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利用していないインターネットの 料金支払い請求について

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Shiro

unread,
Jun 6, 2003, 3:42:32 PM6/6/03
to
 利用した覚えのないインターネットコンテンツの利用料金を請求するメール
が突然きました。
 資料一 の << 最 終 通 告 >> という題のメールです。
 メールには「先日発送させて頂きました債権譲渡に関しての通知書はすでに
ご覧頂けたものと存じます」とか、「貴殿の利用料につきましてはコンテンツ
事業者様及び弊社共々、再三のご連絡を試みて来ました」などと書いてます
が、これまで利用料金を請求するメール・電話・手紙などは来ていません。

 メールによる不正請求はニュースで見た気がしたので調べたら 資料二 の
日経の記事がありました。
 日経の記事では容疑者がコンテンツ事業者を名乗っていたのか債権回収業者
を名乗っていたのか分かりませんが、今回のメールはコンテンツ事業者名と利
用日時などが書いてないので、日経の記事と類似の詐欺だと考えています。

 警視庁のサイトを調べたらコンテンツ事業者の事例はありませんでしたが 
資料三 のツーショットダイヤルの事例がありました。その「家族全員が身に
覚えのない請求であればもちろん支払う必要はありません」を参考にして支払
わない事にしました。


 今回の件で疑問に思った事について教えて下さい。

一 存在しない債権を請求する事は犯罪にならないのか。

二 コンテンツ事業者名、利用日時が書いてない請求書は、
  請求書として有効なのか。 

三 有料だと明示されていなかったが実は有料だった場合、
  支払の義務はあるのか。


資料一 ---------------------------------------------------------
saiken...@kccwebnet.comさんの<200306020058...@monja2.tky.
3web.ne.jp>から
>
>                       平成15年06月02日
>
>通知人:(株)K.C.C
>    顧客管理課 料金徴収係
>    担当 本山
>
>顧客番号59387
>          
>           << 最 終 通 告 >>
>
> 前略、先日発送させて頂きました債権譲渡に関しての通知書はすでにご覧頂けたもの
>と存じます。
>同通知書の書面でもお知らせしました通り、弊社は各サイトのインターネットコンテン
>ツ事業者様
>より利用料金等の回収を委託されているものです。
>
>弊社が回収受任しました今回の貴殿の債務についてこれまで何度かのご連絡をさせて頂
>きましたが
>未だ貴殿からのご入金が確認出来ておりません(5/30現在)。
>この度、弊社顧問法律事務所との協議の結果、以下の通りの事案を決定とし本メールを
>最後の通知とさせて頂きます。 
>
>【入金期限】平成15年06月05日(木)午後3時
>【振込先】(代表口座)
>     三井住友銀行  四条支店 
>     普通口座 1670424  
>     ヨコタ マサミ (K.C.C代表)
>【入金額】37,525円(以下内訳)
>     アダルトコンテンツ利用料 25,000円
>     延滞金           7,525円
>     督促費用          5,000円
>     
>     合計 37,525円  
>
>     ※顧客番号で全ての管理を行っております。
>      お振込みの際は氏名ではなく顧客番号でのご入力をお願い致します。
>
> これまで貴殿の利用料につきましてはコンテンツ事業者様及び弊社共々、再三のご連
>絡を試みて
>来ましたが未だご入金がなくまた誠意ある回答も頂いておりません。
>今回の通告にも関わらず万が一にもご入金のほうの確認が取れない場合は弊社関連調査
>会社のほうで
>貴殿のご自宅、勤務先等をメールアドレス、アクセスログ、電話番号等から調査、解析
>し回収員が
>貴殿のご自宅、勤務先等へ直接、回収に伺う事となりますのでご了承下さい。
>またその際に掛かります費用、調査費用、交通費等の雑費、別途回収手数料も合わせて
>ご請求させて頂きます。
>また場合によっては裁判所を通じた法的手段にて対応させて頂く事となります。
>
>本状は「最終通告」です。これ以上の猶予はないものとお考え下さい。
>
>尚、もし本状と行き違いにお支払いの場合はご容赦願います。
>
>以上、何卒宜しくお願い申し上げます。
>
>
> (株)K.C.C
>
>
>※ 本メールは送信専用アドレスより配信されています。このメールに返信されてもお
>返事は届きません。
>  弊社は債権回収業者であり本件に関してのお問い合わせ等は直接コンテンツ事業者
>様へお問い合わせ下さい。
-------------------------------------------------------------------------

資料二 ---------------------------------------------------------
http://satellite.nikkei.co.jp:80/news/shakai/20030523AT1G2201622052003.html
「あなたが見たアダルトサイトは有料」と
にせ請求書

