他手法との自由エネルギー差の違いについて

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和田慎

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Jan 30, 2024, 7:20:17 AM1/30/24
to ermod-users
開発者の皆様

お世話になっております。
和田と申します。

今回、複数の分子種に対してERmodにて自由エネルギー計算を行い他手法との比較を行ったのですが、異なる傾向を示す結果となりましたのでご相談させていただきたくご連絡しました。

樹脂に分子を混ぜたときのギブス自由エネルギーを計算した先行研究として以下のものがあります。https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/01694243.2014.902294
この論文ではPMMAに分子を混ぜたときのギブス自由エネルギーを計算しており、このエネルギー差の大小関係がERmodでも同じとなるかを確認したく計算を行いました。

計算の結果としては論文と反対の傾向を示しており、溶媒和自由エネルギーの低い順に7o,o,3m,cp,cm(名称は論文と同じ, Table2)となりました。PMMAは弱く極性を持つ分子であるため、極性の弱い分子o(オクチル基)は親和性が低く、極性を持つ分子cm(クロロメチル基)は親和性が高いと思っていたのですが、計算では異なる結果となりました。

これらの分子を計算する際に気をつけなければならない箇所がありましたら教えていただけますと幸いです。

計算条件 
・MD
ソフトウェア:GROMACS
分子数:PMMA 60量体
    挿入分子 1分子 (論文記載の官能基を水素で末端)
力場:GAFF2
電荷:RESP電荷 gaussian b3lyp/6-31g(d)
温度:520K
気圧:1atm

・ERmod
トラジェクトリーファイル:
   PMMAは3量体を一つのフラグメントとして設定
   溶液 4ns 40fsごと記録
   溶媒 4ns 40fsごと記録
   溶質 50ns 50fsごと記録
   その他設定はデフォルトから変更していません。

お手数をおかけしますが、お時間のあるときにご回答いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。

Nobuyuki MATUBAYASI

unread,
Apr 22, 2024, 6:12:27 AM4/22/24
to ermod-users
和田様

大阪大学の松林です。返事が遅れまして、大変に申し訳ありません
なぜか、ermod-usersへのメールが私に通知されないようになっておりました。
いずれにせよ、申し訳ありません

現在の溶質は7o, o, 3m ,cp, cmであり、https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/01694243.2014.902294 の論文に
こちらからアクセスできないので、分からない面がありますが、おそらく、親和性は、例えば 7o であれば
  7oの1分子が、PMMAに溶解する溶媒和自由エネルギー

    7oの1分子が、7oの純物質の媒質に溶解する溶媒和自由エネルギー
の差になるケースでは無いかと思います。
ここでの溶媒和自由エネルギーとは、7oの真空からの移行自由エネルギーであり、
今回の計算は、真空からPMMAへの移行自由エネルギーの寄与だけが含まれていて、
真空から純物質への移行自由エネルギーの寄与が含まれていないのかな、という風に思いました
そして、極性の強いものが純物質への移行自由エネルギーが負に大きいために、
実験とは逆の挙動になっているのでは、と推測します

となれば、純物質の媒質に溶解する溶媒和自由エネルギーの計算が必要になるかと思います

松林

2024年1月30日火曜日 21:20:17 UTC+9 244...@gmail.com:
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