先週、文部科学省がこんな文書を出しました。
福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について
平成23年4月19日
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/1305174.htm
これによると、福島市内で子供も通う小学校で年間20mSvの被ばくま
で OK にしようという話です。年間20mSvは、多すぎなんじゃないか
と思いました。
(1) 元々一般人(子供含む)の許容値は、年間1mSv。その20倍はそも
そも多い。大人が20mSvととしても、子供の感受性の高さも考慮
して厳しくしないといけない。
(2) 空間線量しか考えてない。食べ物や水による内部被ばくが考慮
されていない。20mSvにしても、空間線量と内部被ばくの合計で
20mSv にしないといけない。
日弁連会長もこの文部科学省の考え方がおかしいと思ったのでしょ
う。こんな声明を出しています。
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/110422_2.html
「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え
方について」に関する会長声明
2011年(平成23年)4月22日
日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児
これにも出ていますが、「3ヵ月で1.3mSv(単純に4倍すると年間
5.2mSv)」だと「電離放射線障害防止規則」で定める「管理区域」で、
立ち入り制限しないといけないという法律があるのに、今回の文部
科学省の話はそれより高い 20mSv で OK にしようという話。そもそ
も、矛盾した話になっています。
どういう過程で今回のような変な決定になったのでしょうかね。子
供を守るのが文部科学省の仕事。もっと頑張って子供の被ばくを下
げるような方向に知恵と努力をしてもらわないと。
市町村の教育委員会は、こんな時には中央政府に対抗できる権限が
あるはずなんだけど、実際問題あんまり期待できません。大学も、
文部科学省に対抗できるのかなあ。
\\ 新城 靖 (しんじょう やすし) \\
\\ 筑波大学 電子・情報 \\
In article <85y630x...@is.tsukuba.ac.jp>, Yasushi Shinjo <y...@is.tsukuba.ac.jp> writes
> どういう過程で今回のような変な決定になったのでしょうかね。子
> 供を守るのが文部科学省の仕事。もっと頑張って子供の被ばくを下
> げるような方向に知恵と努力をしてもらわないと。
ICRP勧告が元らしいです。非常時のリミットですね。
僕は 20mSv/y なら子供でもほとんど影響はでないだろうと思います。
1mSv/y じゃないとダメとかやったら、かなり混乱すると思う。おそ
らくその方が影響は大きいでしょう。
確率的な事象なのでガン検診とか保険とかで対処するべきだとも思いますね。
> 市町村の教育委員会は、こんな時には中央政府に対抗できる権限が
> あるはずなんだけど、実際問題あんまり期待できません。大学も、
> 文部科学省に対抗できるのかなあ。
放置するつもりらしいんですが、それもないだろうとは思う。つ
うかICRP勧告に反します。表土の処理で半減するらしいので、そ
れはやるべきだろうと思います。
自分達でもいろいろ被曝は防げます。日焼けと同じようなところ
がある。国や政府は個人を守ってはくれません。
この件、離れたところの人の方が大きく騒ぐ傾向がある。当事者
で自分が避難するかどうかと言う立場になったら、現実的な対処
をするしかない。でも、離れている人は「危ない」を連呼する。
そんな感じですね。
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Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科
ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp (Shinji KONO) writes:
> ICRP勧告が元らしいです。非常時のリミットですね。
> 僕は 20mSv/y なら子供でもほとんど影響はでないだろうと思います。
どのくらいの「影響」を考えていますか?
年間 5 人、50人、500人、5000人、5万人?
> 確率的な事象なのでガン検診とか保険とかで対処するべきだとも思いますね。
ICRPでは、1Sv被曝浴びた人が、一生の間に致死的ガンになる確率は、
0.05。20mSvで、20年間浴びると 20[mSv/year]*20[year] == 0.4Sv。
確率は、0.05*0.4 ==0.02。子供 1000人いれば、2人ガンで死にます。
(子供の感受性が3倍とか5倍なら、6人か10人。外部被ばくだけでな
く、内部被ばくも考えると、もう少し増える。)
> 1mSv/y じゃないとダメとかやったら、かなり混乱すると思う。おそ
> らくその方が影響は大きいでしょう。
すでに混乱はしているので、子供の命を2人でも救えれば、何か策を
考えた方がいいでしょう。戦時中でも子供を大事にして疎開させた
のだから、今でもそのくらいするのは簡単。
>> 市町村の教育委員会は、こんな時には中央政府に対抗できる権限が
>> あるはずなんだけど、実際問題あんまり期待できません。
郡山市は、校庭の除染をしました。1/6 に下がっているので、効果が
あります。
> 放置するつもりらしいんですが、それもないだろうとは思う。つ
> うかICRP勧告に反します。表土の処理で半減するらしいので、そ
> れはやるべきだろうと思います。
昨日になって、文部科学大臣も少し軌道修正しはじめた気がします。
「説明不足だった」としています。官僚組織の無謬性からして、ま
ずはそういうしかないのでしょう。
原子力安全委員会は、「(基準の)3.8マイクロシーベルト/時
を下回ったからもう校庭も使っていいですよ、文部科学省は何もし
ませんよという誤解を生むような発信をしたのなら、保護者が憤慨
するのは当たり前」と言っています。少し他人事感はあるけれど、
政府内で行き違いがあったのは確かでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=qAogSpPnjbI
この辺り、政府の意思決定の過程が変な感じはします。文部科学省
は、「20mSv/y でOK」というお墨付きが欲しいという意図をもって、
原子力安全委員会に問い合わせをして、原子力安全委員会は、意図
関係なく、出てきた文書の文言だけ解釈して、付帯文書もつけて解
答。文部科学省は、付帯文書は無視して、お墨付きが出てきたと思っ
て発表。責任は誰も取らない。そんな変なことが起きた感じがします。
「福島県内の学校等の校舎、校庭等の利用判断における暫定的
考え方」に対する技術的助言について
原子力安全委員会 2011年5月2日
http://www.nsc.go.jp/info/20110502.pdf
福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について
文部科学省 平成23年4月19日
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/1305174.htm
ARALA (As Low As Reasonably Achievable)か。
> 自分達でもいろいろ被曝は防げます。日焼けと同じようなところ
> がある。国や政府は個人を守ってはくれません。
「政府がなにもしない」と言ってしまうと、それはそうなんだけど、
政府の行動を国民が制御しましょうというのが民主主義なので、諦
めてはいけないのでしょう。政府にもっと仕事をしなさいと言った
方がいいかと思います。
> この件、離れたところの人の方が大きく騒ぐ傾向がある。当事者
> で自分が避難するかどうかと言う立場になったら、現実的な対処
> をするしかない。でも、離れている人は「危ない」を連呼する。
文部科学省の今回の「20mSv/y でOK」の意思決定をした人は離れて
いる人です。自分自身、自分の子供や親族や友人のことだと思って
判断したのかというと、そんな感じはしません。この際、日本政府
(司法、立法、行政)を東京から福島に移転すると、よりよい判断
できるようになるのではないかと思いました。