 利用していないインターネットの料金支
払いを求めるメールを、携帯電話やパソコ
ンに送りつけ現金をだまし取ったとして、
警視庁ハイテク犯罪対策総合センターなど
は22日までに、東京都品川区西五反田2、
会社員、慶野和樹容疑者(34)ら2人を詐
欺の疑いで逮捕した。

 調べによると、同容疑者は1月21日から
約1カ月半の間、「あなたが使用したアダ
ルトサイト利用料金について、期限内に入金してください。入金がないと自宅などを
訪問する」とうそのメールを不特定多数の人に送りつけ、千葉県船橋市の男性会社員
(24)ら13人から約30万円を架空の銀行口座に入金させた疑い。同容疑者の口座には
331人から786万円が振り込まれており、同センターが余罪を追及している。

 同容疑者はネットの掲示板で売買されていたメールアドレスを購入、ニセ請求メー
ルを1日2000―3000件のアドレスに送りつけていた。被害者は以前見たことがあるアダ
ルトサイトが「無料だと思ったが、有料だったのか」などと思い、請求されるまま払
ってしまったという。 (14:00)
-------------------------------------------------------------------------
資料三 ----------------------------------------------------------
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kouhoushi/no2/net/net.htm

 ツーショットダイヤルの情報提供会社と思われるところから
身に覚えのない高額な通話料の請求書が送られてきましたが、
支払う必要はありますか?


 何らかの方法で個人データを入手した者が、同様の請求書を
多数送りつけるものと思われます。家族全員が身に覚えのない
請求であればもちろん支払う必要はありません。


 「入金されない場合は延滞金と取立てに行く交通費を請求します。」という内容
になっていて心配ですが?


 もし脅迫電話がかかってくるようでしたら、地元警察署の生活安全課に相談してくだ
さい。
また、自宅まで来ていやがらせなどを受けた場合は、すぐ110番通報してください。
 最近では、インターネットを利用中、ダイヤルQ2や国際電話回線に接続されるプログ
ラムを知らないうちにダウンロードしてしまい、かなり高額の利用料金を請求されるケー
スも起きています。
-------------------------------------------------------------------------

Fuhito Inagawa

unread,
Jun 7, 2003, 1:47:18 AM6/7/03
to
稲川です。

Shiro wrote:
>
>  今回の件で疑問に思った事について教えて下さい。
>
> 一 存在しない債権を請求する事は犯罪にならないのか。

ふつー詐欺っていうんじゃないの?
だけど、だまされてお金を払ってしまわない限り
犯罪にはならないんだったっけ?
というのはおいといて、

> 資料一 ---------------------------------------------------------
<略>


>>通知人:(株)K.C.C
>>    顧客管理課 料金徴収係
>>    担当 本山

<略>>>【振込先】(代表口座)


>>     三井住友銀行  四条支店 
>>     普通口座 1670424  
>>     ヨコタ マサミ (K.C.C代表)

この(株)K.C.C、ヨコタマサミは一部の新聞で報じられていますが、
悪質な詐欺に間違いありません。
また、当該銀行口座も、銀行側の配慮により振込入金の取扱を
停止されているとの事です。
無視して構わないと思います。

--
稲川 史(ふひと) http://www.biwa.ne.jp/~fuhito/
~fuhito/rtmach/pthreads.html (Lites/ELF で pthread) 改訂中
# サボり中ともいふ

SASAKI Masato

unread,
Jun 7, 2003, 2:36:50 AM6/7/03
to
佐々木将人@函館 です。

>From:Shiro <h9s...@tky2.3web.ne.jp>
>Date:2003/06/07 04:42:32 JST
>Message-ID:<bbqqqf$qi3$1...@usj.3web.ne.jp>
>
>一 存在しない債権を請求する事は犯罪にならないのか。

自分で存在しないとわかっているのに
あたかも存在しているように装って
相手に「存在しているなら払わなきゃいかんな」と信じさせて
その結果としてお金をgetすれば
これは立派に詐欺罪になりますし
仮に相手が払わないとしても
実行の着手が相手に請求する行為に認められるので
詐欺未遂罪となります。

ポイントは2つで
第1は「自分で存在しないとわかっている」という点
存在すると思い込んでいれば詐欺罪にはなりません。
第2は相手の方で
「もし本当のことがわかっていたら払わなかった」
という事情が存在していること
教科書事例としては
相手の方で
「債権なぞないのがわかっていたけど
 請求してきた人がかわいそうで
 お金をあげた」
場合には詐欺罪ではなく詐欺未遂罪になるということです。
「面倒だから払った」というのは結構微妙ですね。
たいていは「面倒なことにまきこまれたくない」というものであれば
詐欺(既遂)罪成立でいいと思うのですが……。

