うつくしま教育通信 Vol.213

[教育庁教育総務課代表]

　《福島県教育委員会メールマガジン》

■■■　うつくしま教育通信Vol.213　2022.2.21　■■■
発行：福島県教育委員会　https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/edu/

★★目次★★
◇リレーエッセイ
　県教育委員会委員　大村 雅恵（おおむら まさえ）
◇日々の思い
　特別支援教育課長　郷家 俊哉（さといえ としや）
◇読者投稿欄「みんなの学舎」
◇学校自慢コーナー
　昭和村立昭和小学校
　会津若松市立日新小学校
　福島県立郡山北工業高等学校
◇こんにちは！各所館です　特別支援教育センター
◇図書館アラカルト　　　　　
◇お知らせ
◇編集後記
　教育総務課長　高瀬 智美（たかせ ともみ）


◆リレーエッセイ◆

　「伝えることの難しさ」
　県教育委員会委員　大村 雅恵（おおむら まさえ）

　最近、自分の伝える力に不安を覚えている。
　様々な会議に参加し、それぞれの立場で発言を求められるが、伝えなければならないその責任をしっかり果たせているのか心配になる。伝えなければならないことがありすぎて、という場面も多い。事前に整理整頓して伝える順序を考え、イメージした通りに話せたとしても、話し終わった後に、ちゃんと伝わっただろうか、もっと違う言い方があったのではないか、とうなだれてしまうことが多々ある。まあ話し方の技量は別にしても、伝えたいことの背景を理解してもらえるような説明ができただろうか、誤解が生まれるような言い方はしていないだろうか、いやもっと簡潔にまとめた方が良かったのではないだろうか等々、反省しきりである。
　先日の新入社員研修で、人と接する時のサービス提供においては「会話をすることが何よりも大事」なので、お客様ときちんと話をするよう心がけてほしいと指導したところ、その数日後に苦情を受けることになった。会話が大事と言われ、一生懸命話をしようと努めた結果、お客様に「うるさかった」と言われてしまったという。お客様の状況や気持ちを推し量った上で、その場面に最適な会話を考えてほしいと伝えたはずなのに、会話、つまり話すことが大事というワンフレーズのみが頭の中に居座ってしまったようである。
　自分の思っていることをそっくり相手に伝えることは、本当に難しい。
　単語ひとつをとってもその受け止め方は人によって異なる。つくづく伝えたい相手の聞き方や状況を視野に入れ、相手の持つ情報・知識の量や内容に合わせて説明しなければ十分な理解には至らないことを、痛感した。
　マスク着用の現状では大変難しいが、相手の表情から、話の伝わり具合を推測し、伝わり具合に応じて補足することの必要性と、一番伝えたい大事な事柄は角度を変えて繰り返し伝えることの重要性、さらに一方的に説明するだけでは不十分であることなど、伝え方を改めて考える良い機会となった。
　数人に伝える場面でさえこの有様なのだから、数十人の生徒を抱える担任の先生方の気配りはいかほどかと推察いたします。
　多くの児童生徒を前に、それぞれの個性や環境を把握した上で、それらを超えて教える、導く、伝えることに日々奮闘されている教育現場の皆様には、改めて心からの感謝しかありません。


◆日々の思い◆

　「今日的な障がいの捉え方に基づく必要な支援に向けて」
　特別支援教育課長　郷家 俊哉（さといえ としや）

　数年前の夏、当時勤務していた学校に、担任として十数年前に接していたNさんから電話がありました。内容は、「先生が、今年度自分（Nさん）の母校に戻られたことを知り、ぜひお会いして話がしたい。自分一人で伺いたい。」というものでした。私は二つ返事で了解しましたが、Nさんには肢体不自由があり、移動等には支援が必要なことから、果たして一人で来校できるのか若干の不安を感じながら電話を切りました。
　Nさんは、この学校で小学部から高等部まで熱心に勉学に励み、現在某事業所に勤務しご活躍されている好青年です。脳性麻痺による肢体不自由があるため、移動には電動車いすを使用するとともに、生活上の介助も必要とされていましたが・・・。

