うつくしま教育通信 Vol.216

[教育庁教育総務課代表]

　《福島県教育委員会メールマガジン》

■■■　うつくしま教育通信Vol.216　2022.5.20　■■■
発行：福島県教育委員会　https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/edu/

★★目次★★
◇リレーエッセイ
　県教育委員会委員　浅川 なおみ（あさかわ なおみ）
◇日々の思い
　財務課長　渡部 誠二（わたなべ せいじ）
◇読者投稿欄「みんなの学舎」
◇学校自慢コーナー
　いわき市立大野中学校
　福島県立いわき総合高等学校
◇図書館アラカルト
◇お知らせ
◇編集後記
　教育総務課長　堀家 健一（ほりいえ けんいち）


◆リレーエッセイ◆

　「人としての成長、市としての成長」
　　県教育委員会委員　浅川 なおみ（あさかわ なおみ）

　前回（メールマガジンVol.206）のリレーエッセイでA君について書いた。私は、中学生になったA君のその後をどうしても知って欲しいと思った。そこで、初めて読む方のために少し説明しておきたい。
　白河市コミネス交響楽団の団員でチェロを弾いている、当時6年生だったA君は、疲れると楽器にもたれかかって寝てしまうことがあった。しかしマイ楽器を持って必ず練習にくる。私は、A君が将来どのようにオーケストラと関わることになるのか、とても楽しみにしている。
　さて現在、中学生になったA君は、相変わらず休まずにコミネス交響楽団に来ている。中学校では何の部活動に入ったのだろうかと気になっていたところ、風の便りでどうやら器楽クラブに入ったらしいと聞いた。そして何よりも嬉しいことに、小学校の卒業文集に「僕はチェロをやっていてよかった」という言葉を書いたそうだ。そう書くまでには、きっと自分の心の中でたくさんの葛藤があったのかもしれないが、スッキリ解決に向けて進んだのだろう。
　4月からもコミネス交響楽団に来ているA君は、なんと驚くことに、とても腕前が上がっていた。右手はしっかりと弓を持ち、左手は指板の上で軽やかに踊っているではないか。テンポも遅れず、ピッチカート奏法も隣りの上手な同級生についていっている。半年とはいえ、子どもの成長は目を見張るものがある。もし成長期という時期が目に見えるものであるならば、皆で見て教育の参考にしたいくらいだ。
　また、成長したのはA君だけではない。A君と同じく中学生になったB君は、4年生からずっとコントラバス奏者だが、4年生の頃は身長が低く、踏み台に登って演奏していた。しかし、中学生になった今では踏み台を使わず、大人に混ざって豊かで深みのある音を奏でている。子どもの成長は凄まじい。普段、子ども同士だけでの関わりが多い学校とは異なり、コミネス交響楽団は、職業も年代も多様な大人が見守りながら、一緒に活動できる点が良い所だと思う。
　ところで、全く予期しない出来事も起きた。昨年11月に行われた「第10回日本学校合奏コンクール全国大会ソロ&アンサンブルコンテスト」に於いて、高等学校の部で参加したコミネス交響楽団ジュニアアンサンブルが、なんと1位の文部科学大臣賞に輝いたのだ。コミネス交響楽団の創立当初から、「コンクールに出て１位になって欲しい」などとは全く考えたこともなく、「子どもから大人まで一緒に楽しめるオーケストラを目指そう」と言っていたはずなのだが、そんな夢物語は、早々に子ども達の力で打ち砕かれてしまったのだ。勿論、A君もB君も参加していた。「何という奇跡だ！」と皆で驚いている。
　私が白河で音楽活動に携わってから長い年月が過ぎたが、白河文化交流館コミネスの後押しのもと、まるで飢えていたかのように一気に活気づいてきたことは、言葉では言い表せないほどの喜びとなっている。


