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Minoru Nagai

unread,
Feb 2, 2005, 9:18:17 AM2/2/05
to
永井@茨城県在住と申します。

 昨日、松下電器産業がジャストシステムを特許侵害で訴え、東京地裁が
松下電器産業の訴状を支持する判決を出して、世間をにぎわせています。

 このニュースを見てふと思ったのですが、1989年10月31日までにアイコ
ンを選択する(選択後クリックするを含む)と、機能の説明のテキストが
表示される、と言うのはUNIXと言うか、X-Windowでそんなソフトなかった
でしょうか?
 私はShellを持ったOSを触ったのは1990年からなので、1年前のことは分
かりません。

 ジャストシステムは争点の1つにWindowsの機能であり、間接侵害だ、と
主張しています。

 もし、松下電器産業が勝訴してしまうと、マイクロソフトの言語ソフト
を使ってこの機能を使ったソフトを作り、販売した人は全て直接侵害になっ
てしまいます。

 間接侵害の主張が通ったとした場合、マイクロソフトが主として責任を
負います。

 また、この特許はマイクロソフト製品に限らないので、国内で作られる
または使用される全てのOSとその上で動く全てのソフトに影響する、と言
うとんでもないものなので、特許が成立していること自体が問題です。

 私の認識では、そもそもプログラムとかは特許法第2条1項「この法律で
「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものを
いう。」の条文のせいで、通常、自然法則を利用していないため、特許に
該当せず、著作権法の方で保護される対象のはずなんですが。

 特許庁の説明にも下記のようになっています。
http://www.jpo.go.jp/seido/index.htm
<特許法の保護対象>
 特許法第2条に規定される発明、すなわち、自然法則を利用した技術的
思想の創作のうち高度のものを保護の対象とします。したがって、金融保
険制度・課税方法などの人為的な取り決めや計算方法・暗号など自然法則
の利用がないものは保護の対象とはなりません。また、技術的思想の創作
ですから、発見そのもの(例えば、ニュートンの万有引力の法則の発見)
は保護の対象とはなりません。さらに、この創作は、高度のものである必
要があり、技術水準の低い創作は保護されません。

 なお、この特許の効力期間は1989/10/31~2009/10/31までの20年間(申
請により+5年の可能性有り:特許法第67条)です。

 こころあたりのあるプログラムを作った事のある人にとっては深刻な問
題であると思います。

 皆さん、どう思います?


●判決文
 最高裁判所
 http://courtdomino2.courts.go.jp/home.nsf
 →知的財産権判決速報
 →東京地方裁判所
 →H17. 2. 1 東京地裁 平成16(ワ)16732 特許権 民事訴訟事件

●特許
 http://www.ipdl.ncipi.go.jp/Tokujitu/tjbansaku.ipdl?N0000=110
 種別:登録
 文献番号:2803236
 →特開平03-144719

●特許法・著作権法
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi
 ↑ここで検索

●特許庁
http://www.jpo.go.jp/indexj.htm

Taro Yoshida

unread,
Feb 2, 2005, 8:56:16 PM2/2/05
to
フォローアップ先をfj.soc.lawに絞っておきます。

In article <4200e12c$0$983$44c9...@news2.asahi-net.or.jp>, @m_n...@d5.dion.ne.jp says...


>> 私の認識では、そもそもプログラムとかは特許法第2条1項「この法律で
>「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものを
>いう。」の条文のせいで、通常、自然法則を利用していないため、特許に
>該当せず、著作権法の方で保護される対象のはずなんですが。

特許法には

|(定義)
|第二条  この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作
|のうち高度のものをいう。
|2  この法律で「特許発明」とは、特許を受けている発明をいう。
|3  この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。
|一  物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の
|生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等で
|ある場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)若しくは
|輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為

|4  この法律で「プログラム等」とは、プログラム(電子計算機に対する指令
|であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。
|以下この項において同じ。)その他電子計算機による処理の用に供する情報で
|あつてプログラムに準ずるものをいう。

と定義入っているので、
プログラムが 現在の特許法 の保護対象に含まれる点では議論の余地はないです。
永井さんの疑問を解くかぎは過去この項を改正した際の資料中に存在すると
思います。

--
----------------------------------------------------
Taro Yoshida E-mail ta...@dcc.co.jp
----------------------------------------------------

SUZUKI Wataru

unread,
Feb 4, 2005, 9:56:24 AM2/4/05
to
# 法律論限定でフォロー先はfj.soc.lawのみ。

Wed, 2 Feb 2005 23:18:17 +0900,
in the message, <4200e12c$0$983$44c9...@news2.asahi-net.or.jp>,
"Minoru Nagai" <@m_n...@d5.dion.ne.jp> wrote
>松下電器産業の訴状を支持する判決を出して、世間をにぎわせています。

「世間」は大してにぎわっちゃいないと思いますが……。
一番にぎわっているのは当の裁判所(文書は主に一太郎で作っていたりす
る。今回の判決文は一太郎を使わずにわざわざWordかなんかで作ったらし
い。)かも知れない。

