[ビジネス知識源プレミアム] 1416 株価の長期予想は、主体別売買から行うべきである(1)  2024年3月9日

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Dentsudai Thai OBs & OGs

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Mar 9, 2024, 2:44:31 AMMar 9
to Dentsudai Thai OBs & OGs
リーマン危機から16年の、過剰信用が破裂する
https://www.cool-knowledge.com/

2000年初頭の、米国流通ツアーのメンバーだった読者の方から、「日
本の産業の生産性は言われるほど低くないのではないか。生産性の低
さの解消のためにDX化が言われるが、(米国のITから)踊らされてい
るのではないか」というご意見が来ました。
確かに、この面があります。

〔テーマ〕2000年代の24年、「1人あたり生産性(=労働生産性)の
低さ」は、日本経済のもっとも大きな問題です。政府目標の2%の物
価上昇からは、日本の実質賃金がマイナスになるので売上数量が減っ
て、労働生産性は、逆に低下します。

長期の物価上昇(インフレ)により負担が減るのは、政府と企業の借
金です。特に、政府の国債1200兆円の、実質価値(=負担価値)は、
2%物価上昇の30年で54%に下がります。返済しなくても、減ったよ
うになるのです。

2%のインフレが30年続くと、金額は同じでも、実質的な借金負担は、
「0.98の30乗=0.54」と約半分になります。ほぼゼロ金利の、国民の
預金も、54%の価値に下がります。2000万円預金があっても、30年後
は1080万円の購買力へと半減します。

「政府の負債(国債)=国民の銀行預金」なので、こうなるのです。

実は、国の経済と、企業経営のもっとも大きな課題である生産性問題
は、本格的なスタンスから、述べる必要があります。政府は陰の問題
だった日本の産業の生産性に、2020年ころからやっと触れるようにな
りました。

経産省の外郭団体に生産性本部があります。日本と各国の生産性の比
較をしています。日本の産業は世界で27位、トルコ、スペイン、チェ
コの下に落ちました。中進国より、比較生産性が低くなったことを知
る人はほとんどいません。

米国は7位の85、日本は50;米国の59%であり世界では27位と中進国
以下です。

企業と個人事業の生産性(労働時間あたり付加価値=粗利益)が米国
の59%ですから、円の平均賃金も59%です。企業は、円ベースでは、
ドルベースの米国の、ほぼ半分の賃金しか払えない。

日本のように、円ベースでは、1%/年しか労働生産性が上がらないと、
6000万人の雇用の平均賃金も1%しか上がりません。
https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/press_2022.pdf

生産性本部が集計する生産性(2022)では、購買力平価の粗利益で世
界比較しています。購買力平価のレートは、為替レートに、ほぼ比例
します。ビッグマック指数がこれです。マクドナルドは世界店舗をも
ち、同じ食材、同じ加工方法、同じ作りの店舗で、ファストフードを
販売しています。

◎ビッグマックの価格は、各国の為替レートで違うので、生産財や卸
売物価もはいった購買力平価より、小売りのビッグマック指数がより
正確に労働生産性を比較すると考えています。

スイス1098円、ユーロ圏827円、米国793円、英国766円、サウジ720円、
ポーランド708円、ブラジル684円、ペルー587円、タイ531円、中国
497円、日本450円、インド361円・・・。マックには行っていません
が、450円付近でしょうか。確認すると、現在は480円に上がっていま
した(+6.8%)。ドル/円のレート(円安)をダイレクトに反映して
います。
(ビッグマックの、世界の価格ランキング:23年12月)
https://ecodb.net/ranking/bigmac_index.html

スイスフランの通貨レートが高いスイスが1098円、ユーロ高のユーロ
圏が827円、ドル高の米国が793円・・・・円安の日本では450円です。
500兆円の異次元緩和が始まった2013年からの円は、ハイパーインフ
レのトルコ・リラとアルゼンチン・ペソ以外の、世界の通貨に対して
一方的に安い(3.08は1ドル147円)。

米国に対して、ビッグマック指数は「450円÷793円=56%」です。購
買力平価での生産性の日米比較、59%とほぼ一致しています。米国の
ビッグマックが、日本のものより1.56倍美味しくて価値が高いのでは
ない。同じものが米国では1.56倍高い。

一般には感覚、しにくい購買力平価は、通貨レートの変化をダイレク
トに反映する「ビッグマック指数」で可視化できます。

産業の人的な生産性は、「企業の粗利益÷(社員・パート数×平均の
年間労働時間)」で計ります。企業の粗利益は、その国の通貨で計算
します。日本は円、米国はドル、欧州はユーロです。各国比較では通
貨レートを使います。

