetNewsに投稿できない藤森英二郎さんより頂いた、
さくら&ジャンヌ妄想小説です。そう言うのが好きな人だけどうぞ。

 これまでの記事は以下の通りです。

その1及び挨拶<9lerpv$ijg$1...@news01ce.so-net.ne.jp>
その2    <9leqm1$gt3$1...@news01cd.so-net.ne.jp>
その3    <9lhe3f$ak7$1...@news01de.so-net.ne.jp>

その4    <9lhf7m$anq$1...@news01de.so-net.ne.jp>

 この記事は、あとがき及びおまけのショートストーリーです。
 では、改ページ後より。

(ここから藤森さんの妄想)

C.C. SAKURA OriginalStory#10 C.C.SAKURA VS K.K.Jeanne Episode0

アニメ版妄想小説No.10『さくらとまろんと冬の海』(あとがき&おまけ)


●少し後書き

長々とお付き合いいただき、どうもありがとうございました。
懸案だった、「アニメで描写されなかったクロウカード」のお話を、
これで全部書き上げることができました。

最初にも少し書いたのですが、このお話は元々まろんちゃんが登場しない
「さくらと知世と冬の海」という題でプロットを考えていたものであり、
原案ではさくらちゃんを助けるのは知世ちゃんとケロちゃんに加え、
知世ちゃんのボディガードのお姉さんだったのです。

ところが、プロットを考えていく内に「ど」シリアスになってしまい、
ギャグもお色気もまるっきり入れる余地がなくなってしまいました。
「さくらちゃんと知世ちゃんのキスシーンを無理なく描こう」と考えて
妄想を始めたのに、さくらちゃんは死にそうになるわ、人工呼吸シーンは
深刻になるわで、「こんなシリアスなのは私の妄想じゃな~い!」と、
封印してしまったのでした。

石崎さんと佐々木さんへの贈呈用に、まろんちゃんを登場させて
書き直すことを思い付き、書き始めたらシリアスの反動か、
ギャグばかりかお色気までふんだんに入ってしまいました。
まあ、自分で妄想してて楽しかったからいいですが。(大汗)


以下、自己突っ込み。

◎エピローグ その1
ミラーさんの料理の腕って、どんなもんだろう?
さくらちゃんと全く同じになるのか、それともやったことがないので
とんでもないシロモノになるか、はたまた桃矢兄ちゃんのために
こっそり練習してて、おいしい料理が作れるのか・・・

桃矢兄ちゃんは、相手が本物のさくらちゃんなら
おいしくても「まずい」か「怪獣にしてはまあまあ」と言うだろうし、
相手がミラーさくらちゃんならまずくても「うまい」と言うだろうな。(^^;

◎さくら対ジャンヌ
封印されたウェイブのクロウカードがジャンヌの所に行ったから、
戦闘ではジャンヌの勝ちということになりますね。
でも、後のシャワーシーンでは、のぼせちゃったまろんの負けと。(^^;

それにしても、シリアス過ぎるから封印していた妄想だったのに、
どこをどう間違って「三人同時シャワーシーン」なんてモノが
入っちゃったんだろう?(^^;

・・・やっぱ、まろんちゃんのせいだな。(<おいおい)

◎ケロ対フィン
こちらは能天気なケロちゃんの勝利でしょう。
堕天使になれたフィンがケロちゃんをさがして仕返しに来たりして。
でも、その時はケロちゃんも真の姿に戻れるはずだから・・・
やっぱり血を見る戦いになりそうだなあ。(^^;

ケロちゃんとフィンのお風呂シーンでは、
「フィンの服を無理矢理脱がせて洗うケロちゃん」ってのも考えたんだけど、
なんだか猟奇的なシーンになったので没。(<ここに書いてれば一緒だって(^^;)

◎エピローグ その2
ミストのせいで知世ちゃんが悪魔に取り憑かれるというさくら対ジャンヌ妄想と
つじつまを合わせるため、まろんちゃんの記憶を消してしまいましたが・・・
やっぱ無理矢理だったかなあ。
まあ、それだけまろんちゃんは恥ずかしい思いをしたということで。


●おまけのショートストーリー

さて、このお話だけ読むと、さくらちゃんのファーストキスは知世ちゃん、
セカンドキスはまろんちゃんに奪われちゃったように見えますが、実は違います。
以下はおまけのショートストーリー。


『さくらのファーストキス?』


1989年、ある秋晴れの日の木之本家での出来事。

撫子お母さんが生後半年程の赤ちゃんさくらちゃんを抱いて、
夕飯の準備をしている藤隆お父さんの元へ走って来ます。
それを見て、藤隆さんの方は撫子さんが転ぶんじゃないかと
気が気ではありません。