　当日、Nさんは電話のとおり、一人で来校しました。しかも、学校近くのパン屋さんで、私へのお土産まで購入しての来校です。どのようにして来たのか尋ねると、「スマートフォンで福祉タクシーを予約し、パン屋さん経由で来校しました。」とのことでした。私は、彼を担任していた小学部の頃のことを思い出し、あまりの成長ぶりに目頭が熱くなるのを押さえられませんでした。
　Nさんには、特に下半身に重い麻痺があるため、車いすへの移乗やトイレなど、日常生活の多くに支援が必要な毎日を送っていましたが、現在はグループホームで最小限の介助を受けながら一人部屋で生活しているとのことでした。下半身ほどではないものの、手指や腕にも麻痺がありますが、スマートフォンを効果的に使って必要な介助を依頼しながら、可能な限り自分一人で行動しているとのことでした。

　現在の「特別支援教育」より前の時代、つまり「特殊教育」と呼ばれていた時代においては、子どもの「障がいの種類や程度」に応じて教育が行われてきました。この場合の障がいは、疾病等からもたらされる器質的損傷又は機能不全等による種々の困難により、一般の人々との間に生ずる社会生活上の不利益等と捉えられていました。これは、1980年に世界保健機関（WHO）によって採用された「国際障害分類（ICIDH）」に基づいた捉え方であり、「医学モデル」とされるものです。
　その後、WHOは、障がいのない人も含めた分類として、2001年に「国際生活機能分類（ICF）」を採択し、障がいは、疾病等によって規定されるだけでなく、環境因子等と相互に影響し合うものと説明され、社会的な要因による側面も考慮した、「医学モデル」と「社会モデル」を統合したモデルとされました。
　その後、我が国では「障害者基本法」（2011年改正）において、障がい者は、「障害及び社会的障壁により、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」とし、いわゆる障害者手帳の所持に限られないことなどが規定されました。つまり、障がいの捉え方について、心身の障がいのみならず、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものという考え方（「社会モデル」）を大切にする必要がある、と言うことができます。
　これらのことを簡潔に言えば、「障がいの状態や特性等からの社会生活上の不利益だけではなく、その人が置かれている環境にフォーカスし、社会的障壁を出来るだけ取り除くことで社会参加を可能にする。」とも言えるでしょうか。

　以上のことを踏まえると、前述のNさんは、生来の肢体不自由という自身の障がいの状態だけでなく、日常生活や社会生活における移動等の制限、いわゆる社会的な要因による障壁の影響も受けていたと整理することができます。しかし、Nさんは、持ち前の強靱な精神力とスマートフォン等のツール、福祉タクシーという社会資源等を効果的に使いこなすことで、見事にこの障壁を乗り越えていたのです。
　『食事をしながら、ゆっくり話がしたい。』というNさんからのお誘いは、コロナ禍の影響により、暫し延期となっておりますが、ぜひ近いうちに叶えたいと思っています。
　その時は、私は極力手を貸さずに、お店の予約から場所の移動まで、すべてNさんお任せで進めるつもりです。今のNさんに、越えられない壁はあまり有りそうに思えませんので・・・。

【参考文献】　
「障害のある子供の教育支援の手引」（令和3年6月　文部科学省）
「ICF及びICF－CYの活用」（平成19年　独立行政法人　国立特別支援教育総合研究所）


◆みんなの学舎◆
　今回は、令和2年度 ふくしまを十七字で奏でよう絆ふれあい支援事業 優秀賞作品をご紹介します。
　※学校名、学年は、受賞時（令和2年度）のものです。

【絆部門】
窓越に 手をふる祖父母 笑み返し　　白河市立白河中央中学校2年 上遠野雅翔（子）
マスクして 心の会話 孫とする　　野木満喜子（祖母）

【復興部門】
僕の故郷（まち） いわきとつながる 常磐線　　いわき市立内郷第一中学校3年 目黒颯（子）
復興へ 新たな一歩 常磐線　　目黒裕治（父）

【ふくしま応援部門】
会津塗 つやつやひかり きれいだな　　東京都私立明星小学校5年 今野櫻子（子）
子供へと 伝えてほしい 温もりを　　今野真由美（母）

○読者投稿欄「みんなの学舎」では、皆様からの原稿を募集しています。
　学校であった心温まる出来事やちょっといい話、心に残る先生のエピソード、子どもたちの作文でもかまいません。
　詳しくは、福島県教育委員会のWebサイト（メールマガジン、みんなの学舎）をご覧ください。
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/268846.pdf