◆日々の思い◆

　「with 数学 in 暇な時間」
　　財務課長　渡部 誠二（わたなべ せいじ）

　以前から、暇を見つけては数学の問題を解いている。
　元々、算数・数学は、小中高と好きではなかったが、娘が高校生のときに使っていた古い教科書などを本棚から引っ張り出してやり始めた。ちなみに、さしたる理由やきっかけがあった訳ではない。内容は、主に教科書の練習問題・章末問題のレベルで、ごく基本的なものである。
　勝手気ままに問題を解き、少し考えて分からない時は、すぐに答えを見る。答えを見て分かった気になって、もう一度、やってみると、実は分かっていなかったということも多々ある。改めて、「分かったと思う。」ことと、「理解した。」ということとは別次元のことなんだと感じている。そして、自分が理解したと思えるまで同じ問題を続ける。
　何のかんのと言いながら、問題が解けると素直にうれしいし、気分も爽快になる。しかしながら、考えてみると、なんでまた今更、数学をやろうと思ったのかは自分でもよく分からないが、数学が苦手だったという過去の記憶と「数学ができるようになりたい。」という潜在的な願望が、今でもどこかにあるからなのかもしれない。
　話は変わるが、数学の問題をやっていると、心が落ち着いていると感じるときがある。
　また、これまで気づかなかったものがひらめいたり理解できたりした瞬間は、格別の高揚感や達成感もある。その昔、受験勉強や学校のテストのためにやっていたときは、そんなことは少しも思ったことはなかった。きっと、数学と自分との間に苦手意識による距離感ができてしまい、勝手に遠ざかってしまったからなのだろう。今は、数学に対して何ら特別な感情などは無く、数ある興味の一つになり、自然と自分に近づいてきてくれたのかもしれない。
　試験には時間制限があるが、興味の世界にはタイムリミットはない。それこそ考える時間は無限にある。これまでもこれからも、目的も目標も無いが、とりあえず、もう少しこのまま続けて、数学と一緒に、ゆっくりと「勝手気ままな○○な時間」を過ごしてみようかと思っている。


◆みんなの学舎◆
　今回は、令和3年度「第35回少年の主張　会津若松市大会」優秀賞の発表をご紹介します。
　※学校名、学年は、受賞時（令和3年度）のものです。

　「未来の私に向けての一歩」
　　会津支援学校中学部3年（受賞時）平田 愛美
　私は今、福島県立会津支援学校中学部で、勉強をしています。
　私は元々、地域の小学校の特別支援学級に通っていました。人数こそ少なかったものの、同じように障がいや学習への難しさがある人たちがおり、一緒に勉強を頑張っていました。
　ですが、そんな私の学校生活は少しずつ変化していきました。私に関するいやなうわさや、悪口が聞かれるようになってきたのです。最初は、「悪ふざけだろう。」「すぐに終わるだろう。」と思っていましたが、日に日にいやがらせはひどくなり、いつしか私は学校に行くことが苦しくなってしまいました。
　そんな時、両親から会津支援学校へ進学することを提案されました。「このまま地域の中学校に行っても、きっといじめられる。学校が変われば、何か変わるんだろうか。いや、きっと変わらない・・・。」そう思いながらも、ほんの少しだけ、未来が変わることを期待して、私は会津支援学校に進学することを決めました。
　会津支援学校では、本当にたくさんの生徒が学校生活を送っていました。たくさんの生徒、たくさんの先生に囲まれ、私はとても不安でした。ですが、数カ月もすると、そんな不安よりも、私の心に強く残る気持ちが生まれました。「友達が欲しい！」
　まずは、私と同じように地域の小学校から入学した女子に声を掛けてみました。次は別の女子、その次は男子・・・。どの人も、私が声を掛けると、笑顔で返してくれる人ばかりでした。そして、短かったあいさつは、いつしか会話になり、冗談になり、悩み相談やぐちになりました。私にとって、「苦しい」だった学校がいつしか「楽しい」に変わっていたのです。なんで不安だったんだろう、なにを絶望してたんだろう、ここにはこんなに素敵な友達が待っていたのに！
　私が会津支援学校に来て感じたことは「人と人を比べる必要はない。」ということです。容姿も、性格も、そして障がいも、何も関係ない。どんな人にだって、得意なことがあれば、苦手なこともある。それをお互いに認め合って、助け合って、そして支え合うことが大切なのです。私はこの学校で、そんな友達を見つけることができました。そしてその友達が、今の私を作ってくれました。
　私には、将来の夢があります。それは、看護師になって、地域の皆さんを支えられる人になることです。
　私は今まで、家族に、先生に、友達に、たくさんの人に支えられてきました。みんな私の苦しみに向き合い、私の悲しみに寄りそい、私の悩みを解決しようとしてくれました。そして、たくさんの人が、私の障がいを認め、個性を認め、私のことを好きになってくれました。今度は私が、たくさんの人を好きになって、たくさんの人を支えたいです。
　この先、私はもっと広い世界で、きっと色々な人と出会うでしょう。もしかしたら、また苦しむこともあるかもしれません。でもそれは、とてもちっぽけなことなのです。だってその苦しみこそが、悲しみこそが、悩みこそが、私の個性なのだから！
　私は、私の個性を大切に、これから先も、一歩一歩歩んでいきます。たくさんの人を支えながら。たくさんの人に支えられながら。

