うつくしま教育通信 Vol.220

[教育庁教育総務課代表]

　《福島県教育委員会メールマガジン》

■■■　うつくしま教育通信Vol.220　2022.9.20　■■■
発行：福島県教育委員会　https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/edu/

★★目次★★
◇リレーエッセイ
　県教育委員会委員　吉津 健三（きつ けんぞう）
◇日々の思い
　社会教育課長　渋川 卓也（しぶかわ たくや）
◇読者投稿欄「みんなの学舎」
◇学校自慢コーナー
　喜多方市立山都小学校
　会津若松市立北会津中学校
　福島県立ふくしま新世高等学校
◇こんにちは！各所館です　県中教育事務所
◇図書館アラカルト　　　　　
◇お知らせ
◇編集後記
　教育総務課長　堀家 健一（ほりいえ けんいち）


◆リレーエッセイ◆

　「いじめ防止出前授業」
　県教育委員会委員　吉津 健三（きつ けんぞう）

　私が所属している福島県弁護士会では、弁護士が県内の小中学校に出向き、いじめ防止の授業をしています。専ら若手弁護士が担当していますが、マンパワー不足から、私のような年寄りも授業に出向くことがあります。その場合、私は、若手弁護士とペアで小中学校に行くことになりますが、授業では、自己紹介の後、「今日は、郡山のお兄さん（お姉さん）弁護士と、私の2人で来ました。私が1組を担当し、お兄さん（お姉さん）弁護士は2組を担当します。くれぐれも、2組はお兄さん（お姉さん）弁護士で羨ましいなあ、1組は何でおじさん弁護士なんだよぉ、などと言わないでくださいね。いじめ防止の授業にきた先生がいじめられるという笑えない話になりますので。」などと言い、掴みはOKで授業をスタートしています。もっとも、あまり掴めずに、重苦しい空気になる場合も、まま、あります。
　さて、本題です。いじめ防止出前授業では、基本的人権の尊重、いじめが基本的人権を侵害するものであること、したがって、いじめは絶対にしてはいけないということを説明します。
　最初に、昔の日本や、（おそらく）現在も世界のどこかの国で、例えば、大人になったら親と同じ仕事しかできないとか、自由に移動（旅行）できないとか、当人だけの同意で好きな人と結婚することができないとか、様々な制約があったりするけれども、そんなことは想像しただけで嫌だよねという話をします。
　それに続けて、今の日本では、日本国憲法で、職業選択の自由、移動の自由、婚姻の自由等々の基本的人権が保障されていることを説明し、基本的人権の1つとして幸福追求権も保障されているという話につなげます。そして、幸福追求権には、他者から不当に虐げられることのない権利が含まれていること、いじめを受けることのない権利も幸福追求権により保障されていることを説明します。したがって、いじめをすることは幸福追求権という基本的人権を侵害することだと結論づけます。
　また、授業では、いじめの被害について、子どもたちに真剣味をもって聞いてもらうため、過去に実際におきた重大事態（自殺の問題）も取り上げます。なお、これは、学校側との事前調整でその問題に言及してよいと言われた場合だけにしています。さらに、近時のSNS上の誹謗中傷が重大事態を引き起こすケースがあることについて、1人1人の言葉は軽微なものであっても、それが積もり積もることで、重大事態を引き起こすことの怖さと、そのような誹謗中傷をした者の責任の重さについて説明します。そのことの例え話として、コップに一滴ずつ水が溜まっていくと、最後は、その水があふれ出すということを、黒板に蛇口とコップの絵を書いて説明しています。
　これは、マニュアルにある説明ですが、コップが満杯になっても、最後の一滴でコップの中の「全ての」水がこぼれる（重大事態になる）ということはないので（一滴ずつこぼれるだけ）、私は、別の事例での説明もしています。それは、馬の背中に1人1本の藁を次々に載せていくというもので、1本、2本、3本・・・100本載せても馬は平気でいられるが、藁を馬の背中に載せ続けていけば、いずれ、馬はぺちゃんこに押し潰されるという話です。最初の1本の藁を載せることも、馬がぺちゃんこになる最後の1本の藁を載せることも、行為としては全く同じで、最初の1本を載せた人も最後の1本を載せた人も馬がぺちゃんこになった責任は同じであると説明します。子どもたちは、皆、真剣に聞いてくれます。
　授業が終わった後、子どもたちには授業の感想を書いてもらっています。リップサービスかもしれませんが、授業は、概ね、好評で、多くの子どもたちが「いじめは絶対にしてはいけないということが良く分かった」という記載をしてくれます。
　今後も、福島県弁護士会では、いじめ防止出前授業を続けていく予定ですが、多くの申込みがあり、全てには対応しきれていません。その点は、悪しからず、ご了承ください。
　最後に、（いろいろな想いを込めて）この授業は福島県弁護士会の公益的活動の一環として全て無償で行われていることを（小声で）申し上げておきます。


