[ビジネス知識源プレミアム]#1422  円レートの構造変化  2024年3月29日

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Dentsudai Thai OBs & OGs

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Mar 29, 2024, 6:12:23 AMMar 29
to Dentsudai Thai OBs & OGs
金融の風の変化は、まだ起こっていない。 6月は60%の確率・・・
https://www.cool-knowledge.com/

[前略]
6. アベノミクスの超金融緩和の時期(世界最初のMMTの実行)

ところが、2013から2020年まで円の実効レートは100から70(2015)
まで30%急落しました。ドル/円では78円から124円の円安でした
(37%下落)。
・この間、ドルの実効レート(ミドリの折れ線)は100から115まで
15%上がっています。
・人民元の実効レートも100から130まで30%急騰したのです。
(再掲) https://honkawa2.sakura.ne.jp/5072.html

なぜ経済の実態とは違う、異例なことが起こったのか?
原因は、
1)日銀が開始した円国債買いの、異次元緩和(当初60兆円/年、その
後80兆円/年の円の増刷)
2)金利はマイナスから0%、です。
原理:GDPに対して他国より通貨発行量が増えた通貨はレートが下
がることが、教科書のように起こりました。
2016年から17年は、若干の円高に戻しました(実効レートで70→100)

7. コロナ対策の世界のゼロ金利と、ドル・円・ユーロの増発

【世界の通貨に対する実効レートでは、円だけが45%も下げた】
しかし今度は、コロナ対策の円の増刷があった2020年からは、実効
レートは、100から55まで45%も下げています。円/ドルのレートでは、
106円(2020)から151円(2024.03)と、30%の円安です。
米国でも。コロナ対策のドル増刷(4兆ドル)がありましたが、GDPに
対する円の増刷が大きかったため、円がより大きく下げたのです。
原理:GDPに対して他国より発行量が増え、相対的な金利が低い通
貨は、大きく売られてレートが下がる。 GDP比で他国より大きな通
貨の増発は、株価や不動産は上げますが、国内のGDPと世帯の所得は
増やさないのです。
ドルの短期金利は5%〜5.25%、マイナス金利を脱したとはいえ円の
金利は0.1%付近です。金利差が5%もあります。この日米金利差が1
ドル151円台の円安の主因です。
3年前は、日米金利差は1.5%から2%でした(2021年)。その時のレー
トは、1ドル101円から103円だったのです。1ドル100円台は今では超
円高に見えますが。コロナ・パンデミックが始まった3年前には普通
のレートした。
(再掲)https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2401.pdf

8. 2011年以降の日本経済の構造変化

この時期に、円マネーの流れにおいて、構造変化が起こってます。
(1)2010年までは強かった貿易が赤字基調になった(日本の輸出力
の低下。円安でも輸出額は増えない(海外生産は増えるが)。2011年
の東日本大震災)原発事故の3.11)以降は、逆に輸入する資源が上が
って貿易が赤字になった。
(2)〔企業が海外利益を円転しなくなった〕海外工場の収入のドル
を、以前は円転(ドル売り/円買い)していたが、円転せず、海外(米
国)にドルのまま運用するように変わった。
原因は、日本経済の成長が米国より低いことです。長期の円安でも、
工場が日本に回帰することはなくなった。(注)海外工場への投資額は
275兆円(2023年5月)。海外工場からの日本への直接投資は46兆円
(1/6)(日本の対外資産、対外負債)
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/iip/data/2022_g.htm
(3)〔米国の急激な利上げ〕2022年3月から、米国FRBは、9%インフ
レを2%台に下げるため1回0.75%の果敢な利上げを行った(5.0%〜5.25%)。
(4)〔日本はマイナス金利-0.1%〜+0.1%〕しかし日本はマイナス
金利(-0.1%)を続け、24年3月になってやっと0.1%から0.2%利上
げしただけだった。
このため日米の金利差が拡大し、「円売り/ドル買い」と「円キャ
リートレード(金利の低い円を借りて、ドル株、円株買う運用)」が
増えた。
(5)〔株価高騰と超円安〕日経平均は4万台に上がったが、円安は1ド
ル151円になった。
この円安でよかったのは、
・ガイジンファンドの買い越しが続き、
・自社株買いが2倍に増えた株価です。
輸出と海外生産の以外の日本経済、金融、国民の実質所得、ゼロ金
利の預金は、150円台の円安と、その円安がもたらしたインフレで全
部が悪くなっています。

9. 問題は政府・日銀の認識の遅れ

問題は、政府・日銀がここに書いた認識をしていないことです。「円
安=ドル買い」ですが、これを米国の株価のために是認または推奨し
ています。
東証では、ガイジンファンドの売買が70%を占めるため、「米国株上
昇→ファンドによる日本株の買い越し増加→日本株上昇」という連鎖
の構造があるからです。
〔1行でのまとめ〕
マネーの国際循環では、「金利差による円売り/ドル買い→金利が5%
と高いなかで米国のマネー量が増加→米国株買い→株価上昇→ファン
ドの、金利が0.1%の円キャリートレードによる日本株、米国株の買
い越し→米国株も上がり日経平均が4万円超え」という構造が作られ
ています。

