「ミランコビッチ」というものがよくわかりません・・・

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川井優香

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Feb 27, 2013, 6:07:00 AM2/27/13
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温暖化について書かれている本を読むと、「ミランコビッチ」というものをよく目にします。学校の授業でも温暖化についての講義を受けた際に、ミランコビッチサイクルというものを習ったのですが、よく理解できませんでした。「ミランコビッチ」というものは温暖化と関係があるのはなぜでしょうか。

水谷 広

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Feb 27, 2013, 10:06:01 PM2/27/13
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 この方面の専門家ではないのですが、あいにく世話人を務めておりますので、御質問への回答101を以下に用意しました。御覧ください。お詳しい方からの更なる回答と101の誤りや101への補足を期待します。

 

 「ミランコビッチ」とは人の名前です。セルビアの気象学者で1879年に生まれ1958年に亡くなっています。

 

 彼が活躍した今から100年ほど前という時代は、ちょうど、地球の歴史上で冷涼な時期と暖かい時期とが交互にあったことが分かってきた時代です。そこで当時の人々は、何故そのような繰り返しが起きるのかを不思議に思い、何とか説明しようとしていたんです。

 

 その時、ミランコビッチは、「太陽が地球から遠くにある時は寒くなり、近い時は暖かくなる」のが繰り返しの原因だと考えました。とても素直な分かり易い発想ですよネ。

 

 そして、過去60万年の地球の軌道を計算したところ、「太陽からの入射量が北半球高緯度域で少なかった時が地球史の記録でちょうど寒い時期に当たっている」という結果を得たんです。

 

 この仕事は1920年に最初に発表され、1941年に纏まった本がドイツ語で発表されました。ところが、この年にナチスドイツがバルカン半島に侵攻しています。ヨーロッパは戦場となり燃え上がっていて、何十万年も前の涼しかった暖かかったにかまけているどころではなくなっていたのです。

 

 そして第二次世界大戦がドイツの敗北で終わった後、ドイツ語は科学の言葉として衰退の一途を辿ります。また、この頃、寒かった筈の時期に暖かかったことを示すようなデータが見つかったりして、ミランコビッチの仕事は半ば忘れられていました。

 

 漸く彼の死後10年以上たった1969年に英語に翻訳された本が出るとともに、過去を解明する科学が更に発展して、次第に彼の正しさが認められるようになってきました。細かな修正や変更は絶えずなされていますが、温暖化と冷涼化の仕組みを説明するミランコビッチの考えは今では基本的に正しいとされています。

 

 以上、要するに、「太陽が地球から遠くにある時は寒くなり、近い時は暖かくなる」という考えが「ミランコビッチ」であり、これは基本的に正しいと言えます。

 

 なので、「ミランコビッチ」は温暖化にも関係がある訳ですが、フォーラムのギャラリー作品番号1にあるような「ミランコビッチを利用したジオエンジニアリング」(http://geoeng.brs.nihon-u.ac.jp/gallery.html)をしない限り、太陽との距離が自然に変わるのには長い時間がかかります。それで、ここ数十年の温暖化は別の理由によると言えます。

 

 最近の地球表面温度の上昇は、ミランコビッチの考えに基づくゆっくりとした寒冷化の上に、温室効果ガスによる温暖化が上乗せされていると考える方が的を射ているように思います。




2013年2月27日水曜日 20時07分00秒 UTC+9 川井優香:

川井優香

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Feb 28, 2013, 2:13:49 AM2/28/13
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分かりやすい説明ありがとうございます。太陽が地球から遠くなると寒くなり、近くなると暖かくなるということは、もし、太陽が地球の近くなるとき、太陽の黒点の数が増加すると更に暖かくなるのでしょうか・・・?
2013年2月28日木曜日 12時06分01秒 UTC+9 水谷 広:

水谷 広

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Mar 1, 2013, 2:58:23 AM3/1/13
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  太陽と地球の距離が地球を暖めるのに関係があることは、おっしゃる通りです。一方、黒点の増加と地球が暖かくなることとの関係については、結論を言ってしまえば、「分からない」だと思います。この件も僕は専門ではないので、間違っていたら、どなたでも結構ですので稽古に参加していただけると嬉しいです。以下、僕の思っている事を記します。

 

 黒点は、一旦その存在に気付くと後は容易に観測できるものです。そして観測していると、その数が増えたり減ったり、さらに移動したりもするので見飽きません。しかも、太古の昔から信仰の対象である太陽に見られる現象です。誰でも興味をそそられるし、「謎解き」にチャレンジしたくもなります。

 

 それで、昔から、その変化に何らかの意味づけをしようと多くの試みがありました。でも残念ながら、簡単に見分けられ目立つものなら、その意味が容易に解読できるかというと、そうとも限りません。今でも謎は解けていません。

 

 黒点は周囲よりも温度が低いので黒く見えているということは知られています。それで、「太陽の黒点の数が増加すると更に暖かくなるのでしょうか?」という御質問につながるのだと思います。

 

 御質問に関連する言葉に「マウンダー極小期」があります。フォーラムの用語集には、こうあります:太陽黒点の数が著しく減少した1645年頃から1715年頃に亙る期間;黒点の消長を研究したEdward Walter Maunderに因む;マウンダー極小期を欧州の中世における寒冷期の遠因とする説があるが、気温データからは因果関係が見られない。

 地表面の温度を決めるのに、太陽との位置関係や太陽からの放射量はとても重要です。でも、それに対して黒点がどういう関連を持っているのかはまだ解明されたとは言えないと思います。

 

 御質問への僕の回答は以上です。最近ロシアに落下した隕石と同様、太陽の変調は人間のみならず地球で暮らす全ての生き物にとって重大な関心事です。ですから、常にウォッチしている必要があります。でも、太陽に困ったことが起きているからといって、人間が何か出来るかと言えば、地球システムに対して何かしようとするよりも遥かに難しいでしょう。

 

 フォーラムの「私が思うジオエンジニアリング」に、『「自分の欲望を制御することよりも、地球を制御する方が簡単だ」なんて思っているんですかね?』というのがあります。「足るを知る」方が簡単だろうし、人間の限られた時間と力でも、それならば出来るかも知れないと僕は思っています。

 

大隅多加志

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Jul 13, 2013, 4:32:21 AM7/13/13
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結論を 急ぎすぎたくないのですが、 実は、ある大学でのやりとりのなかで、こんなことがありました。
匿名にする必要もないので、申し上げますが 学習院大学で開講している全学向け(学年や専攻を問わずに受講できる)の講義「エコロジー・環境論−1」の夏学期の最終回に受講者全員(50名以下です)が感想等を発表し合う機会での話(7月12日)です。

「経済的なインセンティブを内包させたルールづくり」としてドイツの廃棄物政策が多くの人々を巻き込んで実効的に機能していることは、賞賛に値するのですが、学生たちの感想は、「おなじように日本でもすればいい」ということに終始しがちで、だんだん不満がたまっていました。最後に十分な時間がないまま、講師の一人として何かいわないといけない気持ちになって、2点申し上げました。
1)たとえばリサイクルを促進させるはずの容器のデポジット制度がなぜ日本では導入されなかったのか、しっかり考えてほしい! 
2)いまの開発途上国の街頭と200年前の江戸とくらべて,江戸にゴミが少ないとしたら「大量生産大量廃棄」それ自体を疑わないでゴミ問題について考えるのはやめたほうがいい
 小生の意図は、とても伝わらなかったと思うし、この2点に関係して自分の回(連休を挟んで2回実施)で、講義でのメッセージが無かったことこそ反省しないといけないと思った次第です<この講義を作るにあたってはメンバー3人のうちの一人として加っているので責任があrます>

知識を増すことは、楽しいのですが 悩みを増やすことにもなります:政策科学(妥当な言葉遣いでないです)も結局はおなじことです 
ジオエンジニアリングの議論は自然科学を超えて政策論争みたいになっていることに、かえって価値があるのでしょう。


