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秘書給与流用問題の論理 Re: 秘 書給与

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隣のけんちゃん

未読、
2004/03/08 15:25:022004/03/08
To:
tokio wrote:
公設秘書の給与は直接本人に渡すのは常識でしょう。どうして代議士を経由しなけれ
ばいけないのですか至急規則を改めるべきです、簡単な事と思いますが。

ぼくは議院規則を読んでいない。で、それだけで既に不十分の説明しかできないが、
自分のこれまでの理解を整理する意味も込め、自分の考えを吐露したい。まず、どう
いう規定になっているかを見てみよう。秘書に関係する規定を拾うと、憲法規定が有
り、それを受けて議院規則が制定されてる。また、それらとは別系統で国会法が秘書
について言及している。すなわち、

 憲法第58条第2項
 「両議員は、各々その会議その手続き及び内部の規律に関する規則を定め、…」

 議院規則  (これはぼくには不明)

 国会法第132条第1項
 「各議員に、その職務の遂行を補佐する秘書二人を付する」

ところで、国会法が「秘書二人を付する」とした趣旨は何か。憲法の趣旨を実現する
ための具体化の役割を負う国会法は憲法の趣旨と連続的に捉えられなければなるまい。
国会の役割は唯一の立法機関である。その国会の構成メンバーが国会議員である。し
たがって、国会議員の特徴的役割は「法案の作成」にある。この「法案作成」がスム
ーズに行われるためには種々の調査能力なり研究能力なりが要求される。これを国会
議員に与えずして「法案作成」を憲法が要望するとすれば半ば矛盾と言わざるを得な
い。よって憲法の趣旨を推及し、国会法は「二人」の秘書を付する、とした。

ここまでで分かることは、憲法はもちろんとして国会法は国会議員の本来の活動を有
効ならしめるとの観点からしか興味を示していない。従って国が歳費を捻出するにも
この「国会議員の活動の便宜に供する」との趣旨以外の何ものでもない。

次に、憲法が第58条で議院に規則制定権を与えた趣旨を問おう。それは、各議院が
内閣・裁判所など他の国家機関や他の議院から監督や干渉を受けることなく、内部組
織及び運営等に関し自主的・自律的に決定できるようにするためである。

もし、tokio氏の言われるように、議院規則が国からの歳費が国会議員を「経由」して
処理されるとしたとすれば、各議院はそのやり方が最も「国会議員の活動の便宜に供」
した形になると考えたからであって、このような判断はもちろん議院の自律権の範囲
内のことである。“自分に取って便利且つ有効か否かは自分が一番知っている”

さらに言うならば、国会議員の所までたどり着いた歳費がその後秘書にどのようにして
払われるか等は議院規則に詳らかにされていない以上、一律の基準等無いと考えるべき
である。議院規則に詳らかにされないならば一般公務員の場合と同様にする、とするの
も一つの解決策では有ろうが、しかし、しっくりこない。一口に公務員と言っても様々
であるし、また、一般に公務員と言われているのは行政府管轄下の職員をさす。

思うに、この秘書給与の問題は、議院の自律権を尊重し、あくまでも議院規則の解釈、
それも当該議院がどう考えるかに任されなければならないものであった。裁判所や行政
機関が安易に関わることではない(犯罪の場合は別の機会)。そして、もし議院規則が
不明な場合には大原則に戻って、議員と秘書との当事者間の純然たる契約あるいは意思
の推測に委ねられるとすべきものであった。その方が遥かに柔軟な対応が可能であるば
かりでなく、心置きなく裁判所管轄の問題として取り上げることが理論的に可能となる
一方で、議院の自律権も尊重されたことになる。それは、国会議員としての国に対する
違反は無いとする点で大きな違いがある。民事訴訟で敗訴すること等は国会議員の政治
生命を絶たれる理由に等なる筈が無い。これでいいのである。

       【感想】国民はこの問題についてあまりにも感情論に走った憾み
           が有る。そして、もし、以上のことを渦中の国会議員が
           主張すれば、いくら正しくても印象はますます悪くなる
           一方であるという性質を持った問題であった。だから反
           論ができなかったのである。国民にはそのことを汲んで
           やれるだけの賢さが必要だった。ここでもぼくは国民の
           賢さを期待しないわけには行かない。

以上。(詐欺罪が問題になったことについては別の機会)

