4月28日付の情報ピックアップにあるのですが(http://geoeng.brs.nihon-u.ac.jp/index.html)、大気汚染防止法が施行されエアロゾルの排出が規制されるようになるまで、米国の東半分の地域では温暖化の進行がマスクされていたという報告があります。
これは、エアロゾル排出の影響があるとした時と無かったとした時それぞれの場合にモデルから得られた結果を、実際の観測と比較したものです。
このような比較では、モデルの信頼性が鍵となります。
論文には、「Our ability to reproduce observed 1950–2010 temperature trends lends some confidence to our conclusions.」とあるので、信頼性はまだまだなのかも知れませんが、それでも、モデル計算からエアロゾルの効果を見積もる程度にはなっているようです。
この調子で地球システムのモデルつくりが更に進むとどうなるでしょうか? ジオエンジニアリングの評価ツールとしての役割が大きくなるのではないでしょうか?
先月の29日に、「メキシコ湾流で潮力発電をしたら凄い」という投稿がGeoengineering Groupに出ていました(https://groups.google.com/forum/?hl=ja&fromgroups#!topic/geoengineering/3iyfI_Gsalw)。確かに、計算上、かなりの電力が得られるようです。
それはそうとして、この案の問題点はヨーロッパにあります。大西洋を北上するメキシコ湾流が比較的高緯度にあるヨーロッパを温暖にしているのは良く知られています。フロリダ沖での発電がメキシコ湾流を弱め、ヨーロッパを寒冷化することはないか。ヨーロッパの気候にどのような影響をもたらすのか。これを正しく見積もることができれば、この潮力発電事業にGOが出るかも知れません。
それに重要な役割を果たすのが地球システム・モデルの信頼性です。この潮力発電事業の成否は、そこにかかっています。
地球温暖化の予測からジオエンジニアリングのツールへと変身する地球システム・モデル。ひょっとしたら、イーハトーヴ火山局にも一つあったかも知れませんネ。
まだまだ、地球システム・モデルが未熟すぎてジオエンジニアリングのツールとするに値しないという論文が出ています(http://www.agu.org/pubs/crossref/pip/2012JD017607.shtml)。
部外者の気楽さで言えるのですが、是非、モデラーの方々には一層の奮励努力して欲しいものですネ。
別スレッド「西暦1258年の謎」で取り上げましたように、過去の火山爆発について、その規模と気候(気象)への影響との関係付けができていません。この場合は、「舞い上がった噴煙が多すぎてエアロゾルが大きくなりすぎたことが原因で規模の割には冷涼化が小さかった」とされているようですが、本当にそうならそれをモデルで確かめられる位でないと困ります。
モデルが信頼できないのでは、単にジオエンジニアリングのツールとして足りないだけでなく、そもそも温暖化の議論にとっても致命的です。
モデラーの方の異論あるいは苦労話など、お聞かせください。