併せて、超新星についての本で、初心者(?)
にもわかり易い本がありましたら、そちらも
お教えください。
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moby mo...@geocities.co.jp
| 超新星SN1987Aについて調べているのですが、
最近、全然勉強していないので、どうなっているか知りませんが、まず
http://rsd-www.nrl.navy.mil/7212/montes/sne.html
を見ればどうでしょうか?
|併せて、超新星についての本で、初心者(?)
|にもわかり易い本がありましたら、そちらも
|お教えください。
これも読んでないので申しわけないですが、同志社女子大の高原まり子さんの
「壮絶なる星の死」培風館 New Cosmos Series 7 はどうでしょうか?
まり子さんの先生がまり子さんの知らないところで非常に褒めていたし、超新星
の物理について私が絶対的に信用しているカツさんの監修がはいっているので、
読んでないにもかかわらず、いい本だと判断しています。
日本の超新星研究の第一人者は東大天文の野本憲一さんで、その婦人の野本陽代
さんは有名なサイエンス・ライターなので、もし陽代さんが超新星について書か
れていたら、内容は信頼でき、かつ分かりやすいと思います。
本格的に勉強するなら、Santa Cruz の Stan Woosley あたりから文献検索して
いけばいいと思う。彼の言うことなら物理として信用できる。大概の人の論文に
は物理がないので困ってしまう。
Kiguchi,
野本陽代さんの著作で1987Aに関する本でしたら、
・ドキュメント超新星爆発(岩波書店)
・超新星1987Aに挑む(講談社)
がありますね。価格等に関しては、
http://www.trc.co.jp/trc-japa/index.asp
で調べるといいと思います。
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/| ○|\ 佐脇 貴幸 (Sawaki, Takayuki) <saw...@gsj.go.jp>
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moby" <mo...@geocities.co.jp>さん write:
|どうしてこの星は青色だったのでしょうか?
|それまでの理論だと、II型の超新星爆発は
|赤色巨星が起こすという事だったそうですが、
|結局この事実はどう決着をつけられたのか
|もしご存知でしたらお教えください。
赤色巨星かどうかは大気の話で爆発するかどうかは芯の問題だから、それほどの
問題じゃないです。
星の中心部で He が燃え尽き、C+O の芯が重力収縮しだすと、大気は膨張して赤
色巨星になりますが、芯の回りの He が燃え出すと、また大気は収縮して星は青
くなります。どのように時間変化するかは、大気中の元素量で決まる光の吸収係
数に依存し(金属が少ないほうが好都合)、元素量は大気中での対流の起こり方
に依存し、対流の理論はまったく信用できませんから、観測事実があれば、観測
事実を説明できるモデルは作れるけれど、本当かどうかは分からない。眉につば
をつけながら職人芸を持っている専門家の言うことを信じると言うところでしょ
う。
でも、なんでこんな detail の問題に興味を持ったのですか?それが知りたい。
Kiguchi,
> でも、なんでこんな detail の問題に興味を持ったのですか?それが知りたい。
実は今、戎崎先生の「ゼミナール宇宙科学」を読んでいるのですが、
その中のSN1987Aについての所で、青かった理由として、今回Kiguchiさんが
書いてくださった事と同じような事が簡単に書いてあって、これをちゃんと理解する
には恒星内部構造論を勉強する必要があるって書いてあったんです。
で、この問題を理解するのはそんなに難しいのかなぁと思ってお聞きしたわけです。
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moby mo...@geocities.co.jp
恒星内部構造論を物理の常識としてどの程度知っておくべきかということを考え
ると、1987Aが赤いか青いかというのは、きわめて専門的なことだと思います。
恒星内部構造論が始まったのは19世紀の末で、ケルヴィン卿が恒星の年齢を考え
たときでしょう。その時から、星の構造はガスの自己重力とガス圧力の釣り合い
で決まると考えられていました。しかし、圧力を発生させる熱源が分からなかっ
たのです。重力エネルギーだけだと100万年しかもたなかった。
20世紀になって 2つの発見がありました。一つは熱源として核反応があるという
発見。これはベーテのノーベル賞です。もう一つは電子の縮退圧で星が支えられ
るという発見。これはチャンドラセカールのノーベル賞です。この2つの発見で
物理としての恒星内部構造論は了ったと思います。量子力学が水素原子の構造論
で了ったと同じ意味で。ノーベル賞の業績までが一般常識だとしたら、常識とし
てはここまででしょう。
星が赤色巨星になるのは星のコアが縮退圧で支えられるからです。これは量子現
象。こういうことはきちんと押さえておかなければならないと思う。
Kiguchi,
そういえば、今年の春の天文学会では
「恒星はなぜ赤色巨星に進化するのか」(藤本正行、杉本大一郎)
なんていう講演もありました。なんでも、 Iben の 60歳記念の研究会で、な
ぜ赤色巨星は膨らむかというので結構いろいろ議論があったんだそうで、混乱
を正す必要があると思ったとかいう話を聞いたような気もします。
牧野@東大天文
1987Aは、カミオカンデの修復直後にニュートリノが観測できた超新星ですよね。
1987Aについては少ししか書いてありませんが、
野本陽代さんの書いた本で最近おもしろかった本は、
『野本陽代、宇宙の果てにせまる(岩波新書)1998』
です。
(以前、宇宙年令を求める議論をした直後にKiguchiさんのおしゃっていた内容に
刺激されて読んだ本です。)
また、別のスレッドに出ている恒星内部構造論からブラックホールまでの
星の進化の物理について数式を混じえて分かりやすく書かれている本に、
『佐藤文隆/R.ルフィーニ、ブラックホール(中央公論社 自然選書)1976』
があると思います。
もちろん 超新星爆発についてもていねいに書かれています。
この本はこの手の話題に関して、まず最初にチェックする私のバイブル本になっています。
(でも最近本屋さんで見かけないような気がします....?)
きむら@茅ヶ崎