ビジネス知識源プレミアム]#1424 通貨供給量が増えると、金は上がる(2) 2024年4月6日

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Dentsudai Thai OBs & OGs

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Apr 6, 2024, 4:07:12 PMApr 6
to Dentsudai Thai OBs & OGs
[金融の嵐は、水面化で起こっている。 6月までには60%の確率か・・・

水曜の正刊で、「金価格は、長期的には、増発される信用通貨の1単位の価値に対して、逆相関で上がっていく」ことを示しました。長期的とは3か月または6か月以上の期間です。上がるときも、変動する価格の95%が収まるボラティリティ幅(標準偏差の2倍:13%から20%)での騰落はあります。デイ・トレーダーはエイヤッと行っていますが、短期の価格予測はどんな方法をとってもムリです。250日移動平均の傾向として、上がっていくということです。

【増刷されれば価値が下落する「信用通貨」とは何か?】
「信用通貨」とは米ドル、ユーロ、円、人民元が代表的なものであり、国債の返済信用が通貨価値の源泉です。法で使うことを強制していますから「法貨」(英語ではFiat Money)とも言います。金が誰の負債でもなく、それ自体で価値を持つのに対して、信用通貨は政府・中央銀行の、国民からの負債です。政府の負債は、国債です。中央銀行が国債や債券を買うとき発行する信用通貨も国民からの負債です。(注)国民にとっては、不負債の逆の債権です。「政府の負債=国債と通貨→国民の政府に対する債権」です。米国のFRBは大手銀行が株主であり、形式上は民間機関です。
しかし議長と理事の人事権は政府にあって(大統領が指名し議会が承認する)、事実上の政府機関です。日銀は、政府が55%の株をもつ政府機関であり、総裁と理事は政府が指名します。中央銀行は、国債または債券を銀行から買って信用通貨のドル・円・ユーロなど、「中央銀行の負債としての信用通貨(クレジット・マネー)」を発行しています。「政府の国債発行→中央銀行の国債買い=信用通貨の発行」クレジットカードを使えば、自分の預金で決済すべき負債になるように、クレジット(信用)とは負債のことです。

以上のように、信用通貨の「信用」の源泉は、国債です。「政府が国債の利払いができ、いずれかの日に税収から返済されるという期待」で成立している負債が通貨です。

【国債への信用は、銀行が政府に与えるもの】
その信用は、国債を買う民間銀行と国民が、国債に対して与えるものです。政府は、信用される側です。その信用は、「クレジット」つまり負債の信用です。クレジットとは、「返済できることの信用」です。ここを、「政府が国債の信用を与える」と逆に考えると、政府の国会答弁でゴマ化されます。通貨は政府の負債です。国民がその通貨をもてば、政府への債権をもつことになります。預金は、銀行の債務であり、預金者にとっては債権です。株券は発行した企業の「資本」という負債であり、上場株は、株主にとっては金融資産です。「資本Capital)」は、企業の経営者が、株主の委任を得て利用できるマネーです。資本主義とは、利益の源泉として資本を労働より重視する制度であり、経営と社員の労働で得た利益(収益-経費)は、資本に帰属します。CEOは会社の利益を上げる期待をして、株主の代理人である取締役会の推薦を経て、株主が株主総会で経営を委任した人です。日本では、個人株主の経営への関与が弱いので、形式的ですが、こうした制度が資本主義です。経営者が銀行と株の持ち合いをして、株主の関与を弱めてきたからです。独自の文化をもつ日本は、海外の制度を導入するとき「日本化」します。米欧とは違い株主の関与が弱い資本主義を作ったのです。米ドルの、基軸通貨(国際通貨)としての信用も、信用通貨と同じ構造です。基軸通貨への信用は、世界の銀行がドルを買うことにより米ドルに対して与えたのものであり、FRBや米国が与えたものではありません。ブレトンウッズ会議(1944)での、金準備制のドル基軸通貨の、米国の蔵相ホワイトからの提案には、戦勝国の蔵相が合意しました。蔵相は44カ国の銀行の代表として、参加しました。代表とは本来はエージェントです。エージェントは委任する側の下ですが、「権利の専有のため、上のポジションであるかのように」振る舞います(マックス・ヴェーバー&小室直樹)。政治家も国民から立法や制度を作ることの委任を受けたエージェントですが、国民の上に立つように振る舞っています。