◆学校自慢コーナー◆
　このコーナーでは、各学校の特色ある取組をご紹介しています。詳しい内容を県教育委員会Webサイトに掲載していますので、ご覧ください。

○「学校と地域のつながりの中で育む『昭和愛』」
　　昭和村立昭和小学校
　子どもたちが，未来へ持続可能な昭和村の担い手となるよう教育課程を構想しています。そのためには，子どもたちに「昭和愛」を育成することが必須と捉え，学校と地域が密に連携しながら学習活動を展開しています。昭和村の「ひと，もの，こと」を活用，教材化し「昭和村のよさ」を実感させたり，詳しい人に聞く，実物を見に行くなどの「本物にふれる学習」を積極的に取り入れたりしています。
・昭和村立昭和小学校の学校自慢Webサイト
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/70012a/s-aizul.html
・昭和村立昭和小学校のWebサイト
→ https://showa.fcs.ed.jp/%E6%98%AD%E5%92%8C%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E6%A0%A1

○「校訓『強く、正しく、美しく』の精神のもと、元気いっぱい・笑顔いっぱい」
　　会津若松市立日新小学校
　創立　昭和28年4月1日。
　校名の由来　会津藩校「日新館」を由来とする。「日新館」の名称は、中国古語の書経に「日々新而又日新」（日に日に新たにして又日に新た）とあるところからとったと言われている。
・会津若松市立日新小学校の学校自慢Webサイト
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/70012a/s-aizul.html
・会津若松市立日新小学校のWebサイト
→ https://aizuwakamatsu.mylocal.jp/schoolTop?articleId=619f77cdcf772b59e8a2f230&orgId=111220

○「未来創造技術者の育成」
　　県立郡山北工業高等学校
　本校は、機械・電気・電子・情報技術・建築・化学工学の６学科を設置する県内工業高校の中核をなす高校として多くの工業技術者を輩出し、卒業生は県内外で活躍しています。絶え間ない技術革新で大きく社会が変化する中、本校は「ものづくり教育」を通して各種競技会や資格取得の他、部活動にも積極的に取り組むことにより、基礎的な知識・技術を基に考え判断する力や表現力等、これからの時代に求められる力や工業技術者としての倫理観を備えた地域産業の未来を担う人材育成に努めています。
・県立郡山北工業高等学校の学校自慢Webサイト
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/70012a/k-kentyul.html
・県立郡山北工業高等学校のWebサイト
→ https://koriyamakita-th.fcs.ed.jp/

○「学校自慢コーナー」では、県内の公立小・中・高・特別支援学校の学校自慢を募集しています。詳しくは、Webサイトをご覧ください。
「学校自慢コーナー」
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/edu/appeall.html
「学校自慢コーナー応募の流れ」
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/310322.pdf
　教育総務課　電話024-521-7759
 

◆こんにちは！各所館です◆
　このコーナーでは、県教育委員会が所管する各教育事務所及び各センターの取組をご紹介しています。

◎『特別支援教育センター』編
　福島県特別支援教育センターでは、地域や学校における特別支援教育の充実を目指し、教育課題に対応した研究、教員や地域の方々への研修及び支援、相談者のニーズに応じた相談・情報提供等を行っています。

　主な事業内容について紹介します。
1　教育相談
・相談者の思いや願いに寄り添い、特別支援教育の専門的観点から健やかな成長を促す相談を行っています。（来所相談・電話相談）
2　教員研修
・新学習指導要領を踏まえた各教科や自立活動等に関する講義や協議・演習等を効果的に組み合わせ、教員の専門性の向上を目指した講座を開設しています。
3　学校・地域支援
・各市町村教育委員会や地域の各機関、各学校等における研修会等への支援を通して、教員等の特別支援教育の専門性の向上や支援体制の整備・充実を支援しています。
4　プロジェクト研究・教育研究
・小・中学校の通常の学級と特別支援学級における実践研究を通して、児童生徒一人一人の資質・能力を育む交流及び共同学習の充実を図り、研究成果の波及を目指します。
・研究協力校との実践研究を通して、特別支援学校におけるICTの効果的な活用の在り方を探り、情報活用能力の育成を踏まえた各教科等の指導の充実を目指します。
5　教育資料・情報
・特別支援教育の実践事例を掲載した「教材・支援機器ポータル」、各学校における組織的な取組のヒントを掲載した「コーディネートハンドブック」、合理的配慮の提供の充実を図るためのリーフレット「基礎編」「実践編」「事例編」など、特別支援教育に関わる教職員や関係者等に役立つ情報をWebサイトで発信しています。教職員の研修や児童生徒の指導・支援等で活用してください。