#歩いていて、なんにもない所でも転んじゃう撫子さんですから。

「どうしたんです?撫子さん。そんなにあわてて走ると転んじゃいますよ?」
「藤隆さん、ほらほら!さくらちゃん、歯がはえてきたの!」
「えっ!?・・・どれどれ。さくらさん、『あ~ん』してごらん?」

撫子さんから受け取ったさくらちゃんを抱きかかえて、
自分も大きく口を開けてみせる藤隆お父さん。
さくらちゃんもまねっこして口を開けます。

「あー。あー。」
「おっ、すごいすごい。さくらさんもそろそろ離乳食かな。」
「まだちょっと早いんじゃないかしら?」
「桃矢君の時、噛み付かれなかった?」
「???・・・!・・・んもう、藤隆さんのエッチ!」(真っ赤)
「あはは、ごめんごめん。」

藤隆お父さんの手からさくらちゃんを取り返して、抱き締める撫子お母さん。

「さくらちゃんは、そんなことしないもんね~。」
(・・・桃矢君、噛み付いたことがあるんだな・・・)

撫子さんの○○に噛み付く桃矢を想像して、
自分の息子にちょっとジェラシーを感じてしまう藤隆お父さん。
その時、ちょうど小学校から桃矢兄ちゃんが帰ってきます。

「ただいまー。」
「お帰り、桃矢君。」(ちょっとだけトゲがある藤隆お父さん)
「ん~。」

撫子お母さんは歯がはえ始めたさくらちゃんにキスしています。

「・・・何やってんだよ・・・」
「あ、桃矢ちゃんお帰りなさい!
 見て見て!さくらちゃん、歯がはえてきたの!」
「いいかげん、『ちゃん』はやめてくんないかな。」
「じゃ、じゃあ、と~やクン・・・」

「・・・ま、いいけど。で、キスはさくらに歯がはえたお祝い?」
「あら、何かあればもちろん、なくても毎日してるわ。
 と~やクンにもさんざんしてあげたんだけど、
 最近はいやがるからお母さん悲しい・・・」
「・・・(汗)」

「あ、お母さんがさくらちゃんにしてるのを見てうらやましかったの?
 言ってくれればいつでもしてあげるのに。」
「い、いらない!」
「寂しいわ・・・反抗期かしら?・・・はい、藤隆さん。」
「んっ!」

撫子お母さんに目の前までさくらちゃんを持ち上げられて、
藤隆お父さんもさくらちゃんにキスをしてあげます。

「はい、と~やクンも。」
「俺は別に・・・」
「今してあげないと、さくらちゃんが大きくなった時に
 『あの時しておけばよかった』なんて後悔しても遅いんだから。」

撫子お母さんから無理矢理さくらちゃんを手渡され、
やむなくさくらちゃんを抱きながらキスしてやる桃矢兄ちゃん。

「・・・・・・・・・」(妙に長くキスしている桃矢兄ちゃん)
「ん~、ん~!」

がじっ!

「痛て~っ!」

呼吸困難の苦しさから、桃矢兄ちゃんの○に噛み付いてしまったさくらちゃん。
(舌?鼻?唇?・・・御想像にお任せいたします。(^^;)

「ほえぇぇぇぇぇ・・・」(さくらちゃんの泣き声)
「泣きたいのはこっちだ!」(涙目の桃矢兄ちゃん)
「もう、と~やクンったら、必要以上にディープなんだから。」

撫子お母さんは、桃矢兄ちゃんからさくらちゃんを取り返してあやします。

「よしよし。と~やクンも、もうちょっとキスがうまくならないとね。」
「キスの最中に相手に噛み付くなんて・・・怪獣みたいなやつだな。」
(・・・やっぱり兄妹だなあ・・・)(ほほ笑んで兄妹を見守る藤隆お父さん)


こうして、これ以後、さくらちゃんは桃矢兄ちゃんに
怪獣呼ばわりされてしまうのであった・・・ちゃんちゃん。

#え?じゃ、さくらちゃんのファーストキスの相手は誰だって?
#もちろん、生まれた後すぐ撫子お母さんに奪われちゃったのです。(^^;

#まろんちゃんのファーストキスの相手は・・・
#やっぱ都で、幼稚園の時かもしれない。(二人ともすっかり忘れてる。)
#稚空はキスの相手としては3番目。(2番目をさくらちゃんとして。)(^^;;


今度こそ、おしまい。

(妄想記事はここまでです)

 さて、フォロー記事を書かないと(笑)。

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