[mailmaga]うつくしま教育通信 Vol.199

[教育庁教育総務課代表]

　《福島県教育委員会メールマガジン》

■■■　うつくしま教育通信Vol.199　2020.12.21　■■■
発行：福島県教育委員会　https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/edu/

★★目次★★
◇リレーエッセイ
　教育庁参事　上榁 治男（うえむろ はるお）
◇日々の思い
　2019年度文部科学大臣表彰 教育者表彰
　前喜多方市立第一小学校長　佐川 正人（さがわ まさと）
　高校教育課長　丹野 純一（たんの じゅんいち）
◇読者投稿欄「みんなの学舎」
◇学校自慢コーナー
　北塩原村立さくら小学校
　耶麻郡猪苗代町立吾妻中学校
　福島県立福島商業高等学校
◇こんにちは！各所館です　県北教育事務所
◇図書館アラカルト　　　　　
◇お知らせ
◇編集後記
　教育総務課長　高瀬 智美（たかせ ともみ）


◆リレーエッセイ◆

　「震災の記憶と教訓の継承」
　教育庁参事　上榁 治男（うえむろ はるお）

　早いもので12月も後半となり、令和2年も残りあと僅かとなった。振り返れば3月の新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴う臨時休業以降、マスク着用や3密を避けるなどの感染予防対策の徹底、児童生徒の学びの保障のためのオンライン学習の実施や夏季休業期間の短縮、学校行事の精選など、前例のないコロナ禍に対応した教育活動が求められた1年であった。児童生徒の安全・安心な教育活動の継続のため、学校現場で日々奮闘されている教職員の皆さんには頭の下がる思いであるが、ウィズ・コロナは現在も続いており、引き続き御尽力をお願いしたい。
　さて、10月半ばに、富岡町の東京電力廃炉資料館と双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館を訪れる機会があった。
　廃炉資料館は、旧エネルギー館を改修して整備された施設である。旧館は主に原発の安全性等をPRしていたもので、震災前に何度か訪れたことがあった。改修された廃炉資料館は、「原発事故の記憶と記録・反省と教訓」、「廃炉現場の姿」などにゾーン分けされ、展示品や大画面の映像を使いながら、原発事故発生の様子やその後の対応、廃炉作業の現状等が視覚的にも分かりやすく解説されていた。
　9月にオープンした伝承館は、複合災害の経験と教訓を未来に伝えるため、情報発信の拠点として県が整備し、福島イノベーション・コースト構想推進機構が指定管理者として施設の運営を担っている。なお、訪問当日には来館者が1万人を記録した。
　館内には、津波で折れ曲がった道路標識をはじめ百数十点の実物展示や関係者の証言映像、パネルや映像による解説、語り部による口演など、災害の発生から原発事故とその影響、復興の取組まで、来館者が複合災害を改めて見つめ直すことができる施設となっている。
　また、伝承館には、小高産業技術高校とふたば未来学園高校を今春卒業した2人が勤務しており、当日も窓口で元気に働く姿を見ることができた。
　両施設を訪れて、自身が小高で事務長をしていた震災当時、地震と津波で体育館に避難者が大勢集まり対応に追われたことや、原発事故により避難指示が出た際の緊迫した状況、その後のサテライト校や仮設校舎での教育活動などが改めて思い起こされた。
　震災と原発事故から間もなく10年の節目を迎えるが、本県の復興・創生はまだまだ途上である。複合災害の記憶と教訓を次の世代に正しく継承していくためにも、学校現場では、両施設も活用しながら震災教育に積極的に取り組んでいただきたい。


◆日々の思い◆

　「教育界における数値データ」
　　2019年度文部科学大臣表彰 教育者表彰
　　前喜多方市立第一小学校長　佐川 正人（さがわ まさと）（現喜多方市立堂島小学校長）

