皆さま
初めまして。
東京藝術大学大学院 先端芸術表現専攻に在籍し、現在はフィンランドのアアルト大学で交換留学をしております乾真裕子と申します。川瀬慈さんにこちらのMLをご紹介いただきました。
私は、クィア理論やフェミニズムを手がかりに、自身の身体を用いたパフォーマンス作品や映像作品を制作しています。
近年は、日本の昔話および民話や神話におけるジェンダー表象と動物表象に関心を持ち、自分なりに研究と制作を行っています。物語において鶴や狐が化けるのは人間の「女性」であることが多いのはなぜなのだろう?という疑問から出発し、物語の中に潜むイデオロギーを考察しつつ、その存在がクィア理論においてどのような可能性を持つのかを考えていきたいと思っています。
さらに、作品の中で「歌」を取り扱うことが多いです。と言いますのも、私は幼い頃、話している時よりも歌っている時間の方が長いような子供でした。今でも、疲れたときや気分がいいときは自室で一人、歌をうたいます。過去には、瞽女さんについての作品を制作し、今でもリサーチを続けたりしています。
このような体験から、自分にとって歌とは何なのか。文化の中で歌はどのように扱われてきたのか。また物語において、ここではないどこかへ誘われる際に用いられる歌の媒介性について、シャーマン文化やトランスフォーメーションの観点から考察したいと考えています。
ここで、2020年に制作した私の映像作品を紹介させてください。
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https://youtu.be/eXwdhfcbaJw (ダイジェスト版のURLです)
『月へは帰らない』2020年
家父長制が色濃く残る家庭で育った私の母とかぐや姫、そして私の存在が交錯する映像作品。
かぐや姫に扮した私と母のイメージとともに、ジェンダーに関する2人の会話を記録した。かぐや姫が月へは帰らず、自分らしく地球上で生きていくためにはどのような方法があったのか、三人の女性の生き方を通して考察した。
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今後は、日本の民話や神話に出てくる人々や物事を一つずつ解放していくような、『月へは帰らない』につながるシリーズ作品を構想中です。
長々と書いてしまい失礼しました。
映像人類学という名前を知ったのがかなり最近なのですが、とても関心を持っています。これからたくさん学んでいきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。