まあそれはともかく。

# 「訴状を支持」という日本語も意味不明ではある。
 支持するのは普通は「主張」。

> ジャストシステムは争点の1つにWindowsの機能であり、間接侵害だ、と
>主張しています。

のっけから間違い。
判決文を読みましたか?
(判決文を読まなくても新聞を読んだだけでも間違いだと判るが……。)
ジャストシステム(以下、JS。)の主張は「間接侵害には当らない」です
(判決文の「争点」を見てみましょう。
 ボタンはアイコンか?間接侵害に当るか?無効事由が明白か?という3点
 が争点であるとして判決文に書いてあります。)。

まず用語の理解からして誤っているのは確実。

特許法における間接侵害というのは、特許権の直接侵害に該当する「行為」に
加担しまたは幇助することであり、「間接侵害は特許権侵害とみなす」ので間
接侵害であっても「特許権侵害」です。
つまり、間接侵害であるとしても「侵害に変わりはない」です。

そして今回の件は「間接侵害として特許権侵害を認めたもの」に他ならず、
「間接侵害だ」と主張したところで「特許権侵害であるということを否定しな
い」のでぜんぜん意味がありません。

だから、JSは「間接侵害ではない」と言っているわけです。

# 間接侵害だなどと言ったらまんま自白。
 と言うかそもそも「争いのない事実であって争点にすらならない」かも知れ
 ない。

ちなみに、本件においては「ユーザーが被告製品を購入しPCにインストールし
使用する行為が直接侵害に該当する行為である」と捉えている
(該当と言うよりは相当と言うべきではないかという気はするけど、特許法に
 おけるこの辺の用語法は未確認。)。
そして本件で問題となった間接侵害の類型は具体的には、発明品の生産に用い
る物であって、「その発明品による課題の解決に不可欠なもの」を、それが特
許発明の実施に用いられることを知りながら、業として生産・譲渡等する行為
(特許法101条2号)。


で、JSの主張は、大雑把に言えば、問題の機能はマイクロソフト(以下、
MS。)のOS自体が実現する機能であって一太郎(あるいは花子)を導入しなく
ても特許権侵害状態を作り出せるのだから一太郎は特許権侵害に不可欠な要素
ではないから特許権侵害の間接侵害に当らないというもの。
つまり、Windowsの機能であることは「(直接侵害は言うに及ばず)間接侵害
ですらない」という主張の根拠。

ちなみにこれに対する松下の反論は、同様に大雑把に言えば、「問題としてい
る侵害行為は被告会社の製品の導入によって実現する行為であるから被告会社
製品を導入しなければ実現することはありえない。そして、OSの機能であって
もそれを利用するかどうかは被告会社の意思によるのであり、その機能を利用
して現実に侵害行為を行えるようにしているのは被告会社以外にない。よって
被告会社の製品は『不可欠な要素』に当る」というもの。
裁判所の判断もほぼ同旨。

> もし、松下電器産業が勝訴してしまうと、マイクロソフトの言語ソフト
>を使ってこの機能を使ったソフトを作り、販売した人は全て直接侵害になっ
>てしまいます。

法律論として誤り。
直接侵害の意味をきちんと理解しましょう。
直接侵害とは、正当な権原のない第三者が、特許発明を業として実施するこ
と。
ここで、松下の特許権の内容は「件の機能を搭載した製品あるいは件の機能を
内容とする情報処理方法」であって「ソフトウェア製品ではない」です。
そして、「件の機能を搭載した製品あるいは件の機能を内容とする情報処理
方法」に該当するのはあくまでも「件の機能を実現するソフトウェア製品をイ
ンストールしたPC」であって、その機能を実現するソフトウェア製品を製造・
譲渡することは、特許の内容に該当する装置を生み出すことについて加担また
は幇助することであり間接侵害にしかなりません。

さらに言えば、事実の理解としても誤り。
MSの「言語ソフト」(多分開発言語のことだろう。)を使わなくても例えば
ボーランドの言語ソフトで開発してもまったく同じです。
何「で」造ったかではなく、何「を」造ったかが問われているのです。

# ま、言語ソフトではなくてOSの間違いだろうとは思うんだけどね。

> 間接侵害の主張が通ったとした場合、マイクロソフトが主として責任を
>負います。

根拠不明と言うか、趣旨不明
(ちなみにMSについては、自社製品を搭載した製品の製造販売業者に訴訟を提
 起しないという契約を結んでいるので訴えられない様子ではあるが、当該契
 約が独禁法違反かなんかの疑いで係争中らしい。)。

# まあ結局のところ「直接侵害・間接侵害」の意味が解ってないだけだろう
 な。

> また、この特許はマイクロソフト製品に限らないので、国内で作られる
>または使用される全てのOSとその上で動く全てのソフトに影響する、と言
>うとんでもないものなので、特許が成立していること自体が問題です。