>二 コンテンツ事業者名、利用日時が書いてない請求書は、
>  請求書として有効なのか。 

請求書として有効かどうかというのを議論しても
法的にはあまり意味はないと思います。
すなわちもし本当に債権があるのであれば
請求書があろうとなかろうと払わなきゃいけない訳でして
請求の有無で法律上の効果が変わる訳ではないのです。
例外としては
・消滅時効
  請求書を送った後6か月以内に裁判を起こせば
  請求書を送った時点で消滅時効の進行が中断される
・期限の定めのない債務
  期限を定めてないんだから「払え」と言わないとだめ
そしてこれら例外の場合には
「誰と誰との間のどんな契約に基づく金額がこれだけの債権」
であれば十分なんで
利用日時がいちいち書いてないから無効とまでは言えないでしょう。
  
>三 有料だと明示されていなかったが実は有料だった場合、
>  支払の義務はあるのか。

ものによります。
たとえば高級料亭にはたいてい有料であることの明示はないけど
「有料でないことの明示がないから有料だとは思わなかった。」
なんてえのは通らないでしょう。
そりゃあいくらなんでも「無料」と思うのが非常識。

だから世間的にどう考えているかってえのが基準になるでしょう。

そこで考えて見るにインターネット上の各種情報を見るために
たとえばIDとパスワードによる認証すらなくして見ることができる場合には
それは無料だと考えられているでしょうから
そういうものを「実は有料です」と言っても
これは通らないと思います。
この場合は「有料で情報を提供する」「有料で情報の提供を受ける」
という当事者間での意思の合致が全然ないんで契約が不成立、
契約が不成立であれば債権債務も発生しないという説明になりますが
まあ物の道理で考えても同じ結論になると思います。
一方見るためには一定の手続が必要である場合には
微妙でしょうね。
意思の合致がないから契約不成立というのが原則なんですが
先の高級料亭の例のように
「そこを利用することは有料だと思うのが当たり前」であれば
そこを利用する行為自体で有料で利用する意思があったとされるでしょう。

ただですね。通常の商売人が有料であるにもかかわらず
後払いでいいというからには
それなりの経済原理が働くからでして
例えばとある健康センターでは館内の利用について腕輪のバーコードで管理し
退館時に精算するというシステムをとっている訳だけど
これが可能なのは
「たいていは後で払ってもらえるだろう」と思っていることと
精算しないと靴ロッカーの鍵を返さないことによって
逃げられないようなシステムを確立していることの両方によりますね。
(加えて払わない人は警察に突き出すと。)
でもインターネットの場合だと
商売人の立場で考えると客が払ってくれるかどうかの確証がないんで
基本的には先払いにしたり
クレジットカード等の決済にしたり
後払いにしても個人情報をできるだけ集めようとするでしょう?
そしてもし合法的な手順で回収しようとするなら
相手の居場所をつきとめて裁判所の手続を利用しなきゃならない。
そう考えれば普通後払いにはしませんわな……。
……そうするとまだ「有料が原則」って状況とは言えないかも。

知らないところから後払いの請求が来たら
裁判所の手続にのるまで無視を決め込むというのも
健全な常識だと思うけどなあ……。
……裁判所から連絡が来たらこれは無視してはいけない。

……十万円以下ならやっちゃんだって動かないと思う。
 (やっちゃん自体がやっている場合は別だけど
  それだって警察に通報されるリスクや
  通報されなくても自分自身にかかる費用を考えたら
  getできたって赤字ってえのにやるかい……と。)

こういうのって
「めんどうくさいから払ってしまえ」ってえ人が結構いるんで
成り立っているだけなんだよね。
「いかに相手の所に行かないで振り込ませるか」ってだけの勝負。

最後に……
債権回収を業としてやるなら債権回収会社としての認可を受けないとだめ。
認可を受けたところはその認可を示すはずだ……。
(貸金業者がその登録番号を示すのと一緒)

----------------------------------------------------------------------
Talk lisp at Tea room Lisp.gc .
c...@nn.iij4u.or.jp 佐々木将人
(This address is for NetNews.)
----------------------------------------------------------------------
ルフィミア「私のアンソロ本を書くって本当?」
まさと  「それ、微妙に間違っている……。」

