松林先生,ユーザの皆様
お世話になります。松上@熊本高専です。
お忙しいところ,すみません。
今回は,電解質溶液中のイオンの溶媒和自由エネルギー計算について質問させて頂きます。
現在,溶媒和イオン液体中へ各種イオンを挿入し,溶媒和自由エネルギーを計算しております(ERmod 0.3.5)。
例えば,挿入イオン: Li+, 溶媒: LiG3TFSAなどを計算を行なっています。
その計算結果に違和感がありました。
・ヒストグラム(エネルギー分布関数)のふるまいがおかしい?(Li+ [1st com.], G3[2nd com.], TFSA- [3rd com])
※Li+-Li+の2体ポテンシャルは,rの全領域で正となるが,エネルギーが負の領域が大きい。
イオンーイオン間のヒストグラムは,E=0 kcal/molが最大とならず,-5 kcal/mol, 5kcal/mol付近にピークが現れる。
(添付ファイル:engsln_Li-IL.01, engref_Li-IL.01)
・溶媒和自由エネルギーを溶媒種別に見ると,1st component (Li+)の結果が負となる。
(添付ファイル:slvfe_Li-IL.txt)
cumulative average & 95% error for solvation free energy
total 1st component 2nd component 3rd component
1 -145.4704 -99.7811 -49.6419 15.6197
2 -141.4065 8.1277 -95.0011 9.5601 -50.2959 1.3081 15.5575 0.1242
3 -141.5180 4.6978 -92.3599 7.6399 -51.4740 2.4743 13.9830 3.1499
4 -136.4334 10.6980 -90.3083 6.7839 -51.6518 1.7853 17.1936 6.7966
5 -135.5069 8.4913 -89.7562 5.3695 -51.8888 1.4619 17.8051 5.4048
6 -135.8892 6.9751 -89.5283 4.4078 -51.9506 1.2000 17.2568 4.5472
7 -136.8060 6.1736 -90.5196 4.2200 -51.7917 1.0628 17.1723 3.8468
8 -139.3073 7.3220 -91.3685 4.0297 -51.9370 0.9652 15.6651 4.4928
9 -142.1017 8.5401 -92.9897 4.8108 -51.9185 0.8520 14.4735 4.6238
10 -144.9586 9.5390 -95.0245 5.9225 -51.8814 0.7657 13.6143 4.4784
もう少し単純な系でテスト計算を行なってみました。
NaCl溶液(約20w%, 298K)中へNa+を挿入し,溶媒和自由エネルギーを計算してみました。
solute: Na+ 1個, solvent: Na+(1st) 50個, Cl-(2nd) 50個, SPC/E Water(3rd) 650個
GROMACS 5.0.4, PME, Cut-off=1.35 nm
こちらでも,イオン間のヒストグラムが同様のふるまいをしました。
(添付ファイル:engsln_Na-NaClaq.01, engref_Na-NaClaq.01)
また,溶媒和自由エネルギーの値もおかしいような気がします。
(添付ファイル:slvfe_Na-NaClaq.out)
そこで質問ですが,
・添付ファイルのような,ヒストグラム(エネルギー分布関数)のふるまいは正しいのでしょうか。
・MD計算の計算法に問題があるのでしょうか。
・あるいは,ERmodの計算のパラメーター設定に問題があるのでしょうか。
もし,電解質溶液中のイオンの溶媒和自由エネルギーを計算する際の注意点/計算法がある場合は,教えて頂けたら助かります。
お忙しい中,大変ご迷惑をおかけしますが,アドバイスよろしくお願い申し上げます。
松上