??
趣旨不明。
特許権侵害は「特定の会社の製品に限らないので国内で作られるすべての製
品に影響する」に決まっていますが。
基本的な特許ほど応用技術が多いので影響範囲が大きいということになります
が、いずれにしても、その特許権の保護にかかる技術を使ったすべての製品に
影響するのは当り前で、それがとんでもないから問題だというのなら「特許制
度止めよう」ということになります。
JSだって流石にそんな主張はしていません。

特許権の影響範囲の広狭は特許権の成否とは関係がありません。
特許の要件をきちんと理解しましょう。

> 私の認識では、そもそもプログラムとかは特許法第2条1項「この法律で
>「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものを
>いう。」の条文のせいで、通常、自然法則を利用していないため、特許に
>該当せず、著作権法の方で保護される対象のはずなんですが。

誤り。
条文を読みましょう。
プログラムは、明文で特許権の対象です(2条3項1号。)。

もっとも本件は改正前の特許なのでプログラムは対象でなかった時代ですが、
どっちにしてもまったく関係がありません。

そもそも本件の特許権の保護対象は「これこれの機能を有する装置あるいはこ
れこれの機能を内容とする情報処理方法」。
装置と方法が特許の対象なのであり「プログラムではありません」。
したがって、特許権の保護対象にプログラムを含むか否かは本件にはまったく
関係がありません
(判決のどこにもプログラムが特許の対象になるかどうかなんてことを問題
 にした記述はない。)。

ちなみに、
その機能を有する装置を実現させるソフトウェア製品の製造・譲渡は当該装置
を直接製造しているわけではないので直接侵害ではない。
しかし、当該ソフトウェア製品の導入により当該装置を作り出すことが発明の
実施に当る。
そして、それを実現可能にする当該ソフトウェア製品の製造・譲渡は発明の実
施を幇助する行為に当り「間接侵害」であるから特許権侵害。
というのが判決の理屈。

> 皆さん、どう思います?

特許法についてもう少し正しく理解した方がいいと思います。
また、当該判例についてもきちんと読んで事実関係および判決理由を正しく理
解した方がいいと思います。

--
SUZUKI Wataru
mailto:szk_wat...@yahoo.co.jp

SUZUKI Wataru

unread,
Feb 4, 2005, 10:00:39 AM2/4/05
to
Fri, 04 Feb 2005 23:56:24 +0900,
in the message, <42038cac.2197%szk_wat...@yahoo.co.jp>,
SUZUKI Wataru <szk_wat...@yahoo.co.jp> wrote
|# 法律論限定でフォロー先はfj.soc.lawのみ。

と言いつつ、指定を忘れました。
フォローするときはfj.soc.lawをフォロー先指定してください
(法律論でない場合は別ですが。)

ISHIBASHI

unread,
Feb 4, 2005, 10:25:41 AM2/4/05
to
"Minoru Nagai" <@m_n...@d5.dion.ne.jp> wrote in message
news:4200e12c$0$983$44c9...@news2.asahi-net.or.jp...

>  もし、松下電器産業が勝訴してしまうと、マイクロソフトの言語ソフト
> を使ってこの機能を使ったソフトを作り、販売した人は全て直接侵害になっ
> てしまいます。
>
>  間接侵害の主張が通ったとした場合、マイクロソフトが主として責任を
> 負います。
>
>  また、この特許はマイクロソフト製品に限らないので、国内で作られる
> または使用される全てのOSとその上で動く全てのソフトに影響する、と言
> うとんでもないものなので、特許が成立していること自体が問題です。
>
>
>
>

この点については、OSには松下特許の効力は及びませんし、
マイクロソフトに責任は無く、
その機能を最終的に実現するソフトを作って売った者だけが責任を負う
ということで、鈴木さんが既に詳細に説明されたとおりだと思います。

3つの争点
(1)アイコンに該当するか。
(2)間接侵害が成立するか。
(3)無効理由が存在することが明らかか否か。
のうち、 (1)と(2)についてはジャストシステムに
まず勝ち目は無さそうなので、
もし、ジャストシステムが次の高裁で勝つとするならば、
(3)の点、つまり権利濫用だ、という主張が認められる場合に
限られるような気がします。
何れにしろ、この程度の発明に特許性があるのかどうか、
高裁がどんな結論を出すか興味深い事件です。

*****************************
ISHIBASHI
m-ish...@mtb.biglobe.ne.jp
*****************************

Sin'ya

unread,
Feb 10, 2005, 5:20:03 AM2/10/05
to
この件についてよく知らないので、コメント無しで、ポインタのみの紹介を
します。

http://d.hatena.ne.jp/shiomaneki/20050203/p1
(1987年における、Macのアイコンの使われかたについてです。)
---
兼松真哉

SUZUKI Wataru

unread,
Feb 15, 2005, 7:19:30 AM2/15/05
to
# フォロー先はfj.soc.lawのみ。
 今度はちゃんと指定しました。(^^;

Sat, 5 Feb 2005 00:25:41 +0900,
in the message, <cu049r$e1t$1...@bgsv5647.tk.mesh.ad.jp>,
"ISHIBASHI" <m-ish...@mtb.biglobe.ne.jp> wrote