Taro Yoshida

unread,
Jun 7, 2003, 4:01:41 AM6/7/03
to
In article <3EE17C66...@mx.biwa.ne.jp>, fuh...@mx.biwa.ne.jp says...
>この(株)K.C.C、ヨコタマサミは一部の新聞で報じられていますが、
>悪質な詐欺に間違いありません。

http://www.web110.com/headline.html
にこの手の振込先一覧があるのですが、
ヨコタ マサミは結構派手にやってるみたいですね。


--
----------------------------------------------------
Taro Yoshida E-mail ta...@dcc.co.jp
----------------------------------------------------

Fuhito Inagawa

unread,
Jun 7, 2003, 8:27:32 AM6/7/03
to
稲川です。

Taro Yoshida wrote:
> In article <3EE17C66...@mx.biwa.ne.jp>, fuh...@mx.biwa.ne.jp says...
>
>>この(株)K.C.C、ヨコタマサミは一部の新聞で報じられていますが、
>>悪質な詐欺に間違いありません。
>
>
> http://www.web110.com/headline.html
> にこの手の振込先一覧があるのですが、
> ヨコタ マサミは結構派手にやってるみたいですね。

そのようですね。
yahooあたりで検索すると山のようにヒットしますし。
で、面白いのが議員会館の某衆議院議員にも件のメール
が届いたそうです。
あまり無差別に送り付けると、そうやって墓穴を掘ると;-)

Yasuyuki Nagashima

unread,
Jun 7, 2003, 6:55:50 PM6/7/03
to
長島です。

刑法で、難しいなぁと思っていたところを
考えるいい事例だと思ったので、質問させてください。

In article <20030607...@nn.iij4u.or.jp>,
c...@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote:

>>一 存在しない債権を請求する事は犯罪にならないのか。
>
>自分で存在しないとわかっているのに
>あたかも存在しているように装って
>相手に「存在しているなら払わなきゃいかんな」と信じさせて
>その結果としてお金をgetすれば
>これは立派に詐欺罪になりますし
>仮に相手が払わないとしても
>実行の着手が相手に請求する行為に認められるので
>詐欺未遂罪となります。

これを前提とします。
ここでの前提のポイントは
「請求側に実際に債権は存在しないし、それを請求側が承知している」
こと、ってことで。

その前提で、元の文面を見ると
「支払わなければ法的手段に訴えるぞ」とも書いてあります。
そうなると、恐喝罪の構成要件も満たすように思われます。

# 恐喝罪における脅迫の内容は必ずしも違法なものである必要がない点は
# 判例あり(昭和29年4月6日最高裁判決)

今回のようなケースだと、
(1) 「法的手段に訴えるぞ」は詐欺に相当する行為の一部を
  構成しているので、詐欺罪に吸収され、吸収一罪となるのか
(2) 詐欺行為と恐喝行為が1個の行為となり、観念的競合となるのか
(3) 1つの文面ではあっても両者は別個の行為となり、併合罪となるのか

このあたり、私にとってはなかなか理解の難しいところでして…
…特に観念的競合と併合罪の区別が悩ましいです…

今回の件とは全く別ですが、
・無免許運転と酒酔い運転は観念的競合
・酒酔い運転と業務上過失致死は併合罪
(ともに昭和49年5月29日最高裁判決)
…の区別のポイントが理解できておらず、
それと同様のところにはまっているのだろうと思ったりしています。

-------------------------------------------
Yasuyuki Nagashima
yas...@horae.dti.ne.jp
-------------------------------------------

SASAKI Masato

unread,
Jun 8, 2003, 8:48:32 AM6/8/03
to
佐々木将人@函館 です。

>From:Yasuyuki Nagashima <yas...@horae.dti.ne.jp>
>Date:2003/06/08 07:55:50 JST
>Message-ID:<bbtqfv$fv7$1...@newsl.dti.ne.jp>
>
>「支払わなければ法的手段に訴えるぞ」とも書いてあります。
>そうなると、恐喝罪の構成要件も満たすように思われます。
>
># 恐喝罪における脅迫の内容は必ずしも違法なものである必要がない点は
># 判例あり(昭和29年4月6日最高裁判決)

まず恐喝罪における害悪の告知が違法なものに限られる訳ではないのは
全くそのとおりです。
したがって恐喝罪の構成要件該当性はあるということになった場合
恐喝罪と詐欺罪の両方をどう処理するかと言えば
1通の手紙を出すという社会的に見て1つの行為によって
2つの罪を同時に満たすことになるので

>(2) 詐欺行為と恐喝行為が1個の行為となり、観念的競合となるのか

でいいと思います。(団藤先生も同じ意見)

