No.18 東京大学新環境エネルギー科学創成特別部門メールマガジン

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UT-EcoEne-Officer

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Sep 29, 2010, 3:09:39 AM9/29/10
to UT-EcoE...@eco.c.u-tokyo.ac.jp
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    東京大学新環境エネルギー科学創成特別部門メールマガジン
                   No.18 (2010.9.29)
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こんにちは。
駒場博物館で開催中の『自然エネルギーの世界~未来を拓くテクノロジー展~』も
20日(月・祝)に閉幕しました。2カ月間の会期中の来館者数は約5500名。夏休み
期間中ということもあり、ご家族で来館された方も多かったようです。特別部門一同
お越しくださった皆様に御礼申し上げます。自然エネルギーの技術や可能性について
わかりやすくお伝えできるような企画を今後も計画していきたいと思います。
これからもどうぞよろしくお願いします!
 
========内容======================================
○イベント案内①:
 「第3回革新的太陽光発電国際シンポジウム」
○イベント案内②:
 「ネイチャー・フォトニクス・テクノロジー・コンファレンス」
○環境エネルギーコラム:
①第5回ギャラリートーク
 「エコを楽しもう!音楽とトークではじまるムーヴメント」
 ゲスト:やまだひさしさん(DJ・ナレーター)
②第6回ギャラリートーク
 「え!こんな太陽電池もあったの?色素で電力を生み出す色々な話」
 ゲスト:村上拓郎先生(桐蔭横浜大学専任講師)
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○イベント案内①:
「第3回革新的太陽光発電国際シンポジウム」
 
太陽光発電の技術開発のため、2008年より東京大学先端科学技術研究センター、
東京工業大学、産業技術総合研究所が研究拠点となり、「革新的太陽光発電技術
研究開発」の研究プロジェクトを進めています。3回目となる本シンポジウムでは、
前回までのシンポジウム同様、国内外の太陽電池研究で著名な専門家を多数
お招きし、最先端の太陽電池研究開発動向について情報交換を行い、さらなる
研究開発を推進することを目的としています。皆様のご参加をお待ちしております。
(研究発表、議事進行は英語となります)
 
日時:2010年10月7日(木)、8日(金)
会場:東京工業大学 大岡山キャンパス 蔵前工業会館
参加費:シンポジウム 無料
     意見交換会  5000円                                                                                         
 
★プログラムの詳細は下記ウェブサイトをご覧ください。
参加も事前登録となりますので、ウェブサイトからお申込ください。
 
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○イベント案内②:
「ネイチャーフォトニクス・テクノロジーコンファレンス 太陽光発電の将来展望」
 
科学雑誌ネイチャーが主催する太陽光発電にフォーカスしたコンファレンス。
今回は、導電性高分子の発見によって、2000年に白川英樹名誉教授とともに
ノーベル化学賞を受賞されたAlan Heeger教授を、基調講演者として迎えています。
科学者、ビジネス界、政治家、関連団体の皆さんにとって、今後のチャレンジ、
機会創出、トレンドなど、太陽光発電開発の進化を理解するための有益な
手掛かりになるイベントになりそうです。
なお、19日(火)には、「有機系太陽電池の将来展望」をテーマに、先端研の
瀬川教授がモデレータをつとめ、Alan Heeger教授と色素増感太陽電池の
発見者であるMichael Gratzel教授がパネリストとして参加します。
ぜひご参加ください。
 
日時:2010年10月19日(火)、20日(水)、21日(木)
会場:TFTホール(東京有明)
主催:NPGネイチャー・アジア・パシフィック
参加費:無料
 
★詳細はこちらをご覧ください。
 
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○環境エネルギーコラム①:
 東京大学新環境エネルギー科学創成特別部門、東京大学駒場博物館主催
第5回ギャラリートーク
「エコを楽しもう!音楽とトークではじまるムーヴメント」
ゲスト:やまだひさしさん(DJ・ナレーター)
2010年9月4日(土)開催
 
自然エネルギーの世界~未来を拓くテクノロジー~」会期中の毎週土曜日、
地球環境やエネルギーに関するギャラリートークを開催してまいりましたが、
第5回目のゲストとしてお迎えしたのは、DJのやまだひさしさんです。
やまださんを当部門のトークショーにお呼びするのは2度目。前回は2009年
11月にエコトークショーのゲストとしてお越しいただきました。今回は、やまださん
のラジオのリスナーの方を中心に90名近い参加者があり、楽しくエコを実践する
コツについて伺いました。
 
 
やまださんのエコ活動の原点は音楽イベントのプロデュースでした。環境省主催
のRe-Style LIVEのプロデュースと総合司会をつとめたのがやまださんでした。
エコと音楽が融合したライブイベントRe-Style LIVEは、第1回目の2003年
10月8日から5回目となる2008年6月10日まで、人気のミュージシャンらが
趣旨に賛同しステージに立ち、多くの音楽ファンを集めました。
 