　昨年度の地区別校長会のパネルディスカッションで、教育界の3Kという話を伺った。3Kとは、「経験、勘、気合い」のことだそうだ。パネリストは、教育界もデータに基づいた実践が求められると主張されていた。学力テストや知能検査、スポーツテスト等、子どもの実態は数値データで示される。しかし、教育実践は数値にはなじまないとして、あえて数字で示されない面もあるように思う。確かに自分の実践を振り返ってみると、学級経営等は殆どが3Kであったかもしれない。故に、私はQ-U(questionnaire-utilities)テストを初めて知った時、学級経営の状況を数値で可視化できることに大変驚かされた。
　あるTV番組で、伊勢神宮周辺の食堂が、データ分析を採用することにより、見事に売上げを伸ばしたという報道をしていた。以前は、店の前のメニュー看板の位置を勘や雰囲気で決めていたそうだ。しかし、看板の位置とお客の入店数の相関についてデータを測定していったら、ある法則が見いだせたというのだ。雨の日ならお肉系のメニュー看板、晴れの日なら海鮮系のメニュー看板で客足が伸びるという具合だ。
　さらには、人数やグループの種類、年代及び住んでいる地域等の情報やどのお客がどのメニューを注文したかのデータも入力する。加えて、天気、周囲のイベント、HPへのアクセス数等までを総合的にAIが分析し来客数を予測する。するとなんとその予測的中率は97％であるという。1年先まで1日の来客数を予測することが可能となったそうだ。そのため、それまで食材の発注量は、ベテランスタッフの勘と経験で決めて、食品ロスが沢山出ていたそうだが、今は無駄な食材ロスを8割カットすることに成功したという。企業では、ビッグデータの活用により、新しい発見ができ、抱えている課題の解決と業務運営の効率化が期待されることから、データをどう活用するかが鍵であるという。
　これが、教育界においてはどうであろうか。3Kの話から、今からざっと40年前私が新採用教員として赴任した西郷第一中学校の部活動のことを思い出した。そこでは軟式テニス部が、全国大会で男女で団体、個人合わせて7つの優勝を果たしていた。その部活動の顧問に任命されたが、実質率いていたのは、村の社会教育指導員の先生であった。先生は西郷第一中学校を退職され、そのまま前述の肩書きで指導を継続されていた。先生の指導からは様々なことを学ばせていただいたが、その一つがデータを大切にすることであった。
　先生の練習は、試合形式が主で、一日に何試合もさせる。そして、その試合でどの位どんな方法でポイントをあげたのか、逆に失点したのかを集計し、最後にその日の出来具合を1つの数字で表せる方法を確立されていた。その数字を「得点率」と呼んでいた。この得点率を高めることが子ども達にとって大きな意欲付けになっていた。またこの毎日毎日の「得点率」のデータを蓄積していくと様々なことが見えてくるとのことであった。例えば、得点率が55％を超えると県大会は優勝できる。70％を超えると全国大会で優勝できるとのことであった。その的中率はほぼ100％に近いとのことであった。
  今改めて考えると40年も前に、多くの要素が絡まり合い複雑な軟式テニスの試合を、その出来具合から1つの数値で表すことができたことは、すごいことであると思う。数値で表せると、なんとなくうまいなと3Kで認識していたことが、俄然客観的な説得力を増す。
  教育界においても、全てとは言わずとも、もう少し教育成果を数値データに置き換え、今まで3Kで行ってきたことを、確かなエビデンスに基づいた実践に変えていかなければならないと改めて思う。

　※佐川先生は、2019年度教育者表彰（文部科学大臣表彰）を受賞されました。


　「学ぶことは変わること」
　高校教育課長　丹野 純一（たんの じゅんいち）

　世界の見え方が、がらっと変わってしまうような学びってあると思うんです。皆さんにもそんな経験があるのではないでしょうか。例えば、長い長い物語を時を忘れて夢中で読み終えた時や、難解な哲学書をなんとか読み通したとき。登場人物と共にその世界にどっぷりと浸かり物語の世界を生きる経験や、深くて暗い思索の森を哲学者と共にさまよう経験は、私たちの世界の見え方や感じ方、時には生き方をも揺さぶり、自分の体の組成まで変わってしまうような体験をもたらすときがあります。そのとき、私たちは「自由」を感じます。不思議なことに、世界の見え方が変わってしまうような学びは、自由をもたらすのです。
　それは、現在の或いはそれまでの自分の見える世界、考え方やものの見方、役割、常識、そうしたいろんな事から引き離され、違った視点から今ある世界とは異なる世界を目にするからかもしれません。大切なのは、物語の世界や思索の森を自分の足で歩き、さまようことです。物語を自分で生きたり、概念を自分の経験と結びつけ現実に当てはめたりする。そうした道のりを抜きに、いくら結末だけ読んでも何も変わりません。登場人物や哲学者との対話を通して、自分との対話を通して、はじめて見えてくるものがあるのではないでしょうか。
　「学んだことのたったひとつの証（あかし）は、変わることだ」。これは、かつて宮城教育大学の学長をつとめられた林竹二先生の言葉です。哲学者の千葉雅也は「勉強は変身することだ」と『勉強の哲学』で喝破しました。どこか精神の飛躍と身体性とがつながるこうした言葉を、実感を持って理解するような学びを達成できたなら、それはどんなに素晴らしいことでしょうか。
　それは、ある意味でとても人間らしい学びの姿です。対話的で、深い学び。ギリシア時代から綿々と受け継がれてきた人間の学びです。Society5.0創造社会が到来し、ICTが進化、AIと共に生きる時代を迎えようとしている中にあって、そうした学びこそ、ますます大切になるのではないでしょうか。
　そうした学びは、どのように成り立つのでしょうか。それは、その人自身が学びの「主体」となって、本や自然なども含めた多様な他者との「対話」を通して、概念的な学びなどの『深い学び』を実現していく過程そのものだと思います。「探究」と言ってもいいかもしれません。
　そのような学びが成り立つような「授業の創造」に取り組んでいくことは、私にとって永遠の課題です。