◆日々の思い◆

　「雑感2」
　社会教育課長　渋川 卓也（しぶかわ たくや）

　親愛なる子どもたちへ
　年老いた私が、ある日、今までの私と違っていたとしても、どうかそのままの私のことを理解して欲しい。
　私が服の上に食べ物をこぼしても靴ひもを結び忘れてもあなたに昔いろんなことを教えたように見守って欲しい。あなたに話すとき、同じ話を何度も何度も繰り返しても、その結末がどうか、さえぎらずにうなずいて欲しい。あなたにせがまれて繰り返し読んだ絵本の、あたたかな結末は、いつも同じでも私の心を平和にしてくれたから。悲しいことではないんだよ。消え去ってゆくように見える私の心へと、励ましの眼差しを向けて欲しい。楽しいひとときに、私が思わず下着を濡らしてしまったり、私がお風呂に入るのを嫌がるときには、思い出して欲しい。あなたを追い回し、何度も着替えさせたり、さまざまな理由をつけて嫌がるあなたと、お風呂に入った、あの懐かしい日のことを。悲しいことではないんだよ。旅立ちの前の準備をしている私に、祝福の祈りを捧げて欲しい。
（衛藤信之「こころの羅針盤」より一部抜粋）

　先日、リビングのテーブルにあった雑誌を何気なく読んでいて、人生相談コーナーのページでふと目が止まった。日本メンタルヘルス協会代表で心理カウンセラーの衛藤信之さんの「こころの羅針盤」というコラム。そこには、年老いた親への接し方に悩む女性へのアドバイスが掲載されていました。先生は、冒頭で、ある年老いていく母親から子どもたちに宛てた手紙を紹介しながら、親の介護におけるポイントは、全ては「してあげている」という姿勢から「恩返しだ」という自主性に変えていくこと、「聴く」というプレゼントで優しさを届けられること、親子であっても別の存在だから「離別感」を持つこと、などが大切であると指南しています。82歳になる母にその兆候の片鱗を感じていた自分にも、大きなアドバイスとなりました。
　このコラムを読み終えた時、親のことをしっかりと考えて生活を組み立てていかなければいけない時期になってきたんだなと思うと同時に、「してあげる」と「恩返し」という捉え方はとても大切な考え方だなと感じました。自分の教員生活を振り返った時、もしかしたら、「〜してあげる」という考え中心になりがちではなかったか、今の自分は、様々な人との出会いによって様々な影響を受けた結果の集大成であり、今こそ、その時々の恩に感謝し、返すつもりで毎日を過ごすべきではないか、と思いました。
　担任のイロハを教えてくれたのは、「タバコとお酒は必修科目、バイクと彼女は課外授業」と豪語するヤンチャな生徒たち。授業のイロハを教えてくれたのも、教師の面前で「英語なんかこの世から無くなればいいのに・・・。」と呪文のように叫ぶ勉強嫌いの生徒たち。保護者との両輪の在り方を教えてくれたのは、飲むにつれ、渋川先生、渋川さん、渋川くん、最後は渋川っ！と語尾変化する素敵な保護者の方々でしたし、翻弄される毎日を支えてくれたのは、「教員は授業にしろ、生徒指導にしろ、いろいろなケースに対応できなきゃいけない、いろんな引き出しを持っていなきゃいけないぞ。それではじめて教育のプロと言われるんだ。プロだからこそ、税金から給料としてもらえるということを忘れちゃいけない。おまえは今、いくつ引き出しを持ってる？」と有難いご指導を、夜の部まで延々としてくださる先生方でした。
　一期一会の通り、出会いは人の人生を豊かにしてくれるものだと思います。今までの、そしてこれからの出会いに感謝しながら、機会に感謝しながら、業務に当たっていきたいと思います。


