どうも、クロメルです。kuhcrowさん、興味深い疑問ですね。
1.実格子と逆格子
2.ベクトル(空間)と双対ベクトル(空間)
3.反変ベクトルと共変ベクトル
4.ディラック記法のケットとブラ
とします。
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かぎしっぽJohさんの記事(一番下の注)
双対基底のアイデアを応用した例として,結晶学にでてくる直接格子と逆格子の基本ベクトルがあります。
直接格子空間と逆格子空間はちょうど双対空間の関係になっています。
よって、1.は2.に含まれる。
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シュッツ『相対論入門上』(丸善)p.76-p.78
ベクトルはベクトル、双対ベクトルは一形式に相当。
基底ベクトル、もしくは、一形式の成分は共変ベクトル。
基底一形式、もしくは、ベクトルの成分は反変ベクトル。
よって、2.と3.は同じ。
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ディラック"THE PRINCIPLES OF QUANTUM MECHANICS"(みすず書房)
p.18「どんな数学の理論でもベクトルのセットがある時、
いつでも双対ベクトルと呼ばれる二番目のベクトルのセットを作る事が出来る。
元々のベクトルがケットベクトルであった場合の手順を述べよう……」
よって、2.と4.も同じ。
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しかし、ですよ。僕には1.(結晶学)3.(相対論)4.(量子力学)はそれぞれ別の対象に見えます。
どうやら、ベクトルに対して積を作る事によって、スカラー関数を
生じさせるベクトル(数学で言うベクトル空間の定義を満たす対象)の事を
総称して双対ベクトルと呼ぶようです。よって、一言で双対ベクトルと言っても、
元のベクトルが変わってくることで、別種の双対ベクトルが出てくるようですね。
ちなみに相対論で出てくるベクトルの成分(反変成分)と一形式の成分(共変成分)は高橋康・柏太郎『量子場を学ぶための場の解析力学入門』(講談社サイエンティフィック)の第一章によると、基底が直交しない座標系で原点からの距離OPを扱う際、二つを組み合わせることによって、OP^2=Σx_ix^iを簡単に表現できるのだそうです。