◆みんなの学舎◆
　今回は、令和元年度 ふくしまを十七字で奏でよう絆ふれあい支援事業 優秀賞作品をご紹介します。
　※学校名、学年は、受賞時（令和元年度）のものです。

【絆部門】
父とぼく 同じねぞうに 母笑う　　古殿町立古殿小学校5年 根本絆（子）
イビキまで 似てると言われ 照れわらい　　根本勝広（父）

【復興部門】
キックオフ Jヴィレッジ 再始動　　猪苗代町立吾妻小学校4年 小野寺悠（子）
待ちわびた 我が子が駆ける 初ピッチ　　小野寺淳（母）

【ふくしま応援部門】
ふくしま県 復旧するの がんばって　　東京都足立区立西伊興小学校6年 小栁海人（児童）
ふくしまの 復旧たすける みんなだよ　　東京都足立区立西伊興小学校6年 牧野寿志（児童）

○読者投稿欄「みんなの学舎」では、皆様からの原稿を募集しています。
　学校であった心温まる出来事やちょっといい話、心に残る先生のエピソード、子どもたちの作文でもかまいません。
　詳しくは、福島県教育委員会のWebサイト（メールマガジン、みんなの学舎）をご覧ください。
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/268846.pdf


◆学校自慢コーナー◆
　このコーナーでは、各学校の特色ある取組をご紹介しています。詳しい内容を県教育委員会Webサイトに掲載していますので、ご覧ください。

○「さくらから元気な風を送ろう」
　　北塩原村立さくら小学校
　本校の一番の自慢は、子ども達の「素直さ」です。教師や友だちの助言を素直に聞き入れ、できるようになろうとがんばる気持ちは、学力や体力において成果としても表れています。この素直さは、学校での取組のみならず、地域の力、家庭の力があってこそのもの。学校・家庭・地域が手を携え、一体となって素直な子ども達の成長を支えています。

・北塩原村立さくら小学校の学校自慢Webサイト
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/70012a/s-aizul.html
・北塩原村立さくら小学校のWebサイト
→ https://kitashiobara.fcs.ed.jp/%E3%81%95%E3%81%8F%E3%82%89%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E6%A0%A1

○「【チーム吾妻】41年目に挑む　行きたい、行かせたい魅力ある学校づくり」
　　耶麻郡猪苗代町立吾妻中学校
　本校は、猪苗代町北部、悠然とそびえ立つ磐梯山の東の麓に建つ全校生28名の小規模校です。令和4年度には統合を控えています。素直で控えめでありながら、自分の可能性を信じ何事にもストイックに挑戦する生徒ばかりです。職員もその姿勢に負けない、生徒と職員が融合した素晴らしい学校です。

・耶麻郡猪苗代町立吾妻中学校の学校自慢Webサイト
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/70012a/t-aizul.html
・耶麻郡猪苗代町立吾妻中学校のWebサイト
→ https://www.town.inawashiro.fukushima.jp/cb/schoolhp/c-azuma/

○「連続テレビ小説『エール』の効果は無限大 福島三羽ガラスが来校」
　　県立福島商業高等学校
　本校の卒業生であり、福島市名誉市民第1号の古関裕而さんをモデルとしたNHK連続テレビ小説「エール」が放映されました。撮影終了後「福島三羽ガラス」として窪田正孝さん、山崎育三郎さん、中村蒼さんの3名が福島市を訪問しました。この機会を逃すまいと福商生のためにエールを贈る「サプライズ企画」が実現しました。