【原理】
・信用は、信用される側ではなく、信用する側が与える。信用とは、信じることと同じあり未来に向かう心の働きである。未来は心のなかにしかない。
・「愛」も同じです。愛される人が、愛する人に愛を与えるものではない。逆に、愛する人が愛される人に与えるものです。愛国心も国民の心にあります。国は、「政府+企業(法人)+世帯」の集合体です。首相は、議会から代表権の委任を受けた人です。
世界の政府は、国債の利払いはしていますが、返済はしていません。なぜ返済されない政府債務が、トヨタの社債(いわば会社の国債)より高く信用されるのか。

【借り換え債を発行できるという国債の信用】
満期が来た国債の返済のためには、政府は、借り換え債を発行して、その新発の国債を銀行に売ってマネーを得るという「借り換え返済(=満期日のジャンプと同じ)」を行っています。会社が、銀行に頼んで負債をジャンプすることを「追い貸し」と言います。日本では約1200兆円の国債が発行され、平均満期は約8年です。1年に、1200兆円÷8年=150兆円の返済満期が到来します。赤字とは資金の不足です。増える社会福祉費と軍事費のため、財政(税収-支出)が赤字の世界の政府は、満期返済ができない。黒字だったドイツの財政もウクライナ戦争から赤字になりました。日本では、1年の返済額である「150兆円の借り換え債」を発行して銀行に売り、満期日に返済したかのように凌(しの)いでいます。国債を買う銀行に頼んで、「追い貸し」を受けているのです。追い貸しの実行が自動的なため、事実上は「永久国債」です。しかかし永久債(英国の戦後のコンソル債)は、返済の満期がある普通国債より金利が上がって、財政赤字が大きくなるので、3か月から40年に分布する、返済満期日を仮想してつけています。2024年度の新規の国債発行は、「150兆円+当年度赤字8兆円+補正予算」です。補正予算は未確定ですが、合計での発行額は170兆円くらいでしょう。2024年も、毎月、「170兆円÷12か月=14兆円」くらいの国債が発行されます。追い貸しの150兆円+当年度赤字の20兆円を含んで、銀行が100兆円くらいを、日銀が70兆円くらいを買うことになるでしょう。
◎国債の発行残が増えることは、日銀と銀行(生損保、年金基金、ファンドを含む)、満期返済額以上に、国債が買われていることです。日銀+銀行が国債保有を増やさないときは、政府の財政が破産します。

【1年間の国債発行は、170兆円と巨額になっている】
日本では、銀行と日銀が、170兆円の国債を買わないと、国債の満期返済ができない。国債がデフォルト(返済できないこと)すれば、国債の金利は高騰し、既発国債の価格は、およそ60%に下がって、政府・銀行・日銀が同時に破産します。これが、「走るのをやめると倒れる自転車操業」です。MMT(現代貨幣論)は、政府は、自転車操業の速度を速めて、永遠に続けることができるとしています。「国債の増発→中央銀行の買い→通貨の増発の速度を速めれば政府は破産しない」とする「とんでも理論」でしょう。物的な限界のある政府信用を無限としているのです。国債の金利が、海外より低いときは、金利の低い国の通貨が売られて、通貨レートが下がります。コロナ後のパンデミック対策費として、
・日米欧で10兆ドルの赤字国債の発行と、
・中央銀行が国債を買うMMT(現代貨幣理論)が実行され、
・2021年からの3年で世界の通貨量の増加が原因になって、約15%の世界インフレを生みました。
インフレは外形では物価の上昇ですが、本質は、通貨の交換価値の下落です。例えば、2年で15%のインフレなら、1ドルの価値が、1÷1.15≒0.87・・・13%下がることです。金価格の上昇は、典型的に通貨価値の下落です。しかし100ドルや1万円はどんなに物価が上がっても、名目の数字が100ドル、または1万円のままなので、通貨の価値下落が見えにくいのです。1000万円の預金は2年で物価が15%上がると、預金通貨の交換価値が13%下がって870万円になっています。物価が上がると、物価に逆比例して、1)通貨、2)預金、3)賃金、4)国債、5)負債の価値は、同時に、物価の上昇率分下落します。
一方で、インフレでは誰の負債でもない金の価格は上がる。金は通貨のような負債ではなく、それ自体が、価値信用をもつからです。