＜「令和3年度第36回福島県特別支援教育センター研究発表会」報告＞
　特別支援教育をめぐる最新の動向や学校等の状況を広く関係者に周知し、共有することで、インクルーシブ教育システムの構築を目指すとともに、「地域で共に学び、共に生きる教育」の推進を図ることを目的として、令和3年12月4日（金）に、福島県環境創造センター交流棟「コミュタン福島」において研究発表会を開催しました。今年度は、コロナウイルス感染症対策の一環として、オンライン配信も実施しました。
　研究発表に加えて、研究協力校での研究実践のポスター発表と教育講演を行いました。
　教育講演会では、東京都立光明学園統括校長であり、新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議委員を務められた　田村 康二朗 氏をお招きし、特別支援教育に求められている新しい視点や取組についてお話をいただきました。
　発表会の様子等については、特別支援教育センターWebサイトをご覧ください。

詳しくは、特別支援教育センターWebサイトをご覧ください。
→ https://special-center.fcs.ed.jp


◆図書館アラカルト◆
　県立図書館の障がい者サービスについてご紹介します。
〇大活字資料
　通常より大きな活字で印刷されているため、弱視や高齢により通常の本が読みにくい方など、どなたでもご利用いただける本です。入口近くに大活字図書のコーナーを設けています。
〇拡大読書器
　館内に、拡大読書器を設置しています。40倍まで拡大でき、光量やピントが自動的に調整され、画面はカラー・白黒・反転の3種類で表現することができる機械です。
〇コミューン（対話支援機器）
　話し手側の声を聞き手側に聞き取りやすくするための機械です。貸出・登録カウンターに設置しています。

　さらに、県立図書館の利用登録のある方で、活字による読書に困難のある方、心身の障がいによって図書館への来館が難しい方で、県立図書館の利用登録とは別に障がい者サービスの利用登録をしていただくと、資料の貸出期間が30日になるほか、次のようなサービスをご利用いただけます。

〇音声デイジー
　活字での読書が困難な方が利用できる、音声を使った図書・雑誌です。専用の再生機や、専用ソフトをインストールしたパソコンなどで再生することができます。
〇マルチメディアデイジー
　文字を音声で読み上げ、画像と一緒にみることができる電子書籍です。専用ソフトをインストールしたパソコンなどで再生することができます。

　詳しくは、県立図書館ホームページ、または県立図書館までお問い合わせください。
・県立図書館　電話024-535-3220
→ https://www.library.fcs.ed.jp/

<おすすめの1冊>
「世界ピクト図鑑　サインデザイナーが集めた世界のピクトグラム　World Pictograms」児山啓一／著　BNN　2021
　言語を問わず、年齢を問わず、視覚のみでその意味を伝えるピクトグラムは、ユニバーサルデザインとしての役割も担っています。
　本書には、項目別、国別に様々な地域のピクトグラムが、著者による専門的な解説とともに掲載されています。ある程度の統一性を保持しつつ、地域ごとの文化・慣習により異なるデザインのものや、珍しい表現のものも多くあります。
　身近なものと比べながら読むだけでも楽しい一冊ですが、色や形、社会性やモラルを考慮し、意味が伝わるようにとそれぞれ工夫されていることもわかります。
　オリンピックでも注目を集めていたピクトグラム。日常生活でも至る所で目にする機会がありますが、シンプルだからこそ、そのデザイン性に注目してみると、情報を分かりやすく伝えることへの一助になりそうです。


◆お知らせ◆
　節分の日の給食といえば、小袋に入っている福豆が出てきたことを思い出します。現在の給食の献立表にも、福豆とあります。福島県は、てっきり大豆を炒ったものを投げると思っていましたが、落花生（ピーナッツ）を投げる地域もあります。なんでも、投げた後で汚れを気にすることなく拾うことができ、かつ雪の上に落ちても見つけやすいから・・・だとか。また、豆まきの掛け声も地域によって異なります。二本松では、藩主が丹羽（にわ）氏であったため、節分に｢鬼は外｣と叫ぶと｢お丹羽外（おにわそと）｣となり、藩主を追い出すことになるので、｢ふくはうち、おにーそと｣と叫んだとか（二本松市Webサイトより）。同じ福島県といえども、投げるものも掛け声もさまざまですね。調べてみてはいかがでしょうか。
　さて、ここからはお知らせのコーナーです。