>この点については、OSには松下特許の効力は及びませんし、
>マイクロソフトに責任は無く、
>その機能を最終的に実現するソフトを作って売った者だけが責任を負う
>ということで、鈴木さんが既に詳細に説明されたとおりだと思います。

えーと、「鈴木」が私のことであるならば、「MSは特許権侵害にならない」と
いうことは特に言っていないです。
裁判にならないのは契約のせいらしい(訴訟を特定した不起訴の合意というの
は一般論としては有効な訴訟契約です。)という話はしましたが。
確かに、「松下特許の内容たる機能を実現する仕組みがMSのOSにあるからと
言ってそれだけで直ちにMSが責任を負うものではない。」という点はその通り
ではありますが。

で、確認したいのですが、「OSには松下特許の効力は及びません」という特許
法上根拠は何ですか?

いや、単に「当事者でないMSには本件訴訟の判決効は及ばない」という話なら
ばまったくそのとおりですが、それはOS云々は無関係。

>もし、ジャストシステムが次の高裁で勝つとするならば、
> (3)の点、つまり権利濫用だ、という主張が認められる場合に
>限られるような気がします。

私もそんな気がします。
進歩性なしで押してくるんじゃないかな?

# それにしても無効審判請求してないのかな?

>何れにしろ、この程度の発明に特許性があるのかどうか、
>高裁がどんな結論を出すか興味深い事件です。

「この程度」と言っても、「出願当時」という観点で見ないといけないから。
確かに、「今どき」なら「この程度」なんですけど、それはコロンブスの卵と
言うが如し。
判決文にも「当時」という表現がいっぱい出てきます。

理科系の研究者の中に「万有引力の法則くらい俺だって見つけられたはず
だ。」と言っている人がいるんだけど、「それは知識水準が今現在の状態にあ
るこの世の中だから言える話だよ。当時の知識水準・学問水準の中で他の誰も
言っていないことを(一応)一番最初に発見して発表したからこそニュートン
は偉いのであって、知的水準が遥かに上った今の世の中に生きている人間が
『俺だって』なんて言ったところでそんなものは戯言でしかないよ。もしあた
ながニュートンの時代に生きていれば万有引力の法則を見つけられたと言うの
ならそれはあなたの相対的な知的水準がその時代の最先端にあったであろうと
いうことであるから、今の時代においてもまた同様に最先端の水準にあるとい
うことであるはずで、今の時代にこれまで誰も言っていないかった法則を何か
見つけられるはずだと思うけどね。それができないのならニュートンの時代に
生きていても万有引力の法則は見つけられなかっただろうね。」とあたしは言
いたい。
まあ「俺だって」なんて言ってるのは結局自分の無能さを時代とかのせいにし
ているだけさ。
今この時代に生きているんだから、今この時代自分が何ができるかを考えろ
よ。

# ちょっと話が違うんだけど、先日桶川ストーカー殺人事件の国賠訴訟で殺人
 についての警察の責任を否定した判決について朝日か毎日かの記事に「単な
 る中傷ビラ配りから殺人にまで発展してしまうストーカー事件の本質を理解
 していない」とか何とかいう批判が載っていたのだけど、あたしに言わせれ
 ば、「それは桶川の事件があった今だからこそ言える話でしょ?桶川の事件
 があって初めてストーカー問題が注目を浴びて規制法ができたりしたわけで
 しょ?でも桶川の事件の前に『本質』とやらを知っていた人がどれだけいる
 の?それが当時既に公知ならとっくに規正法ができていたはずではないの?
 それを判った後で言うのは後出しじゃんけんと一緒じゃないの?その行為者
 の行為当時の状況に照らしてどこまで責任を負わせることが妥当なのかとい
 う法律上の相当因果関係論の本質について何も理解していない批判だね。」
 と
 (念のため言っておくがこれは一般論なので「相談を受けた警官が殺人に発
  展する可能性を認識しえた」という証明ができればこれは賠償責任が認め
  られるよ。)。

もっとも、キー入力を前提とした当時の同様の特許および雑誌記事などからそ
れをアイコンに置換えるというのは容易に発想できるだろうと思うところ。
個人的には、入力装置としてのマウスは元々キーボード入力を一般的に置き換
えるものなのだから、キーボードのキータッチによる文字・記号入力をマウス
でのアイコンクリックによる入力に置換えるというのはまさに一番当然の方法
論で誰でも思い付く発想だと思う。
とすれば、特許無効審判請求すれば無効の審決が出てもおかしくないし、仮に
拒絶の審判が出ても東京高裁に取消訴訟を提起すれば「進歩性なし」で取消判
決が出てもおかしくないとは思う。

