発行しました!(GAU+65号)プラスチック条約:保健・医療セクターの大問題

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Masaki Inaba

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Sep 30, 2025, 11:23:45 PM (2 days ago) Sep 30
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皆様 こんにちは。お世話になっております。(重複申し訳ありません)
グローバル・エイズ・アップデート・プラス10月号をお届けいたします。
今号では、書き下ろし記事で、8月にジュネーブで開催され不首尾に終わったプラスチック条約交渉と保健・医療セクターの関係について、また、9月18日に米国トランプ政権が出した米国の新しい国際保健戦略「米国第一国際保健戦略」について取り上げました。また、HIV/AIDSを始め、国際保健に関する最新記事4つを掲載しています。
関心ある皆様、お読みいただければ幸いです。

稲場 雅紀

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Global AIDS Update

GLOBAL AIDS UPDATE PLUS (+)
グローバル・エイズ・アップデート・プラス

#再刊第65号  #New Edition No.65
2025年10月1日   October 1, 2025

「グローバル・エイズ・アップデート」は、メールマガジンとして、2004年に創刊し、隔週刊で世界の最新のHIV/AIDSや国際保健の最新情報を紹介してきました。

国際保健のトレンド変化の中で、2020年6月より、グローバル・ヘルスの深層をより広く取り上げる新たなメールマガジンとして、月刊で再出発します。(原則、各月第1水曜日発行)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の地球規模の拡大などを踏まえ、今後の国際保健政策のトレンド変化をとらえつつ、世界の市民社会の声を伝えていきます。

再刊第65号  目次

1. 国際保健アップデート

● プラスチック条約:保健・医療セクターの大問題

2. 国際保健トレンド

● 米国国務省、「米国第一国際保健戦略」を発表

3. 海外最新情報

 ● 移住から搾取へ:ブラジルの人身取引危機の内幕

 ● HIV終息に向けた世界的な資金供給の崩壊後、6ヶ月ごとの曝露前予防内服(PrEP)に未来はあるのか?

 ● 南アフリカ共和国、4月までに300以上の診療所でHIV注射薬の展開を計画:2027年までには政府がジェネリック医薬品を購入か

 ● (南アフリカ共和国)アフリカ女性の乳がん遺伝的要因を探った研究結果の報告

国際保健アップデート

プラスチック条約:保健・医療セクターの大問題

2025年9月21日

8月5日から15日まで開催されていた、プラスチックによる環境汚染や健康被害などを減らすためにプラスチックを多国間で規制する「プラスチック条約」の交渉は、一日延長して協議を続けたにも拘らず合意に至らず決裂した。対立はプラスチックの生産量の上限と有害化学物質に対する法的拘束力のある規制を世界レベルで行うかというところにあり、合意を葬ったのはサウディアラビアなどの産油国や米国など少数の石油産出国であった。報道によると、コロンビアの代表団は「毎回合意を拒絶する少数の国の妨害で合意形成が失敗した」と述べ、プラスチックによる海洋汚染に悩む小島嶼国の代表団は、この合意の失敗により、膨大な量のプラスチックが海に捨てられ、生態系、食料安全保障、生活や文化に大きな悪影響が続くだろう、と懸念を示した。

国際保健トレンド

米国国務省、「米国第一国際保健戦略」を発表

2025年9月27日

米国国務省は9月18日、トランプ政権下の米国の国際保健援助の根幹をなす戦略として「米国第一国際保健戦略」(America First Global Health Strategy)を発表した。トランプ政権は1月20日の発足後すぐに米国国際開発庁(USAID)を破壊し、大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)をはじめとする援助の殆どを停止した。同政権は一定期間をかけてこれまでの援助をレビューし、再編して再開すると述べていたが、レビューの内容やプロセスが不透明であったこと、USAIDが解体されてしまったことなどもあり、米国の保健援助の今後が危ぶまれていた。トランプ政権が援助停止に当たって示したスケジュールから一定遅れたものの、米国の2026会計年度の始まりにあたって、この戦略が示されたことで、米国の保健援助が消滅する訳ではないことが分かり、関係者の間では多少の安心感が出てきている。一方で、この戦略の内容は、トランプ政権の発足前にその事実上の「公約」として示された「プロジェクト2025」の「国際開発機関」の章に酷似している。この「戦略」がトランプ政権やその各種支持勢力によってどの様に解釈され、取り扱われるのかも未知数であり、「これまでと違う形であれ、米国の援助資金が戻ってくる」と考えるのは早計ともいえる..

海外最新情報

移住から搾取へ:ブラジルの人身取引危機の内幕

From Displacement to Exploitation: Inside Brazil’s Human Trafficking Crisis

Global Health Now
2025年7月30日 | https://globalhealthnow.org/2025-07/displacement-exploitation-inside-brazils-human-trafficking-crisis

【2025年7月30日 ボア・ビスタ(ブラジル)発】ベロニカVeronicaは、ブラジルへ移住した約68万人のベネズエラ人の一人だ。彼女はカルリーニョCarrinho(屋台)の売り上げで、家賃と子どもたちとの生活を支える家計を賄っている。過去10年間で約800万人のベネズエラ人が、経済的困窮と強権支配を逃れて、祖国を離れて暮らしている。2024年7月のニコラス・マドゥロ大統領Nicolas Maduroの再選を巡る混乱後、ブラジルの国境の町パカライマPacaraimaには毎日600人以上のベネズエラ人が到着する。2024年のブラジルへの移民19万4,000人のうち、ベネズエラ人が半数を占めている。

南アフリカ共和国、4月までに300以上の診療所でHIV注射薬の展開を計画:2027年までには政府がジェネリック医薬品を購入か

SA Plans Anti-HIV Jab Roll-Out at 300+ Clinics by April. By 2027 the Government will be Buying Generics