・県立福島商業高等学校の学校自慢Webサイト
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/70012a/k-kenpokul.html
・県立福島商業高等学校のWebサイト
→ https://fukushima-ch.fcs.ed.jp/

○「学校自慢コーナー」では、県内の公立小・中・高・特別支援学校の学校自慢を募集しています。詳しくは、Webサイトをご覧ください。
「学校自慢コーナー」
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/edu/appeall.html
「学校自慢コーナー応募の流れ」
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/310322.pdf
　教育総務課　電話024-521-7759
 

◆こんにちは！各所館です◆
　このコーナーでは、県教育委員会が所管する各教育事務所及び各センターの取組をご紹介しています。

◎『県北教育事務所』編
　県北教育事務所は、平成30年度から令和2年度まで、「夢をかなえる県北の教育」を基本理念として、子どもたち一人一人の夢の実現に向けて、「目標達成のために努力し工夫できる子ども」の育成を目標に、教育行政に取り組んでいます。

＜学校教育課の取組＞
　これまでの取組については、県北地区の教育委員会や先生方と教育事務所をつなぐ架け橋として、「令和2年度【県北版】学校教育の指導の重点」「【参考資料】主体的・対話的で深い学びの実現へ向けて」を作成しました。また、「【特別支援教育参考資料】子どもたちの未来へつなぐヒント集～切れ目のない支援を目指して～」を作成し、ユニバーサルデザインによる支援などについて紹介しています。
　本年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、各種研修会の中止や規模を縮小しての開催を余儀なくされました。そこで、「令和2年度【県北版】学校教育の指導の重点」の内容をピックアップし、「県北教育事務所オンライン講座」をWebサイトに開設しました。各教科等の「見方・考え方」を働かせた授業の展開例をスライド数枚に集約し、5分程度で紹介しています。
オンライン講座「国語編」https://youtu.be/HvKjGDU6A2I
オンライン講座「算数編」https://youtu.be/tGVXU9gSi-0
オンライン講座「社会編」https://youtu.be/S5p2OgXs9Cc
オンライン講座「理科編」https://youtu.be/pfIhX8luAKY
オンライン講座「外国語編」https://youtu.be/66RlkWmSfu8
オンライン講座「道徳編」https://youtu.be/VPZyekU-cvE
オンライン講座「特別活動編」https://youtu.be/yv8awqU8Zqg
オンライン講座「特別支援教育編」https://youtu.be/DtmXjY6cq54
　県北教育事務所WebサイトにQRコード一覧を掲載していますので、そちらも御活用ください。
　今後も、県北地区の先生方の学級・授業づくりを応援するために、研修の機会を提供できるように取り組んでまいります。

「【県北版】学校教育指導の重点」
　予測困難な時代において、様々な変化に積極的に向き合い、他者と協働して課題を解決していく力が求められています。また、先生方からは「どうすれば子どもの考えを引き出して、つなぎ広げて、深い学びを創ることができるか」「どうすれば振り返りの時間を確保して、学びの手応えを味わわせることができるか」という声が聞かれます。それに応えるために、子どもの「見方・考え方」を働かせた授業の展開例を示しています。
　「見方・考え方」を働かせるとは、「どのような視点で物事を捉え、どのような考え方で思考していくか」という、その教科ならではの物事を捉える視点や考え方のことです。また、「各教科等を学ぶ本質的な意義の中核をなすもの」であり「教科等の学習と社会をつなぐもの」です。すなわち、児童生徒が学習や人生において「見方・考え方」を自在に働かせることができるように、「何に着目させるか（視点）」「どんなことが考えられるか（思考）」を明確にするための発問や問い返しなどを行って、「深い学び」を実現することが大切です。
　子どもがもつ着眼点や発想を大切にするとともに、「見方・考え方」を働かせながら、互いの考えよさを認め合う授業づくりにお役立てください。

