この方面の専門家ではないのですが、あいにく世話人を務めておりますので、御質問への回答101を以下に用意しました。御覧ください。お詳しい方からの更なる回答と101の誤りや101への補足を期待します。
「ミランコビッチ」とは人の名前です。セルビアの気象学者で1879年に生まれ1958年に亡くなっています。
彼が活躍した今から100年ほど前という時代は、ちょうど、地球の歴史上で冷涼な時期と暖かい時期とが交互にあったことが分かってきた時代です。そこで当時の人々は、何故そのような繰り返しが起きるのかを不思議に思い、何とか説明しようとしていたんです。
その時、ミランコビッチは、「太陽が地球から遠くにある時は寒くなり、近い時は暖かくなる」のが繰り返しの原因だと考えました。とても素直な分かり易い発想ですよネ。
そして、過去60万年の地球の軌道を計算したところ、「太陽からの入射量が北半球高緯度域で少なかった時が地球史の記録でちょうど寒い時期に当たっている」という結果を得たんです。
この仕事は1920年に最初に発表され、1941年に纏まった本がドイツ語で発表されました。ところが、この年にナチスドイツがバルカン半島に侵攻しています。ヨーロッパは戦場となり燃え上がっていて、何十万年も前の涼しかった暖かかったにかまけているどころではなくなっていたのです。
そして第二次世界大戦がドイツの敗北で終わった後、ドイツ語は科学の言葉として衰退の一途を辿ります。また、この頃、寒かった筈の時期に暖かかったことを示すようなデータが見つかったりして、ミランコビッチの仕事は半ば忘れられていました。
漸く彼の死後10年以上たった1969年に英語に翻訳された本が出るとともに、過去を解明する科学が更に発展して、次第に彼の正しさが認められるようになってきました。細かな修正や変更は絶えずなされていますが、温暖化と冷涼化の仕組みを説明するミランコビッチの考えは今では基本的に正しいとされています。
以上、要するに、「太陽が地球から遠くにある時は寒くなり、近い時は暖かくなる」という考えが「ミランコビッチ」であり、これは基本的に正しいと言えます。
なので、「ミランコビッチ」は温暖化にも関係がある訳ですが、フォーラムのギャラリー作品番号1にあるような「ミランコビッチを利用したジオエンジニアリング」(http://geoeng.brs.nihon-u.ac.jp/gallery.html)をしない限り、太陽との距離が自然に変わるのには長い時間がかかります。それで、ここ数十年の温暖化は別の理由によると言えます。
最近の地球表面温度の上昇は、ミランコビッチの考えに基づくゆっくりとした寒冷化の上に、温室効果ガスによる温暖化が上乗せされていると考える方が的を射ているように思います。
太陽と地球の距離が地球を暖めるのに関係があることは、おっしゃる通りです。一方、黒点の増加と地球が暖かくなることとの関係については、結論を言ってしまえば、「分からない」だと思います。この件も僕は専門ではないので、間違っていたら、どなたでも結構ですので稽古に参加していただけると嬉しいです。以下、僕の思っている事を記します。
黒点は、一旦その存在に気付くと後は容易に観測できるものです。そして観測していると、その数が増えたり減ったり、さらに移動したりもするので見飽きません。しかも、太古の昔から信仰の対象である太陽に見られる現象です。誰でも興味をそそられるし、「謎解き」にチャレンジしたくもなります。
それで、昔から、その変化に何らかの意味づけをしようと多くの試みがありました。でも残念ながら、簡単に見分けられ目立つものなら、その意味が容易に解読できるかというと、そうとも限りません。今でも謎は解けていません。
黒点は周囲よりも温度が低いので黒く見えているということは知られています。それで、「太陽の黒点の数が増加すると更に暖かくなるのでしょうか?」という御質問につながるのだと思います。
御質問に関連する言葉に「マウンダー極小期」があります。フォーラムの用語集には、こうあります:太陽黒点の数が著しく減少した1645年頃から1715年頃に亙る期間;黒点の消長を研究したEdward Walter Maunderに因む;マウンダー極小期を欧州の中世における寒冷期の遠因とする説があるが、気温データからは因果関係が見られない。
地表面の温度を決めるのに、太陽との位置関係や太陽からの放射量はとても重要です。でも、それに対して黒点がどういう関連を持っているのかはまだ解明されたとは言えないと思います。
御質問への僕の回答は以上です。最近ロシアに落下した隕石と同様、太陽の変調は人間のみならず地球で暮らす全ての生き物にとって重大な関心事です。ですから、常にウォッチしている必要があります。でも、太陽に困ったことが起きているからといって、人間が何か出来るかと言えば、地球システムに対して何かしようとするよりも遥かに難しいでしょう。
フォーラムの「私が思うジオエンジニアリング」に、『「自分の欲望を制御することよりも、地球を制御する方が簡単だ」なんて思っているんですかね?』というのがあります。「足るを知る」方が簡単だろうし、人間の限られた時間と力でも、それならば出来るかも知れないと僕は思っています。
あまりお答えになってないと思いますが・・・。
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それから、「火山噴火や隕石落下、はたまた大津波などによる広い意味での地球表層での擾乱を、気候変化による擾乱と区別して論じることは、科学にとって 実は、たいへんに難しい事なのではないかと考えることがあります。」というのは、僕も同感です。すこしずつでも精度が高まることは期待しますが、少なくとも現代の地球システム科学では、無理な相談です。90%だか95%だかと言うのが精いっぱいでしょう。(脇道に逸れますが、この5%の重みを感じる感性が、残念ながら、科学のトレーニングを受けた人と受けていない人とで丸で違うようです。これも、隠れた問題点かと思います。)
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