【バブル株価のリスク】
日米の、両方とも史上最高である株価上昇の構造は脆弱(ぜいじゃ
く)であって、リスクが高い。
1)米国株は、AIバブル(NVIDEAバブル:予想PERが75倍と極端に高
い)という認識が増えると、米国株は急落します。
2)日本株は、限界があるガイジンファンド買い越しが、売り越しに
転じると、急落します。
◎政府・日銀は、現在、「株価バブルの崩壊」を懸念すべき時期です。
そのためにも、日米の株価バブル(日経平均4万円台)の国際資金循環
を生んでいる過剰な円安(150円台)の修正に、向かわねばならない。
介入の目標は、1ドル120円でしょう。期限は24年9月までです。
◎バブル株価が24年6月か9月から崩壊に向かえば、日本では1990年、
米国では2000年と2008年のように、手がつけられなくなるからです。
市場の買い手が消えます。
金利がゼロ%付近で、しかもインフレのなかでも金融緩和の日銀政策
は、「ドル買いから円安防止のドル売り介入」に舵(かじ)を切る時
期が来ています。
◎2013年以降の11年、米ドルを1年に20兆円〜30兆円買って、過剰な
円安を招いている円が日米の株価バブルを生んでいるからです。
「パーティーが盛り上がっている最中にパンチボールを引く」ことが、
通貨の価値(=預金の価値)を守るべき、中央銀行のミッションです。

10. 岸田首相による国富(国民の預金)の、米国への振り向け
米国の投資ファンドの最大手、ブラックロック(受託運用資金は10兆
ドル:1500兆円)のCEO、ラリー・フィンクは、23年10月に来日し、
国賓用の「迎賓館」で岸田首相と会食しています。
本質がマネーの禿鷹(はげたか)であるフィンクの目的は、日本国民
に増えているNISAのマネーを、ブラックロックの投資信託に誘いこむ
ことです。FRBが22年3月から利上げとQT(量的縮小)をしているので、
ジャパンマネーが必要になってきたからです。
3月20日にも再び来日し岸田首相と会食。前回の「詰め」でしょう。
岸田首相の政策である「資産倍増の株式投資」を、ブラックロックの
投資信託のポートフォリオに振り向けるためです。メディアと証券会
社は「米国株が50%のポートフォリオである世界株(オルカン)」を
奨めています。
(日経新聞の記事)
https://www.nikkei.com/nkd/industry/article/?DisplayType=1&n_m_code=124&ng=DGXZQOUA219AH0R20C24A3000000

来日は、米国ファンドの海外営業ツアーです。岸田首相自身は、ファ
ンドの営業を「卑屈な態度をとっている」とは思いもせず丁重にもて
なし、ブラックロックの投資信託を日本国民が買うことを約束してい
ます・・これはどういうことか。ラリー・フィンクはジャパンマネー
を自分のものにしようとしているのです。
証券会社の販売係を接待する岸田氏は、日本の首相です。世界の首
長は誰もやらない。米国の大統領が野村証券のCEOに、面会を申し込
むでしょうか。約2年、支援金を求める世界ツアーをしていたゼレン
スキーでもマネーを払うことになる営業マンの接待はしません。

こうしたことが「投資のジャパンマネーは米国が支配している」とい
うことの現れです。岸田首相には、政策を米国に支配されているとい
う意識はないのか。たぶんない。外務大臣だったときも現在も当然の
ことだからです。ドル投資信託に円を入れることは「円売り/ドル買
い」になるので円安になる要素です。
ネットでは増税メガネと言われて気にしていた「岸田首相の頭の構
造」はどうなっているのか。何を言われても応えない、鈍感力の首相
ともいう。安倍首相には時折見えたエスプリはない。安倍元首相には
「米国からの日本の独立」という目標もあったからです。

再び確認すれば、
・円安は、海外市場に売る輸出企業、海外工場の為替利益ですが、
・国内の、輸入品が高くなる輸入関連企業と、円所得の国民は為替差
損で損をします。
「実効レートの長期罫線」から見えるように、日本経済が成長し企業
と国民の所得が増える時期は、円高です(1970-1995)。日本経済が
成長せず、国民の所得が増えなくなった1995年からは円安です。
火を見るよりはっきりしていますが、1985年から40年も円安を礼賛
(らいさん)してきた政府、エコノミスト、メディアはこれに対して、
どう答えることができるでしょうか。
ゼロ金利と円の増刷、その結果の円安ではGDPは成長しない。労働者
の総数が減るなかで技術革新(働き方の変更)による人的生産性の上
昇が必要です。
◎インフレに迫られた受動的な賃金の上昇(2024年春闘:約5%)に
よる好循環はない。日本経済全体で生産性の5%上昇がないと、賃金
の5%上昇を物価に転嫁するインフレが長期化するだけです。
 正当には、(1)生産性の上昇からの能動的な賃金上昇と、(2)円
安からの脱却でなければならない。
(再掲:1970年から1995年の円高(2.5倍)、1995年から2024年の円
安(1/2.8))https://honkawa2.sakura.ne.jp/5072.html
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