【自転車操業の順位】
世界の主要国も、日本と同じように、「国債発行の自転車操業」をしています。自転車操業を続けるのに必要な速度では、主要国では、日本が1位、2位がイタリア、3位米国、4位フランス、5位スペイン、6位カナダ、7位英国です。いずれもGDP比100%以上の国債を発行しています。2008年のリーマン危機(金融危機)のあと世界の国債発行は大きく増えていて、2020年のコロナ危機から急増したのです。現在のインフレの本質は、コロナ危機インフレです。戦時下以外で、GDPの100%以上の国債が発行されるのは、近現代の金融では異常なことですが、政府、政治家、官僚と銀行は、異常とは言っていません。これが、経済学がいう「正常性バイアス」です。例えれば、心筋梗塞や脳卒中(血栓)の確率が、正常な血圧より60%は多くなる、190以上の高い血圧に慣れきっているのです。正常性バイアスがあっても、日本では国債の金利が2%以上、米国では5%以上になって、それが数年続くと、財政破産(財政の心筋梗塞)になってきます。日本では、国債の残高がGDPの230%もあるので(世界1多い)、長期国債の、市場の金利が2%以上に上がると、政府の財政は急に危機になります(現在、長期国債の金利は0.88%です)。


■1.どんなにインフレになっても、日銀の利上げには1.5%付近という上限のキャップがある

既発国債が大きすぎますから、日銀のインフレ対応の利上げは「1.5%付近」が限界でしょう。他方、GDPの1.3倍の国債残がある米国の長期金利(10年債の金利)は現在4.6%付近です。4.6%の利払いができているからです。日本とは、3.7%の金利差があります。この金利差から「ゼロ金利の円売り/4.6%金利のドル買い」が増え、円売りの超過のため、1ドル151円を超える円安になっているのです。通貨安は、外為市場での売りが買いより多かった結果だと考えれば、世界の外為市場での。今日の通貨売買の状況がイメージできます。
(1)平均がおよそ0.5%金利の近い円国債で主に運用している円の銀行預金(1463兆円:23年12月)の金利は、ほぼ0%です。
(2)他方、米国の銀行が債券で運用している。米国には多い債券への、投資信託風のMMF預金の金利は、5%付近です。5%も差があります。
通貨を売買する外為市場では、「ゼロ金利の円売り、4%から5%の金利がつくドル買い」が増え、円安になるのは、当然でしょう。◎150円を超える円安の原因は、国債残が1200兆円の日本の日銀が、3%のインフレになってもインフレに対応した利上げ(2.5%〜3%)を、国債の利払いが増えるため、実行ができないからです。
〔経済・金融の原理では〕
◎名目経済の期待成長率(実質GDP上昇率+物価上昇率)が、3%なら、金利は3%付近でなければならない。銀行金利も2%で、2%の物価上昇に対する部物価に対する円預金の価値の低下を補わなければならない。しかし、円の預金金利は、物価が上がっても、0%付近のままであり、預金通貨の価値は、目減りしています。このめ、金利が低い円売り=金利が高いドル買いが「自然に」起こっているのです。

【日銀の、異常な金額の国債買いが正常性バイアスと生む】
日銀がもつ国債は、601兆円です。1200兆円の国債のうち50%は、日銀が買っていて、ほぼゼロ金利の円を600兆円(GDPの1.1倍)増加発行しているという「異常な状態」を続けています。
「インフレのなかの預金金利ゼロは異常なことだ」思っている人が少ないのは、日本人の、政府と日銀への信用が厚いからでしょうか。政治家は信用しないというだけで、日本人の政府への信用度は高い。