【量的緩和による円安】
2013年からのアベノミクス(量的緩和500兆円)で、民主党の最後の
年度だった2012年には、「1ドルが80円台」だったドル・円は、円の
マイナス金利のための「円売り/ドル買い」が続き、2024年は150円付
近です(今日は147.85円;1.4%円高)。

1ドルが80円だったときの日米のカフェの生産性が、以下で均衡して
いたとします。店舗マック風のファストフード店とします。

〔2012年:1ドル80円台だった〕
日本:1時間で100人へのコーヒーのサーブ(売上生産性)とする
   100杯=200円×100杯=2万円/1時間
米国:1時間で100人へのコーヒーのサーブとする
   100杯=200円(=2.5ドル)×100杯=2万円/1時間

〔2024年:1ドル150円台の円安〕
日本:1時間で100人へのコーヒーのサーブで変わらないとする
   100杯=200円×100杯=2万円/1時間
米国:1時間で100人へのコーヒーのサーブで変わらないとする
   100杯=375円(=価格は2.5ドルで同じ)×100杯
             =3.75万円/1時間

上記のモデルでは、商品数量での生産性は、日米ともに変わっていま
せん。

しかし・・・2024年には換算通貨が、1ドル=150円付近の円安(円の、
対ドルの価値が53%)になったため、下がった円で見ると、米国の生
産性は2012年の2万円/1時間から、2024年は3.75万円/1時間へと、1.
89倍に上がったように見えます。

これが、通貨への投機で変わる変動相場性の通貨が生む、仮想現実で
す。仮想現実を示さないのは、国際通貨である金(ゴールド)です。

変動相場の通貨の仮想現実が、日本の生産性は米国の約半分、賃金は
半分以下と言われることの、正体です。

◎仮に、ドル・円が70円になれば、ビッグマックの価格と購買力平価
での生産性では、日米がほぼ一致します。商品の数量生産性では、日
米ともにほぼ同じです。

【所得と物価の関係】
日本では上位10%の高所得である年収1000万円(=6.6万ドル)は、
家賃と物価が東京の2倍以上になったサンフランシスコ、ロス、NYで
は、低所得層です。最低でも10万ドル(1500万円)が、米国での大都
市での生活には必要です
(日本の所得分布:平均が547万円、ひどく低い)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa09/2-2.html

米国では、ドルでの生産性が上がって賃金が上がったのではない。ド
ルでの物価が上がって(1ドルの価値は下がり)、ドルの賃金上昇は物
価上昇を追ったのです。この認識が肝心です。

若干豊かと言えるのは、15万ドル(2250万円)からです。大谷の契約
金、10年で6.8億ドル(1020億円)も、典型的なスポーツ観戦料のバ
ブルです(米国に多い有料テレビ配信)。妥当な金額は200億円でし
ょう。破格に高いゴルフ、ボクシングの賞金も米国バブルです。
1989年までは、日本バブルだったのです。

経産省の生産性本部から、「日本の生産性が低い。デジタル化が必
要」と言われることの内容は、このようなものです。

〔結論〕結論を言えば、2013年4月からの日銀によるゼロ金利と500兆
円の円の増刷が「円売り/ドル買い」の増加を誘い、1ドル140円台の
不当な円安(不当なドル高)にしました。

このドル高が、円で見ると、米国の物価、株価、不動産を円では2倍
に上げ、米国人の生産性と賃金も2倍に上げたように見える錯覚が起
こっています。

米国の物価が上がり、その上で生産性が上がって、米国の実質賃金
(名目賃金上昇-物価上昇)が高くなったのではない。

◎米国では物価、株価、不動産価格、手取りの名目賃金が、比例して
上がっただけです。これは、本来は「好況」とは言わない。単にイン
フレです。好況には、物価上昇率を引いた実質の生産性の上昇がなけ
ればならない。

本稿では、生産性の各国比較を為替レート基準によるものとしました。
購買力平価より実態に近いビッグマック指数は、為替レートを素直に
反映します。

【米国のビッグマック生産性】
米国では5.7ドル(855円)のハンバーガーが日本では450円であり、
円価格では米国が1.9倍高い。同じハンバーガーの価格が1.9倍の米国
のマックでは、日本のマクドナルドで同じ数量のハンバーガーを売っ
ても、社員の労働人時あたり付加価値額(生産性)は1.9倍と計算さ
れます。