2013年3月1日金曜日 16時58分23秒 UTC+9 水谷 広:

Masa

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Jul 15, 2013, 12:07:18 AM7/15/13
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ドイツのデポジット制の話、示唆に富みますね。
ジオエンジニアリングも政策的な話も自然科学的研究も
欧米が先行していますが、盲目的に従うのではなく、
腰を据えて考えて日本も対処すべきではないかなと
思います。

あまりお答えになってないと思いますが・・・。

水谷 広

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Oct 20, 2013, 11:13:41 PM10/20/13
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皆様:
 
ジオエンジニアリングは、「行政科学(名前がピッタリ来ませんが、「文化選択」でも同じですので、何となく取り組めそうな「行政科学」を使わせてください)」が、とても重要だと思います。
 
過去数百年での科学発展の結果、現代では、生物の内の環境も生物外の環境も制御可能になりつつあります。中でもジオエンジニアリングは、制御する体外環境を地球システムにまで拡げるものですから、その実行にあたっては、利害関係の調整が極限まで複雑になります。
 
このような調整や選択をともなう合意形成作業に自然科学の力は全く及びません。これまで、調整・合意形成・選択をおこなってきた「行政」がこれを担当するのが順当と思います。
 
調整・合意形成・選択が求められる作業ですから、それを省かず、「盲目的に従うのではなく、腰を据えて考えて日本も対処すべきではないか」というのには大賛成です。
 
もう少しキツイ言葉づかいをお赦しいただくなら、「これまでのように盲目的に従うのでは、担当部署の責任放棄であり背信行為」だとさえ言えるように感じます。
 
皆様は、如何お考えでしょうか?
 

大隅多加志

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Oct 21, 2013, 7:43:38 PM10/21/13
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ロンドン条約の科学会合の議長の任に就いている韓国のGi Hoonさんからメールをもらいました

ジオエンジニアリングといえば、放射制御についで有名な海洋肥沃化に関して、海洋実験を盲目的に禁止するのではなく、「科学」の枠組みで規制しようという、国際合意が 形成されました

です。

生物がからんだりしていると、判断基準についての議論が、わりと明確なのですが、火山噴火や隕石落下、はたまた大津波などによる広い意味での地球表層での擾乱を、気候変化による擾乱と区別して論じることは、科学にとって 実は、たいへんに難しい事なのではないかと考えることがあります。 それでもロンドン条約は、地球環境保護の老舗なので、頑張ることになるのだろうと思います。


水谷さんが おっしゃるように、生物の内の環境を制御する話と、ジョエンジニアリングは、規制に関しては似たような構造になっていますね。しかし生命倫理は規制と逸脱がつきものです。それにくらべると「ジオエンジニアリング」は 化学兵器のような 立ち位置なのでしょうか?






2013年10月21日 12:13 水谷 広 <mizuta...@gmail.com>:

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Takashi OHSUMI
Guest Research Fellow, Tokai University
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Hiroshi Mizutani

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Oct 22, 2013, 7:36:08 PM10/22/13
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最初にお願いです:ロンドン条約の件では、(2013.10.19) のフォーラム情報ピックアップで業界団体(?)のサイトを引用して紹介したのですが、採択されたという条文を読んだだけでは、どうにでも解釈できてしまいます。それでなのですが、「ロンドン条約は、地球環境保護の老舗なので、頑張ることになるのだろう」というのであれば、「実は、こういうことなのだ」という御説明がいただけると安心できます。なにしろ、(言葉は悪いですが)ザルみたいなところもある条約のようですので。何も議長さんでなくても良いのですので、そこのところの情報提供を宜しくお願いします。

