実用的な計算において複素関数(複素積分)を用いる場面を考えると、例えば楕円積分(実関数の定積分)の計算などに使われます。他の例としてはガウスの誤差関数の規格化や、バーゼル問題の解などがあり、この他にも複素積分を使って実関数の定積分計算を実行する例は、かなりあります。そこで思うのが複素関数なんてものが考えられたのは、じつは実関数の定積分計算のためでないのか?、というやや(相当に?)偏った見方です。
そう考えると、複素関数論は正則関数にはほぼ興味がなかろう、という事になります。というのはコーシーの積分定理により、(条件はありますが)正則関数の複素積分はみ~んな零になってしまって実関数を複素関数に拡張しても、何の得もないからです。実関数の定積分計算を複素積分でやっつけられるのは、留数定理が成り立つからですよね?(^^)。
よって実関数の定積分計算が目的であり、そのために特異点を持つ関数にしか興味がないなら、留数定理こそ複素関数論の要だという事になります(そうでなくても要ですが(^^;))。そうすると留数定理がなぜ成り立つのか、非常に知りたいわけですが、コーシー先生はそれに関して非常にハイカラな証明をしてくれます。ハイカラ過ぎて本質的に何をやってるのか、初見で自分は全然わかりませんでした。式と論理展開は追えましたが了解できなかったわけです。
ところで留数定理に関連して、コーシーの積分公式があります。留数定理とコーシーの積分公式を並べて見たある日、「こいつら、デルタ関数の積分じゃなかろうか?」と思ってしまったという話です(^^;)。