線形代数っぽいですよね?
ここで言う線形代数とは初等線形代数の事です。では初等線形代数とは何かと言ったら、自分の意見では、「添え字の足は2個まで(行列とベクトル)」で「線形性(重線形不可)と独立・従属の性質のみを用いて証明されたもの!」です。
しょっぱなから偏ってますが、大学初年級の「線形代数」には、そういう暗黙の作法があるような気がします。それを超えるものは禁欲しなさいという・・・(^^;)。
[1]線形代数っぽいですよね?
ところで一般の写像に関して写像の標準分解というものがありますが、線形写像にそれを使ってみると、線形系の幾何学的素直さから絵を描きながらけっこうさくさく証明を進める事ができて、思った以上に綺麗で線形代数っぽい結果が得られるという話です。主要な結果は以下です。
ただしここでは正則を、正則 ⇔ 単射 の意味で使ってます。
[次元定理(と勝手に呼んでるもの)]
V,Wをベクトル空間、A:V→Wかつ線形とする。Aの核をker(A),AによるVの像をA(V),次元をdimで表せば、dim(A(V))+dim(ker(A))=dim(V)。
[線形写像の標準分解(と勝手に呼んでるもの)]
線形写像Aの、核ker(A)の直和補空間Sと像A(V)への制限は必ず正則。また制限には次が成り立つ。
正則 ⇔ 単射 ⇔ 全射 ⇔ 全単射 ⇔ 逆写像(逆行列)がある
[正則線形写像の特徴付け]
A:V→W(V→V)を線形写像(変換)とする。以下は同値。( )付は線形変換で成り立つ。
Aが正則 ⇔ ker(A)={0}
⇔ Vの独立なベクトル集合は、Wの独立なベクトル集合に写る
⇔ dim(A(V))=dim(V)
⇔ Aは単射
⇔(Aは全射)
⇔(Aは全単射)
⇔(逆写像(逆行列)A-1がある)
[2]もっと線形代数っぽい証明を!
根空間(広義固有空間)への直和分解定理は、計量空間(内積と2次形式)を除く線形代数前半部のハイライトになってる気がしますが、ハイライトにも関わらずその証明には普通ユークリッドの互除法が使われ、非常に「線形代数っぽくない」と思います。そこで(偏見に基づいて)線形代数っぽい証明をさがしてみると、[正則線形写像の特徴付け]を適用すれば「ぽいのが出来る」、という話です。
[3]こいつら浮いてますよね?
自分の思う初等線形代数の構図を描いてみました。偏見に基づいてるので、異論は山ほどあると思います。そして少々愚痴ります(^^;)。