# だけどこれは「発明ではないから」じゃない。
 あくまで「進歩性がないから」。

SUZUKI Wataru

unread,
Feb 15, 2005, 7:19:30 AM2/15/05
to
# フォロー先はfj.soc.lawのみ。

Sun, 6 Feb 2005 21:32:07 +0900,
in the message, <42060e4d$0$974$44c9...@news2.asahi-net.or.jp>,
"Minoru Nagai" <@m_n...@d5.dion.ne.jp> wrote
>●(関係ありませんが・・・)特許の利用目的は以下の2つがあります。
> (1) 実施料の徴収を目的としたもの
> (2) 実施させないことを目的としたもの
>
> 他人にさせない、(2)の目的のものは意外と多かったりします。

# 確かに関係ない
 (もっとも他の部分も本論からは関係ない話ばっかだが。)。

はっきり言って間違い。
特許の一番の目的は「自分だけが独占的に実施すること」。
これが抜けた時点で間違い。

特許権とは「発明者が独占的に実施する」積極的効力が本質でありその裏返し
として「他者の実施を排除する」消極的効力を有する権利と考えるのがおそら
く通説。
つまり「自分だけが独占的に実施する」ことこそが本質にして最大の目的で
その反射的効力が「他者に実際させない」こと。
だから、他人に実施させないための特許は本来の目的と表裏をなすものでそれ
が多くても別に「意外」でも何でもありません。

むしろ「他人に実施させて金を取る」というのは、「そういう利用ができる」
だけであって特許権の本質から言えばおまけでしかありません
(所有権の本来の目的が「他人に貸して賃貸料を取ることではない」のと同
 じ。
 だけど賃貸することもできるししたって構わない。)。

確かに、実務系の人間は他者にライセンスするという経済的用法を重視するよ
うだけど、それにしても「自分が独占実施する」という点を無視している人は
いない。


なお、自分では実施しないのに特許だけ取るといういわゆる防衛特許もありま
すが(全特許の半数を占めるという話もある。)、それは「自分で実施する特
許を実効有らしめるために類似の特許を押さえておく(例えば同じ効果の得ら
れる複数の特許についてすべて特許登録した上で一番都合のいいものだけを実
施する。)いわゆる衛星特許」とか「範囲の広い特許と狭い特許を同時に押さ
えておくことで広い方が万一無効となっても狭い方は確保できる」とか「当面
実施予定がなくても将来のため念のため取っておく」とかの理由で、突詰めれ
ば「特許を独占的に実施するため」。
「単純に他者の実施を妨害する目的」で取っているわけではありません。
そんなの特許料の無駄遣い。
他者に実施させないのはあくまでも「自分が実施する利益を確保する目的」が
あるからです。

……審査請求制度がなかった1970年以前には確かに先願要件つぶしの防衛出願
だけで目的を達せられるが制度上必然的に特許になってしまったというのもあ
るけど、今では防衛出願だけでは特許になることはない。


で、そうやって特許を取ったが特に実施を制限する必要がなかったり結局使わ
なかったりしたいわゆる休眠特許について塩漬けにしておくのは特許料が掛か
るばかりで何の得にもならないので有効活用する(譲渡したり実施権設定した
り。)のが最近の特許ビジネスが台頭してきた背景。
もし「ただただ実施させないため」だったらこんなビジネス成り立たないね。

ついでに言えば、休眠特許にして放っておくと制度上は裁定実施権が認められ
ることもありうる(実際にはまずない。確か前世紀には裁定は一つもな
い。)。

……とにかく特許法の入門書でも何でもいいからまずは読んでみたらどうです
か?
(もっとも法律論を論じる気はなさそうであるが。
 あれば、フォロー先をきちんと指定するはず。)。

>●プログラムは通常特許にならないと言うことでありますが、特許法で言う
> 「発明」には以下の2つの条件が必要です。
> (1) 自然法則を利用していること
> (2) 高度な技術的思想の創作であること

# なんか日本語が変だな。

法律論としては不正確だけどまあいいでしょう。

# 参考に言うと、法律論としては、
 (1)自然法則を利用したものであること。
 (2)技術的思想であること。
 (3)創作であること。
 (4)高度であること。
 という風に「4つに」分けます
 (もっとも「高度」に関しては実用新案との区別のために書いてあるだけで
  実際には進歩性の問題と捉える。)。

これも本筋の訴訟とは「関係ない」。

で、「プログラムは通常特許にならない」というのは「結論としては」間違い
ではないけれど、その根拠が「発明に当らないから」と言うのは、「法律論と
して」理論的にも実務的にも誤り
(事実認識としても誤りだがそれは後述。)。

特許になるかどうかは「要件を充たすか充たさないか」だけ。
そしてそれは「プログラムだろうがそれ以外だろうがまったく同じ」
(要件該当性の判断基準が多少違うということはある。
 参考として特許庁の審査基準を見よ。)。
そこで「実際に充たさない例が多い」としてもその理由は、「進歩性がない」
「産業上の利用可能性がない」など他の要件を充たさないからであって「プロ
グラムが発明でないから」ではない。