しかし米国の資産バブル崩壊のあと、米ドルが100円になれば、日本
マクドナルドの人的生産性は、米国の75%くらいに接近します。1ド
ル80円なら日米はほぼ同じ生産性になります。1ドル50円なら米国が
低生産性になります。

◎2013年からは日本の、2020年からは世界の超金融緩和と、日欧とを
比較すれがひどく高い金利(短期金利日本はマイナス0.1%、米国は
5.5%)からのドル買いで膨らんだ、米ドルの実効価値は、金利が同
じなら80円程度とみています。

〔ドルの金利は常に高い〕対外債務30兆ドル(4500兆円:米国GDPの
1.15倍)と大きな米国の金利は、海外からのドル買いが必要なため、
常に日本より2%は高く、現在は約5.5%の金利差です。日本からの
「円売り/ドル買い」が進み、金利差の要因で円安になっています。

経済的な理由が何であれ、金利差で買われる通貨(ドル)は上がり、
売られる通貨(典型は円、最近は人民元)は下がります。

〔ドル高の結果〕米国のGDP経済(実体経済)と金融経済(株価その
代表)は「ドル高」で水ぶくれしています。例えれば、砂糖水の水を
約2倍に増やしたのが米ドルです。過剰な通貨のためドルでの株価、
不動産、物価、所得が上がった。

2013年からのドル高を生んだものは、1位が日本(300兆円のドル買い
/円売り)、2位が中国、3位が産油国の「ドル買い(=自国通貨売
り)」でした。

(注)現在、中国はドル売りに転換しています。産油国も「ドル外貨準
備売り/金買い」になっています。日本以外では、ドル離れが起きて
います。

商品数量の生産性で見れば、日米の差は小さい。政府・日銀が、約
30年、「ドル買いによる円安」を国策としてきたため、円での日本の
生産性、物価、賃金が3つとも、ドル高の米国に対して約1/2と低い。
例えばアップルのi-Phoneは13万円ですが、日本の同じ性能のスマホ
は6万円あたり。明らかに変なことが起こっています。

ラーメンも1杯3000円。1000万円が低所得の米国は、異常な金融経済
になっています。高すぎる米国の株価が1/2に下がると、米国の異常
な金融経済は終わります。

【米国の、高い物価と住居費】
ラーメン1杯3000円、スーパーの物価が日本の2.5倍、家賃が40万円な
ら、米国での1000万円の所得は、日本での400万円年収での生活とあ
まり変わらない。

米国人、欧州人、中国人は、日本に来て商品物価と不動産の安さに驚
愕しています。日本円では4万円の日経平均株価も、米国のファンド
がドルで見れば、4万円÷150円=267ドルですから、感覚的には安い。

円でみれば、現在が最高価格です。しかし、ドルでは2021年の2月の
280ドルが最高価格でした。1ドル120円台の円高だった2022年には日
経平均は下がり、140円台の円安の2023年からは上がっていますが、
まだ280ドルのピークは越えていません。

米国系ファンドが日本株を売買するときは、ドル建て日経平均を見て
います。米国人には、現地通貨で見る、文化的な習慣がない。米国が
世界の中心で、ドルは世界通貨と考えているからです。
(ドル建て日経平均の推移)
https://nikkeiyosoku.com/chart/nikkei_usd/

時代を遡ると、30年前の1990年代には、逆に日本の物価が米国の2倍
と言われていました。人民元が約1/3に下がった1994年から、国産で
はなく安売りでもない、開発輸入のビジネスモデル(SPA)の、ニトリ
やユニクロが誕生したのです。

【ビッグテックの時価総額は典型的な、水ぶくれ株価】
マイクロソフトの株価時価総額が、円安もあって450兆円と評価され、
円建てトヨタ(60兆円)の7.5倍であることも異常です。アップルの
390兆円、エヌビデア345兆円は、異常以外ではない。

バブル経済のときは、国民のたぶん95%(標準偏差の2倍:2シグマ)
は、非合理な心理が生むバブルに気がつかない。市場は気がつかない
から、株投資家やファンドが高い株を買って一層のバブル株価になっ
ていく。

日本の1985年-89年がそれでした。ひとびとは、民営化されて上場さ
れたNTT株の買いの競争をしていました(最高価格は312万円、1991年
は91万円に下落)。借金で高い不動産と土地も買っていました。
1990年1月から、株と不動産は1/3に向かって下がったのです。日本の
1985-89年が、米国の2020-24年です。