◆みんなの学舎◆
○令和3年度道徳教育総合支援事業「モラル・エッセイ」コンテスト中学生の部 優秀賞の作品をご紹介します。
　※学校名、学年は、受賞時（令和3年度）のものです。

　「ランドセルに思いを乗せて」
　いわき市立小名浜第二中学校1年 小泉 つばさ

　「使っていないランドセルを、宝物にしてくれる子がいる。」
　今年の七月に、妹のランドセルを見に、ショッピングモールへ行きました。そこで見たパンフレットの裏に書かれていた言葉です。その言葉に興味をもち、帰った後、インターネットで調べてみました。
　それは、役割を終えたランドセルをアフガニスタンの子供達へ寄付する国際支援活動でした。ランドセルを受けとることで学校教育を受ける機会が生まれ、読み書きができるようになり、アフガニスタンの子供達の人生に大きなチャンスを与えているというのです。
　それを知った私は、
「私のランドセルをもう一度誰かの下で役に立てるなんてすごい！」
と思いましたが、小学校入学前に祖父母に買ってもらったお気に入りのランドセルだったので祖母にも相談してみることにしました。すると、祖母から
「物は使われてこそ生きるのだよ。ランドセルも第二の人生を送れるなんて幸せなことだと思うわ」
と言われました。
　私と一緒に六年間毎日一緒に学校に通ったランドセル。茶色にピンクの刺繍が入ったとてもかわいいランドセルですが、思い出は私の心にずっと残っています。
　そんなランドセルがアフガニスタンの子と共にまた学校へ通うのかと想像するととてもわくわくします。ランドセルを手放す前にきれいに拭いてお礼を言って段ボールへ入れました。
　アフガニスタンにいる子とまた毎日楽しく学校へ行ってくれることを祈っています。そして、教育を受ける機会がみんな平等になれる世界になるよう心から祈っています。


○令和3年度 ふくしまを十七字で奏でよう絆ふれあい支援事業 最優秀賞作品をご紹介します。
　※学校名、学年は、受賞時（令和3年度）のものです。　
【絆部門】
無観客 それでも私の 晴れ舞台　　いわき市立磐崎中学校3年 松本知里（子）
頑張れと モニター見つめ 息をのむ　　松本友希子（母）

【ふるさと部門】
とりもどす 自然の光 ホタルの灯　　飯舘村立いいたて希望の里学園6年 小林桃（子）
復興の 稲穂がゆれる 田園に　　小林智美（母）

○読者投稿欄「みんなの学舎」では、皆様からの原稿を募集しています。
　学校であった心温まる出来事やちょっといい話、心に残る先生のエピソード、子どもたちの作文でもかまいません。
　詳しくは、福島県教育委員会のWebサイト（メールマガジン、みんなの学舎）をご覧ください。
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/268846.pdf


◆学校自慢コーナー◆
　このコーナーでは、各学校の特色ある取組をご紹介しています。詳しい内容を県教育委員会Webサイトに掲載していますので、ご覧ください。

○「【教育目標】互いに高め合い、未来を切り拓く子ども」
　　喜多方市立山都小学校
　本校は、同地区の小学校との統合後、13年目を迎えました。自然豊かで地域との強いつながりの中、確かな学力を身に付け、思いやりがあり、心身共にたくましい児童の育成を図っています。

・喜多方市立山都小学校の学校自慢Webサイト
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/70012a/s-aizul.html
・喜多方市立山都小学校のWebサイト
→ https://kitakata.fcs.ed.jp/%E5%B1%B1%E9%83%BD%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E6%A0%A1