> この内、プログラムは通常(1)の条件を満たすことが出来ないので、特許にな
>りません。この条件を満たせば「発明」となり、特許を受ける権利があります。

# 特許法の発明に該当するからと言ってそれだけでは「特許を受ける権利」な
 どありません。
 特許の要件知ってますか?
 つーかさ、読んでいると「発明」だけで特許を論じようとしているような気
 がするんだけどね。
 発明であるかどうかは特許の前提だけどそれだけで特許を説明しようなん
 て、どだい不可能。
 と言うか、発明であるかどうかよりもそれ以外の要件論が実際には問題で
 あって、発明なんかに拘泥している時点で特許法をまるで理解していない
 のが明らか。
 ああそうだ、念のため言っておくけど、「特許」と言うのが「特許法に基づ
 く制度」である以上、「特許」を論じるならまがりなりにも「特許法を理解
 しているの」のは当然のこと。

特許法における発明の要件を充たさなければ特許が取れないのは「プログラム
に限りません」。
特許法における発明の要件を充たせば特許が取れる可能性(他にも要件がある
からね。)があるのは「プログラムも同様です」。

プログラムを他の発明と区別する理由は「特許法上は」ありません。
プログラムであっても自然法則を利用することが可能である以上、プログラム
を発明から除外することは「特許法の理解としてまったくの誤り」です。
プログラムだからということを殊更に問題にするのは「特許法をまるで理解し
ていない」ゆえと言わざるを得ません
(確かに実務的には、要件との整合性とそこから出てくる審査基準の都合で、
 プログラムの場合特有の議論はあるが、それはプログラムが特許の対象にな
 ることが前提の話。)。

そして「プログラムは'通常'自然法則を利用していない」というのは、現行特
許法理論、特許実務あるいは常識的事実認識から言ってまったくの誤り。
例えば制御プログラムは、「通常でない」プログラムでもなんでもありません
が、自然法則を利用しているのは極普通のことです。
例えば化学法則を無視して化学反応を利用した機器の制御ができると思います
か?

> 実際にプログラムや何かの方法を特許にしたい時はどうしているかと言いま
>すと、物質として存在している固有のものに関連付けることでこの条件を満た
>します。例えば、特定の装置を制御するためのプログラムとして申請する、特
>定の物(物質として存在する物)を扱う方法として申請します。

現行法理論および実務における審査基準からして誤り。

一体いつの話をしているのか知りませんけど、「プログラムを記録したメディ
ア」は97年から記録媒体クレームが認められているのでハードと一緒ではなく
ても特許登録できます
(これは汎用ハードを利用するソフトウェア開発メーカーが自社のソフトウェ
 アを特許登録できるようにするため。)。
近年の改正ではさらにメディアに記録していなくても(具体的にはネットワー
クで配布する場合。一応ここではメディアを物理的な記録媒体と捉えてネット
ワークとは区別している。)
特許登録を認めています。
「ハードと一緒に登録することもできる」からその方がいいのであればそれで
もいいけど、プログラムだけで特許登録するしたって全然構いません。
法律論としてはこれだけ。

なお、現行の特許審査基準においてプログラムが実際にハードウェアで動作す
ることを要求する理由は、「実施可能であることを示すため」。
実施可能でないと産業上の利用可能性という要件を充たさないので特許が取れ
ません。
しかし、これは別に、ハードと一体でなければ発明にならないからではありま
せん。

> プログラムが特許として無条件に認められるような記事がありましたが、

読解としてまったくの誤り。
誰もそんな寝ぼけたことは言っていません
(判決文と条文だけじゃなくて他人の投稿すらきちんと読まないのか……。
 って言うか、読「め」ないのか?
 もしかすると話をすり替えようとしているだけかも知れないけどね。)。

そもそも「無条件」に認められる効果なんて法律上まずありません
(まあ人であればっていうだけの人権くらいかね。
 なお、人であることが条件になってはいるけど、それはプログラムであ
 ればというのに相当するので、それ以下の点では「無条件」。
 尤も、厳密なことを言えば、国籍の有無などによって保障の範囲が変わって
 きたりもするので本当に「無条件」か?とは言えるけどね。)。

著作権だってプログラムに無条件に認められるわけではありません
例えば、

main()
{
printf("Hoge\n");
}

このプログラムは著作権の要件を充たさない(端的に言えば、誰が書いても同
じようになる=創作性なし。)ので著作権はありません
(mainの前にintをつけるか、()にvoidを入れるかってのは差を生じな
 い。)。
知財専門でないと弁護士でも間違う人がいるけどね。

法律上の要件を満たさなければ法律上の効果が発生しないのは当り前です。
効果の発生を論じる際には「要件を充たせば」という前提であるのは当り前で
す。
当り前だから、特に必要がなければ誰も一々断らないだけです。
そして、特許法上の『発明』の要件を充たさなければ発明にならないのは、
「プログラムに限った話ではありません」。

特許法における発明の要件を充たさなければ特許が取れないのは「プログラム
に限りません」。
特許法における発明の要件を充たせば特許が取れる可能性(他にも要件がある
からね。)があるのは「プログラムも同様です」。