○読者投稿欄「みんなの学舎」では、皆様からの原稿を募集しています。
　学校であった心温まる出来事やちょっといい話、心に残る先生のエピソード、子どもたちの作文でもかまいません。
　詳しくは、福島県教育委員会のWebサイト（メールマガジン、みんなの学舎）をご覧ください。
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/268846.pdf


◆学校自慢コーナー◆
　このコーナーでは、各学校の特色ある取組をご紹介しています。詳しい内容を県教育委員会Webサイトに掲載していますので、ご覧ください。

○「大野中学校　教育目標『自立と貢献』～協働的、探究的な学びの実現を目指して～」
　　いわき市立大野中学校
　本校では、重点目標に「自立した生徒の育成」を掲げ、キャリア教育の視点から教育活動の充実を図っています。TSCとは、公益社団法人ジュニア・アチーブメント日本とJ.P.モルガンのキャリア教育プログラムです。防災という社会課題に対して、最先端の科学技術を駆使しながら解決していくためのビジネスプランを立案し、プレゼンテーションまでを行う、まさに探究的な学びの実践です。
・いわき市立大野中学校の学校自慢Webサイト
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/70012a/t-iwakil.html
・いわき市立大野中学校のWebサイト
→ https://iwaki.fcs.ed.jp/%E5%A4%A7%E9%87%8E%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%EF%BD%A5%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B

○「SOGO課題研究　～１年間の探究とさらなる成長～」
　　福島県立いわき総合高等学校
　いわき総合高等学校は、2004年に福島県立内郷高等学校の設置学科を総合学科に転換した際に校名を変更してできた学校で、自分の興味や進路希望に応じて6つの系列と100以上の科目の中から授業を選択し、独自の時間割を作成して学校生活を送ることができるのが特徴です。
・福島県立いわき総合高等学校の学校自慢Webサイト
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/70012a/k-iwakil.html
・福島県立いわき総合高等学校のWebサイト
→ https://iwakisogo-h.fcs.ed.jp/

○「学校自慢コーナー」では、県内の公立小・中・高・特別支援学校の学校自慢を募集しています。詳しくは、Webサイトをご覧ください。
「学校自慢コーナー」
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/edu/appeall.html
「学校自慢コーナー応募の流れ」
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/310322.pdf
　教育総務課　電話024-521-7759


◆図書館アラカルト◆

○県立図書館は現在休館中です
　昨年2月及び今年3月に発生しました地震被害からの復旧工事のため、以下の期間休館しております。
　休館期間：令和4年5月9日（月曜日）～7月7日（木曜日）

○休館期間中のサービスについて
・図書の貸出と予約、調査相談、複写サービスは休止しております。
・「相互貸借」（市町村図書館・公民館に申し込みを行い、県立図書館の図書を借りるサービス）は下記の期間を除き、実施しております。詳細は最寄りの図書館・公民館にお尋ねください。
・「学校図書館サポートセット貸出」も下記の期間を除き実施します。
※復旧作業のため相互貸借（貸出）できない期間：6月18日（土曜日）～7月7日（木曜日）
※なお、申込受付は6月10日（金曜日）正午までとなります。

○図書の返却と延長について
・休館前に借りた図書の返却は、当館の返却ポストまたは最寄りの図書館（福島市を除く）で行うことができます。
・貸出期間の延長は、通常どおり、電話等にてお受けいたします。
・電話の受付時間は、平日の9時30分から17時30分までです。

　詳しくは県立図書館ホームページ、または県立図書館までお問い合わせください。
・県立図書館　電話024-535-3220
→ https://www.library.fcs.ed.jp/

<おすすめの1冊>
「清少納言がみていた宇宙と、わたしたちのみている宇宙は同じなのか？」池内了／著　青土社　2021
　天文学者の著者が、古典と科学を絡めながら紹介するサイエンスエッセイです。
　清少納言が見た星を天文学の視点から捉える第一章に始まり、物理学や生物学と文学の間を行き交う語り口には、分野を飛びこえたおもしろさがあります。
　清少納言のほかにも、万葉人が宵の明星と明けの明星を違った星と見ていた可能性や、万葉集から江戸川柳まで広く文学で愛されてきた鰹の「うま味」の科学など・・・。いつもとは違った切り口で古典や科学を楽しみたい方におすすめです。