○「咲かせようMVPの木～生徒のよさを認め伸ばす教育～」
　　会津若松市立北会津中学校
　本校では、生徒が主体的に参加する学校行事を通して、互いのよさを認め合いながら学級の絆を深めています。各学級では生徒のよさを称賛し、MVPの木に「さくらの花」を咲かせて掲示する運動を行ったり、生徒会が中心となって「いじめ0（ゼロ）宣言」運動を進めたりしながら、生徒全員が楽しい学校生活づくりに参画しています。また、部活動における地域移行を進め、学校と地域が連携して生徒の個性を伸ばす取組を行いながら、生徒の夢が叶う、満足度と質の高い学校づくりを目指しています。

・会津若松市立北会津中学校の学校自慢Webサイト
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/70012a/t-aizul.html
・会津若松市立北会津中学校のWebサイト
→ https://aizuwakamatsu.mylocal.jp/schoolInformation?articleId=619f77cdcf772b59e8a2f252&orgId=111440

○「きみの選択が未来を変える」
　　福島県立ふくしま新世高等学校
　本校は、令和4年4月、保原高校定時制課程と福島中央高校が統合し開校しました。
　本校では、従来の夜間部に加え、県内初となる「夕間部」を開設し、自分の生活スタイルに合わせて、「学ぶ時間帯」を選択できるようになりました。また、四年間かけてゆっくりと着実に学ぶことを基本としつつ、より多様な科目を学び三年間での卒業を目指す「三修制」を推進し、自分の学び方や目標に合わせて「学ぶ期間」を選択することができます。今回は、夕・夜間部の概要と、三修制の取組をご紹介します。

・福島県立ふくしま新世高等学校の学校自慢Webサイト
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/70012a/k-kenpokul.html
・福島県立ふくしま新世高等学校のWebサイト
→ https://fukushimashinsei-h.fcs.ed.jp/

○「学校自慢コーナー」では、県内の公立小・中・高・特別支援学校の学校自慢を募集しています。詳しくは、Webサイトをご覧ください。
「学校自慢コーナー」
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/edu/appeall.html
「学校自慢コーナー応募の流れ」
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/310322.pdf
　教育総務課　電話024-521-7759
 

◆こんにちは！各所館です◆
　このコーナーでは、県教育委員会が所管する各教育事務所及び各センターの取組をご紹介します。

◎『県中教育事務所』編
　県中教育事務所では、「子どもの『ゆめ』保護者の『願い』がかなう教育の推進」を組織目標として掲げています。その目標の実現に向けて、総務社会教育課、学校教育課が一丸となって各市町村教育委員会や各学校と連携しながら諸施策を推進しています。
　今回は、学校教育課指導担当と総務社会教育課社会教育担当の取組を紹介します。

《学校教育課指導担当より》
　学校教育課では、第七次福島県総合教育計画を受け、「学びの変革」の推進に向けて、「学校教育指導の重点」を作成しています。指導の重点は、「きずな」「まなび」「そだち」「つなぐ」「ともに」の5つで構成し、県中域内の学校教育の充実に向けて支援しています。
　今回は、「算数・数学科における学力向上のための市町村教育委員会支援」の取組について紹介します。
　県中教育事務所では、「市町村教育委員会への訪問・派遣並びに学校への直接指導の機会を計画的に設定し、児童生徒の学力向上の基盤となる教員の指導力の向上を図る。」ことを目的として、平成27年度より、算数・数学科における学力向上のための教育委員会支援を行っています。昨年度は、鏡石町・天栄村・古殿町・三春町の4町村、小中15校合わせて、延べ105回の訪問を行いました。今年度は、鏡石町・平田村・浅川町・古殿町の4町村、小中10校合わせて、延べ92回の訪問を予定しています。1学期終了段階で、延べ31回、84の授業を参観しました。

　今年度の全国学力学習状況調査の児童生徒質問紙や学校質問紙では次のことがわかりました。
○基本的生活習慣が身についている児童生徒が多く、生徒指導面で落ち着きがある。自分で計画的に家庭学習に取り組む児童生徒の割合も全国平均を上回っている。非認知能力の一部と考えられる規律性や挑戦心については全国と比較して高い。
○算数・数学の学力が全国平均を下回り、課題が見られる。児童生徒の自己肯定感等については、全国と比べると低い。
○主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善や、各種学力調査の分析結果を用いた教育指導の改善について、全国と比較して「よく行った」と回答した学校が少ない。