#ただし私は本件では恐喝罪はないと思っているのですが
 ……その点は最後に。

>…特に観念的競合と併合罪の区別が悩ましいです…

これ聞かれた時に私は
「社会的に1つの故意で1つの行為かい?」
と必ず聞くようにしています。

この事例での詐欺罪と恐喝罪の観念的競合が割と鉄板なのは
「相手からお金をせしめようという1つの意思のもとに
 1通の手紙を出している」
という行為の外見は
たいていの人は1つの行為と判断するだろうという点からでして
この判断に納得してもらえれば
観念的競合は割とわかりやすい結論だと思います。
……この観念的競合がわかりにくいとすれば
  たぶん「社会的に見て1つの意思による1つの行為」の判断基準に対する
  疑問のせいだと思います。

>今回の件とは全く別ですが、
>・無免許運転と酒酔い運転は観念的競合
>・酒酔い運転と業務上過失致死は併合罪
>(ともに昭和49年5月29日最高裁判決)
>…の区別のポイントが理解できておらず、
>それと同様のところにはまっているのだろうと思ったりしています。

交通違反はね~、交通違反が特殊なの!
……あたしもいっつも間違えるから……。(泣)

判例の説明ってこうなの……
「酒飲んで無免許運転するっしょ?
 そうするとキーをまわしてエンジンかかって車動いた時点で
 もう酒酔い運転と無免許運転は既に既遂に達しているでしょ。
 しかも同時に。
 だから観念的競合になるの。
 そして業務上過失致死傷罪は
 既に酒酔い運転について既遂に達しており
 その状態が継続しているにすぎない者が
 新たに事故を起こした結果成立する犯罪であるから
 犯罪成立後に起こした新たな犯罪なんで観念的競合にならない。
 よって併合罪。」
これでわかる?
……あたしわかんない(泣)

で、恐喝罪成立かどうかの話をするとね。
私は実は恐喝罪はないかなあ……って思っているのね。
昭和29年4月6日最高裁判決の事案って
犯罪を犯した人に対し告発するぞと言った事案で
告発自体は合法な手続だけど
いわば「黙っててやるから口止め料を払え」という事案なのね。
でも今回は
「裁判やってでも金取るぞ!」な訳でしょ。
身に覚えがないとなると裁判起こされても怖くないでしょ。
そうすると「裁判をやる」ってえのが害悪の告知になるか?ってえのが
第1の疑問。
仮にそこをクリアしたとしても
「裁判をやられたくなければ金払え。
 今払わなくたって裁判の中で金払えって言うぞ。」
ということで金を払えという選択肢しかない訳やん。
……なんかジャイアンがのび太に選択を迫ってるみたいだ……。
こういうのも恐喝なのかなあ……と。
……もし相手の意思を抑圧しているのならむしろ強盗だし……。
  強盗の手段は使ってないからなあ……。

Yasuyuki Nagashima

unread,
Jun 9, 2003, 10:20:49 AM6/9/03
to
長島です。
こちらは恐喝罪成否についてです。

In article <20030608...@nn.iij4u.or.jp>,
c...@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote:

>昭和29年4月6日最高裁判決の事案って
>犯罪を犯した人に対し告発するぞと言った事案で
>告発自体は合法な手続だけど
>いわば「黙っててやるから口止め料を払え」という事案なのね。

そうですねぇ。

>でも今回は
>「裁判やってでも金取るぞ!」な訳でしょ。
>身に覚えがないとなると裁判起こされても怖くないでしょ。

ここがどうなんだろうなぁと思うところでして…

fj.soc.lawをある程度読んでいる人ならともかく、
世間だとまだまだ
「裁判ってなんかコワイ」「法的手段ってなんかコワイ」
と思う人も珍しくはないんじゃないでしょうか?

この文面は、そう思わせることを狙っている節があるし…
(それゆえに考えの浅そうな文面だとも思うのですが)

>「裁判をやられたくなければ金払え。
> 今払わなくたって裁判の中で金払えって言うぞ。」
>ということで金を払えという選択肢しかない訳やん。
>……なんかジャイアンがのび太に選択を迫ってるみたいだ……。
>こういうのも恐喝なのかなあ……と。

私は、恐喝罪って
「相手をびびらせて財物を交付させる」ものと理解していました。
そうすると、
「裁判ってなんかコワイ」「法的手段ってなんかコワイ」
つまり「払わなければ裁判という『コワイ』ところに引っ張り出される」
と思わせる狙いがあるのでは、と思ったのです。
そうすると、恐喝になるんじゃないかと…どうでしょう?