# どうも特許法を理解する以前に理解すべきことがありそうだな。

>2条3項は「実施」を規定するもので、「発明」を規定するものではありませ
>ん。

それが何か?
それ自体は確かですが、それは「プログラムが特許法における物の発明になら
ない」ということをまったく意味しません。
むしろ、「プログラムが特許法における物の発明たりうる」ことを明らかに
するために、2条は「発明がプログラムの場合の」実施を明示した規定になっ
ているのです。
発明にならないのなら「実施」について規定しても全く無意味です。

# これが解らないとすれば、常識または論理性がないということだからもう手
 の打ちようがない。

ってーかプログラムが物の発明に当ることを明示するために平成14年にわざわ
ざそういう風に改正したもの。
これは入門書レベルで書いてある程度の話。

> この特許にならうと、ほとんどのGUIが特許として認められそうな気がするの

# ああ、やっと関係ある話が出たよ。

気のせい。
根拠がまったくありません。

>ですが。これからのGUIデザイナーは特許に詳しくなくてはいけない時代になっ
>たということなのでしょうか。

それが何か?
発明をする人は、多かれ少なかれ特許権侵害の危険があるのはGUIを創る人に
限った話ではありません。
GUIを創る人だけ特許権に縛られないとする理由がない以上、GUIを創る人も
「そのほかの発明をする人と同様に」特許権に縛られるだけのことです。

だから「特許権にかかる何かを創る人は特許に留意しなければならない時代で
ある」というのは間違いなし。

……まあ正直言えば、「何を今更」ですけどね。

> 私にはこの特許(1ページではなく、6ページの請求項)が自然法則を利用し
>ているようには見えないのですが・・・。

自然法則を利用しないで「表示画面に表示させ」ることはできません。
お終い
(まあ「機械なら自然法則を利用している」というのは安易だという話は確か
 にあるんだけどね。
 あるんだけど、それは「プログラムだから自然法則を利用していない」とい
 うのは安易だというのと同じ程度の話。
 そして現行の審査基準では「機械だから直ちに自然法則を利用している」と
 は判断しない。
 でも当該特許は「当時の」審査基準の話だからね。)。

# あれが特許性を否定されるとすればそれは進歩性の要件の方だろう。
 「自然法則を利用していないから発明と言えない」なんて理由じゃない。
 本件は、発明に当るかどうかなんて「まったく問題になってない」。

>●日本では、審査官が認めれば特許になります。

で、それが何か?
そんなの日本だけじゃないでしょう
(少なくとも特許法もろくに理解しているとは思えないどこの馬の骨とも知れ
 ない人間であっても「おかしい」と言う人がいれば特許が取れないなどとい
 う制度にするよりは遥かにましでしょう。)。

大体、これは、「日本では裁判官が有罪の判決を出せば有罪になります」と
言っているのと大差なし。
一定の権限を有する国家機関の判断により一定の法律上の効果を生じるという
制度はごく普通のもので、特許だけ特別に問題にする理由がありません。

>  過去に全く同じ特許があっても、既存技術であっても、審査官が認めれば
> 特許になります。認められた特許は裁判で無効にならない限り有効であり、

# 審査官が気づかないで特許登録を認める査定をすればね。
 一体それがどの程度あると言うのか。

それが何か?
そうしなければ法的安定を図れません。
裁判だって裁判官が誤った判決を出しても確定してしまえば(当然無効となる
のでない限り)完全に有効な判決になります
(確定しなくても一定の拘束力がある。
 先日法定刑を上回る求刑を受けて法定刑を上回る判決を出した例があった
 が、期日内に訂正しないと上訴で取消さない限り判決として有効。)。
それと同じ。
公権的判断を安易に変更していては、一体何に従えばいいのさ?という話にな
るだけです。
人間が判断する以上間違いはありうるけど、間違ったからといっておいそれと
変更を認めれば却って混乱を招くだけです。

ちなみに日本では「裁判では特許は無効になりません」。
特許の無効は特許庁が行う行政行為としての「特許無効の審判」によるので
あって裁判所は無効の判断を(少なくとも形式的には)できないというのが判
例の立場。
無効審判請求の審決に対しての異議申立ては東京高裁にしますが、そこで審理
の対象となるのは特許自体ではなく審決。
無効請求を拒絶する審決取消の判決が出ても改めて審判官が特許無効の審決を
しなければ特許は無効となりません。
これが何を意味するかと言うと、取消判決の後で新たな事情が判明した場合、
審判官が再度無効請求拒絶することはありうるし、それに対して取消訴訟を提
起しても、その事情によっては取消請求を棄却する判決が出ることもありうる
ということ。
つまり、あくまで審理の対象は「審判官の判断である審決の是非」であって
「特許権そのものではない」。

……だから本件訴訟で「無効原因が明白であるから『権利濫用』」という表現
をしているのですよ。
裁判で無効にできるのなら端的に「無効である」と言えば済む話です。
無効な権利に「濫用」など観念できません。
あくまでも「無効原因が明白だから無効審判によって無効となるべきものであ
るが無効審判を経ていない以上、形式的には有効であり、ただ、無効となるの
が明らかな権利を行使するのは法律上是認できないから濫用である」というこ
と。

なお、独禁法上、特許の取消という制度があるがこれは「無効」とは違う。


ちなみに東京高裁における特許無効審判の取消訴訟により特許無効となる確率
は実に8割なんだそうだ。
これは、特許無効の審決が是認されることが多く、特許無効請求拒絶の審決が
取り消されることが多いということ。
そうなる事情はいろいろあるみたいだけど、どうも特許庁と東京高裁の判断基
準が違うことが大きいらしい。
もしかすると本件でも控訴審で東京高裁が濫用を認定しないとも限らないかも
ね。

> 無効になっても有効であった期間に徴収した実施料の返却は行なう必要があ
> りません。

それが何か?