--
隣のけんちゃん




one of the people in general

未読、
2004/03/09 10:46:262004/03/09
To:
最後の部分に若干不明な箇所が見受けられます。

  「あくまでも議院規則の解釈、それも当該議院がどう考えるかに任されな
   ければならないものであった。裁判所や行政機関が安易に関わることで
   はない」とし、

  「 不明な場合には大原則に戻って、議員と秘書との当事者間の純然たる契
   約あるいは意思の推測に委ねられるとすべきものであった。その方が遥
   かに柔軟な対応が可能であるばかりでなく、心置きなく裁判所管轄の問
   題として取り上げることが理論的に可能となる」とされています。

この箇所の考え方が不明なのです。もし、議院の自律権を尊重するのであれば
「裁判所の管轄の問題」とすることは矛盾であるように思うのですが…。その
点をもう少しはっきりしていただけたらと思います。

--
one of the people in general

隣のけんちゃん

未読、
2004/03/09 13:19:032004/03/09
To:
たしかにそうですね。やや暈してあるように受け取られたかもしれません。それはぼくも100
パーセント自信が有るわけではなく、ぼく自身が未だに考えの途上に有ることを意味しているの
です。

その前から申し上げましょう。国会法が「秘書二人を付す」とした、その具体的方法はどう捉え
ますか?国会が秘書さん方を必要な人数分を前もって公務員?として雇入れ、それを機械的に割
り振ることを言っているんでしょうかね?議員と秘書との当事者間にある関係は、民法で言えば
「委任」であろう。この委任は当事者間の特別な「信頼関係」を内包し、政治家と秘書との関係
はなお一層そうだ!とは言えまいか?こう見たとき、国会が秘書と言うものを準備し、それを機
械的にあてがうという捉え方はきわめて不自然であります。

ということは、国会法が「秘書二人を付す」としたのは、議員が秘書を雇うときには何かと費用
がかかるであろうから、その費用に当たる歳費は国会が(もちろん国民の税金)負担しましょう
とし、その額は雇い入れる秘書の頭数を基準にしたに過ぎないのです。これが「秘書二人を付す」
としたことの内容であります。言い換えると。ここで言う秘書が国庫に対して具体的且つ直接的
な歳費請求権があることを認めたものではない。

従って、もう一方の憲法の命を受けた議院規則は国会議員を「経由」して支払われるとしたその
態度は憲法と国会法の考え方の内部の一方法であると評しえます。そうして、議院規則がここま
で語っているからにはこの歳費についても関心が有ることを読み取れるわけで、そうであるなら
ば、こんどは議員から秘書への支払い関係もその議院規則を解釈して判断すべきとするのが自然
であろう、というのがぼくの考えなのです。なお、これを解釈判断するのは議院自体です。これ
は憲法が直接認めた議院の自律権を理由とします。裁判所ましてや行政機関が口出すべきもので
はない。

もし、議院規則でこの点の規定を欠いていて解釈でもってもこの点を埋めることはできないとし
た場合はどうなるか。その時初めて一般原則としての議員と秘書との間でどうなっているかを問
題にすべきことになる。これは個々様々であって一律の基準は無い。こう議院が判断したときに
初めて民法関係の支払い関する問題となろう、こういう主旨で申し上げたのでした。

こうして議院が自律権を元に自己解決の外のことと判断したからには秘書あるいは議員から民事
上の法律関係を主張され議員あるいは秘書が裁判所の評価にさらされることにもなる。このとき
秘書がこれまで何故請求しなかったのかとか、具体的に議員とどういう話になっていたのかとか
の当事者の意思がなんだったのかが明らかにされるで有りましょう。こう言う具体的な解決が為
されると言う点でぼくは柔軟な処理ができると考えているのです。

なお、こう見てくると、世情を騒がせた「詐欺」など問題とはならない。ニュースグループでは
「詐欺」で有ることを前提にしてなんやかや語っていたが殆どが単なる感情論であった。敢えて
言えば、議員と秘書との話し合いの具体の中にその詐欺性が考えられなくはないが、全員がそこ
を捉えて詐欺であると主張してはいなかった。おそらくその場合にも具体的に見て詐欺性特に
「故意」の点で成立しないか、あるいは詐欺としては可罰的違法性は無い、となるでありましょ
う。

--
隣のけんちゃん


one of the people in general

未読、
2004/03/09 13:47:182004/03/09
To:
詐欺罪の否定に関して。以上の説明ですと、元々国庫に対しては「欺罔」をしてはおらず、従って
詐欺罪は成立しないとの主旨のようですが、もっとはっきりと、詐欺罪と言う構成要件は本来的に
個人的法益に向けられたものだから、この場合はそれに当たらず、詐欺罪は成立せず、としてはま
ずいのでしょうか?勿論、議員と秘書との具体的場合に於ける詐欺はここでは於いておいて、です
けれども…。
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