総合プロデュースを担当したやまださんは、ライブの舞台裏でのエコにもこだわり
ました。ステージで使う電力を遠方の風力発電等からグリーン電力証書を購入し、
エネルギーを賄うことにしたのです。また、アーティストやスタッフの食事はお弁当
ではなく、地産地消の食材を使ったバイキング形式にしました。温かな食事を自分
の好きな量だけ取って食べることができるこの試みは、ミュージシャンらにも
大好評。さらにお弁当ガラも出さないため、ごみを減らすことにも成功しました。
 
また、チケットの購入はペーパーレス化を図り、携帯電話でチケットを購入し、
案内から入場手続きまで携帯を活用した最新技術を導入しました。ライブ終了後の
アンケートも、携帯電話で入力してもらいました。その結果、アンケートの回収率は
飛躍的に上がったそうです。
 
音楽を通してのエコの試みの次は、トークにチャレンジ。2009年9月から今年
3月にかけて、ラジオ番組で「Re-Style Talk Show Tour」を総合プロデュースし、
全国の高校十数校を回り、低炭素社会づくりを高校生らと考えてきました。
 
 
エコをキーワードに全国を縦断してきたこれまでの経験から、やまださんは、
ご当地のエコクイズを会場の参加者に出して、楽しく皆んなのエコ度をチェック。
地方自治体や地元企業による低炭素社会への取り組みについてわかりやすく
紹介されました。また、さりげなくエコを自分の生活に取り入れてほしいと話し、
やまださん自身が実践している日頃の心がけについて、たとえば愛用の
太陽電池セルを貼ったリュックサックやショルダーバッグを見せてくれました。
このバックがあれば携帯電話の充電やDSを外でやることもできると話すと、
ゲーム好きのファンは大喜び。「自分で作るにはどうしたらいいのか?」といった
質問がさっそく寄せられました。
 
また自慢のマイ箸も披露してくれました。この箸は、野球で使用される木製
バットが破損したものを再利用して作られたものだそうです。日本の全プロ野球団
が使用しているバットから作られているので、野球ファン垂涎の箸と言っても
いいかもしれません。主な材料である「アオダモ」の木は育つまで60~70年かかり、
木の保護育成が課題です。この箸の売上の一部がNPOへ寄付され、野球バット材
の育成に活用されます。こうした箸を持つと、自己満足のエコにとどまらず人と話す
きっかけにもなる、ちょっとしたウンチクから始まるエコもある、その気持ちを相手に
ぜひ伝えてほしいとお話しされました。
 
 
最後は、やまださんを囲んで記念撮影。遠方からもラジオのリスナーの方が
駆けつけてくれました。
 
 
背伸びせず、自然体のエコが若者の心に伝わるのだと感じます。やまださんの
次なるエコへのチャレンジは農業とのこと。やまださんの新たなチャレンジも
楽しみです。また機会あれば、お話をぜひ伺わせてください。
やまださん、ありがとうございました。
 
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  ○環境エネルギーコラム②:
東京大学新環境エネルギー科学創成特別部門・東京大学駒場博物館主催
第6回ギャラリートーク
「え!こんな太陽電池もあったの?色素で電力を生み出す色々な話」
ゲスト:村上拓郎先生(桐蔭横浜大学講師)
2010年9月11日(土)開催
 
 11日(土)は、ギャラリートークの最終回。色素増感型太陽電池の生みの親で
あるスイス連邦工科大学(EPFL)のミハエル・グレッツェル教授に師事していた
村上拓郎先生に色素で作る太陽電池について、研究開発の現場のエピソードも
交えてお話しいただきました。
 
 
太陽電池のテーマに入る前に、まず「色素ってなんだろう?」というところから話は
スタート。植物や藻類、プランクトンなどから、葉緑体に含まれる色素の働きに
ついて解説されました。また色のついた炭酸飲料やジュースは、光が注がれると
ジュースなどに入っている分子が光を吸収するため、紫、青、緑、黄、赤と
いろいろ色に見えるそうです。光はエネルギー。つまり光を吸収した分子は
エネルギーを吸収したことになります。そして分子は吸収したエネルギーを何らか
のエネルギーに変えなければなりません。獲得したエネルギーを光として放出
する場合には、分子が光るのだそうです。
 
たとえば、ホウレンソウをミキサーにかけた液体状にしたものは、ランプを当てると
緑の色素は赤い色に見えます。これは、ホウレンソウの色素が光を吸収して
発光する現象です。
 
(光を当てると、ホウレンソウの緑の色素は赤色に見える)
 
他にも獲得したエネルギー(光)を電子として放出する現象があります。この現象を
利用したものが、色素増感太陽電池です。色素増感太陽電池は、スイス連邦工科
大学(EPFL)のミハエル・グレッツェル教授が、酸化チタンを利用することで大幅に
変換効率が向上することを、1993年雑誌「ネイチャー」に発表したことで、
世界的に注目されました。そのため色素増感太陽電池は、グレッツェル・セルとも
呼ばれています。
 
