東京大学新環境エネルギー科学創成特別部門メールマガジン(2009.09.16)

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Sep 16, 2009, 1:59:08 AM9/16/09
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   東京大学新環境エネルギー科学創成特別部門メールマガジン
                No.4 (2009.09.16)
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早いもので9月も半ばになりました。日に日に秋の気配を感じるこの頃です。
さて、一か月ぶりのメルマガ配信となりましたが、
今回は先月行われた特別部門ならではの全学体験ゼミナールの様子を特集して
お届けします!
 
========内容==============================================
○ゼミについての寄稿:
「全学体験ゼミナール『海の森』再生の最前線を体験する」
山本光夫特任講師
○イベント案内:先端研カフェ『地球温暖化-日本の戦略 第3回』
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○ゼミについての寄稿:山本光夫特任講師
 
「全学体験ゼミナール『海の森』再生の最前線を体験する」
 
 NEDO特別部門では、環境・エネルギー問題の本質を理解することを目的として、教室
での授業(座学)だけでなく、実際の対策現場に赴くフィールド学習授業を開講しています。
全学体験ゼミナール「『海の森』再生の最前線を体験する」は、前回紹介させていただいた
磯焼け回復技術に関する研究(「海の森」再生プロジェクト)で最初に実証試験を行った
北海道増毛町にて昨年度より開講している授業です。
 
 磯焼けとは日本や世界各地の沿岸海域において生じている海藻群落が衰退または消失
する現象ですが、北海道では特に日本海側で生じています。今回全学体験ゼミを実施した
増毛町は旭川市の南西部、日本海側に位置しています。このゼミは、実際の磯焼け現場と
磯焼け回復実験が行われている海域を視察し、藻場再生への取り組みや現場で対策に
取り組む方々に触れること通じて、一般的に環境問題解決のためにはどのようなアプローチ
が必要なのかを学ぶことが目標です。今年度は、8月18~20日の2泊3日で実施しました。
以下に3日間の様子を紹介します。
 
<第1日目>
新千歳空港からマイクロバスにて増毛町に向かい、お昼過ぎに増毛町に入りました。
この日は、実際に実証試験が行われている増毛町舎熊海岸の現場を海岸と海上から視察を
行いました。増毛町へマイクロバスで移動するには理由があります。敢えて海岸線を通る経路
にし、北海道日本海側の海の様子を観察するためです。天候の良いときはエメラルドグリーン
の海が広がっている様子が観察できるのですが、これが磯焼けによるものであるということを
実証試験現場の視察後に学生達は理解できたようでした。実証試験現場では、実際の現場
工事や水中調査を実施してくださっている㈱オーシャングリーンの渋谷正信社長から、
製鋼スラグと腐植物質が入ったユニットが設置された場所や海藻の生育状況などについて
詳細な説明を受けました。学生達は、実際に自分の目で現場を見ることで、事前学習してきた
磯焼けとその対策現場の状況を実感することができたようです。
 
 (※実証試験現場の視察)
 
 
<2日目>
午前中は、宿舎となっている旧雄冬小中学校にて海水分析の実験を行いました。分析と
いっても簡易的な機器を用いるため、分析精度は必ずしもよいとはいえないものの、場所の
違いによる海水成分の違いや実証試験等を行なう際に必要な海水分析の方法を理解する
目的で行いました。学生達は、増毛町の海域や他の海域の海水、また温泉水などの
鉄や栄養塩などの測定を試み、分析手法やその必要性の理解を深めたようでした。
午後は、増毛町総合交流促進施設元陣屋にて、講義を行いました。この講義では、
現地漁業関係者として増毛漁業協同組合の竹内廣中指導課長、渋谷社長、そしてNEDO
特別部門から私と丸山康司特任准教授が授業を行いました。竹内指導課長は、増毛漁業
協同組合における磯焼け対策のこれまでの先進的な取り組みについてお話をして
くださいました。
 
  (※写真は竹内廣中指導課長)
 