「【参考資料】主体的・対話的で深い学びの実現に向けて」
　小・中学校においては、すでに「授業スタンダード」を活かした授業改善が推進されているところですが、県北教育事務所では、授業改善の視点をより明確化・具体化していくために、「授業スタンダード」に基づき授業づくりの視点を5つに整理しています。そして、授業の在り方や授業における支援の仕方などについて具体的に示すことができるよう参考資料を作成しています。
　その中でも特に、「教材との出合わせ方」「問いが解決される課題設定」「教師のコーディネート」「課題解決の見通しと思考過程の振り返り」「めあてとまとめの整合性」などが授業改善のために欠かせないことが、研究を進めていく中で明らかになってきています。
　日々の授業の準備や実践、校内研修の機会などの授業づくりや、家庭学習の充実に向けた取組のための資料として、これからも活用していただければと思います。

【特別支援教育　2020年度版参考資料】
「子どもたちの未来へつなぐヒント集　～切れ目のない支援を目指して～」
　この資料は、特別な支援を必要とする子どもたちへの指導、支援を行う際に、手がかりとなる資料、Webページなどをまとめたものです。内容は以下のとおりです。
1 ユニバーサルデザインによる授業づくりと、学びの困難さに応じた指導の工夫
2 [Web]福島県特別支援教育センター「コーディネートハンドブック」の紹介　
※特別支援教育に関する「すぐに使える情報」「具体的な実践例」が満載！
3 [Web]独立行政法人 特別支援教育総合研究所「インクルーシブ教育システム構築支援データベース（インクルDB）」の紹介
※「合理的配慮」の実践事例が400事例掲載！
4 特別な支援を必要とする児童に関する進学時の引継ぎについて（例）
※支援を必要とする児童の中学校への進学時の引継ぎの例を示しました。
5 見えにくさ、聞こえにくさ、特別支援教育に関する相談や支援要請先の紹介
※全ての子どものよさや可能性を最大限に引き出す教育の実現のために、お役立てください。

＜総務社会教育課の取組＞
【ふくしまを十七字で奏でよう絆ふれあい支援事業】
　福島県では、子どもの豊かな心を育成するとともに、人と人との絆を深め、家庭や地域の教育力向上のために、平成14年から「ふくしまを十七字で奏でよう絆ふれあい支援事業」に取り組んでいます。
　本事業では、家庭生活や自然・社会体験活動などの共通体験、または震災体験を通してお互いが感じたことを作品にすることで、「子どもの豊かな体験活動を大事にすること」「学校・家庭・地域みんなで子どもたちを育てる体制づくりを推進すること」に力を入れています。
　今年度、県全体では39,104組、県北地区では3,625組の応募がありました。
　・県北地区応募作品数3,625組（絆部門3,059組、復興部門566組）
　（幼稚園等51組、小学校2,701組、中学校815組、高校その他58組）
　これらの作品のうち、県北地区では県入賞作品として最優秀賞1組（復興部門）、優秀賞2組（絆部門、復興部門各1組）、佳作2組（絆部門、復興部門各1組）が受賞しました。
《入賞作品》
・十年後 笑顔で食べる 桃りんご（子：中学1年生女子）
・安心と おいしさ伝え 子と食べる（母）〔復興部門 最優秀賞〕