　そこで、日常の授業の充実に向けて、継続的に訪問を行い、複数回の授業参観を行うことで、「ふくしまの『授業スタンダード』」の活用の促進や授業者の困り感に寄り添いながら、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善のきっかけとなるように支援しています。先生方は、普段の授業よりも授業の流れなどを意識して実践していることが伝わってきます。授業参観後には、授業者と個別に授業の振り返りを行う時間を設定しています。授業の振り返りでは、授業中の子どもたちの学習の様子を中心に話し合い、授業改善の視点などを互いに共有しています。授業ごとに報告書を作成し、授業者以外の先生方にも支援の内容を回覧し、活用できるように管理職の先生にお願いしています。報告書を回覧することで、学校全体で授業改善に取り組むきっかけとなっているという感想をいただいています。報告書では、子どもたちの姿や授業内容などが、学習指導要領解説のどの部分と対応しているのかを明確化することにより、授業者が学習指導要領を読む足がかりとなるように心がけています。
　授業内容・指導方法について助言するだけでなく、どんな授業をつくっていきたいのかどんな子どもたちに育ってほしいのかを共有し、先生方自身のリフレクションを促せるような訪問を目指しています。これからも先生方と力を合わせ、子どもたちが笑顔になる授業づくりを手助けしていきたいと考えています。

《総務社会教育課社会教育担当より》
○公民館訪問
　総務社会教育課では、社会教育行政及び生涯学習振興を進める上で、公民館の持つ現状と課題について理解を深め、公民館の管理・運営及び事業等の具体的な問題を協議し、公民館における社会教育の充実や生涯学習の振興がなお一層図られるよう、3年に1度のローテーションで公民館訪問を実施しています。今年度は、県中域内5市町村21館の公民館を訪問します。
　現在14館の訪問を終え、各館で住民のニーズや地域の実態を把握し、創意工夫しながら充実した講座を展開している様子がたくさん見受けられました。館長を中心に職員の方々のアイディアを駆使し、地域の特色を生かした魅力ある講座が実施されています。協議の中で今後ますます大切にしてほしいこととして、学校との連携、地域人材の発掘や活用など地域に対する協働活動、未来を担う子どもたちを健やかに育むための子育て支援、人生100年時代を見据えての生きがいづくりやセカンドライフ構築を目指す高齢者学級、そして講座の足跡を生かした広報活動の充実、防災拠点の在り方などについてお話させていただいています。
　県中域内の各公民館は、地域課題の解決や地域学習者の支援、地域コミュニティづくりの中核となる大きな存在であり、地域住民の方々が「集い、学ぶ、むすぶ」場として重要な役割を果たし、豊かな活力ある地域社会の創造に努めています。本所としては、地域コミュニティの再生を図りながら、地域全体で学校教育や家庭教育を支援する体制の充実や公民館などを活用したより良い地域づくりへの支援を今後も推進します。

≪その他≫
　ホームページには、本所の諸施策の紹介やお知らせ等、随時更新していますので、ぜひ御覧ください。
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/70210a/


◆図書館アラカルト◆
○福島県立図書館で開催されている企画展示のお知らせです。
企画展　「福島イノベーション・コースト構想」展
期間　令和4年9月2日（金曜日）～10月5日（水曜日）
内容
　県立図書館内展示コーナーにおきまして、福島イノベーション・コースト構想推進機構による展示を行っております。東日本大震災からの復興の歩みや、浜通り地域の産業回復への道筋をご覧いただけます。福島を拠点として開発された最新技術を紹介するパネルや、学習用ロボット「あるくメカトロウィーゴ」なども展示中です。
　この機会に、ぜひお越しください。

<おすすめの1冊>
『こども哲学図鑑　考えるっておもしろい！』河野哲也／監修　NPO法人こども哲学・おとな哲学アーダコーダ／編著　あかね書房　2022
　哲学と聞くとどんなものを想像しますか？難しそう、分かりにくいなどのイメージを持つ人も多いかと思います。本書はそんな哲学を昨今の社会問題にからめ、分かりやすく説明しています。
　心とは何か、宇宙とは何かということを一度は考えたことがあるのではないでしょうか。哲学は、そういった問いに悩む中で生まれると言います。問題を解決することだけにとらわれず、悩むことで自分なりの哲学を見つけることができます。
　子どもだけでなく、大人が読んでも学べる一冊です。　