まず法律上はそうと決ってはいません。
実務的には実施権設定契約に「無効になっても返還しない」という不返還条項
が入っているから返す必要がないだけであって、法論理的必然の結論ではあり
ません
(尤もこの不返還条項が一方当事者に著しく不利で公序良俗違反で無効となる
 ことがある可能性は否定できない。
 当該条項の効力を認めたと思しき判例(東京地判昭和57年11月29日)はむし
 ろ、当該条項の無効主張を否定した反射的効果として効力を認める結果に
 なっただけとも考えられる。
 まあ「暇があったら」確認します。
 って言うかさぁ、正直言って、それだけの手間隙をあたしが割く義務はもち
 ろん義理もないのは当然としても、心情的にも「判例とか条文とかをきちん
 と読んでるかも怪しい上に自分で文献調べようって意思も感じられない。そ
 もそもフォロー先指定からして法律的な議論をしようという気すらないのか
 もしれない。単に自分の思い付きをネットニューズにばら撒きたいだけとし
 か思えない」ような相手のためにそんな労力割くのはあほらしいのだ。
 相手なんかどうでもよくて自分の興味だけのために労力を掛けて調べてもい
 い、あるいは読者一般の便宜のためという気になればそれでも調べるけど、
 生憎今はそれほど暇じゃないしね。
 半年くらい待ってくれれば「忘れなければ」調べることもあるかもしれな
 い。)。

不返還条項がない場合に返還義務があるかどうかについては、両説あります
が(判例はおそらくない。)、本来的には以下の通り考えるべき。

特許が無効になれば特許は「遡って消滅」(特許法125条。)します。
つまり無効になれば「有効であった期間」はなくなります。
遡って消滅した以上、特許が有効であるという前提での実施権の対価として得
た利益は遡及効についての原則に従って不当利得となり返還請求権の対象にな
るというのが法論理的帰結です
(ただし、有効を前提とした確定裁判の効力については理論上一考の余地あ
 り。
 通説的には再審事由に当ると解するつまり損害賠償を支払っていれば再審に
 より原裁判を取消した上で不当利得として返還請求できる。
 ……尤もそれなら実施料も返還を認めていいとはずであるが。)。

ただし、特許が無効だったという主張を後からするのであれば、そもそも無効
審判請求をしておくべきであり、契約の前提となる権利関係の有効性を問題に
せずにおきながら後でそれを言い出すのは信義則違反と考えることもできま
す。
そうすると、本来返還義務があるがその請求は信義則違反でできないというこ
とになります。

前出の判例は、「無効審判請求が出ていることを知りながら不返還条項のある
実施権設定契約を締結した例で、無効審判が確定した後でした実施料返還請求
を否定した」ものですが、これがどういう理由で否定したかは未確認。
もしかすると信義則を使った可能性もあります。
まあ「暇があったら」調べます。

# ちなみに和解の前提となった実用新案が無効となった場合の和解無効を理由
 とする不当利得返還請求の訴えは、請求棄却した判例(大阪地判昭和52年
 1月28日)あり。

大体、

>  過去に全く同じ特許があっても、既存技術であっても、

なんて代物は「無効審判請求すればいい」だけです。
もともとそんなお粗末な特許は滅多にないし仮にあっても確実に無効の審決が
出ます。
出なくても取消訴訟で取消の判決が出ます
(出ないとすれば請求人が相当あほだということ。)。
それをしないで実施権設定契約をして実施料払ったなんてのは「自業自得」。
自らの愚かさを呪うべき。


……ちなみに、有効だったときに払った特許料を国から返してもらえるのか?
というのは審決確定後の分に限り返すという「特別の規定」があります。
これは、一応有効だった状態によって利益を受けていることもあるからという
趣旨
(爾後無効になっても、有効のときに有効を前提として行った行為は違法とは
 限らない。
 特に特許権に基づく差止め請求・損害賠償請求等は基本的に適法。
 ただし、侵害者の取引先に対する「権利侵害だから取引するな」とかいう警
 告は、実用新案の事例で違法という判断が出たものがある。)。

逆に言えば、特別の規定がないところは一般則に戻って返還請求できると考え
るべきでありますが、少々古いが青林書院の注解特許法[第三版]は「消極説を
採る」と言っています
(ただし理由を書いていないので根拠不明。)。

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