■2.預金の価値が下がるインフレのなかでも、ゼロ金利の円をどこまでも信用する国民

中国人は、表面では政府を信用しているように、振る舞っています(逮捕・拘禁されますから)。しかし王朝の変遷を繰り返したきた長い歴史から、人民元を心のうちでは信用していず、海外に資産を買う人がかなりの数、います。中国では2010年までは、GDPの成長が8%(=国民所得の増加が8%)ないと、共産党独裁は倒れるリスクが高まるとされていました。現在は、政府統計で4.4%成長です。しかし水面化では不動産の不良債券1000兆円、住宅購入30%減のため、たぶんゼロ成長以下です。物価が0.8%下落(24年4月)している国のGDPは、普通は0%以下です。物価の下落は、「供給過剰、需要不不足」を示します。4.4%成長で物価がマイナス0.8%という経済は、普通、ありえません。一方で、日本人は、万世一系の天皇制もあって、表面では、いつも政治家と政府は信用できないと言っても、心のうちでは信用しています。◎円と日銀への信用の厚さが、何があっても自民党政権が続く理由でもあるのです。その証拠に、ゼロ金利の預金(1463兆円=世帯1127兆円+企業預金338兆円)を海外に移動する人は、少ない。現在、外貨の買いに制限はありません。ネットでも、預金の移動は簡単にできます。しかし・・・国民の円預金は、国内の銀行にとどまっています。(注)中国政府は、人民元の外貨交換を制限しています。それでも、富裕者から元売り外貨買いは多い。中国ではビットコインでの送金も大きい。
「ドル買い/円売り」をして、150円台の安を招いているのは、
1)政府の外貨準備、2)銀行と企業のドル預金、3)ドル株と債券の買いです(合計で6.6兆ドル(1000兆円相当)の対外証券残高)。
◎1ドルが79円の円高だった1995年からの29年間で、毎年20兆円〜30兆円の、「円売り/ドル買い」が続いています。
一方では、国外に逃げない円預金が1463兆円もあるため、政府はそのゼロ金利の銀行預金(1363兆円)をバックに、1200兆円の超低金利の国債を発行し銀行に売ることができたのです。運用がゼロ金利の銀行が、ゼロ金利の国債を買ってきたからです。これが1997年から、円の金利がマイナスから0%付近である原因です。預金金利がゼロ%、国債金利ゼロ%であっても、国民は銀行預金を続けました。◎コトバでなく、円預金を移動させない行動が、国民が政府を信用している証(あかし)です。日本人の1世帯あたりの預金(2000万円)は、560万円の米国人の約4倍もあります。円を信用しない金の購入は、日本人の1人あたりは世界で最下位です。1人平均では0.16グラム/年=1920円/年とごく微量、ほぼゼロです。売り越しの年度も多い。なぜでしょうか?

■3.マネーサプライ(M2)は、世帯と企業の現金性の預金

「信用通貨」では、
・銀行が企業と世帯への貸付金として創造し、
・M2のマネーサプライ(約1200兆円=企業と世帯の銀行預金)になるのが、正常な状態です。
日本では、その50%の601兆円を日銀が買って、円を発行しています。日銀によるゼロ金利の円の大量発行が、1ドル150円を超える円安と、日本のインフレの原因です(日銀当座預金543兆円+紙幣120兆円)。日本はエネルギーと資源のほぼ100%を、食糧の60%を輸入する国ですから、円安がインフレの原因になります。一方で円高は、上がってきた物価を下げる原因になります。

【日銀の財政ファイナンス】
日銀の国債購入601兆円は、日銀による政府財政資金の拠出(財政ファイナンス)にあたる違法なものです。しかし日銀は、政府から直接は買わず、債券市場から国債を買っているので財政ファイナンスにはあたらない」という詭弁(きべん)を使っています。ところが日銀は、国債に入札する行に「入札分を日銀がすぐに買い上げる」という黙約をして、銀行に国債への入札をさせているのです。この行動こそが財政ファイナンスです。詭弁(きべん)とは、間違った内容や意見を正しく見せかけ、自分の意見に言いくるめようとする話し方です。財政ファイナンスは、国債の現金化(マネタイゼーション)とも言います。日銀法が禁じていることですが、MMT(現代貨幣理論)は、正当なことしています。

【日銀と銀行のマネー発行】
紙幣(120兆円)と、銀行が日銀にもつ当座預金(543兆円)は、日銀が国債を買って発行した円です。一方、マネーサプライ(M2)の1258兆円(24年3月:日銀統計)は、企業と世帯の預金通貨であり、銀行が企業と世帯への貸付金として信用創造したマネーがもとになったものです。M2は、紙幣に対して、銀行が発行した「預金マネー」です。企業と国民は、預金口座から紙幣には換えず、預金で送金や決済をしています。銀行預金は、紙幣のマネーと同じ機能をもっています。1463兆円ある預金は、紙幣(120兆円)の形態ではないので「預金通貨」と言います。送金、引き出し、クレジットカードで使っています。マネーサプライの1258兆円が、銀行からの民間への、通貨供給高です。年間で2.5%くらい増えています。
(日本のマネーストック;日銀はマネーサプライを、マネーストックと言い換えていますが、両者は同じものです)
https://www.boj.or.jp/statistics/money/ms/ms2402.pdf
日銀の600兆円のマネー供給は、
・口座がある銀行に対するものであり、
・企業や世帯への供給でありません。
企業世帯は、日銀には口座をもてません。ただし銀行は、ゼロ金利の日銀当座預金がいくら増えても、運用利益はゼロですから、金利のつく、1)貸し出し、2)国債を含む債券の購入、3)ドル債の購入をして、運用します。日本の銀行がドル債の購入に向かうことも、円安の原因になっています。◎2021年からの世界インフレのなかでも、円の金利(短期0%、長期0.7%と低いために売られて、インフレ率にほぼ比例した金利に上がっているドルが買われていることが、1ドル150円台の円安の原因です。
◎政府・日銀は、早期に、ドル売り・円買いの為替介入をすべき時期ですが、FRB傘下の植田日銀は、2024年はどう動くでしょう。