Yasuyuki Nagashima

unread,
Jun 9, 2003, 10:20:48 AM6/9/03
to
長島です。

テーマが独立した2つなので、2つのフォローアップに分けます。
こちらは、併合罪と観念的競合に関する話です。

引用順は、もうぐちゃぐちゃですけど…

In article <20030608...@nn.iij4u.or.jp>,
c...@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote:

>判例の説明ってこうなの……
>「酒飲んで無免許運転するっしょ?
> そうするとキーをまわしてエンジンかかって車動いた時点で
> もう酒酔い運転と無免許運転は既に既遂に達しているでしょ。
> しかも同時に。
> だから観念的競合になるの。
> そして業務上過失致死傷罪は
> 既に酒酔い運転について既遂に達しており
> その状態が継続しているにすぎない者が
> 新たに事故を起こした結果成立する犯罪であるから
> 犯罪成立後に起こした新たな犯罪なんで観念的競合にならない。
> よって併合罪。」
>これでわかる?
>……あたしわかんない(泣)

あ~でも、分かる気がします。
というのは…

>交通違反はね~、交通違反が特殊なの!

何が特殊かというと、
「(特別刑法を含む)刑法は、行為を処罰の対象にする。
 ある行為がその後定常的な状態を生むとしても、
 あくまで処罰する対象は行為であり、状態ではない」
ってときに、割と交通違反は「ある定常的な状態」を
生みやすいことにあるのではないか、と…

>……この観念的競合がわかりにくいとすれば
>  たぶん「社会的に見て1つの意思による1つの行為」の判断基準に対する
>  疑問のせいだと思います。

んで、その疑問に拍車をかけたのが
法律学小辞典(第三版)で説明されている
「拳銃を使って人を脅して金を巻き上げることは、
 銃刀法違反と強盗罪の併合罪(観念的競合ではない)」
って例でして…ますます「???」になった次第でして…

銃刀法違反は拳銃の不法所持という「行為」を取り締まるもので、
所持している「状態」を問題にしているのは無い…って考えると
すっきりしそうな気がしてきています。

SASAKI Masato

unread,
Jun 10, 2003, 7:28:59 AM6/10/03
to
佐々木将人@函館 です。

>From:Yasuyuki Nagashima <yas...@horae.dti.ne.jp>
>Date:2003/06/09 23:20:49 JST
>Message-ID:<bc2529$rj6$2...@newsl.dti.ne.jp>
>
>>でも今回は
>>「裁判やってでも金取るぞ!」な訳でしょ。
>>身に覚えがないとなると裁判起こされても怖くないでしょ。
>
>ここがどうなんだろうなぁと思うところでして…
>
>fj.soc.lawをある程度読んでいる人ならともかく、
>世間だとまだまだ
>「裁判ってなんかコワイ」「法的手段ってなんかコワイ」
>と思う人も珍しくはないんじゃないでしょうか?

まあ評価の問題と言えば評価の問題なのですが
「身に覚えのないことで裁判をかけられても怖いとは思わない」からこそ、
たいていの人はこの種のメールが来ても無視しているし
せいぜいが消費生活センターに相談するくらいですんでいるんだと
思うものです。

払っている人の場合でも
「実はあの時無料だと思って使ったアレのことか?」
と思っている例が
これまた結構多いのではないか……。
(もっともこの場合には
 裁判とは恐ろしいものだと考えるのが自然だという前提で
 恐喝も成立させることにやぶさかではないです。)

>私は、恐喝罪って
>「相手をびびらせて財物を交付させる」ものと理解していました。

それ自体は外れじゃないです。
ただ注意しなければならないのは
詐欺とか恐喝の形態というのは
まがりなりにも「自らの意思決定に基づき財物・利益を提供した。」
と言えるものでなければなりません。
もはや他の選択肢がない状態で交付させたのであれば
それはもはや「自らの意思決定に基づき」とは言えないので
詐欺罪や恐喝罪は成立しない、
窃盗罪とか強盗罪を考えなきゃいけない。
実際「金を出せ」と包丁をつきつけて金を奪う行為を
恐喝罪だというのはおかしいとされているでしょう?
なぜおかしいかと言えば被害者に事実上選択の余地がないから。

そうすると恐喝罪の場合の害悪の告知というのは
一方で「その交付によって害悪から逃れられる」というのでないと
「自らの意思決定に基づき財物・利益を提供した。」
にはならないんじゃないか?って疑問なんですね。

でも確かにはがきを送っただけで強盗罪というのはおかしいし
窃盗罪というのも何か違和感がある……。
となれば
「これ本当に害悪の告知なの?」
って再検討はいると思うんですな。

その際世間一般からみて害悪の告知とは呼べないようなものは
たまたまそれを害悪の告知ととる人が一定数いたとしても
そのことをもって害悪の告知と言っちゃいけないんはないか?というのが
私の見解です。