Bhekisisa Centre for Health Journalism
2025年8月27日 | https://bhekisisa.org/health-news-south-africa/2025-08-27-sa-plans-anti-hiv-jab-roll-out-at-300-clinics-by-april-by-2027-the-government-will-be-buying-generics/

【2025年7月23日キガリ(ルワンダ)発】2025年7月13日から5日間にわたり、アフリカ東部の内陸国ルワンダの首都キガリで第13回国際エイズ学会HIV科学会議(IAS 2025)が開催された。米国のクリントン元大統領が理事会議長を務める「クリントン・ヘルス・アクセス・イニシアチブ」(CHAI)のキャロリン・アモール氏Carolyn Amoleは、米ギリアド・サイエンシズ社が開発した新しいタイプの長期効果型HIV薬「レナカパビル」について、「レナカパビルは真の変革をもたらす可能性を秘めた製品であり、HIVの歴史を変える力を持っている。」と述べた。しかしその可能性を実現するには、大規模な供給が不可欠であり、そのためには手頃な価格で迅速に市場投入される必要があることを強調した。

(南アフリカ共和国)アフリカ女性の乳がん遺伝的要因を探った研究結果の報告

Breast Cancer - New Study Finds Genetic Risk in African Women

The Conversation Africa
2025年9月2日 | https://theconversation.com/breast-cancer-new-study-finds-genetic-risk-in-african-women-263227

【2025年9月2日、ジョハネスバーグ(南アフリカ共和国)発】乳がんは女性の最も一般的ながんで、サハラ以南アフリカでは女性のがん関連死の主要な原因となっている。発症リスクの一つである遺伝的要因の特定にはゲノムワイド関連解析(Genome-Wide Association Study, GWAS)という研究方法が用いられるが、これは個人の全ゲノム(DNA)を解析し、疾患に関与する遺伝的変異や突然変異を特定することができる。この方法が導入されて以来、様々な疾患の診断、検査、予測に関する研究が行われ、発症リスクを推定するツールであるポリジェニックリスクスコア(Polygenic Risk Score, PRS)が開発された。しかし、研究はヨーロッパが中心であるため、アフリカを含めた世界中の遺伝的多様性や環境の変動性が反映できていない。そこで南アフリカ共和国の研究者らは、サハラ以南アフリカにおける乳がんを対象とした初のゲノムワイド関連解析を実施した。

南アフリカ共和国、4月までに300以上の診療所でHIV注射薬の展開を計画:2027年までには政府がジェネリック医薬品を購入か

SA Plans Anti-HIV Jab Roll-Out at 300+ Clinics by April. By 2027 the Government will be Buying Generics

Bhekisisa Centre for Health Journalism
2025年8月27日 | https://bhekisisa.org/health-news-south-africa/2025-08-27-sa-plans-anti-hiv-jab-roll-out-at-300-clinics-by-april-by-2027-the-government-will-be-buying-generics/

【2025年8月27日 ジョハネスバーグ(南アフリカ共和国)発】南アフリカ共和国の保健省は、HIV新規陽性率の高い地区の300以上の政府診療所で、2026年~2028年、半年に一回のHIV予防皮下注射薬「レナカパビル」の提供を計画している。保健省は、2025年10月から開始される3年間のグローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)による助成金のうち、5億ランド(約3千万ドル)を充て、米国の製薬会社であるギリアド・サイエンシズ社が製造する長期効果型HIV薬「レナカパビル」の先発品を購入する予定だ。南アフリカ共和国は、グローバルファンドがレナカパビルの「早期導入国」として選定した9カ国の1つであり、グローバルファンドが年末までに最低1カ国への供給を開始したいと考えている、その国が南アフリカ共和国となる。グローバルファンドは保健省に、9月30日までにファンド経由で初回発注を行う必要があると通知している。同省の試算では2年間で45万6千人に投与可能な資金量だが、実際にどれだけ長期で使用継続できるのは不透明だ。

編集後記

【編集後記】8月末のTICADのあと、9月初旬には、インドネシアの市民社会系シンクタンク主催でアジア太平洋地域の開発資金・債務問題・気候変動対策資金に関する政策提言に取り組む若い世代の活動家たちの会議が東京で開催されるなど、忙しさにあまり変化がなかったので、そろそろ休もう、ということで、今週は少し休みを取って、北アルプスの燕岳に登ってきました。私は北アルプスにはあまり興味がなかったので、色々な山を登っていても、北アルプスには行ったことがなかったのです。しかし、行ってみると実に素晴らしく、4時間ほど登り続けて主尾根に出た時には、いきなり真正面に後立山連峰、左側に槍ヶ岳、正面に燕岳が出現し、その壮大さに驚きました。やはり行ってみるものですね。また、有名な山小屋「燕山荘」に宿泊しましたが、地ビールからケーキまで取り扱い、ご飯も大変工夫があっておいしいのにもビックリ。標高差1400メートルを乗り越えて、素晴らしいサービスでした。もう少し研究して、北アルプスも行けるところに行ってみたいなと思いました。(稲場)

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Masaki Inaba
Co-Chair, Africa Japan Forum
Program Director for Global Health, Africa Japan Forum
Chair, Japan CSO Network on Global Health
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Phone: +81-3-3834-6902 (Office), +81-90-1264-8110 (Mobile)

稲場 雅紀
(特活)アフリカ日本協議会 共同代表・国際保健部門ディレクター
GII/IDI懇談会 グローバルヘルス市民社会ネットワーク 代表
TICAD NGO連絡グループ 事務局
※長崎大学・東洋英和女学院大学・東洋大学 非常勤講師
電話:03-3834-6902(事務所)、090-1264-8110(個人)



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