◆お知らせ◆
　5月は全国大会出場をかけた地区大会に始まり、三学期制をとる学校では一学期中間試験に突入します。高校1年生は特に、慣れない通学、学業に部活動にと目まぐるしい日々で、緊張や疲れからくる心や身体の悲鳴に気づかない人もいるかもしれません。大阪市の小中学校では、児童生徒が自分の心の状態を「心の天気」としてタブレットに入力するそうです。「晴れ」「曇り」「雨」「雷」の4種類の中から自分の気持ちに近い天気マークを毎日入力し、それを教職員で共有して声かけ等で活用するとのこと（大阪市教育委員会HPより）。SOSを出せない子どもたちもいます。「心の天気」、今日の皆さんの天気は何マークですか？
　さて、ここからはお知らせのコーナーです。

○【県立博物館】春の企画展「アンモナイト合戦」のお知らせ
(1)「アンモナイト合戦」記念講演会のお知らせ
講演会　令和4年6月11日（土曜日）午後1時30分～午後3時まで
会場　県立博物館　講堂（定員100名、申込不要、先着順）
講師　国立科学博物館　地学研究部グループ長　重田康成氏
内容
　アンモナイト研究の第一人者である重田さんが、アンモナイトの進化や福島県のアンモナイトの特徴などについて分かりやすく話してくださいます。講演を聞いてから展示を見ると、より一層楽しむことができます。

(2)「アンモナイト合戦～アンモナイトVS同時代の生き物たち～」のお知らせ
会期　令和4年4月23日（土曜日）～令和4年6月26日（日曜日）まで
開館時間　午前9時30分～午後5時（入館は午後4時30分まで）
休館日　毎週月曜日
観覧料　一般・大学生は800円、高校生以下無料
内容
　特徴的な形で人気のアンモナイト化石。福島県内でも多くのアンモナイトが発見されています。この企画展では国内外のアンモナイト、総数約600点を紹介します。はじめてアンモナイトに触れる方から、福島県のアンモナイトを知りたい方、アンモナイトマニアまで幅広く楽しめる展示となっています。アンモナイト同士や他の生き物と生存競争という名の合戦を繰り広げた3億年を想像するこの機会、ぜひお越しください。見どころ解説会など関連行事も用意しています。
※ご来館の際は感染症対策にご協力ください。体調に不安がある場合はご来館をご遠慮ください。
※春のテーマ展「新種！ワニ祖先の化石」を同時開催いたします。
※詳しくは、県立博物館Webサイトをご覧ください。
→ https://general-museum.fcs.ed.jp/

○【県文化財センター白河館】館長最終講演会と企画展のお知らせ
(1)館長最終講演会のお知らせ
演題　「蝦夷論の系譜と東北考古学」
開催日　令和4年6月4日（土曜日）午前10時30分～12時まで
開催場所　とうほう・みんなの文化センター　小ホール（定員180名、申込不要・先着順）
入場料　無料
内容
　平成23年以来、本県の文化の復興と振興に尽力した、県文化財センター白河館の菊池館長が退任されるにあたり行われる最終講演会です。菊池館長は、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産登録にも専門家委員会委員長として尽力するなど、先史時代研究の第一人者です。日本トップレベルの先生の講演を生で聴くことができるまたとない機会ですので、皆様ふるってご参加ください。

(2)館長最終講演会のお知らせ
演題　「蝦夷論の系譜と東北考古学」（内容は(1)と同じです）
開催日　令和4年6月5日（日曜日）午前10時30分～12時まで
開催場所　白河市立図書館　地域交流会議室（定員100名、申込不要・先着順）
入場料　無料

※菊池館長プロフィール
　県文化財センター白河館長。早稲田大学名誉教授。元縄文遺跡群世界遺産登録推進専門家委員会委員長。元（一社）日本考古学協会会長。文学博士。
　専門は北方考古学、比較考古学。著書に平凡社新書『考古学の教室―ゼロからわかるQ&A65』など。

