[Long!]参議英雄伝説 (Re: 非拘束名簿式に何であんなに反対するの ?

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nC++

未読、
2000/11/13 3:00:002000/11/13
To:

 一見すると、戦況は圧倒的に帝国軍に有利だった。ときおり逆方向への小さ
な波動を交えながら、全体としてそれは帝国軍の前進、民主側の後退という形
を見せていた。

「まったく、うちの艦隊は、逃げるまねばかりうまくなって・・・」
 イシイ副代表が苦笑する。
 カン艦隊の中級指揮官たちは、自分自身と部下の欲求不満を制御するのに、
少なからぬ苦労を強いられた。誘いに乗って突出しようとする味方を、ヒロ
ティ・アッカンマツー国対委員長は辛うじて制したが、不平たらたらの中級指
揮官たちに突き上げられ、帰投後に再出撃をカンに願い出た。
「私に一つ考えがあります。責任は私がとりますから、是非再戦の許可を願い
ます。」

 この種の申し出が、カンは好きではなかった。アッカンマツーも自分の言い
ようが幹事長の不快感を刺激したことに気づき、すばやく表現法のチャンネル
を切り替えた。
「かなり楽をして敵に勝てる方法を考えつきました。」
 カンは苦笑混じりに首を振ると、詳しく説明するよう提案者を促した。

 次の朝、朝日毎日の二大紙が一斉に非拘束名簿式比例代表制反対の論陣を
張ったのは、下級悪魔も鼻白むようなアッカンマツー国対委員長の策謀による
ものであった。当然のことながら、これは皇帝(カイザー)の怒りを招いた。

「なぜだ。なぜ私が他人の言うことを聞かなければならぬのだ。戦列を組み直
す。全艦隊、紡錘陣形を取るよう伝達してくれ。理由はわかるな。」
「強行採決をなさるおつもりですか。」
 宇宙艦隊司令長官・ミッターリバー元帥の問いに答えて、タリンハルトは短
い銀髪を掻き上げた。怠惰が生命を持ったような過去の皇帝とは違い、至尊の
位を自らの力で簒奪した皇帝(カイザー)・タリンハルト・フォン・脳炎グラム
は鍛え上げた肉体美を誇る。
 第三勢力を併呑した皇帝は、その元首だったカインザキーを腹心に加え、衆
議院のみならず参議院の制覇に乗り出したのだった。もっとも、カインザキー
は傀儡で、裏ではなにやら怪しげな宗教の大主教が糸を引いているとのもっぱ
らの噂である。民主側のカン・ウェンリー幹事長を長とする同盟軍は遙かに小
さい兵力で、これに立ち向かうことを余儀なくされていた。

「いきなり欠席戦術は不自然すぎたか・・・」
 少し前進の度合いが遅くなった帝国軍に、カンは舌打ちした。
「それに、ネット上に不穏な動きがあります。」
カンがこの艦隊を組織する前からの戦友、エダン・ゴーガツNPO委員長が記事を
引用する。

In article <8si3vi$a5k$1...@nwms2.odn.ne.jp>,
tets...@pop02.odn.ne.jp says...
>
>一体、野党は何故にあれほど反対するのでしょうか?
>国会を止めなきゃならん程の理由が何処にあるのか皆目不明です。
>
:
:
:
>
>今までの比例区では、政党が勝手に決めた順位に対し投票者側は
>何もできませんでした。こっちの方がはるかに問題でしょ?
>だって、自力ではとても当選できないような人が、政党の胸先三
>寸(順位次第)で苦もなく当選していたわけだから。
>
>著名人を立候補させることによる集票効果が発生してしまうなん
>て懸念もあるようですけど、そんなのは民主主義自体がもともと
>抱え込んでいるリスクです。政党にカリスマ的な人が一人いれば
>他の人の得票も底上げしてしまうのは、どんな選挙制度にあって
>も言えますよね。

「われわれの戦略を看破されるかも知れないな。」
 カンはエダン・ゴーガツに命じ、スパルタニアンを出撃させる。

「ご苦労なことだねえ。」
 再び騒ぎ出した敵陣営を見やり、カンはため息をついて見せた。
「幹事長殿もお人が悪い。」
 肉弾戦に長けたワタルー・フォン・シェーンクッボ参議院議員会長はそうい
うと、自分の役割を熟知しているがごとく、議場封鎖に出かけていった。

 ここで両陣営を驚かす出来事が起こった。帝国軍宇宙艦隊司令長官ミッター
リバー元帥の不祥事が伝えられたのである。本編では長生きするのだが、名前
が災いし、自らグラスの毒を含んだとされる。
「うちの犬は人なつこい・・・」が最期の言葉であった。

 一時的に帝国側の後退がおき、戦線は混乱した。
「これでは中央が前へ出過ぎる。ちょっと補強するか。」
 カンはこうつぶやくと、左翼を少し前進させた。とたんに敵の右翼が攻撃を
始める。
「ところで、我が側の右翼は、本当に我々と行動をともにするのでしょうね。」
 昔からその司令官が嫌いなテツンド副代表は疑問を呈した。
「そうだね、あまり長引かすと危ないね。我が軍の右翼は、帝国からの亡命者
オザワッツ提督だからね。」
 帝国側は新長官に名門中の名門、ブランデンフクダ公の息子を起用、戦況を
立て直し、ついに強行採決に突入した。エネルギーの飛び交う中、何万もの怒
号が一瞬にして消え去った。


  民主党は共産党・社民党・自由党とともに審議拒否を貫き、
  非拘束名簿式比例代表制を導入する新公職選挙法が成立した。


「カン幹事長、なぜ非拘束名簿式比例代表制に反対したのですか? 非拘束名簿
式比例代表制は民意がほぼ正確に繁栄される比例代表制の、
唯一の欠点である官僚化した大政党が独占的に名簿を決められる点を是正し、
財力を持つものも名簿順序を巡る裏工作でなくテレビ宣伝などの表舞台でしかそれを使うことができず、政党内でも派閥のボスでなく大衆の味方が力を持ち、真の民主主義が育つという、
理想的な選挙制度ではないですか? ひょっとして最初から賛成だったんじゃ」
 他党からカンの被保護者となったヨコ・ミンツ副幹事長が発した問いに、
"奇跡の(ミラクル)"カンことカン・ウェンリー幹事長は答えず、手にした紅茶
のカップを軽く揺らしたのみだった。代わりに、艦橋から全艦に対し撤退を伝
えたのだった。
「あるいは、幹事長は新制度で参議院に自ら立候補・・・」
「うん、その策もあるね。だけど私のサイズにあった服じゃなさそうだ。」

 積極策を唱えた仲間もいた。しかしミンツはカンの考えを伝える。
「ハ・トリューニヒト党代表は党員多数の意志で代表に選ばれたんです。たと
え彼が小選挙制論者であったとしても。」
 彼は、カンが嫌悪する相手に忠誠を尽くす二面性を理解した。


 こうして、民主主義のささやかな芽は守られたのである。

 しかし、西暦2000年11月、歴史はその主役たちに休息を与えなかった。
「オスカトー・フォン・コイチンタール叛す!!」の噂が、政界を駆けめぐった
のである。脳炎グラム王朝の未来や如何に!?


        次回、乞うご期待!!

--
nC++%法案成立するまで黙ってたのよ。


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