以上で、日米の、労働生産性の違いのテーマを終わります。経済の数
値には、商品数量の実質ベースで見ないと、いろんな錯覚が起こりま
す。

経産省の生産性本部がいうほど、日本の商品数量べースでの生産性は、
米国に対して下がっていません。数量ベースでは日米差を維持してい
ます。

◎日本の産業と労働者は、日銀の金融政策による1.7倍の円安で、円
のドルとの比較価値が下がるなかでむしろ健闘しています。

・米国は、「ドル高幻想」の中の経済、株価、金融、所得です。
・日本は、「人為的な円安幻想」の中の、経済、株価、金融、所得で
す。

人為的というのは、日銀の2013年からの、ゼロ金利+円の増刷の金融
政策が、1ドル150円の円安を生んだからです。

このため、マイナス金利政策(短期金利マイナス0.1%)の日銀が、
物価2%上昇が定着したとして、0.25%の金利(ごくわずかな金利で
す)を上げるだけで、逆方向の「円高/ドル安」になります。

1%上げることはありませんが、仮に円金利が1%なら1ドルは120円で
しょう。2%なら1ドル100円、3%なら1ドル80円です。現在の円安は、
経済の実力を反映していません。5.5%金利の米国との金利差(イー
ルド格差5.5%)だけでの円安です。

                    *

次号の正刊では、「株価の3か月以上の予想は、投資家主体別売買の
傾向の想定から行うべきである」という提案をします。

主体別の売買は、
1)証券会社の自己売買、
2)東証の売買の、約15%の個人投資家、
3)70%の海外ファンド、
4)1990年以来、ずっと売り越しが続く金融機関(機関投資家)、
5)日銀とGPIFの株ETFの売買を仲介する信託銀行、
6)買い越しが続く、事業会社の自社株買いの売買に分けて分析し、
日経平均の傾向を判断するものです。

株価を動かす要素として、
1)中央銀行による金融緩和や引き締めと金利の操作、
2)円安や円高、
3)事業会社のEPS(1株あたりの、予想純益÷発行済み株式数)のな
どが、新聞・メディア・エコノミスト・株式アナリスから大量の記事
として出ています。

今日の記事では、「日銀が2%台の物価上昇が定着したとして、4月に
はマイナス金利を停止する予想」が、150円割れの1.4%の円高を生み、
この円高が日経平均を約400円下げて、4万割れの3万9600円にしたと
いう論ばかりです。

「果たしてそうか?」と思うのです。

市場の投資家がどんな予想をしても、それが株の売りや買いにつなが
らないかぎり、株価は動きません。

◎「経済・金融の、ファンダメンタルズの予想の変化=株の売買」に
はならないのです。

投資家の予想と、売買の決定には懸隔(へだたり)と時間のズレがあ
ります。スーパーの棚で「この商品、いいな」と感じることと、その
商品を買うことには、違いがあるでしょう?

このため、「株価の、3か月以上の期間の予想」は、東証の投資主体
別売買の傾向からしないと、現実的なものにならない。いいなと思わ
れる商品を並べただけでは商店でも目標とする売上にならないことと
同じです。

ところが、メディア、新聞、エコミスト、アナリストは投資家別売買
の予想はせずに株価を論じています。(注)ここで対象にしているのは、
1株あたり予想純益(EPS)で動くことが多い個別株ではなく、225社
の日経平均です。

経済や金融の数値の理由が何であれ、
・売り越しが多いと株価は下がり、
・買い越しが多いと株価は上がります。
これが、株価の現実です。

極端に言えば、理由は何でもいい。買う投資家が多いと上がり、売る
投資家が多いと下がるのです。

例えば巨大マネーを使う政府系の日銀、GPIFによる株ETF売買には、
株価を上げる調整の意図しかなく、他の投資家の、売買の理由を作っ
ています。

日本でも10兆円に増えた自社株買いでは(米国の1兆ドルに相当しま
す)、金利が低いという理由は副次的です。市場の流通株を減らして
金庫に固定化し、自社株を上げるという意図しかない。(注)資本の面
では、自社株買いは発行済み株数を減らす減資にあたります。

その論証をするのが、水曜の正刊です。お楽しみに。

2016年から2024年2月の投資家主体別の売買を、エクセルで集計・加
工し分析して使います。

東証での、主体別の売り越し/買い越しには、米ドル・米国債・ドル
債券・ドル株を、1990年から1000兆円(年28兆円平均)も買ってきた
日本の金融市場に、独自の明確な傾向があります。

(安藤証券:主体別の売り越し/買い越し:元データは東証)
https://www.ando-sec.co.jp/market/movement.html
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