・父さんの おなかが私の まくらです（子：小学1年生女子）
・幸せは 寝ている隣の 子の寝顔（父）〔絆部門 優秀賞〕

・ゆめ見ばし 歩いて高く ゆめつづく（子：小学2年生女子）
・相馬まで 続くよ架け橋 夢見橋（母）〔復興部門 優秀賞〕

・ぬい糸で 母のまねする 玉結び（子：小学5年生女子）
・ぼたん付け 母の裁縫 思い出す（母）〔絆部門 佳作〕

・福島の あの笑顔を 取り戻そう（子：小学5年生女子）
・じい様が 負げでらんにと 苗を植え（父）〔復興部門 佳作〕

　今年度もたくさんの皆様に応募していただき、感謝申し上げます。特に今年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、臨時休業や夏休み期間の短縮など、子どもたちが昨年度までとは違った日常を過ごすこととなりました。そのような状況下ではありましたが、応募いただいた作品からは、子どもたちが家族や友達との温かい心のやりとりを通して豊かな心を育んでいることが伝わってきました。ご家族の方にとっても「十七字」で交わした言葉を通してお子さんとのコミュニケーションを図ることができたのではないでしょうか。
《参加者の声》
〔絆部門〕
・普段仕事で忙しく、なかなかゆっくり関わることができないので、一緒に俳句を楽しんで考えるこの機会が、とてもありがたいなと思っています。（母）
・地域への帰属意識が希薄になっている今、この企画はすばらしいものです。（祖父）
・子どもが体験したことを家庭で話すことで、子どもが主体的になり、豊かな心を育むきっかけになりました。親にとっても良いきっかけになりました。ありがとうございました。（母）
・昨年も参加しました。子どもとの日常を振り返る良い機会にもなり、とても大好きな事業です。（父）
・親子で俳句に触れるきっかけになり、十七字の中で、言葉でどのように表現したら思いが伝わるか考えながら楽しむことができました。（母）
・久しぶりに鉛筆を持ち、相手を思いながら書く時間をもらえて嬉しかったです。ありがとうございました。（父）
・母と一緒に俳句を作り、俳句を考える楽しさが分かりました。（小学6年生男子）
・作品を作るときはどんな内容がいいか迷いましたが、娘が私への思いを伝えてきてくれました。そんな娘に対する正直な私の気持ちを言葉に表すことができ、思い出となりました。（母）
・夏の思い出を十七字の中に閉じ込めて、大切な宝物にしています。とても楽しみな企画です。長く続けられると良いなと思っています。（母）
・絆というものを見つけられた気がしました。（中学3年生男子）
・お母さんとお父さんに改めて感謝しました。（中学1年生女子）
・成長した子どもとのふれあいが少なくなっていく中、一緒に取り組んで話し合いをすることがとても大事だと感じています。（母）
〔復興部門〕
・親子で過ごす時間が多かった今年、いろいろな思いの中で子育てをした11年間を振り返りました。この支援事業を通して、地元愛を再確認しました。（母）
・親子で福島を見つめ直す機会になったので、参加して良かったです。（母）
・被災地をいち早く住みやすい環境にして、町として栄えてほしいと改めて心から思いました。（中学2年生男子）
・日本が世界にほこれるすばらしい文学である俳句で、福島についてよむことができて、とてもいい経験になりました。（中学2年生男子）

　同じ時間を共有して感じたことや願い、相手に伝えたい想いを十七字に表現する活動が、子どもたちの心を豊かに育むとともに、子どもたちの自己肯定感の育成にも寄与していると実感しています。
　今後も、「十七字のふれあい」を通して子どもたちの健全育成と家庭教育の充実を図って参ります。次年度も本事業へ多くの参加をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

詳しくは、県北教育事務所Webサイトをご覧ください。
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/70110a/


◆図書館アラカルト◆
　令和3年から、福島県立図書館の図書館システムを変更し、Webサイトもリニューアルします。
　それに伴う各種サービスの取り扱いを以下のとおりとします。ご理解のほど、よろしくお願いします。

〇年末年始、システム更新、エレベーター工事のため休館
　令和2年12月28日（月曜日）～令和3年1月7日（木曜日）
※期間中に寄せられた貸出・調査依頼は、1月8日（金曜日）以降に対応します。
・休館に伴い、貸出期間を変更します。
・資料宅配サービスの発送を停止します。（令和2年12月27日（日曜日）～令和3年1月6日（水曜日））
・受取館指定サービスの発送を停止します。（令和2年12月15日（火曜日）昼12時～令和3年1月5日（火曜日）昼12時までの申込み受付分は令和3年1月7日（木曜日）の発送になります。）

〇Webサービスの休止
　休止期間：令和2年12月28日（月曜日）午前～令和3年1月5日（火曜日）午前
　休止期間中は、図書館Webサイトの閲覧、蔵書検索、予約などのサービスが利用できません。
※休止期間は、切り替え作業の進歩状況により変更となる場合があります。

〇図書館WebサイトのURLの変更　※令和3年1月5日（火曜日）午前(予定)
　ブックマークをされている方などはURLの変更をお願いします。
新URL：https://www.library.fcs.ed.jp/

〇現在ご利用中のネットサービス「マイブックリスト及び資料へのコメントについて」
　検索画面からログインするとご利用いただける「マイブックリスト」機能について、リスト及び資料に「コメント」を記入いただいている場合、新しいWebサイトでは表示できなくなります。

<おすすめの1冊>
「すかがわ人」安藤清美／著　福島民報社　2020
　福島県には、様々な功績を残した偉人が数多くいます。本著は、その中でも須賀川にゆかりのある人物について書かれた偉人評伝です。須賀川市立博物館の元館長・安藤清美さんによって、七名の偉人の生涯が、数々の写真とともにまとめられています。東京五輪銅メダリストの円谷幸吉、特撮で名高い円谷英二を始め、数々の分野で活躍した著名人を一度に学べるこの一冊、ぜひお手にとってみてはいかがでしょうか。