・県立図書館　電話024-535-3220
→ https://www.library.fcs.ed.jp


◆お知らせ◆
　「今どきの高校生は・・・」と言ったり、耳にしたことはありますか？「今どきの高校生は・・・」の言葉の後に、皆さんなら何を付け加えますか？
　去る9月10日に「ふくしま高校生社会貢献活動コンテスト」が開催されました。個人やグループで行ってきたボランティア、まちおこし、製品開発、防災など、活動の内容は多岐にわたりました。高校生が地に足をつけ、自ら課題を見つけ、解決策を考え、実行し、さらにはその活動をいかに次に繋げるかを提言。「障がいを抱える人や妊婦さんなどが速やかに避難するにはどうしたらいいか」など、しなやかな発想から出される提案が盛りだくさんでした。高校生の「自ら動く」行動力。「指示待ち」なんてもはや死語。高校生の活動に期待は高まるばかりです。
　さて、ここからはお知らせのコーナーです。

○【県立美術館】「生誕100年　朝倉摂展」のご案内
会期　令和4年9月3日（土曜日）～10月16日（日曜日）
時間　午前9時30分～午後5時（入館は午後4時30分まで）
観覧料　一般・大学生1,000円、高校生600円、小中学生400円
休館日　毎週月曜日、9月20日（火曜日）、10月11日（火曜日）
　　　　※ただし10月10日（月曜日）は開館
内容
　舞台美術家、挿絵画家、日本画家として昭和戦前期から活躍した朝倉摂の展覧会です。朝倉さんの作品は、蜷川幸雄や唐十郎らによる演劇の舞台美術で有名ですが、戦後の復興期にたくましく生きる人々の姿を、力強い筆遣いで表現した日本画もとても迫力があります。本展覧会では、舞台美術の下図や模型を始め、「ごんぎつね」や「たつのこたろう」などの絵本の原画、そしてほぼ初めての公開となる日本画の作品を展示しています。女性アーティストとして多彩な活躍をした朝倉さんの表現の全貌をご覧いただける展覧会です。ぜひお越しください。

詳しくは、県立美術館Webサイトをご覧ください。
→ https://art-museum.fcs.ed.jp/
※ご来館の際は感染症対策にご協力ください。体調に不安がある場合はご来館をご遠慮ください。なお、混雑時には入場を制限する場合があります。

○【県立博物館】秋の企画展「名君の大名文化」について
会期　前期：令和4年10月7日（金曜日）～11月6日（日曜日）
　　　後期：令和4年11月8日（火曜日）～12月4日（日曜日）
時間　午前9時30分～午後5時（入館は午後4時30分まで）
観覧料　一般・大学生1,300円、高校生800円、中学生以下無料
　　　　※ふくしま教育週間（11月１日～6日）は、高校生以下無料
休館日　毎週月曜日、10月11日（火曜日）、11月24日（木曜日）
　　　　※ただし10月10日（月曜日）は開館
内容
　岡山藩主池田家は西国を代表する大名家。藩祖の池田光政と会津藩主の保科正之は同時代を生き、共に名君と仰がれました。本展覧会では、岡山市にある林原美術館の特別協力により、池田家ゆかりの甲冑、能装束、絵画、婚礼調度など池田家の文武を伝える名品の数々を始め、林原一郎氏が収集した素晴らしい美術工芸品を紹介します。また、岡山藩士から文人となり、会津を訪れた浦上玉堂、その息子で会津藩士となった秋琴の作品も展示。岡山と会津の関わりを多角的に探ることのできる展覧会です。ぜひお越しください。

詳しくは、県立博物館Webサイトをご覧ください。
→ https://general-museum.fcs.ed.jp/
※ご来館の際は感染症対策にご協力ください。体調に不安がある場合はご来館をご遠慮ください。なお、混雑時には入場を制限する場合があります。