(3)まほろん企画展「U-15の考古学」のお知らせ
会期　令和4年6月18日（土曜日）～令和4年9月25日（日曜日）まで
開館時間　午前9時30分～午後5時（入館は午後4時30分まで）
休館日　毎週月曜日、7月19日と9月20日は休館（7月18日と9月19日は開館）
入館料　無料
内容
　これから歴史の学習を始める子どもたちあつまれ！
　「考古学」の重要な役割のひとつは、文字を持たなかった大昔の人々の暮らしを明らかにすることです。歴史の教科書の最初の部分は、考古学からわかったことが書かれています。青森県の三内丸山遺跡、佐賀県の吉野ヶ里遺跡、大阪府の仁徳天皇陵古墳などの大きな遺跡や、縄文土器や弥生土器などの様々な遺物について書かれていますが、そのころの福島はどんな様子だったのでしょう。本展では、福島県から出土した資料で、大昔の福島の歴史を紹介します。
　まほろんで、むかしむかしの福島に出会ってみませんか。

※ご来館の際は感染症対策にご協力ください。体調に不安がある場合はご来館をご遠慮ください。
※詳しくは、県文化財センター白河館（まほろん）のホームページをご覧ください。
・県文化財センター白河館（まほろん）　電話0248-21-0700
→ https://www.fcp.or.jp/mahoron/


□■□編集後記□■□

　皆様、五月の大型連休はいかがお過ごしでしたでしょうか。三年ぶりにコロナ関係の制限のない大型連休ということで、実家に帰られた方、旅行に出られた方など、皆様それぞれ素敵な時間を過ごされたのではと思います。
　我が家では、大型連休中、義両親と義妹が遊びに来てくれました。せっかく福島に来てもらったので福島らしい料理をと思い、外で食べてみて美味しかった「いかにんじん」を作ってみることにしました。まずはスマホのレシピアプリで検索。いくつかのレシピを見比べる中で、何となく好みの味付けになりそうな作り方を見定め必要な材料を購入。少し酸味があった方が家族の好みかなと思って調味液はお酢も使ったレシピを採用。「なるほど、加熱した調味液をスルメイカにもかけてしまうと臭みが出てしまうのか」などと別のレシピサイトで勉強しつつ、彩りに昆布と煎り胡麻も加えてみて完成です。初めて作った「いかにんじん」は家族にも好評で、特に義父が「酒のつまみにちょうどいい」ととても喜んでくれました。
　ふと、この「いかにんじん」作りの過程を振り返ってみると、現代における学びのプロセスに似ているなと感じました。スマートフォンが普及する前は、誰かに作り方を教えてもらうか、紙のレシピ本や雑誌のレシピ欄を見て料理を作るという形だったものが、ICT機器を用いることで、作り方を全く知らなかった料理についても、複数の情報を自ら集め、その中で最適な組み合わせを見いだしていくことができます。また、これまで作った料理を踏まえながら、少しアレンジを加えるなど、過去の学びを通して身につけた「見方・考え方」を総動員して課題を解決していくことは、新学習指導要領の中に盛り込まれている「探究」の考えに通じるものがあります。
　「いかにんじん」作りで何を大層なことを言っているのだという感じですが、学校における学びとは、何か小難しいものではなく、こうしたありふれた日常に繋がっていくものであり、だからこそ、学びのシステム作りは社会を構成する非常に重要な基盤になるのだと思います。そしてSociety 5.0が到来すると言われる現代においては、ICT機器は日々の生活において必要不可欠であり、だからこそ学校における学びも、紙とデジタル双方の良さを組み合わせ、現代的なあり方にアップデートしていく必要があると考えています。
　福島県教育委員会では「第7次福島県総合教育計画」及びその年次計画である「学びの変革推進プラン」に基づき取組を進めています。「学びの変革」と聞くと何か仰々しいものに聞こえるかもしれませんが、その最終目的地は、7次計画にも掲げられている「子どもたち一人一人の多様な幸せと社会全体の幸せであるWell-being」です。一人一人の子どもたちが、ありふれた日常の中で、それぞれ笑顔で力を発揮できる。そういう社会の実現のために皆様と力を合わせていきたいと思います。
　最後までお読みいただきありがとうございました。

　教育総務課長　堀家 健一（ほりいえ けんいち）


■このメールについて■

・お問い合わせは、福島県教育庁教育総務課へお願いします。
　電話024-521-7759
　メールアドレスk.ko...@pref.fukushima.lg.jp
・このメールの再配信はご遠慮ください。

■□■ひとつ、ひとつ、実現する ふくしま　編集・発行　福島県教育委員会■□■