・県立図書館　電話024-535-3220
→ https://www.library.fks.ed.jp/


◆お知らせ◆
　早いもので、2020年も残すところわずかとなりました。体調管理に留意しながら、新年を迎えたいものです。
　今年も「うつくしま教育通信」をご愛読いただきありがとうございました。
　さて、ここからはお知らせのコーナーです。


〇【県立博物館】令和2年度冬の企画展「震災遺産を考える～次の10年へつなぐために」
会期　令和3年1月16日（土曜日）～3月21日（日曜日）
開館時間　午前9時30分～午後5時（入場は午後4時30分まで）
休館日　毎週月曜日、2月12日（金曜日）、2月24日（水曜日）
観覧料　一般・大学生500円（20名以上の団体400円）、高校生以下無料
内容
　東日本大震災の発生から10年がたちます。
　「震災遺産を考える」をテーマとして、毎年特集展を開催してきました。こうした積み重ねから、今回は初めて企画展を開催します。震災遺産収集の背景や、収集にたずさわった学芸員の思いなど、新たな視点を加えた展示です。本展を通して、これからの10年を一緒に考えてみませんか。
　東日本大震災から、私たちは何を受け取るべきなのか。当館が過去5回の特集展のタイトルを「震災遺産を考える」としてきたのには理由があります。私たち博物館も手探り状態で考え続けてきました。簡単に答えが出ない問題だからこそ、この場をつくりこれからの10年も皆さんと一緒に考え続けたいと思っています。
※新型コロナウイルス感染症の状況により予定が変更になる場合があります。
※ご来館の際は感染症対策にご協力ください。体調に不安がある場合はご来館をご遠慮ください。なお、混雑時には入場を制限する場合があります。
・県立博物館
→ https://general-museum.fcs.ed.jp/


□■□編集後記□■□

　「密」が「今年の漢字」（公益財団法人 日本漢字能力検定協会発表）に選ばれたというニュースを見ました。3「密」が提唱されたこと、オンライン等によって物理的距離があるなかでも「密」に人との関わりを持つことができると感じた人も多かったこと等が理由として挙げられていました。2020年は多くの人にとって新型コロナウイルス一色の年だったのだと思います。教育現場の皆様には日々奮闘いただきましたし、年末年始も医療現場等の最前線で対応してくださっている方々もおり、深く感謝と敬意を感じます。一方で、人との関わり方について改めて考えさせられたと私も思います。
　検討中の第7次福島県総合教育計画に対して高校生から意見を提案してもらうワークショップはオンラインで実施することとしましたが、はま、なか、あいづの12名の高校生が放課後に気軽に集まって議論しています。双葉郡が実施しているふるさと創造学サミットは一部をYouTube配信したことで、県外からも見たいと言ってくださった方がいました。
　ふと、ある教育関係者の講演を思い出しました。今の日本には当事者意識を失っている人が大人にも子どもにもたくさんいる、人は与えられることに慣れ、手をかければかけるほど自律できなくなり、うまくいかないことを誰かのせいにするようになる、だからこそ自分で考え、判断、決定、行動することができるようにするための教育を実施していくという趣旨のお話でした。
　東日本大震災からの復興・創生の過程で福島県には当事者意識をもって行動する方々が大人にも子どもにもたくさんいました。社会全体が危機的な状況にある中で、福島県が行ってきた当事者意識を大切にする教育の意義は大きいと思います。そのような蓄積のある福島県だからこそ、こんな時期でも困難を克服して実施できることがあると思います。一方で、学校の臨時休業の際には、自主的に家庭学習をしたり、生活を律したりすることができる力の重要性をよく聞き、引き続き取り組むべき課題も浮き彫りになったように思います。2020年を振り返り、このような時期でもできること、このような時期だからこそやるべきことを、2021年も考えていきたいと思いました。
　今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
　
　教育総務課長　高瀬 智美（たかせ ともみ）


■このメールについて■

・お問い合わせは、福島県教育庁教育総務課へお願いします。
　電話024-521-7759
　メールアドレスk.ko...@pref.fukushima.lg.jp
・このメールの再配信はご遠慮ください。

■□■躍動！「チームふくしま」　編集・発行　福島県教育委員会■□■