SASAKI Masato

unread,
Jun 10, 2003, 7:21:44 AM6/10/03
to
佐々木将人@函館 です。

説明しているあたしがわからないって泣きながら説明しているのに
説明受けている方がわかってしまうってえのは
喜んでいいのやら悲しむべきなのやら……。
……使用済みテレホンカードの有効度数情報を0から100に書き換えるのが
  あたし自身は変造だと思っているのに
  通説によれば偽造になるというのを理解されて
  改説されてしまった時以来……。

>From:Yasuyuki Nagashima <yas...@horae.dti.ne.jp>
>Date:2003/06/09 23:20:48 JST
>Message-ID:<bc2529$rj6$1...@newsl.dti.ne.jp>
>
>何が特殊かというと、
>「(特別刑法を含む)刑法は、行為を処罰の対象にする。
> ある行為がその後定常的な状態を生むとしても、
> あくまで処罰する対象は行為であり、状態ではない」
>ってときに、割と交通違反は「ある定常的な状態」を
>生みやすいことにあるのではないか、と…

たぶんその説明は1つ成り立つんでしょうな……。
で、この説明をわかってもらえれば、
判例の立場で説明した場合

>んで、その疑問に拍車をかけたのが
>法律学小辞典(第三版)で説明されている
>「拳銃を使って人を脅して金を巻き上げることは、
> 銃刀法違反と強盗罪の併合罪(観念的競合ではない)」
>って例でして

というのは

>銃刀法違反は拳銃の不法所持という「行為」を取り締まるもので、
>所持している「状態」を問題にしているのは無い…って考えると
>すっきりしそうな気がしてきています。

全くそのとおりで
拳銃を手に入れた時点で「不法所持」という行為について成立する犯罪が
既に既遂に達している訳でして
その違法状態が続いているにすぎない訳ですよ。
その状態下で新たに強盗罪に着手すれば
そりゃあ観念的競合では絶対ないでしょう……と。

Taro Yoshida

unread,
Jun 12, 2003, 9:36:05 AM6/12/03
to
In article <3EE1DA34...@mx.biwa.ne.jp>, fuh...@mx.biwa.ne.jp says...

>>>この(株)K.C.C、ヨコタマサミは一部の新聞で報じられていますが、
>>>悪質な詐欺に間違いありません。
>>
>>
>> http://www.web110.com/headline.html
>> にこの手の振込先一覧があるのですが、
>> ヨコタ マサミは結構派手にやってるみたいですね。
>
>そのようですね。
>yahooあたりで検索すると山のようにヒットしますし。
>で、面白いのが議員会館の某衆議院議員にも件のメール
>が届いたそうです。
>あまり無差別に送り付けると、そうやって墓穴を掘ると;-)

http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20030612i314.htm
で12日に逮捕された例だと、110万通送信で700万円稼いだそうです。

記事中の口座所在地とhttp://www.web110.com/headline.html
口座情報を見る範囲では
逮捕されたのはヨコタマサミの可能性が高そうです。

Yasuyuki Nagashima

unread,
Jun 18, 2003, 12:30:59 PM6/18/03
to
長島です。

In article <20030610...@nn.iij4u.or.jp>,
c...@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote:

>まあ評価の問題と言えば評価の問題なのですが

私も落ち着くところはそこかな、と思っているところです。

>「身に覚えのないことで裁判をかけられても怖いとは思わない」からこそ、
>たいていの人はこの種のメールが来ても無視しているし
>せいぜいが消費生活センターに相談するくらいですんでいるんだと
>思うものです。

ま、怖いとは思わないのは裁判云々というより、
「あほか、こいつは」で終わっているからだと思います。

んで、

>払っている人の場合でも
>「実はあの時無料だと思って使ったアレのことか?」
>と思っている例が
>これまた結構多いのではないか……。
>(もっともこの場合には
> 裁判とは恐ろしいものだと考えるのが自然だという前提で
> 恐喝も成立させることにやぶさかではないです。)

こうなると、
法的手段云々のくだりは、相手をびびらせるというより、
「話をもっともらしく思わせる」ことにむしろ重きを置いているのかも…
と思うに至っています。

そうなると、これは恐喝っていうよりは、
詐欺罪の要件を構成する一部なのかな、と。

SASAKI Masato

unread,
Jun 19, 2003, 7:50:34 AM6/19/03
to
佐々木将人@函館 です。

>From:Yasuyuki Nagashima <yas...@horae.dti.ne.jp>
>Date:2003/06/19 01:30:59 JST
>Message-ID:<bcq427$5ts$2...@newsl.dti.ne.jp>
>
>そうなると、これは恐喝っていうよりは、
>詐欺罪の要件を構成する一部なのかな、と。