それから、「火山噴火や隕石落下、はたまた大津波などによる広い意味での地球表層での擾乱を、気候変化による擾乱と区別して論じることは、科学にとって 実は、たいへんに難しい事なのではないかと考えることがあります。」というのは、僕も同感です。すこしずつでも精度が高まることは期待しますが、少なくとも現代の地球システム科学では、無理な相談です。90%だか95%だかと言うのが精いっぱいでしょう。(脇道に逸れますが、この5%の重みを感じる感性が、残念ながら、科学のトレーニングを受けた人と受けていない人とで丸で違うようです。これも、隠れた問題点かと思います。)

さて本題です。ジオエンジニアリングの規制がどのような形になるか。生命倫理型か? 化学兵器型か? モチロン、僕には分かりません。判断はできませんが、とても重要なことなので、イロハから始めた議論の喚起を科学技術や産業・環境・社会の管理・運営を担当する部署が起こすべきだというのが僕の思いです。


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Oct 23, 2013, 10:21:09 PM10/23/13
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大隅です

海洋に何かを投入することは、それが廃棄物だとみなされれば、ロンドン条約に背馳する行為であるとみなされます。2002年に、膨大な国費を費やして準備した二酸化炭素の海中注入実験が中止に追い込まれた大きな要因になっています。一方、海域に鉄を散布する大規模な実験は、議論を呼びつつ各国政府の支援によって何度も実施されたのです。

ジオエンジニアリングの議論は、科学の規制という側面を必然的に含みます。上記の経緯を踏まえた実効的な規制を、どのように担保してゆくのか、研究者として重要なことだと思います。



2013/10/23 8:36、Hiroshi Mizutani <mizuta...@gmail.com> のメッセージ:

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Oct 23, 2013, 10:39:35 PM10/23/13
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大隅です

地球温暖化というサイエンスのトピックに関していうと、「人類は化石燃料の使用という実験を始めてしまった」という、ロジャー・ルベールのレトリックの影響下に、私たちはいるように思います。実験が仮説の検証を目的に企画されるべきだと考えれば、一つしかない気候系を対象にはじめてしまった実験の、ほぼ結論を得てもなお実効的な対策が打てない国際社会へのメッセージが、シミュレーションではなく、実験で、対策技術の有効性を示そうという方向になってもおかしくない経緯をとってきたとは言えないでしょうか?

2013/10/23 8:36、Hiroshi Mizutani <mizuta...@gmail.com> のメッセージ:
それから、「火山噴火や隕石落下、はたまた大津波などによる広い意味での地球表層での擾乱を、気候変化による擾乱と区別して論じることは、科学にとって 実は、たいへんに難しい事なのではないかと考えることがあります。」というのは、僕も同感です。すこしずつでも精度が高まることは期待しますが、少なくとも現代の地球システム科学では、無理な相談です。90%だか95%だかと言うのが精いっぱいでしょう。(脇道に逸れますが、この5%の重みを感じる感性が、残念ながら、科学のトレーニングを受けた人と受けていない人とで丸で違うようです。これも、隠れた問題点かと思います。)

Hiroshi Mizutani

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Oct 23, 2013, 10:48:05 PM10/23/13
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二酸化炭素注入実験。そうだったんですよネ。

その事については、まだ語れないこともあるのかと想像します。

ただ、科学を規制するダイナミクスに論理的な一貫性が欠けているように感じられ、そうであれば、研究者にとっては「雲をつかむ」感じとなり、できたら遠慮したいということになってしまうように思います。

規制する側の「頑張り」が、規制される側とのコミュニケーション向上に向かっての頑張りであって欲しいです。(たとえば:どんな研究者が、どの位、どんな形で、今回の会合に参加しているのですか?)

経験者からのコメントがいただければ嬉しいです。


Hiroshi Mizutani

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Oct 23, 2013, 10:57:28 PM10/23/13
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とても面白い見方です。

ただ、そもそも実験にたとえるなら、これは小学生の時計分解「実験」に相当し、「実験」の名に値しないものです。

この実験でバラバラになった時計を、ジオエンジニアリングという「実験」で組み立て直すという訳ですネ。

スレッド名の「科学の限界」が印象的です。




2013年10月24日 11:39 Gmail <ohsumi....@gmail.com>:

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