○【県立博物館】特集展「そなえの芽　災害から考える　あしたの暮らし」のお知らせ
会期　令和4年2月11日（金曜日）～令和4年3月27日（日曜日）まで
開館時間　午前9時30分～午後5時（入館は午後4時30分まで）
休館日　毎週月曜日、祝日の翌日
観覧料　大人280円、高校生以下無料
内容
　いつ起こるかわからない災害に対して、自分が住む地域のことをよく知り、もしもの時を想像しておくことは大切です。今回の展示を通して、見学に訪れたすべての人が意識の備えとして「そなえの芽」を持ち帰ることをめざします。
※ご来館の際は感染症対策にご協力ください。体調に不安がある場合はご来館をご遠慮ください。

○【県文化財センター白河館（まほろん）】まほろん20周年記念企画「戦後ふくしまの考古学」のお知らせ
会期　令和4年1月22日（土曜日）～5月8日（日曜日）予定
開館時間　午前9時30分～午後5時（入館は午後4時30分まで）
休館日　毎週月曜日・国民の祝日の翌平日（ただし2月12日、3月21日、4月30日は開館）
観覧料　無料
内容
　戦後間もなく県内の高校生を中心に発足した福島県学生考古学会や福島県考古学会、その後の『福島県史』刊行ごろまでの昭和20年代半ばから昭和40年代にかけての福島県の埋蔵文化財保護の取組を、史料や出土品から振り返ります。
※新型コロナウイルス感染症等の影響により、予定が変更となる場合があります。
※詳しくは、県文化財センター白河館（まほろん）のホームページをご覧ください。
→ 電話0248-21-0700
→ https://www.fcp.or.jp/mahoron/


□■□編集後記□■□

　先日「『多様性』が苦手」とおっしゃる方と出会いました。「多様性」の重要性を否定する意図ではありません。何を念頭に話をしているのかといった共通理解や、多様性を確保することがどのような状態なのかといった具体的な思考がないままに、安易にこの言葉が使われている場合があることへの戸惑いや違和感について言及されたように感じました。
　内閣府の総合科学技術・イノベーション会議の教育・人材育成ワーキンググループが「Society 5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ（素案）」を議論しており、その中に「認識すべき教室の中にある多様性」と名付けられた資料があります。この資料では、日本の子供たちを対象とした各種調査を基に、日本の子供たちを35人のクラスに見立てたらどんな状態になるかが図示されています。この資料によると、35人学級のうち、「発達障害」が2.7人、「Gifted」が0.8人、「不登校」が0.4人、「不登校傾向」が4.1人、「家にある本が少ない子供」が10.4人、「家で日本語をあまり話さない子供」が1.0人。これらの状況は複合している場合もありますし、一方で、ヤングケアラー等、この資料には図示されていない課題を抱える子もいます。まだ社会的にはあまり認知されていない悩みを持っている子もいるかもしれません。
　このように考えると、みんながそれぞれ異なる課題、異なる考えを持っており、同じ状態の人なんていないという当たり前のことに気づかされます。同時に、皆がそれぞれ違って、異なる意見がある中で、合意形成をすることがいかに難しいかも感じます。
　SDGsの基本理念である「誰一人取り残さない」はとても大切です。ですが、これを実現するのは簡単なことではありません。例えば、学校の中で、多様な子供たちを誰一人取り残さないために多くの先生が努力をしてくださっていますが、これによって先生が疲弊するという状態も、「誰一人取り残さない」状態にはなっていないですし、持続可能でもありません。多様性を確保するということは、相反する可能性のある課題、相反する意見について、どのように結論を見出していくのかを模索する対話と協働のプロセスなのだと思います。
　第7次福島県総合教育計画では「福島ならではの教育」を推進していく上で、SDGsの理念を重視しています。複雑で多様な課題を抱え、対話・協働が必要な福島県だからこそ、SDGsの理念は深い親和性があります。そして、それを実現するためにも、様々な課題を抱える子供たちが、自分らしく過ごすことができる教育環境づくりをすすめていく必要性を感じています。
　今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
　
　教育総務課長　高瀬 智美（たかせ ともみ）


■このメールについて■

・お問い合わせは、福島県教育庁教育総務課へお願いします。
　電話024-521-7759
　メールアドレスk.ko...@pref.fukushima.lg.jp
・このメールの再配信はご遠慮ください。

■□■ひとつ、ひとつ、実現するふくしま　編集・発行　福島県教育委員会■□■