そして渋谷社長からは、自身が磯焼け対策にかかわってきた7年間について幅広く話を
していただきました。また私からは、磯焼け回復技術を支える鉄と腐植物質に関する
基礎研究と海藻群落の再生による二酸化炭素固定効果などについて少し専門的な授業を
行いました。最後に丸山特任准教授からは、環境対策を試みる際、個々の置かれている
立場(社会的立場)の違いによって対象の捉え方に差異が生じること、その問題を解決する
ための仕組み作りが重要であることが実例を通して話されました。
なおこの講義は、公開授業として、地元水産関係者や一般町民など約15名も参加され、
8月21日付の地元紙『日刊留萌』には講義の様子が紹介されました。授業のあとは、
増毛町漁業協同組合漁村センターにおいて、地元海産物を使ったバーベキューが行われ、
地元関係者と学生との交流も行うことができました。
 
 
<3日目>
最終日の午前中は、海藻群落など海の生態系への影響も指摘されている砂防ダムの見学や、
広く増毛町の風土を理解するために、サケの孵化場や果樹園の見学を行いました。その後、
増毛町での磯焼けに関する授業のまとめを行い、増毛町を後にしました。
そして午後は増毛町に隣接する留萌市にある、留萌風力発電所の見学を行いました。
これは環境問題と同時にエネルギー問題、特に再生可能エネルギーについての理解を深める
ことを目的として行ったものです。留萌市役所の担当者の方に説明していただき、実際に風車
の真下に行って風車の仕組みなどについて学習しました。
 
 
 
以上が3日間の授業レポートとなりますが、受講学生からは「今回のゼミは磯焼け問題を
よく理解するということはもちろんだが、同時に環境問題解決へのアプローチ方法、異なる
立場の間の協力や妥協などについて学ぶものであったように思う。」「座学の授業で、
環境エネルギー問題の概論を学んできたが、今回の実習を通してより一層理解を深めることが
出来た。」といった声をはじめとして、本ゼミで貴重な体験をすることができたとの感想が多く
寄せられました。この現場を重視したNEDO特別部門の全学体験ゼミナールは、冬学期には
青森県鰺ヶ沢町で開講されますが、本部門の特長的な授業として来年以降も大事にして
いきたいと考えています。
 
 
山本光夫:
東京大学教養学部附属教養教育開発機構特任講師。
今年度夏学期は『テーマ講義:環境・エネルギー問題
解決へのビジョン~その現状と対策技術の将来性~』と
『全学体験ゼミナール』のゼミを担当。
海洋に関する環境技術論には定評がある。
 
 
○イベント案内:
先端研カフェ『地球温暖化-日本の戦略 第3回』
 
日時:2009年9月25日(金) 16:00~18:30
場所:東京大学先端科学技術研究センター14号館1階カフェ
(先端研へのアクセスhttp://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/maps/index.html
テーマ:日本の中期目標-その評価と実現のための方策-
参加登録申込先(登録専用メールアドレス)
※人数確認のため、事前にメールで登録をお願いいたします。
 
 
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【編集後記】
アメリカのオバマ大統領の登場による「CHANGE」の波が日本にも押し寄せています。
政権交代による新たな時代の幕開けに、これからの日本の環境エネルギー政策の行方が
とても気になります。ところで気になるといえば、新型インフルエンザ。感染拡大から
学校や企業では対策も活発化しているようです。夏の疲れも出やすい時期でもありますので
皆様くれぐれも体調管理にはお気をつけください。           
松本真由美(東大先端研特任研究員)
 
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東京大学NEDO新環境エネルギー科学創成特別部門は、東京大学駒場キャンパスの
三部局(先端科学技術研究センター、生産技術研究所、教養学部附属教養教育
開発機構)に設置されています。これは、独立行政法人「新エネルギー・産業
技術総合開発機構」(NEDO)のプロジェクトである「循環社会構築型光触媒産業
創成プロジェクト」の一環として採択された「新環境科学創成のための人材育成・
異分野融合拠点化事業」により実施されています。
 
 
 
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