【デジタル通貨が見えてきた】
2025年、26年からの、BIS(国際決済銀行)も参加するCBDCが現実化してきました。国際的な、国境を越える決済通貨の部分だけですが、国際通貨としてのドルの需要(外貨準備の需要)は、順次なくなるでしょう。外貨準備が要らなくなるということです。日本国民のため、米ドルは高いうちに早く売ったほうがいい。ドルへの一時交換のコルレス銀行を経由するので、数日から1週間はかかっていた海外送金が、CBDCでは数秒です。数秒では通貨交換のときの、為替変動リスクはなくなります。ということは、海外送金のときの媒介通貨のドルは要らなくなるのです。中国からの輸入のときの送金は、「円→ドルに交換して送金→人民へ交換」となっています。CBDCでは「円→数秒で人民元」になる。「人民元→円」も同じです。対米貿易だけがドルになります。実験には、日銀のほか、ニューヨーク連銀やイングランド銀行、フランス銀行、スイス国立銀行、韓国銀行、メキシコ銀行が参加します。そのうち世界の中銀も参加。世界は、水面下で動いています。世界の貿易額は30兆ドル(GDPの30%:4500兆円/年)と巨大です。これが、順次、CBDCに代わっていくと世界からのドル需要が減ります。基軸通貨ドルの価値下落の時期が迫ってきました。
◎CBDCの国際決済が増えていく2026年、27年には、たぶん、ドルの切り下げか、暴落でしょう。

