リハビリの日数制限とギラン・バレー症候群

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Dec 4, 2015, 7:14:17 AM12/4/15
to ギラン・バレー症候群(GBS) 患者の談話室
「ギラン・バレー症候群のひろば」からの引用

リハビリの日数制限とギラン・バレー症候群



(あらまし)

 平成18年4月1日に診療報酬が改定され、脳血管疾患等のリハビリは発症後180日までとされました。ギラン・バレー症候群は、この「脳血管疾患等」にも入っていますが、リハビリ日数制限の「除外規定」の疾患にも入っているため、「治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合」には、そのまま継続してリハビリを受けることができるとされました。

 現在病院でリハビリを受けられている方で、もしリハビリの日数制限の話がありましたら、ギラン・バレー症候群が「除外規定」になっていることを承知のうえ、自分の症状にあった日数のリハビリをしていただくように、主治医(と理学療法士、作業療法士)にお願いしてみてはいかがかと存じます。

 なお、リハビリ算定日数の起点は、実施日(平成18年4月1日)直前になって、「発症日」から、3月31日以前に発症等した患者については「平成18年4月1日」に変更されました。


(以下、若干詳しい説明)

 平成18年2月15日、中央社会保険医療協議会(中医協)は厚生労働大臣に「平成18年度診療報酬改定」を答申しました。この中で、リハビリについては「長期にわたり効果が明らかでないリハビリテーションが行われている」との指摘を踏まえ、疾患ごとにリハビリの算定日数上限を設定するとしました。

  脳血管疾患等のリハビリ………発症後180日まで
  運動器のリハビリ    ………発症後150日まで
  呼吸器のリハビリ    ………発症後 90日まで
  心大血管疾患のリハビリ………発症後150日まで

 この段階で、厚生労働省の議事録では、「厚生労働大臣が定める患者であって、治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断できるもの」は除外することとされました。

 また、リハビリの集団療法は廃止され、個別療法のみとされました。

 詳細は下記HPの14~15ページをご覧ください。
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/02/dl/s0215-3u.pdf


 上記答申にもとづき、3月6日、厚生労働省は局長通達「『診療報酬の算定方法を定める件』等の改正等について」を地方社会保険事務局長等に発しました。

 同通達の中で、リハビリは上記答申と同じ内容となっています。

 詳細は下記HPの17ページをご覧ください。
 http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/03/dl/tp0314-1a01.pdf


 また、同日付で、上記通達の細目を定めた課長通達「診療報酬の算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項について」も地方社会保険事務局長等に発しました。

 同通達の163ページでリハビリの算定日数上限を設定した疾患別表の「脳血管疾患等疾患」(=算定日数上限180日)の「ウ」に「多発性神経炎(ギランバレー症候群)」が示されましたが、同通達の163および164ページで「除外規定」として「治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合であって、別に厚生労働大臣が定める疾患」の「カ」に「難病患者リハビリテーション料に規定する患者」とされました。

 詳細は下記HPの163ページおよび164ページをご覧ください。
 http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/03/dl/tp0314-1b01.pdf


 この「難病患者リハビリテーション料に規定する患者」とは、平成16年2月27日厚生労働省告示第50号「特掲診療料の施設基準等」の別表第十に掲げる28の疾患をいい、ギラン・バレー症候群はその1つとなっています。

 詳細は下記HP「厚生労働省法令等データベースシステム」の「法令探索」の「本文検索へ」をクリックし、現われた画面に「難病患者」と「リハビリテーション料」の項目を入れて検索すると、告示「特掲診療料の施設基準等」が現われます。同告示の第九の五の(2)のイに「難病患者リハビリテーション料に規定する疾患」は「別表第十に掲げる疾患」としてあり、2ページに別表第十「難病患者リハビリテーション料に規定する疾患」が出てきます。その23番目にギラン・バレー症候群が掲載されております。
 http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/index.html


 以上を要約しますと、ギラン・バレー症候群は、リハビリの算定日数の「除外規定」として「治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合」には、そのまま継続してリハビリを受けることができるとされました。


 上記については病院、医師会、理学療法士会等に通知され、ギラン・バレー症候群が「除外規定」となっていることは周知されている筈です。

 ここで、「医学的に判断」するのは、主治医です。実際にリハビリをしてくれるのは、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)ですが、彼らは主治医(ギラン・バレー症候群の場合は神経内科医、脳梗塞の場合は脳外科医、骨折の場合は外科医)の指示の下でリハビリを行うこととなっています。

 ある新聞(平成18年4月28日付朝日新聞朝刊)では、「除外の対象となる疾患」は「主治医が医療上必要と判断した場合、上限日数を超えても保険でリハビリができる」と説明していますが、一方で「除外規定も『主治医の判断』がどこまで認められるか不明だ」と危惧していました。

 また、ギラン・バレー症候群の回復過程は、当HPの「闘病記(投稿)集」で見られるように様々ですので、リハビリがいつまで必要かは患者によって異なっています(私の場合は、発症2年経過後からリハビリによりメキメキ回復してきました)。

 さらに、ギラン・バレー症候群は稀な病気であることから、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)にとっては、回復過程がよく分からないということもあります。


 そこで、現在病院でリハビリを受けられている方で、もしリハビリの日数制限の話がありましたら、上記をよく承知のうえで、自分の症状にあった日数のリハビリをしていただくように、主治医(と理学療法士、作業療法士)にお願いしてみてはいかがかと存じます。


 なお、リハビリ算定日数の起点は、実施日(平成18年4月1日)直前になって、「発症日」から、3月31日以前に発症等した患者については「本年4月1日」に変更されました。

 詳細は下記HP「平成18年度診療報酬改定に係る疑義解釈資料」の15~16ページをご覧ください。
 http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/03/dl/tp0314-1c01.pdf


〔 追 記 ― 医療保険によるリハビリと介護保険によるリハビリ ― 〕

 この「リハビリの日数制限」の狙いは、端的に言えば、医療費削減のため、医療保険によるリハビリは、機能改善が望める急性期、回復期のみに限定し、維持期・慢性期のリハビリは医療保険ではなく、介護保険で扱ってほしい、外来リハビリが長くなった患者は、介護施設の通所リハビリ(デイ・ケア)に移ってほしいということにあります。

 ギラン・バレー症候群は、介護保険制度の対象に該当しないため、65歳未満のギラン・バレー患者は、介護保険によるリハビリや介護施設の通所リハビリを受けることはできません(40歳以上の脳梗塞や脳出血など、老化に伴って生じた要介護状態には、介護保険制度の対象となり、介護保険によるリハビリは受けられます。当然ですが、65歳以上であり、介護の必要があると認定されれば、ギラン・バレー症候群の患者に限らず介護保険制度の対象となり、介護保険によるリハビリは受けられます)。

 なお、医療保険によるリハビリと介護保険によるリハビリとを併用して受けることは、できません。



 私(=当HP管理人)は以上のように理解していますが、何か理解に不足している点がありましたら、ご指摘くださいますようにお願いいたします。


               (田丸 務 平成18年6月記、平成26年12月加筆)

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