(色素増感太陽電池セルを手にとって見せる村上先生)
 
キ―となるテクノロジーのひとつは酸化チタンです。酸化チタンは化粧品や歯磨き粉
を白く着色させるために使用される汎用的なものですが、ナノサイズの酸化チタンで
作った電極で比表面積を1000倍以上に増やしました。小さな粒子を使うと、色素を
多く吸着させることができ、また光を多く吸収することができます。見かけの1000倍
の光を利用することが可能になりました。
 
しかし、色素は光に弱いという性質があります。たとえば、色あせたポスターは青っぽく
なりますが、これは赤い色素が光で分解してしまうためです。そのため、ふたつ目の
キーテクノロジーは、光に強い色素の開発でした。光に強く、変換効率の高い色素、
ルテニウム錯体色素をガヤ・ナジルジン博士(グレッツェル研)が開発しました。
 
(色素増感太陽電池セルを光に当てる)
 
色素増感太陽電池の作りかたは、酸化チタンのペーストを導電性ガラスに塗り、
そのガラスを500度程度の温度で焼きます。焼いた酸化チタンを色素の溶液に
入れて、色素を吸着させます。その後対極との間に電解液をはさみ込んで、
簡単にできます。大がかりな製造装置も必要なく、コストを下げて汎用的な材料
を使った太陽電池が可能になりました。
 
たとえば、ホウレンソウの緑色の色素であるクロロフィルで発電することもできます。
ランプを当てると、ホウレンソウの緑の色素は赤い色に見えますが、色素により
太陽電池の色が変わり、また変換効率も変わります。
 
(色素で太陽電池の色が変わる~村上先生の資料映像より)
 
色素増感太陽電池の変換効率は研究レベルで現在11%です。これまでにソニーや
アイシン精機などが試作品を発表し話題になっています。
 
太陽電池は大きく分けてシリコン系、化合物半導体系、有機系の3つの分類され
ますが、色素増感太陽電池は有機系に分類されます。単結晶シリコンの変換効率は
21-22%で、化合物半導体系のCIGS型やGaAs型は16-19%、有機系の
色素増感型が11%、有機薄膜型で7%くらいですが、変換効率だけでセルの評価は
できません。太陽電池の製造に費やしたエネルギーも含んで、ライフサイクル全体で
太陽電池を考えていくべきではないかと話されました。
 
太陽電池を開発していく上でポイントとなるのは、低コストであること
(作るエネルギーが少ない)、高耐久性(長く発電し続けて製造エネルギーを
どれだけ上回れるか)、また高効率(高いエネルギー変換効率で実用範囲を広げる)
とのこと。色素増感太陽電池の用途の可能性を広げていくためにも、研究開発の
現場でもさらにがんばっていきたいと最後に力強くおっしゃいました。
 
難しい太陽電池の技術についてわかりやすく解説され、有意義だったと参加の
皆さんにも好評でした。最後に参加者の方との記念撮影です。
 
 
今後も機会あれば、またぜひ駒場キャンパスでお話をお聞かせください。
村上先生、ありがとうございました。
 
6回にわたるギャラリートークでは、多彩なゲストにお越しいただき、さまざまな視点
から地球環境やエネルギーについて考える機会をいただきました。ここで改めて
ご出演くださったゲストの皆様、またお越しくださった皆様に御礼申し上げます。
 
Special Thanks to:
第1回ゲスト:ジョー奥田さん(ネイチャー・サウンド・アーティスト)
第2回ゲスト:森田正光さん(お天気キャスター・気象予報士)
第3回ゲスト:奈良泰史さん(山梨県都留市役所)
第4回ゲスト:飯田誠先生(東京大学先端科学技術研究センター)
第5回ゲスト:やまだひさしさん(DJ・ナレーター)
第6回ゲスト:村上拓郎先生(桐蔭横浜大学)
 
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【編集後記】
9月も最終週となり、季節はすっかり秋に変わりました。このところ気温もぐっ
と下がり、暑すぎた夏の思い出が少しずつ遠くなっていきます。10月は太陽光
関連のイベントやシンポジウムも多く、忙しくなりそうです。新しい知見に触れ
機会が増え、今から楽しみです。  松本真由美(東大先端研特任研究員)
                     
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三部局(先端科学技術研究センター、生産技術研究所、教養学部附属教養教育
高度化機構)に設置されています。これは、独立行政法人「新エネルギー・産業
技術総合開発機構」(NEDO)のプロジェクトである「循環社会構築型光触媒産業
創成プロジェクト」の一環として採択された「新環境科学創成のための人材育成・
異分野融合拠点化事業」により実施されています。
 
 
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