■4.金の国際価格と逆相関の、米国のマネーサプライ

金価格を長期で押し上げてきたのは、米国のマネー・サプライ(M2:企業と世帯の現金性の預金)の増加です。金の新規の生産量には限界があって、年間で4300〜4600トンとほぼ一定です。一定の金に対して、預金の金額は膨らみ続ける。このため金価格が上がるのです。(注)金は長期保有され、現物が市場に出るものは少ない。短期売買の動きが激しいのは、金ETFと金先物です。金の現物価格は、ロンドンとスイスの取引所では毎日、先物の価格はNYのCOMEXで、秒単位で決まって、変動しています。慣例で、1オンス(31.1グラム)の価格は、ドル建てです。円の預金を信用して、金の売買が世界1少ない日本は、金の値決めにはほとんど参加できていません。1グラムの円価格は、「1グラムのドル建て国際価格×円レート×(消費税1.1)」で決まっています。(三菱マテリアルは、ドル価格と円価格の両法を示しています。
https://gold.mmc.co.jp/market/gold-price/
金ETFと先物の価格は、現物の価格に連動しています。米国のマネーサプライ(M2:現金性の預金)を、長期で見ます。1960年のマネーサプライは3000億ドルでした。2024年3月では、20兆7836億ドルです。64年間で69倍に増えています。
〔米国のM2:1960-202〕
M2は、銀行預金マネーとしてのドル発行の増加=64年で69倍、を示します。年間の平均増加率は、円より6.8%と高い。
https://fred.stlouisfed.org/series/M2SL
一方で、1オンス(31.1グラム)の金価格は、1960年はドルの金準備制(ブレトンウッズ体制:1944-71)の35ドルから、現在は2200ドル付近です。64年間で63倍。
◎金価格の上昇(63倍)は、64年の長期では米国のマネーサプライの増加(69倍)と、91%の相関で一致しています。これは偶然ではない。〔原理〕金価格は、長期は米国の銀行預金の増加に合わせて上がる。金は、現金または預金で買うからです。
【株式指数】
S&P500の株価指数も、1981年の132ドルから2024年3月は5162ドルに上がっています。43年で39倍です。価格の変動は、金より激しいですが、平均年率の上昇は8.9%です。S&P500の株価指数も、長期ではM2の預金通貨増加に、プラス比例しています。〔原理〕金融危機のとき上がる金と、金融危機のときは大きく下がる株価には、違いがあります。しかし、約50年の長期でならすと、M2の預金増加に正比例して、株価も上がっています。
https://nikkeiyosoku.com/spx/chart/
2025年には可能性が高くなる米国金融危機を想定するなら、
・S&P500は暴落し。
・金価格は、逆に高騰するでしょう。
(注)なお金は、株のような短期売買ではなく、長期保有に優れる金融商品です。
〔大きな原理〕名目GDPの上昇率以上に、M2の現金性の預金通貨が増えることは、通貨の価値下落を示します。
名目GDPの成長が3%、現金性預金の増加が8%なら、通貨1単位の価値は5%下がっているのです。通貨の価値の下落が、現金性の預金増加にほぼ比例して、金と株価が上がっていくことの原因です。感覚的に考えていたことが、今回、ドルのマネーサプライの長期データで確認ができました。学校の10年先輩(生産会社の情報システム部長)は、「君が言うように、通貨は日銀が増やせる。しかし日銀は、金は増やせない。だから金を買う。店には、金ETFしかないと言っていたが・・・」とゴルフ場からの車のなかで言っていたことを思い出しました。民間企業ですが、システム部長には、会社が専用車を提供していました。幹部社宅の提供も受ける日本人は「会社ぐるみ」に慣れています。株主資本主主義の米国ではこれが少ないので、オプション株と、株価を上げる自社株買いが多いのです。何事でも、根本の原理は単純です。
M(現金性の預金)×V(購買に使う預金の回転率)=通貨の流通量=P(価格)×T(物価上昇率を引いた実質GDP)。
「通貨供給量」の増加に比例して実質GDP(=生産・販売される商品数量)が増えないときは、Pの価格が上がる。日本の実質GDPは最大でも年1%増加、米国は2%台です。これ以上の、通貨の流通量の増加は、P(価格)の上昇になる。金の生産量は、GDP(=生産される商品の付加価値)のようには増えない。マネーサプライの現金性預金(=通貨)が増えると、つまり・・・通貨の1単位の価値が下がると価格が上がる。
◎金融危機のときは、預金の危機になるから株価は下がっても、金価格は一層上がる。投資ポートフォリオのなかで、金は短期の売買はせず、長期保有すべき資産です。ファンドも金の保有を増やしています。(注)不動産のREIT(賃貸料と売却益の上場投信)は別に論じます。

■5.新NISAの非課税と金の売却益の関係

質問があったので、調べたことをお答えします。2024年から新NISAは、
・「積立枠」で1年に120万円まで(累計で1800万円)、
・積み立て以外での買いの「一般NISA枠」で1年に240万円まで(累計で1800万円まで)の、売却したときの利益を、非課税とするものです。
・両者の併用は、可能です。併用のときは、一般NISAの上限枠が1200万円になります。枠に達したとき売って利益を確定すれば、幾度でも使えます。時間はかかりますが、この点は、有利です。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/index.html
対象は、上場株や投資信託です。金については、現物は総合課税ですが、金ETFや積み立てでは、分離課税の20%です。

【金での非課税税枠】
しかし、「金の果実」や、三菱UFJなどの「ファインゴールド」の、積み立てでは新NISAの「一般投資枠」の非課税枠が使えます。
(三菱信託銀行:金の果実)
https://kikinzoku.tr.mufg.jp/ja/index.html
【現物の金】
現物の金は、他の所得と合算する総合課税ですが、5年未満の所有か、5年以上の長期所有で、利益の計算方法が異なります。
5年未満所有の課税利益の計算
・譲渡価格-(取得原価+譲渡費用)−基礎控除50万円=課税対象の利益
5年以上所有の、課税利益の計算(取得原価不明とする)
・譲渡価格×1/2−基礎控除50万円=課税対象の利益
ご自分の税額は、他の所得との関係で総合課税の税率が、5%〜40%と決まるので税理士に問い合わせてください。他の所得が多いと総合課税は不利になります。言うまでもありませんが、価格いくら上がっても、保有しているあいだ税はかかりません。日本の高い税率を調べると税率の低いシンガポール、香港、米国や、タックスヘイブンに行きたくなります。家人は、経理の帳簿と税務申告を税理士さんに任せているようです。
(国税庁) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3161.htm
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