□■□編集後記□■□

　9月になり残暑厳しい日々が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。先日9月4日は、明治5年に我が国最初の全国規模の近代教育法令である「学制」が公布されてから150年という日でした。明治以降の急速な近代化、戦後からの復興と高度経済成長など、我が国の成長発展を支えたのは国民一人一人の力であり、学校教育は現代においても国の社会経済システムの根幹を支える重要な制度です。一方で、最近、「学校とは何だろう」と考えることが多いです。
　実は2学期が始まって以降、小学校1年生の長女がしばし「学校に行きたくない」と言うようになりました。祖父母と遊んで楽しかった夏休みとのギャップもあるのかもしれません。月曜日の朝によく言うので、いわゆるサザエさんシンドローム的なものもあるのかもしれません。よくよく話を聞くと、学校のお友達との関係でも悩むところもあるようです。幸い、少し話をすると気持ちは落ち着き、登校時間になると「○○ちゃんと待ち合わせしているの！」といって元気に飛び出して行くので、それほど深刻なものではないのかもしれませんが、子どもなりに、しんどさを感じている部分もあるのだなと感じます。
　また、room Kという不登校支援プログラムを立ち上げたNPO法人カタリバの方と話をする機会もありました。このプログラムでは、インターネット上に子どもの居場所を設け、個別の学習計画を作成するスタッフや全国から募集・面談を行った上で専門研修を受けたオンラインキャストが、児童生徒に伴走します。子どもたちはRPGゲームのようにアバターを操り、オンライン空間を移動。その中で、キャストと会話したり、AIドリルなどの学習教材で勉強したり、プログラミングや英会話、歴史同好会といった魅力的な探究プログラムに参加したりと、まさに居場所として過ごしていくというもので、これからの時代の新しい学びの可能性を感じました。
　別の日には、川俣町にある山木屋小中学校を訪問しました。山木屋小中学校は、令和元年度以来小学校については在籍児童がゼロ。中学校は8人という学校です。山木屋地区は、福島第一原子力発電所事故により避難区域となりました。山木屋地区の避難指示が解除され、平成30年4月に山木屋地区で学校再開となった後も、子どもの数は少ない。同じ町でも中心部は避難指示区域とならなかったことの影響もあるようです。学校は通学区特認校として、川俣町の中心部や他の市町村からの子どもを受け入れています。少人数だからこそのきめ細かな指導と、学校の裏山を用いた自然環境学習、田んぼリンクのスケート実習や畑で栽培した蕎麦を使った蕎麦打ち体験など、豊かな自然を生かした丁寧な学びが繰り広げられています。よく学校というと、地域の子どもたちの学ぶ場所をイメージします。一義的にはそうかもしれませんが、山木屋小中学校のように、地域の子どもたちに限らず、少人数の温かい人の関わり合いの中で丁寧に学びたいというニーズに応える学校という在り方もあるのだなと感じたのです。
　さらに別の日には葛尾村を訪問しました。学校の帰還は村の帰還から約2年後。学校が再開した4月。村役場の向かいにある学校には、桜の木の下のブランコに乗って楽しそうに歌う子どもの姿が。2年ぶりに村に響く子どもの歌声に、村の人たちは涙を流したという話を小野田教育長からうかがいました。学校は地域にとって、学びの場なだけでなく、地域の宝を育み、夢と希望に満ちた場でもあるのだと改めて感じました。
　近代の学校制度は、できるだけ効果的かつ効率的に国民教育を施すべく、教室に一定数の子どもを集め、国で学習指導要領を定め、検定を受けた教科書を用いて授業を行う仕組みになっています。一方で、社会は多様化し、子どもの個性や背景も多様になっています。「個別最適な学び」が求められている時代、多様な学びの在り方と多様な学校の在り方が求められています。学制150年のこの年だからこそ、これからの時代の学校の在り方についてしっかりと考えていく必要があると感じました。
　今月も最後までお読みいただきありがとうございました。
　
　教育総務課長　堀家 健一（ほりいえ けんいち）


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　電話024-521-7759
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■□■ひとつ、ひとつ、実現する ふくしま　編集・発行　福島県教育委員会■□■