はい。
そういう事情からこの件で恐喝はあんまり考えないのでは……と。

Yasuyuki Nagashima

unread,
Jul 18, 2003, 10:35:28 AM7/18/03
to
長島です。
ちょっと浦島フォローになっちゃった。

In article <20030610...@nn.iij4u.or.jp>,
c...@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote:

>>何が特殊かというと、
>>「(特別刑法を含む)刑法は、行為を処罰の対象にする。
>> ある行為がその後定常的な状態を生むとしても、
>> あくまで処罰する対象は行為であり、状態ではない」
>>ってときに、割と交通違反は「ある定常的な状態」を
>>生みやすいことにあるのではないか、と…
>
>たぶんその説明は1つ成り立つんでしょうな……。

なんか、歯切れの悪いお言葉ですが…

判例の説明では分からなかった、と言う点とあわせて、
佐々木さんにとっては腑に落ちない説明なのか、
だとすればどの部分がそうなのか…
もしよろしければ、教えていただけますか?

SASAKI Masato

unread,
Jul 19, 2003, 9:52:35 PM7/19/03
to
佐々木将人@函館 です。

どう考えても通説判例の線でなくなるし
刑法プロパーの議論になりそうなので
fj.sci.lawにもふってフォロー先はそっちのみ

>From:Yasuyuki Nagashima <yas...@horae.dti.ne.jp>
>Date:2003/07/18 23:35:28 JST
>Message-ID:<bf90h9$35i$1...@newsl.dti.ne.jp>
>
>判例の説明では分からなかった、と言う点とあわせて、
>佐々木さんにとっては腑に落ちない説明なのか、
>だとすればどの部分がそうなのか…
>もしよろしければ、教えていただけますか?

まず

>>>「(特別刑法を含む)刑法は、行為を処罰の対象にする。
>>> ある行為がその後定常的な状態を生むとしても、
>>> あくまで処罰する対象は行為であり、状態ではない」
>>>ってときに、割と交通違反は「ある定常的な状態」を
>>>生みやすいことにあるのではないか、と…

という部分ですが
これは刑法学ではきちんと概念として整理していまして
即成犯……法益侵害によって既遂に達しかつ終了するもの(殺人罪等)
継続犯……法益侵害によって既遂に達しているがそれで終了する訳ではなく
     法益侵害状態が継続する限り犯罪事実としても継続するもの
     継続してしている限り1罪(監禁罪等)
状態犯……法益侵害によって既遂に達しておりそれで終了するもの。
     法益侵害状態はその後も続くものであるが
     構成要件の中でそのことを予想しているのがポイント(窃盗罪等)
そして上の「定常的な状態」というのは継続犯にも状態犯にも言えるところ
もし状態犯だとすると
「運転しはじめた時点で」という説明は矛盾しないんだけど
継続犯だとすればその説明はそもそも理由にならないのです。
だって事故時にも酒酔い運転について道路交通法違反罪の実行行為中な訳で
交通事故を起こす行為と社会的に見て1個の行為と評価できるなら
観念的競合になるのです。
……しかもスピード違反については「即成犯」だっていうのが判例だし。

で、わからない根本原因は何かというと
そもそも昭和49年5月29日最高裁判決は
「法的評価を離れ社会的に見て1個の行為なら観念的競合、
 そうでなければ併合罪」
というのを言っているわけで(その上での各論な訳だ)
酒酔い運転をして事故を起こす行為が
「社会的に見て1個の行為」と見る理由が


「酒飲んで無免許運転するっしょ?
 そうするとキーをまわしてエンジンかかって車動いた時点で
 もう酒酔い運転と無免許運転は既に既遂に達しているでしょ。
 しかも同時に。
 だから観念的競合になるの。
 そして業務上過失致死傷罪は
 既に酒酔い運転について既遂に達しており
 その状態が継続しているにすぎない者が
 新たに事故を起こした結果成立する犯罪であるから
 犯罪成立後に起こした新たな犯罪なんで観念的競合にならない。
 よって併合罪。」

って言うなら
それって法的評価を離れてないやん。

これを裏付ける事実として
実際に酒酔い運転と業務上過失傷害とを起訴する場合の
起訴状の標準的な形として
「酒酔い運転を開始した時点の日時場所」をもって特定するのではなく
まさに事故を起こした時点の日時場所をもって特定しているのですよ。
人間は同じ時刻・場所で社会的に見て複数の行為ができるもんなの?
それに運転開始時に既遂に達しているなら
事故を起こした時点では既遂に達しているのであって
その時点で行為を行ったことにはならないんじゃないの?

ってあたりがどうにもよくわからないのだよ。

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